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高校生
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このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

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第2話「データデュエル! 遊星vs三沢」
 
作者 Joker

ネオ童実野地区で開催されたWRGP(ワールド・ライディングデュエル・グランプリ)に出場したチームサティスファクション。
「さあ、満足させてくれよ!」
鬼柳たちは予選第1回戦の相手チームユニコーンとの決闘(デュエル)に臨むのだった。
 

「さあついに開幕するWRGP! まず最初のデュエルはかつてサテライトを制覇した強豪デュエルチーム、チームサティスファクション!」
1メートルほどもある長いリーゼントを揺らしながらMCが熱く叫ぶ。そして鬼柳たちチームサティスファクションの5人がD・ホイールに乗って会場に現れた。
彼らの姿を見た観客たちは黄色い歓声を上げている。
「そして対戦チーム! 今まで数々の大会をフォア・ザ・チームの精神で制してきた今大会の優勝候補! チームユニコーンだァッ!」
MCの解説を受けてユニコーンの5人もD・ホイールに乗って会場に現れる。
そして彼らの姿を見た観客たちはチームサティスファクションの時以上に黄色い歓声を送るのだった。
「どうやら敵の方が人気らしいな」
自分たちのベンチに辿り着いたサティスファクションのメンバー。ジャックはユニコーンの方が自分たちよりも人気があるのに不満だった。
「そりゃ仕方ないぜ」
翔太郎は懐からメモを取り出し、
「さっきMCが言ってたようにやつらは今までいろんな大会を優勝してきている。そしてやつらの計算され尽くしたまったく無駄のないデュエルとチーム一丸となって敵を撃ち倒す姿にはファンも多いらしいぜ」
「お前、敵チームについて調べてきたのかよ?」
クロウが聞くと翔太郎は、
「ああ、調べるのは俺の本職だからな。この大会中は任せてくれ」
翔太郎は自身有り気に言った。
「さあ対戦カードの発表だ!」
MCの声が会場に響く。WRGPでは試合開始前にそれぞれのチームが1戦目から5戦目までのオーダーを組み、そのオーダーに従って対戦カードが組まれる。
試合が始まるまでは相手チームの誰と当たるのかまったくわからない。サティスファクション一同は皆黙ってベンチに備えられたモニターを見つめる。
「チームサティスファクションvsチームユニコーン! まず第1戦! 不動遊星vs三沢大地! 次に第2戦! ジャック・アトラスvsアンドレ! 第3戦! クロウ・ホーガンvsブレオ! 第4戦! 鬼柳京介vsジャン! そして第5戦! 左翔太郎vsディマク!」
「三沢だと!?」
「知っているのか?」
驚いている翔太郎に遊星は聞いた。
「ああ、前にちょっとあってな。三沢大地、28歳。相手のデュエルを研究し尽くし、あらゆる展開をシミュレートすることで相手の戦術を徹底的に潰し自分の戦術を思い通りに進める事ができるデータデュエルを得意としている。絶対に油断するなよ」
遊星はうなずく。そして左肩にワッペンを貼ってD・ホイールに乗りスタート位置についた。三沢もすでにスタート位置についている。
「お互い悔いの残らないデュエルにしよう」
三沢は遊星にそう言った。
「ああ」
遊星も軽く返事をする。
溢れ返るほどの観客と熱気。その中でも三沢はまったく余裕そうで、まるでこの会場の空気と一体化しているかのような落ち着きようだった。
しかし何よりも遊星が驚いたのは三沢が乗っているD・ホイールだ。三沢が乗っているのはどこからどう見ても自転車だったのだ。
「おい、あんたそれは・・・」
遊星は耐え切れずに三沢に質問してみる。
「ああ、やはり気になるかい? こいつは俺が作った特製のD・サイクルさ。見た目は自転車だがパワーやスピードは君のD・ホイールといい勝負ができるはずだ」
通常、D・ホイールとはモーメントと呼ばれるエネルギー炉を備えたバイクのことを言う。だがこの大会ではモーメントを備えた車両であれば何でもかまわないということだった。
「さあ両者スタート位置についた。それでは第1戦!」
MCの叫びでカウントが始まる。
「3! 2! 1!」
遊星たちの目の前の2色のランプが赤から青に変わる。
「ライディングデュエル! アクセラレーションッ!!」

お互いにそう叫んでD・ホイールを発進させた。
「さあ、先に第1コーナーを曲がった方が先行を取れるぞ!」
三沢はスタート前、自分の初手の5枚を見てこれからどう動くかを全て決定していた。
「悪いが先行は貰うぞ!」
三沢はペダルに思い切り力を入れる。するとD・サイクルはものすごい加速で遊星のD・ホイールを追い抜いて行った。
「なんだと!?」
「俺のD・サイクルは瞬発力ならどんなD・ホイールにも負けない!」
そして三沢は遊星を大きく引き離して第1コーナーを曲がりきった。
「まずいな」
鬼柳が呟く。サティスファクション一同はベンチのモニターから第1戦の様子を見ていた。
三沢に大きく引き離されて始まったこの第1戦、遊星は非常に不利となってしまった。
ライディングデュエルのルールでは通常のデュエルで用いる魔法カードは一切使用できないことになっている。その代わりに用いられるのが「Sp(スピードスペル)」と呼ばれるライディングデュエル専用の魔法カードだ。Spは後行1ターン目以降、お互いのスタンバイフェイズごとに溜まっていくSPC(スピードカウンター)の個数を発動条件としている。強力なものほどより多くのスピードカウンターを必要とするのだ。
Spが使えるようになるのは基本的にスピードカウンター2個からだ。つまり先にその条件を満たす先行の方がライディングデュエルにおいては有利ということだ。
さらにこの大会には特別ルールが設けられている。それは1周のタイムに関するものだ。この会場のデュエルコースは1周が6キロメートル。1ターンを1周とし、3分以内に1周できなければスピードカウンターを2個減らされるというルールだ。
つまり時速120キロ以上で走り続けなければならないのだ。モーメントという無限動力があるからこそ出せるスピードである。
しかも自分ターンに相手より先に1周できなければ相手のスピードカウンターが1個増えるルールまであるのだ。三沢に出遅れている遊星は現在、非常に危険な状態にあるといえる。
「だがライディングデュエルではLP(ライフポイント)にダメージを受けたプレイヤーのD・ホイールは失速する。先行1ターン目は攻撃できねえから先に攻撃が行えるのは後行だ。場合によっちゃあ遊星だってまだまだ有利になれるぜ」
クロウはそうフォローした。サティスファクション一同は固唾を呑んで遊星のデュエルを見守る。
「俺の先行だ。ドロー!」
第1コーナーと第2コーナーの中間にある周回ラインを越えた三沢は1枚カードを引いた。
 
遊星 LP 4000 SPC 0 手札 5 場:モンスター 0 魔法・罠 0
三沢 LP 4000 SPC 0 手札 6 場:モンスター 0 魔法・罠 0 (ターンプレイヤー)
 

三沢は大会開始前にトーナメント表を見てから第1戦開始前まで、ずっとチームサティスファクションのメンバーごとの対策を練っていた。そして第1戦開始直前、三沢は遊星対策のためにあるカードを自分のデッキに投入した。
そのカードはすでに三沢の手の中にある。
「行くぞ! 《王虎ワンフー(星4/地属性/獣族/攻1700/守1000)》を召喚だ」
三沢のフィールド上に鎧を纏った獰猛そうな虎のモンスターが現れる。
「王虎ワンフーだと!?」
ジャックは目を見開いてベンチから立ち上がる。
「あいつ・・・なんてモンスター入れてやがるんだ!!」
クロウも驚きを禁じえない。あまりのことにジャックもクロウもあいた口が塞がらずにいる。
「王虎ワンフーは攻撃力が1400以下のモンスターが召喚または特殊召喚された時、そのモンスターを破壊する効果を持っている」
鬼柳は気持ちを落ちつけて王虎ワンフーの効果を口に出して言った。
遊星のデッキは低レベルモンスターを大量に展開し、そこからシンクロ召喚へとつなげていく超攻撃型の速攻デッキだ。
そのため低攻撃力のモンスターが多く、王虎ワンフーは遊星のデッキにとってはまさに天敵とも言える存在だ。
「これが奴が・・・三沢が得意とする、相手の戦略を徹底的に潰してデュエルの流れを支配するデータデュエルだ」
翔太郎はそう呟いて、まさに想像していた最悪の流れだと思った。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
三沢のターンが終了する。
だが周回ラインまではまだ遠い。そして時間もまだ2分以上ある。
周回ラインを越えなければ遊星のターンは始まらない。
遊星は今の内に三沢を追い抜こうとスピードを上げる。
「させるか!」
三沢もペダルに力を入れてスピードアップする。
遊星は三沢のすぐ後ろについてプレッシャーを与える。だが三沢はまったくスピードを落とさない。
「奴のD・サイクル・・・確かにすごいポテンシャルを秘めたマシンのようだ。それを奴の体力が支えているのか」
遊星は三沢の後ろにつきながら三沢の様子を観察していた。三沢は激しくペダルをこぎながらもまったく息を乱していない。
だが三沢も人間であるからにはいつか体力が尽きるはず。だから遊星は三沢のすぐ後ろに張り付くようにして無駄にスピードを出させているのだった。
「やるな・・・さすがは現デュエルキング」
三沢は素直に遊星の実力を評価する。
三沢は遊星が今まで行ってきた公式デュエルのデータを全て記憶していた。そしてそこから今後のデュエルの展開をシミュレートし、自身の体力配分を導き出す。
三沢は少し減速して遊星を自分の前に出した。
「まだ1ターン目でスピードカウンターはない。ここはおとなしく先を譲るとしよう」
第1コーナーを曲がる2人。まもなく周回ラインだ。
遊星のD・ホイールの速度は時速150キロほど出ているが、三沢は遊星のすぐ後ろをまったくスピードを落とさずついてきている。
そして遊星は周回ラインを越えた。
「俺のターン! ドロー!」
 
遊星 LP 4000 SPC 1 手札 6 場:モンスター 0 魔法・罠 0 (ターンプレイヤー)
三沢 LP 4000 SPC 1 手札 4 場:モンスター 1 魔法・罠 1
 
後攻1ターン目のスタンバイフェイズになったことでお互いにスピードカウンターが1つたまる。
遊星の手札には攻撃力1800の《マックス・ウォリアー》がある。王虎ワンフーの効果はフィールドに存在する限り有効。つまり戦闘で破壊してしまえばどうということはない。
「俺は《マックス・ウォリアー(星4/風属性/戦士族/攻1800/守 800)》を召喚!」
遊星のフィールドに槍のような武器を持った戦士が現れた。
その瞬間、
「リバースカード発動!」
三沢は伏せていたカードを発動させる。
「永続トラップ《奈落の断崖》。相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・特殊召喚した時、手札を1枚捨てることでそのモンスターを破壊して除外する!」
三沢が手札の《カーボネドン》を墓地に捨てるとマックス・ウォリアーは底の見えない断崖絶壁へと落ちていった。
「くッ・・・これで攻撃力1400以下と、攻撃力1500以上の召喚を封じられたというわけか・・・・・・」
遊星は自分の手札を見る。そしてこの状況を打破する流れを頭の中で組み立てた。
「俺はカードを2枚セットしてターンエンド」
遊星は自分のターンを三沢に追い抜かれることなく無事に終了した。
再び周回ライン。2度目の三沢のターン。
「俺のターン! ドロー」
 
遊星 LP 4000 SPC 2 手札 3 場:モンスター 0 魔法・罠 2
三沢 LP 4000 SPC 2 手札 4 場:モンスター 1 魔法・罠 1 (ターンプレイヤー)
 
ドローした直後、三沢は猛ダッシュで遊星の前に出る。
「俺のターンに先を行かれるわけにはいかないんでね」
三沢は振り返って遊星にそう告げた。
「俺は《ハイドロゲドン(星4/水属性/恐竜族/攻1600/守1000)》を召喚」
三沢のフィールド上に4つの足を持つ泥水の塊のようなモンスターが現れる。
「さらに《Sp‐アクセル・シャドー》を発動。この効果により、このターン俺が召喚したモンスター1体と同名のモンスター1体を俺の手札から特殊召喚する。現れろ! もう1体のハイドロゲドン!」
こうして三沢のフィールドには2体のハイドロゲドン、そして王虎ワンフーの合計3体。総攻撃力は4900で全員の攻撃が決まれば遊星の敗北が確定する。
「バトルだ! ハイドロゲドンで攻撃する。ハイドロ・ブレス!」
ハイドロゲドンの口から発射された水流が遊星を襲おうとした、その瞬間、
「トラップ発動! 《くず鉄のかかし》。相手モンスター1体の攻撃を無効にする」
遊星が発動したトラップカード、くず鉄のかかしは身を挺してハイドロゲドンの水流から遊星を守る。
「そして発動後、このカードは墓地に送らずもう1度セットし直す」
「つまり何度でも発動可能ということか。だがトラップカードはセットしたターンには発動できない。まだ俺には2体のモンスターが残っている! 次はもう1体のハイドロゲドンで攻撃だ!」
ハイドロゲドンの水流が再び遊星を襲う。
「ぐあああッ!!」
遊星のLPが4000から1600削られて2400になる。さらに遊星はD・ホイールに搭載された衝撃体感システムによって遊星はハイドロゲドンの水流の分の衝撃を感じた。
「まだだ! 王虎ワンフーでダイレクトアタック!」
王虎ワンフーがコース上をダッシュして遊星に跳びかかろうとする。
「くっ・・・トラップ発動《モンスター・シールド》! 相手フィールド上の一番攻撃力が高いモンスターが自分に直接攻撃をしかけてきた時、手札の攻撃力より守備力が高いモンスター1体を自分フィールド上にセットし、その後セットしたモンスターと直接攻撃を仕掛けてきたモンスターで戦闘を行う」
遊星は手札からモンスター1体をセットする。
そして王虎ワンフーはセットされたモンスターに爪を立てて跳びかかった。
セットされたモンスターが表側守備表示になる。その正体は《デブリ・ドラゴン(チューナー/星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000)》。
「王虎ワンフーの効果は召喚と特殊召喚にしか対応していない。つまり、セットからのリバースでは王虎ワンフーの効果は発動しない」
「フ、気付いていたか」
王虎ワンフーの攻撃力1700をデブリ・ドラゴンの守備力2000が超えていたため三沢は300ポイントの反射ダメージを受ける。
だが三沢の表情にはまだ余裕の笑みが残っていた。
「ターンエンドだ」
第3コーナーを曲がった辺りで三沢はエンド宣言をした。
遊星は三沢を追い抜くためにスピードを上げる。
「やはりね。俺が集めたデータ通りだ」
三沢は得意気にそう言う。
「どういうことだ?」
遊星はムッとして聞き返した。
「君は常に全力で相手にぶつかっていくデュエルをする。どんな相手でも油断も慢心もしない・・・非常にストイックで好感が持てる」
「何が言いたい?」
「君がここで俺を追い抜こうとしてくることは読めていた。そして俺にはそれに対抗する秘策がある!」
三沢は深く深呼吸をする。そしてスピードを落として遊星のD・ホイールよりも後ろに下がった。
「どういうつもりだ?」
ここで三沢が前を譲る理由がわからない。今は三沢のターンだ。遊星が先に周回ラインを越えれば遊星のスピードカウンターが1つ増えて三沢は不利になる。
どう考えても三沢の行動の理由がわからないが、遊星はごちゃごちゃ考えるよりも確実に三沢よりも速く周回ラインを越えるためにさらにスピードを上げた。
そして周回ライン。遊星のD・ホイールは結局三沢のD・サイクルに抜かれることなく、先に周回ラインを越えた遊星にはスピードカウンター1つが与えられる・・・はずだった。
「なに!?」
遊星に戦慄が走る。なんと今までそこにいなかったはずの三沢がいつの間にか遊星よりも前にいて、先に周回ラインを越えていたのだ。
 
遊星 LP 2400 SPC 3 手札 3 場:モンスター 1 魔法・罠 0 (ターンプレイヤー)
三沢 LP 3700 SPC 3 手札 1 場:モンスター 3 魔法・罠 1
 
遊星のターンが始まってドローした後も遊星は黙っったままで、ただただ目の前で起こった不可解な現象に戦慄していた。
「三沢・・・一体お前は!?」
「フフ、これが俺が辿り着いた新境地。俺は自分自身の心と周りの空気を同調させることで相手に気配を悟られなくする事ができるのさ」
「なん・・・だと・・・!」
つまり、先程の現象は三沢が姿を消したのではなく、遊星が三沢の存在を捉えられていなかったということだ。
「空気と一体化する能力・・・こんな事が!?」
驚愕する遊星を振り返って見てさらに余裕の表情を強める三沢は、
「ここから先、君は絶対に俺を追い抜くことはできない」
三沢はそう言い放った。
「くッ・・・! だがこのデュエル、俺が勝つ!」
遊星は冷静に考える。そして遊星は現状を打破することのできるある1枚のカードの存在に行きついた。

「俺は《Sp‐イマジンブレイカー》を発動。相手フィールド上の表側表示のカード1枚の効果をエンドフェイズまで無効にする。俺が選択するのは奈落の断崖だ!」
「奈落の断崖の無効化・・・このターンに攻撃力1500以上のモンスターを呼び出し、そして俺のロックを崩そうということか」
三沢の表情から余裕の色が薄れていく。
「俺は《サテライト・ウォリアー(星3/光属性/戦士族/攻1600/守0)》を召喚」
 
昨晩のこと。
遊星は嫁のアキからアキのデッキを手渡された。
「これは! ダメだアキ。これは受け取れない」
遊星は自分が持っているべきものではないと断ろうとしたが、
「いいえ遊星。これを持って戦ってきて欲しいの」
アキは遊星の手にデッキを乗せて、
「私はデュエルの道と医者になる道の2つで悩んで、結局医者になる道を選んだ。そのことにまったく後悔はしていないわ。でも時々考えるの。自分はこのカードたちにいつも助けてきて貰った。私はこのカードたちのおかげで自分の世界を広げる事ができた。でも私はこのカードたちに何も恩返しができていない。そんな気がするの。私にはもうデュエルの道を進むことはできない。だから、あなたにこのデッキを持っていって欲しいの。あなたと一緒ならきっとこのカードたちは世界を見る事ができるから」
 
遊星のデッキにはアキから受け取ったデッキのカードが何枚か入っていた。
「行くぞアキ。俺に力を貸してくれ! 俺はレベル3のサテライト・ウォリアーにレベル4のデブリ・ドラゴンをチューニング!」
デブリ・ドラゴンが4つの光の輪になってサテライト・ウォリアーを包む。
「シンクロ召喚だと? だが遊星のデッキにはレベル7でデブリ・ドラゴンから出せるシンクロモンスターは存在していないはず・・・」
三沢の持っているデータからではこのモンスターの組み合わせで遊星がシンクロ召喚を行うのは考えられないことだった。三沢はデータとのずれに困惑する。
「冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け! シンクロ召喚! 現れよ《ブラック・ローズ・ドラゴン(シンクロ/星7/炎属性/ドラゴン族/攻2400/守1800)》!」
遊星のフィールドに紅い薔薇の体と翼の竜が現れる。
「ブラック・ローズ・ドラゴン!? それは十六夜(いざよい) アキが切り札とするカードのはず!!」
今までずっと余裕を保っていた三沢はここでついにその余裕を撃ち砕かれた。
ブラック・ローズ・ドラゴンは世界にただ1枚、十六夜アキが所持するカードだ。
「何故それを君が!?」
困惑する三沢は遊星に思わず聞いた。
「これが俺とアキの絆の証だ! ブラック・ローズ・ドラゴンの効果発動! ブラック・ローズ・ガイル!」
ブラック・ローズ・ドラゴンの効果は、このカードのシンクロ召喚に成功した時、フィールド上の全てのカードを破壊するというもの。
フィールド上に薔薇の嵐が吹き荒れる。王虎ワンフーも、くず鉄のかかしも、奈落の断崖もすべて破壊される。フィールドは遊星、三沢共にがら空きになった。
「さらに《サテライト・ウォリアー》の効果発動。このカードを素材にシンクロ召喚をしたシンクロモンスターが自分の墓地に存在する時、墓地に存在するこのカードを除外する事でそのシンクロモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。よみがえれ、ブラック・ローズ・ドラゴン!」
ブラック・ローズ・ドラゴンが再び遊星のフィールドに舞い降りる。
「バトルだ! ブラック・ローズ・ドラゴンでダイレクトアタック。ブラック・ローズ・フレア!」
薔薇を纏った炎のブレスが三沢に直撃する。
「うわあああああッ!!」
三沢のLP3700から2400が引かれる。さらにダメージを受けた事で三沢のD・サイクルのスピードが大幅にダウンした。三沢は遊星の後ろに下がる。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
遊星がエンド宣言をした時、三沢は遊星の50メートルほど後ろを走っていた。
「くそっ・・・だがまだだ。まだライフは尽きていない!」
三沢はもう1度心を落ち着かせて自身を空気と同調させる。
「またあの技か・・・」
三沢のあの技の前では遊星は常に三沢に追い抜かれるかもしれない、またはすでに追い抜かれているかもしれないという恐怖と戦い続けなければならない。
遊星はスピードを上げる。三沢のD・サイクルの瞬発力なら50メートルの差など一瞬で縮めてしまえるだろう。三沢の新境地とD・サイクルはまさに無敵のコンボなのだ。
「ダメだ・・・どれだけスピードを上げても、俺の心はやつの能力の支配から逃れる事ができない・・・!」
周回ラインが50メートルほど先に見えた。だがその瞬間、
 
遊星 LP 2400 SPC 4 手札 1 場:モンスター 1 魔法・罠 1
三沢 LP 1300 SPC 5 手札 2 場:モンスター 0 魔法・罠 0 (ターンプレイヤー)
 
「なに!?」
「フフフ・・・俺のターンだ!」
いつの間にか三沢は遊星の遥か前に出ていた。そして遊星は自分ターンに三沢よりも先に周回ラインを越えられなかったことで三沢のスピードカウンターを1つ増やしてしまった。
「俺は《Sp‐ダッシュ・ウインド》を発動! このターン自分のスピードカウンターを1個減らすごとに、自分のデッキからレベル4以下の風属性モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。俺はスピードカウンターを3つ減らす。そして呼び出すのは3体の《オキシゲドン(星4/風属性/恐竜族/攻1800/守 800)》だ!」
Sp‐ダッシュ・ウインドで呼び出したモンスターは表示形式を変更できず、リリースする事もシンクロ召喚の素材にすることもできない。つまりただの壁モンスターにしかならないわけだが、この局面で貴重なスピードカウンターを減らしてまで三沢がただ壁モンスターを繰り出しただけで終わるとは考えにくい。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
三沢は遊星に追い抜かれることなく周回ラインを越えた。
「俺のターン! ドロー!」
 
遊星 LP 2400 SPC 5 手札 2 場:モンスター 1 魔法・罠 1 (ターンプレイヤー)
三沢 LP 1300 SPC 3 手札 0 場:モンスター 3 魔法・罠 1
 
ライディングデュエルでは常にフィールド魔法《スピード・ワールド2》が発動している。ライディングデュエル中はいかなる方法でもフィールドから取り除かれることはなく、ライディングデュエルのルールを支えているカードだ。スピードカウンターを各プレイヤーに供給しているのもこのカードの効果だ。
そしてこのスピード・ワールド2には更なる効果がある。それはスピードカウンターを任意の数だけ支払うことで発動できる3つの効果だ。
まずスピードカウンターを4つ支払うことで発動できる、自分の手札の「Sp」と名のついたカードを任意の枚数相手に見せる事で見せた数×800ポイントのダメージを相手に与える効果。
7つ支払うことで発動できる、自分のデッキからカードを1枚ドローする効果。
そして10支払うことで発動できる、フィールド上のカード1枚を破壊する効果。
三沢のLPは1300だ。これは手札にSpが2枚あればスピードカウンター4つの効果で一気に0にできる数値だ。
だが残念ながら現在遊星の手札にSpは1枚も存在しなかった。
「ブラック・ローズ・ドラゴンでオキシゲドンを攻撃!」
ブラック・ローズ・フレアによってオキシゲドンは爆殺、破壊された。
「ターンエンドだ」
 
遊星 LP 2400 SPC 6 手札 2 場:モンスター 1 魔法・罠 1
三沢 LP 1300 SPC 5 手札 1 場:モンスター 2 魔法・罠 1 (ターンプレイヤー)
 
三沢はまたも遊星を追い抜いて自分のターンを迎えた。
このターン、三沢が引いたカードはトラップカード《リフレクト・ネイチャー》。発動したターン、相手が自分に与えてきた効果ダメージを相手に跳ね返すカードだ。
これを使えばたとえ遊星がスピードカウンター4つの効果を使用してきても、三沢はノーダメージで逆に遊星にダメージを与える事ができる。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
三沢は遊星に追い抜かれない。
「俺のターン! ドロー!」
 
遊星 LP 2400 SPC 7 手札 3 場:モンスター 1 魔法・罠 1 (ターンプレイヤー)
三沢 LP 1300 SPC 6 手札 0 場:モンスター 2 魔法・罠 2
 
「俺は《スピード・ウォリアー(星2/風属性/戦士族/攻 900/守 400)》を攻撃表示で召喚」
スピード・ウォリアーは召喚されたターンのバトルフェイズに攻撃力が倍になる効果を持っている。
「スピード・ウォリアーでオキシゲドンを攻撃! ソニック・エッジ!」
攻撃力1800となったスピード・ウォリアーの鋭い回し蹴りがオキシゲドンを引き裂く。
「さらにブラック・ローズ・ドラゴンで最後のオキシゲドンを破壊する。ブラック・ローズ・フレア!」
こうして三沢の場のモンスターは0となった。
「カードを1枚伏せてターンエンド」
三沢は気配を消す能力を駆使して確実に遊星より先に周回ラインを越えている。
しかしデュエルの展開自体は遊星が有利だ。次のターン、三沢が2体以上壁となるモンスターを出すか、攻撃力2400以上のモンスターを出すか、あるいは遊星のモンスターを除去するかしなければ三沢は残り少ないライフを削られることになる。
「俺のターン。ドロー!」
 
遊星 LP 2400 SPC 8 手札 1 場:モンスター 2 魔法・罠 2
三沢 LP 1300 SPC 8 手札 1 場:モンスター 0 魔法・罠 2 (ターンプレイヤー)
 
だが逆転のカードはすでに三沢のフィールドに伏せられていた。
「俺はトラップカード《超化学変化‐スーパー・ケミカル・チェンジ‐》を発動! 自分の墓地に《ハイドロゲドン》2体と《オキシゲドン》3体、そして《カーボネドン》1体が存在する時、ライフを100になるように払うことで、手札・デッキ・墓地から《ウォーター・ドラゴン》と《ファイアー・ドラゴン》を1体ずつ召喚条件を無視して特殊召喚する!」
三沢のフィールドに水の竜《ウォーター・ドラゴン(星8/水属性/海竜族/攻2800/守2600)》と炎の竜《ファイアー・ドラゴン(星8/炎属性/炎族/攻2800/守2600)》が現れる。
「ファイアー・ドラゴンのモンスター効果! 相手フィールド上のモンスターは全て炎属性・炎族として扱う。そしてウォーター・ドラゴンの効果! フィールド上の炎属性と炎族のモンスターの攻撃力を0にする」
「なに! だがそれではお前のファイアー・ドラゴンも攻撃力が0になるはず!?」
「残念だが、ファイアー・ドラゴンにはモンスター効果を受けない効果がある」
ファイアー・ドラゴンの体から撒き散らされた炎がスピード・ウォリアーとブラック・ローズ・ドラゴンの体に燃え移る。そして遊星のモンスターたちの攻撃力は0となった。
「バトルだ! ファイアー・ドラゴンでブラック・ローズ・ドラゴンを攻撃! マグナブレイズ!」
ファイアー・ドラゴンが全身を纏う炎を激しく燃えたぎらせてブラック・ローズ・ドラゴンへ突進する。
「トラップ発動! 《和睦の使者》。このターン、相手モンスターから受ける全ての戦闘ダメージを0にする! これによって俺のモンスターはこのターン破壊されない!」
ファイアー・ドラゴンがブラック・ローズ・ドラゴンを掠めて通り過ぎていく。
「このターンは生き延びたか・・・だが状況は俺に有利だ」
三沢の場には高攻撃力のモンスターが2体。しかもコンボによって遊星のモンスターの攻撃力は0にされてしまう。さらに三沢の手札には「Sp」と名のついたカードが1枚。ターンが経過して三沢の手札の「Sp」が2枚に増えればスピードカウンター4つの効果を2回使用して遊星のライフを削りきる事ができる。
しかも三沢にはダメージを相手に跳ね返す《リフレクト・ネイチャー》もある。
「ターンエンドだ」
三沢のターンが終了する。遊星が勝てるかどうかは次のターンのドローにかかっていた。
「俺のターン・・・ドロー!!」
 
遊星 LP 2400 SPC 9 手札 2 場:モンスター 2 魔法・罠 1 (ターンプレイヤー)
三沢 LP 100    SPC 9 手札 1 場:モンスター 2 魔法・罠 1
 
「来たか」
遊星が引いたカードは《Sp‐スピード・フュージョン》。遊星はニヤリと笑った。

「俺は手札から《ジャンク・シンクロン(チューナー/星3/闇属性/戦士族/攻1300/守 500)》を召喚! そしてトラップカード発動、《レベル・セレクター》! このカードは自分フィールド上のモンスター1体のレベルを1から12の任意のレベルに変更する事ができる。俺はスピード・ウォリアーのレベルを5にする!」
「レベル5のスピード・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロン・・・まさか!」
三沢の調べたデータでは遊星の切り札はレベル8のシンクロモンスターだった。
「俺はレベル5のスピード・ウォリアーにレベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!  集いし願いが新たに輝く星となる。光さす道となれ! シンクロ召喚! 飛翔せよ《スターダスト・ドラゴン(シンクロ/星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000)》!!」
遊星のフィールドに白く美しい竜のモンスターが現れる。このカードこそ遊星のエースモンスター《スターダスト・ドラゴン》である。
「だがスターダスト・ドラゴンを出したところで無駄だ。俺のコンボによって攻撃力は0になる」
三沢はそう反論する。だが遊星は冷静に、
「まだ終わりとは言っていない。俺は手札から《Sp‐スピード・フュージョン》を発動」
「ライディングデュエル専用の融合魔法カード!? まさかスターダスト・ドラゴンとブラック・ローズ・ドラゴンを融合するのか!?」
三沢はデータにない遊星のデュエルに混乱する。
「スターダスト・ドラゴンとブラック・ローズ・ドラゴンを融合し・・・現れろ! 《星薔薇竜ギャラクシー・ローズ・ドラゴン(融合/星10/風属性/ドラゴン族/攻3200/守2000)》!!」
白き体に黒薔薇のような色の鎧を纏った竜の騎士が遊星のフィールドに降臨する。
「だ、だがそのモンスターの攻撃力も俺のコンボで0になるはず!」
「その前にギャラクシー・ローズ・ドラゴンのモンスター効果を発動させてもらう。このモンスターの特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを2枚まで選択して破壊する事ができる!」
「なんだと!!」
遊星はウォーター・ドラゴンとファイアー・ドラゴンを破壊対象に選択する。
「ブラック・ローズ・ウィップ!」
ギャラクシー・ローズ・ドラゴンは手にした薔薇の鞭でウォーター・ドラゴンとファイアー・ドラゴンを何度も打つ。ウォーター・ドラゴンとファイアー・ドラゴンは喘ぎ苦しみながら破壊された。
「くッ・・・ウォーター・ドラゴンの効果発動! このモンスターが破壊された時、墓地から《ハイドロゲドン》2体と《オキシゲドン》1体を特殊召喚する」
三沢は3体のモンスターを全て守備表示で特殊召喚した。
「さらにファイアー・ドラゴンのモンスター効果! このモンスターが破壊された時、相手フィールド上の炎属性・炎族以外のモンスターを全て破壊する」
ファイアー・ドラゴンが残した火がギャラクシー・ローズ・ドラゴンに向かって伸びていく。
「させるか! ギャラクシー・ローズ・ドラゴンの効果発動! 相手がフィールド上のカードを破壊する効果を発動した時、このモンスターをリリースする事でその効果を無効にして破壊する!」
ギャラクシー・ローズ・ドラゴンは光の粒子となって消えた。ファイアー・ドラゴンの火も光の粒子となって消える。
「俺は《スピード・ワールド2》の効果発動! スピードカウンターを7つ支払い、カードを1枚ドローする! 俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
エンドフェイズ時、自身の効果によってリリースされたギャラクシー・ローズ・ドラゴンは遊星のフィールドに戻ってくる。そして特殊召喚された事でもう一度ギャラクシー・ローズ・ドラゴンの効果が発動する。
「今度はその伏せカードとオキシゲドンを破壊する! ブラック・ローズ・ウィップ!」
鞭打ちによって再び三沢のフィールドのカードが2枚も破壊された。
「やるな、遊星」
三沢は振り返って遊星を見る。
「このターン、俺が受けた損害は計り知れない。だが俺は必ず次のターンで君に勝ってみせる!」
三沢は自分の手札に視線を移す。
次のターン、三沢が「Sp」と名のついたカードを引けばスピードカウンター4つの効果ダメージ2回分で遊星のライフを0にすることができる。
「君が逆転のカードを引いて俺の2体の竜を倒したように、俺も君に勝つカードを次のターンに引いてみせる!」
三沢はこんなに熱いデュエルはデュエリストアカデミアに通っていた頃に同級生の遊城 十代(ゆうき じゅうだい)としたデュエル以来だと感じていた。
「ああ、俺ももうあんたに抜かれはしない」
遊星は一気にスピードを上げる。
「無駄だよ!」
三沢はまた気配を消す能力を使う。
だが遊星は三沢の左側をまったく距離を離さず走り始めた。
「何故だ? こちらの気配は完全に感じられなくなっているはず・・・なに!!」
三沢は驚愕する。なんと遊星は目を閉じて運転していたのだ。
「もうこのコースは覚えた。目がなくてもどこを走っているのかわかる。そして三沢、お前の気配はどれだけ感覚を研ぎ澄ましても感じられないが、お前のD・サイクルの発する音ならかろうじて感じられる!」
「しまった! まだD・サイクルの気配まで完全に消すことはできていなかったのか!!」
遊星はインサイドを攻めて華麗に三沢を抜きさった。遊星が三沢より先に周回ラインを越える。
「周回ラインは先に越えられた・・・だがデュエルの勝敗はまだ決していない! 俺のターン!!」
 
遊星 LP 2400 SPC 3     手札 0 場:モンスター 1 魔法・罠 1
三沢 LP 100    SPC 10  手札 2 場:モンスター 2 魔法・罠 0 (ターンプレイヤー)
 
三沢が引いたカードは「Sp」と名のついたカードだった。
「よしッ!! 俺は《スピード・ワールド2》の効果発動! スピードカウンターを4つ取り除き、手札の「Sp」と名のついたカードを相手に見せる! そして見せた枚数×800のダメージを相手に与える! 俺の手札の「Sp」は2枚だ! 1600のダメージを受けてもらう!!」
三沢が見せた「Sp」のカードからビームが遊星めがけて発射される。
「トラップ発動! 《リフレクト・ネイチャー》!!」
「そんな!? そのカードは!!」
そう、《リフレクト・ネイチャー》は相手に自分が受けるダメージを跳ね返すカード。
三沢の顔が青ざめる。
ビームはリフレクト・ネイチャーのカードに当たって反射し、三沢に向かって跳ね返ってきた。
「ぐああああああああああッ!!」
 
遊星 LP 2400 win
三沢 LP 0      lose
 
「決まったあああああ!! チームサティスファクションvsチームユニコーン第1戦の結果は、不動遊星の勝利!! チームサティスファクションが1本先取だァッ!!」
MCの声と観客の歓声が場内に響き渡る。
遊星と三沢はピットに戻って握手を交わした。
「ありがとう。最高に熱いデュエルだった」
三沢は笑顔でそう言った。
「ああ、またやろう」
遊星も薄く笑みを浮かべてそう言った。
そして2人は自分のチームのベンチに戻る。
 
「やったな、遊星!」
仲間たちの賞賛の声が遊星を迎える。
「ああ、だが紙一重のデュエルだった。どちらが勝ってもおかしくないほどの」
遊星は謙遜無しにそう言ったが、鬼柳は、
「遠慮するなって。勝ちは勝ちだ。次も頼むぜ。ジャックよお」
ジャックは無言でベンチから立ち上がり、遊星に向かって歩き出す。遊星もジャックに向かって歩きだした。
そしてすれ違いざまに遊星はジャックにワッペンをハイタッチの要領で手渡した。
「油断するなよ、ジャック」
「ああ、もちろんだ」
ジャックは左肩にワッペンを貼った。
 
「よくやった、三沢」
チームユニコーンの司令塔、ジャンが指をクネクネさせながらそう言った。
「すまない。負けてしまった」
三沢がうつむきながらそう言うと、ジャンは、
「不動遊星のデュエルがデータ通りでなかったとはいえ、お前自身のプレイングにかなり危ういところがあったな」
「ああ、熱くなりすぎてしまったようだ」
冷静沈着にデータで相手を攻め立てるのが得意な三沢が熱くなるとは・・・とジャンは思ったが、
「・・・まあいい。反省会は勝った後でだ。チームサティスファクションの実力がどれほどのものかもわかった・・・行けるな? アンドレ」
チームユニコーンの2番手、アンドレが立ち上がる。
「ああ、任せてくれ。それに・・・」
アンドレは三沢からワッペンを受け取る。
「チームのためだ。ここで負ける事は許されないからな」
アンドレは左肩にワッペンを貼った。
 
TO BE CONTINUED
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by Joker 2012/05/16(Wed)01:56:46 Edit
えー、このサティスファクションサイドですが、科学サイドの予定変更により続けられなくなったため無かったことにしたいと思います。
楽しみにしてくれていた人(いればですが)スミマセン。
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