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メンバー自己紹介
HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第7話「Sで満足/この街の伝説」
5月初旬、鳴海探偵事務所
「おい、そこはそれじゃなくてこのコンボを狙うべきだろ」
「ああ! なるほど!! さすが翔太郎さん」
翔太郎と佐天が何かの紙束を握りながら何やら語らっている。フィリップは気になって『何をしているんだい?』と話しかけてみた。すると佐天が、
「ああ、デュエルモンスターズですよ。最近学校で流行ってて、私も翔太郎さんに教わって始めようかなーって」
「なるほど。翔太郎は伝説のサティスファクションだったからねぇ」
伝説のサティスファクション・・・誇っていいことらしい。というのも翔太郎があまりこれが自慢げに語る話ではないと考えているからだ。この街の人々、特にデュエリストは自分たちチーム・サティスファクションをやたらに英雄視するが自分たちはただ好き勝手に暴れていただけなのだ。でも佐天のように新しくデュエルを始める人間が自分のような人間を頼ってくれるというのは素直に嬉しい。そんなことを考えていた時だった。突然、扉を叩く音がして翔太郎はすぐさま扉へと向かう。依頼だろうか。それとも今日はまだ来ていない初春だろうか。
どちらでもなかった。扉の向こうにいたのは・・・
「お前らは・・・!」
翔太郎が驚き、後ろから見ていた佐天も驚愕する。
「あ・・・あなたたちは伝説の・・・チーム・サティスファクション!?」
「よお、翔太郎。満足しようぜ」
そこには一堂に会した5人のサティスファクションの姿があった。
金髪、長身の元デュエルキング、ジャック・アトラス
オレンジ色のほうき頭、小柄な体格の自称鉄砲玉のクロウ、クロウ・ホーガン
まるでカニのような奇抜な髪型が特徴の現デュエルキング、不動 遊星(ふどう ゆうせい)
そして首筋にかかるほどの銀色の長髪、チーム・サティスファクションリーダー、鬼柳 京介(きりゅう きょうすけ)
全員デュエル雑誌で見たことがある。紛れもなく本物のチーム・サティスファクションだ。佐天は目を輝かせた。翔太郎が4人をソファに招き入れる。
「久しぶりだな。元気でやってたかよ?」
「ああ、やっと地区長の仕事にも慣れてきたところだ」
鬼柳は色々あってデュエル無法地帯だったクラッシュ地区を治めサティスファクション地区に改名し、現在は地区長として街の平和と人々の満足に努めている。
「遊星はどうなんだ? 前に見せてもらったあの赤髪の美人さんとは仲良くやってるのかよ?」
翔太郎はニヤニヤしながら問いかける。すると遊星はものすごく慌てた様子で、
「ちょッ・・・翔太郎、そういう質問をいきなりするのはやめてくれ!」
「もうすぐ式を挙げるんだってよ」
「なッ! ま・・・まだそこまで話は進んでいない!!」
クロウが横からちょっかいを出したせいで遊星はさらに慌てることとなった。普段はクールな遊星だが翔太郎とクロウのコンビにはいつもかなわない。
「ホンと遊星早く決めちまえよ。お前もう22だろ? そろそろいいんじゃねえのか?」
翔太郎がそう言うと、
「そうだぜ。早くといえばジャック、お前も早く定職につかねーと。いつまでも女をたぶらかしてばっかでは感心しねーな」
クロウが毒づくとジャックは立ち上がって、
「俺は女などたぶらかしていないッ!! だいたい俺に合う職業がないのだから仕方がない!」
言い終わるとジャックはふてぶてしい態度でソファに戻った。皆がそれを見て笑う。昔からまったく変わってないなと翔太郎は思った。
「あの頃は、楽しかったよな・・・遊星、クロウ、翔太郎・・・ジャックよお」
鬼柳にそう言われて思い出す。6年前・・・
デュエリストアカデミア・ノース校の受験に落ちた翔太郎は失意のどん底にいた。普通に受験して落ちたのならまだ良い。デュエリストとして全力でぶつかったという誇りは保てる。
だが翔太郎は違った。受験日当日、翔太郎は無能力者狩りにあった。学園都市には無能力者を人類の進化の波に乗り遅れた劣等種だと決め付け排除しようとする歪んだ思想の能力者たちがいる。そいつらの毒牙がたまたまその日翔太郎に向いたのだ。幸い翔太郎はけんかには自信があったが、能力者相手では一筋縄では行かない。怪我を負いながらもなんとか相手を追い払った翔太郎だったが、もはや試験会場にたどり着くまでの体力は残っていなかった。
結果、翔太郎は遅刻で試験失格。翔太郎はこの街を呪った。能力者を開発するための学園都市。どれだけ努力しても能力が芽生えずデュエルの道に進もうとした自分をこの街が許さなかったのだろうか。
何もかもが嫌になった翔太郎は風都を出てサテライト地区へと赴いた。学園都市内のゴミ処理機能のすべてを担っているこの地区は同時に学園都市最大の貧民街でもあった。劣悪な環境で働かされる労働者、ゴミの山の上で泣き叫ぶ捨て子、社会に居場所を失った者たちが集まる場所。
そしてここを支配していたのはデュエルの力だった。強者たちは金のかかったレアカードで弱者を支配し、弱者たちはカードを買う金もないのでゴミ山から拾ったクズカードでその身に負けが染み込むまで戦い続ける他なかった。
むしろこういう力のみがすべての世界の方が気が楽かもしれないと思い翔太郎はここに来た。来る日も来る日も、翔太郎は道端に転がっているごろつきデュエリストたちと戦い、勝ち続けた。心を覆う虚しさをかき消すように。だが日に日に虚しさは増していくばかりで、いっそこのゴミ山に埋もれて死んだほうが楽なんじゃないかとも思えてきた。そんなある日、転機は訪れた。
「おい、お前強いらしいな」
鬼柳京介、17歳。いきなり自分の前に現れた彼は『俺を満足させてくれ』とデュエルを挑んできた。挑まれたデュエルは受けるしかない。そして翔太郎は負けた。サテライトに来て初めての全力のデュエルだった。さっきまで心を覆っていた虚無感はなくなっていた。
「お前、まだ満足したりないって顔してるぜ。俺はこれからこのサテライトを制覇しようと思っている。一緒にやらないか?」
そう言われて翔太郎は鬼柳についていくことにした。東の空に昇った太陽がやけに眩しかった。
そして翔太郎は鬼柳が他に集めていた仲間たち、つまり遊星、クロウ、ジャックとともにチーム・サティスファクションの一員となった。それからの毎日はサテライトにたむろするデュエリストたちを次々と討伐していく日々となった。敵の潜むビルに忍び込み、爆弾などのトラップを解除して、荒れ狂う海に落とされた仲間を助ける。時には命がけのリアルファイト、デュエルは連戦連勝、サテライトのありとあらゆる所を自分たちの色に染めていった。明日へと続く目標、仲間たちと困難を乗り越えていく喜び、翔太郎の満足はしだいに満たされていった。
そして念願の時は訪れる。ついにサテライト全エリアを制覇したのだ。もはや自分たちに敵う者はいない。チーム・サティスファクション全員の満足が満たされた時・・・のはずだった。
「あの後、鬼柳が『やっぱり満足したりねえ!!』とか言って警察(セキュリティ)のビルをダイナマイトで爆破したんだよな。で、鬼柳が捕まってサティスファクションは事実上の解散と」
翔太郎がしみじみと語るのを見て鬼柳が、
「刑務所の中は最悪だったぜ。酷すぎて俺は死んだよ」
「らしいな」
翔太郎は遊星たちから聞いていた。刑務所の中で死んだ鬼柳がダークシグナーとかいう闇の力によって蘇らされたこと。そして遊星たちと死闘を繰り広げたこと。ダークシグナーとして犯した罪に耐え切れずクラッシュ地区で自分を死なせるためのデュエルを続けていたこと。それを遊星たちが救ったこと。翔太郎はそのすべてに忙しくて参戦できなかったが、今こうしてみんなが元気でいてくれているのはすごく嬉しいことだと思う。
「せっかくこうしてみんな集まったんだ。今日こそ誰がチーム・サティスファクション最強か決めようぜ!」
鬼柳がそう言うと全員の闘志に火が点いた。全員ソファから立ち上がって、
「近くにいいカード屋がある。せっかくだからそこの客たちに立会人になってもらおうか?」
翔太郎は自信満々で言った。それに対しジャックは、
「いいのか? 俺はエンターテイメントのデュエルでは絶対に負けんぞ」
「あとで恥掻くことになっても知らねえぜ?」
クロウはニヤリと笑った。遊星も余裕の表情を浮かべている。
「翔太郎さん、私もついて行ってもいいですか?」
佐天は興奮した様子で聞いてきた。佐天にとっては自分たちが憧れのヒーローなのだろう。これからデュエリストになる佐天にとっていい物を見せてやれるかもしれない。翔太郎が快く承諾すると佐天は飛び跳ねて喜んだ。
「たっく・・・なんなのよ!!」
そう言いながら茶髪のショートヘアーの少女は落ちていた缶を蹴飛ばした。少女の名は御坂美琴。天道に対する怒りでいっぱいの彼女は興奮しながら風都の街を歩いていた。
「まったく・・・今度アイツに会ったらモズク風呂に浸けてやるわ! それから電流を流し込んで・・・」
ブツブツと独り言を呟きながら歩く少女を街の人々は避けながら歩く。
「お姉さま・・・?」
「ッ!! なんなのよぉ、アンタはァ!!」
突然背後からした声に御坂は意味もわからずブチ切れた。
「あーもぅ、やっぱり。ダメですのよお姉さま。そんなに怒ってはお美しいお顔が台無しですのよ?」
そこにいたのは見慣れた顔。ルームメイトの白井黒子だった。彼女を見て御坂はキョトンとする。
「え・・・アンタ?」
「あー、ダメですのよ。今度は緩みすぎ・・・ほらもっと凛とした表情で。最近怒ってばっかりの様子ですがそれでは大事なお顔にしわがついてしまいますわよ」
黒子は御坂をたしなめるように言った。
「ふ~ん・・・この子が学園都市の第3位、常盤台のレールガンかぁ」
「案外普通の中学生っすね。俺はもっとごつくて威圧感も半端なくすげー、象みたいな漆黒の馬に乗ってるような奴かと思ったっすよ」
黒子の背後で大きな男子高校生2人が何やら自分を見て呟いている。
「黒子、この人たちは?」
「ああ、私の仕事仲間ですの。今風都で起こっている事件を捜査中で・・・それで偶然お姉さまと会ったんですの」
「事件って?」
「ええ・・・」
黒子は語りだす。『高レベル能力者連続強襲事件』2日ほど前から風都で起こっている高レベル能力者を狙った事件だ。半径5メートルほどの爆発を遠隔的に起こすという手口で、すでに20人以上の高レベル能力者が重症を負わされている。超能力かスタンドか、それともガイアメモリか、爆発の原理はまだわかっておらず、犯人の特定もいまだできていない。
「御坂ちゃんもレベル5だろ? 気をつけろよ」
億泰は年下の女の子をちゃん付けで呼んでいる。だがそれを知らない御坂には自分が子供扱いされたと思えた。
「そうですのよお姉さま。いくらお姉さまが強いとはいっても相手は20人以上も高レベル能力者を襲っている奴ですわ。杜王支部の私たちまで呼び出されるほどですのよ。十分お気をつけになってくださいまし」
黒子のこの保護者的な態度も御坂のしゃくに障った。自分は十分に強い。自分はこの街が誇るレベル5、学園都市第3位なのだ。どんな相手だって倒せるはず・・・
だが倒せない相手が最近になって現れた。あのときに植えつけられた劣等感。それが今の自分を苛立たせているのだ。
「まあ任せてくださいっすよ。俺たちジャッジメントがなんとかするっすから」
いつからだ。いつから自分は周りを飛ぶ邪魔な蚊トンボすらも落とせなくなったのだ。そんな弱い自分は許せない。
「倒してやるわよ!! そんな奴・・・私なら勝てるッ!!」
突然、御坂は叫んでどこかに走り去っていってしまった。
「ああ! お姉さま、お待ちになって・・・」
黒子が後を追おうとした時、黒子のケータイが鳴った。黒子は「こんなときに何なんですの!?」と呟いて電話に出た。
『もしもし? 白井さんのチームですね』
電話の主はジャッジメント風都支部の初春飾利だった。彼女は無能力者だが、右に出る者がいないほどコンピュータの扱いが上手い。彼女のおかげで解決できた事件は数え切れるものではない。
『監視カメラにドーパントが映ったのを発見しました。被害者などの証言からおそらくそれが今回の事件の犯人と思われるんですが、その地点から最も近い白井さんのチームに向かってもらいたいんです』
初春は最大50のモニターを同時に見ることができる。風都支部のモニタールームで監視カメラの映像とにらみ合っていた初春は今、どこかへ向かって歩いていくドーパントの姿を捉えていた。
「わかりましたわ」
黒子はケータイのスクリーンを引き出し、内蔵されているナビゲーションソフトを起動した。
『では今からナビゲーションを開始します』
ヘッドセットのマイクに向かって初春はしゃべる。黒子たちは初春の指示する場所へと移動を開始した。
その頃、翔太郎たちは目的のカード屋にたどり着いたところだった。カード屋は風都内の大型ショッピングセンターの3階にあり、休日のせいか多くの子供たちが集まっていた。
「あ! チーム・サティスファクションだ!!」
「本当だ、すっげぇー!!」
「うわぁ・・・カッコイー!!」
子供たちの憧れと尊敬の眼差しがこちらに集まってくる。自分のデッキを見てくれという子供、サインや握手をねだってくる子供、切り札を見せてくれという子供。
「これが君の切り札か。じゃあこれを入れればもっと活躍させられるはずだ」
翔太郎は子供たちのデッキ診断をしつつ相性のいいカードを渡したりしている。他のサティスファクションメンバーも同じように子供たちの面倒を快く見ていた。
「はぁ・・・チーム・サティスファクション最強決定戦は見れないかな」
少し残念に思ってため息をつく佐天。その時、カード屋の外側の通路を駆け抜けていく1人の少女を佐天は見た。
「あれ? 御坂さん?」
間違いない。茶色のショートヘアー、常盤台中学校の制服。紛れもなく御坂さんだ。だけどどうしてあんなに息を荒げて走っているんだろう・・・?
そんなことを佐天が思っていると、ジリリリリという警報機の音が鳴ってショッピングセンターの臨時アナウンスが流れ始めた。
『お客様に連絡を申し上げます。先ほどジャッジメントから当店に凶悪事件の犯人が侵入しているとの通告を受けました。お客様は警備員の指示に従って速やかに避難なさるようお願いいたします』
それを聞いた子供たちがざわめきだした。学園都市の凶悪事件は超能力などが絡んでいることが多く、テロ並みのものばかりだ。下手をすれば巻き添えをくって死んでもおかしくはない。誰だって不安になる。
「まずいな・・・このままじゃ避難もスムーズに進まねえ・・・・・・」
そんな翔太郎の呟きを聞いた鬼柳はカード屋の近くの銘菓売り場に走って、すぐに何かを買って戻ってきた。
「おい、サティスファクション地区名産の満足饅頭(まんぞくまんじゅう)だぜ。みんなで分けろよ」
すると子供たちの顔が明るくなった。子供たちは鬼柳から1つずつ満足饅頭を受け取るとおいしそうにほおばり始めた。
「さすが鬼柳! 子供たちに大人気の満足饅頭で不安を取り除いたのか!」
遊星がガッツポーズで賞賛する。ジャックも饅頭をほおばりながら、
「うむ! これで落ち着いた避難が行えるな」
「って何でお前も食ってんだよ!!」
クロウのストマックブローがジャックにクリーンヒットし、ジャックは何かが崩壊するほど顔を歪ませた。
「御坂美琴・・・次はお前だ」
奇抜なペイント、体に浮かぶ無数の球体、異形の姿をした怪人、サッカー・ドーパントは2階から3階へと通じる階段の中ほどでサッカーボールをリフティングしながら上に上がろうとしていた。
「お待ちを! ジャッジメントですの!」
下からした声にサッカーは振り返る。そこには1人の少女と2人の男がこちらを見上げて立っていた。黒子たちは犯人に追いついたのだ。
「お前が犯人っすか」
仗助は相手をにらみつける。だがサッカーは飄々とした態度で、
「邪魔をするなよ。俺は今ラッキーなんだ。最高についてるんだ。怪我をしたくなかったら早く帰れよ」
「そうはいきませんわ。私たちはジャッジメント。この街を守るのが仕事ですの」
黒子は鉄矢を取り出して相手の足元にテレポートさせた。床に向かってまっすぐに鉄矢が突き刺さる。
「そちらこそ怪我をしたくなかったら早く降伏してくれません?」
黒子はニッコリと微笑みかけた。だが、
「調子に乗るなよ高レベルが・・・俺の苦しみを知りもしないで」
それを聞いて黒子の顔から笑顔が消えた。黒子はキリッとして、
「そういうのを自分勝手というんですのよ。ご存じ?」
「てめぇ・・・!」
サッカーはボールを蹴った。バズーカのような勢いでボールがこちらに向かってくる。
「億泰、防御を」
億泰のザ・ハンドが飛んできたボールを引っかくように右手を動かす。するとボールは跡形もなくその存在を消した。ザ・ハンドの空間を削り取る能力である。
「なにッ・・・!? 何だその能力は?」
サッカーは目の前で起きた出来事に驚いている様子だが無理もない。スタンドはスタンド使いやレベル4以上の超能力者、仮面ライダーやドーパントに変身した者などの特異能力者にしか見えず、攻撃できないものなのだ。ガイアメモリを手に入れたのが最近のことならば、スタンドを見るのが今が初めてでもおかしくはない。
ならばこの戦い、相手がスタンドについて知らないという情報アドバンテージが有利に働く可能性がある。
「取り押さえますわよ」
3人は一斉にサッカーに突撃した。
「フンッ!!」
サッカーはメモリの力でサッカーボールを3個生み出し自身の周囲で竜巻のように回らせ始めた。
「なんすかコレは!? まるでマリオカートに出てくるトリプルこうらみてーだ!!」
「任せろ仗助! こんなもん俺のザ・ハンドで削り取ってやるぜ!!」
億泰のザ・ハンドがサッカーボール目掛けて大きく右腕を振るう。しかしその瞬間、サッカーボールは軌道をずらしザ・ハンドの右手首に激突した。
「うげぇッ!!」
ザ・ハンドのダメージに連動して億泰の右腕が普通ではありえないほど上に曲がった。骨折したのだ。そしてサッカーボールは元の軌道へと戻る。
「お前の能力は右腕を大きく振るわなければならないようだな。見切るのは簡単だったぜ」
サッカーはスタンドを見るのが初めてで、ザ・ハンドの能力は尚更知らないはず。それでも対処できたのはサッカーに変身している者自身の能力だろう。初対面の者の能力を瞬時に見抜き対応する能力。そうとうのつわものだ。
右腕を抑えて顔を歪める億泰を仗助は引っ張って下げる。とりあえずクレイジー・ダイヤモンドで傷を治さなければ。その間は黒子1人に任せなければならないが・・・
「こちらは任せてくださいまし! 仗助は億泰の治療を!」
黒子とサッカーは階段の上下で向かい合う。黒子が下、サッカーが上だ。サッカーは新たにボールを生み出しそれをリフティングする。黒子は鉄矢を取り出してサッカーの周囲を回るボールの様子を見る。
「フンッ!!」
サッカーはリフティングしていたボールを黒子目掛けて蹴り飛ばした。だがそれが黒子に当たることはなかった。黒子は自身を空中にテレポートさせていたのだ。
さらにそれだけではない。黒子はサッカーの周囲を回っているサッカーボール3個の軌道を計算し、正確にテレポートさせた鉄矢で貫き落としたのだ。
「たあッ!!」
そして空中の黒子はサッカーに強烈なドロップキックをお見舞いした。
「うおぉ!!」
よろけたサッカーに黒子は全体重をかけ押し倒し、太ももで首を絞めた。
「くッ・・・クソッ!!」
振り払おうとサッカーは腕を動かそうとしたが、その瞬間黒子はサッカーをテレポートさせた。
「さすが黒子・・・ジャッジメントのエース、百戦錬磨のつわものだぜ」
億泰を治したクレイジー・ダイヤモンドは右の拳を強く握り締めた。サッカーは仗助の目の前にテレポートさせられたのだ。
「どらあッ!!」
クレイジー・ダイヤモンドの鋭い右ストレート。突然テレポートさせられたサッカーにこれを避ける術はない。ドゴッと鈍い音がして、サッカーは吹き飛ばされ後方の壁に叩きつけられた。
「がはぁアアアッ!!」
サッカーは苦しそうに咳き込む。ドーパントの体とはいえ近距離パワー型であるクレイジー・ダイヤモンドのパンチをくらえばひとたまりもない。今の攻撃でサッカーは肋骨を何本か折られたうえに、それらが肺を引っ掻いているという重症を負わされた。
「今ので怪我したっつーんならよぉ、俺のクレイジー・ダイヤモンドでいくらでも治してやるからおとなしくして抵抗するのはやめるっすよ」
もはやサッカーに仗助、億泰、黒子の3人を倒す術はなかった。この3人は「クレイジー・ダイヤモンドで治せばいい」と思っているため容赦のない攻撃がいくらでもできる。今も黒子が手に鉄矢をじゃらつかせている。おそらく今度はあれをサッカーの体の内側にテレポートさせてくるつもりだろう。
サッカーが完全にあきらめようとしたその時、
「見つけたわよッ!!」
階段の上、つまり3階から黒子とは別の少女の声が響いてきた。それは息を切らして肩を震わせる御坂美琴だった。彼女は事件の犯人と出会うためあちこちを走り回っていたのだ。
「アンタ・・・私を倒すんだってね・・・・・・なら、私が先にアンタをッ!!」
御坂はメダルを取り出し右手の親指に乗せる。そして指先に電力を集中させ始めた。
「お、お姉さま! 相手はもう力尽きていますの! レールガンを撃つのは・・・」
「そんなの関係ない!!」
御坂の体から青白い電気が強くほとばしる。
「証明しなくちゃいけないのよ・・・私は誰よりも強いって・・・・・・だから!!」
御坂が今まで積み上げてきたエリートとしての地位。それは今までの御坂の人生。指先から小さな火花が出せる程度から常盤台の超電磁砲(レールガン)までの努力の歴史なのである。それを否定されるということは自分自身を否定されるということ。
「だから!! こいつは倒さなきゃいけないのよォッ!!」
辺りは青白い光とバチバチという音に包まれていた。御坂は体から常に電気を放出することで高圧電流の鎧を作り出している。近づくことすらままならない。
「億泰・・・ザ・ハンドでレールガンは削り取れねーのかよ?」
仗助は流れる冷や汗を気にも止めず億泰に聞いた。
「無理だぜ・・・エネルギーが大きすぎて削りきれねえ。やろうと思ったら俺が電気で焼かれちまう」
もはや誰もが沈黙していた。御坂を止める方法はないのか・・・?
「なんだ・・・いったい何が?」
子供たちが避難し終わった後、鬼柳たちはこれから自分たちも避難しようかとういう時に異変に遭遇した。天井の蛍光灯が明滅を異常なほど繰り返し、コンセントがあちこちでショートを起こし、地面が微かに振動する。犯人が誰かと戦っているのだろうか?
「もしかして・・・御坂さんが」
「御坂? あの常盤台の超電磁砲(レールガン)か?」
佐天の呟きに鬼柳が聞き返す。
「ええ、さっきそこを走っていくのを見たんです」
「じゃあきっとすごい被害が出るぜ。速く避難するぞ」
鬼柳たちは非常階段へと走った。
御坂のレールガンは発射直前の状態になっていた。御坂は右腕をまっすぐサッカーに向けて伸ばす。このままではサッカーは跡形もなく吹き飛んでしまうだろう。クレイジー・ダイヤモンドでの治療が不可能なほどに。
「く・・・ッ! お姉さま、お許しを!!」
黒子は苦渋の決断に顔を歪めながら折りたたみのナイフを取り出すと、それを御坂の伸ばした右腕の50センチ上くらいの場所にテレポートさせた。
「え?」
レールガンを発射しようとした瞬間、御坂の顔は鮮血に染まった。テレポートして自分の右腕に落ちてきたナイフが深々と突き刺さって骨の所で止まったのだ。
「きゃああああああアアアアアアッ!!」
痛みとショックで御坂は自分が発していた電気を完全に止めた。親指から落ちたメダルが流れ落ちる血を皿のように受け止めている。
「億泰・・・犯人の確保を。仗助は犯人とお姉さまの治療を・・・・・・」
黒子は涙を流しながらそう指示した。たとえ愛する者でも間違いを犯そうとしているのならどうやっても止めなければならない。百戦錬磨のつわもの、黒子はそれを深く理解していた。
炎谷 修矢(ぬくたに しゅうや)、それが今回の事件の犯人の名だった。年齢は17歳。無能力者で、高校には在籍しているが不登校気味らしい。
ジャッジメント支給のケータイから学園都市のサーバーにアクセスすればさまざまな情報が手に入る。心底便利だと仗助は思った。
彼は確保されるとおとなしく変身を解き、億泰と手錠でつながれた。ただそれ以降彼は何を聞かれても口を利こうとはしない。
ジャッジメントの3人と炎谷、そして御坂はショッピングセンターの入り口を出た。とりあえず彼をジャッジメント風都支部まで連行しなければならない。仗助がケータイで風都支部に迎えを要請しようとした時、
「あ! 仗助さん。白井さんに御坂さんも」
何故かここにいた佐天がこちらに寄ってきた。ところで白井さんに御坂さんもということは佐天とこの2人は知り合いなのだろうか。
「おい佐天、どこに行くんだ?」
佐天を追って翔太郎と見知らぬ4人もやってきた。みんなで買い物にでも来ていたのだろうと仗助が推測していると、
「あなたたちは・・・伝説のサティスファクション!」
確保されてから1度も口を利いていなかった炎谷が突然口を開き始めた。
「無能力者でありながら自分たちのデュエルの腕1つでサテライト地区を制したという・・・1度会ってみたかった」
炎谷は鬼柳の手を掴んで両手で握る。
「俺たち無能力者は能力者たちに弾圧され続けてきたんだ。おかげで俺はサッカーを・・・」
炎谷は己の過去を語りだした。
炎谷は幼い頃からサッカーに夢中だった。だがここは学園都市。周りの者たちは次々と能力に目覚めていき、取り残された彼は無能力者として後ろ指を指される立場になった。それでも彼はせめて大好きなサッカーで頂点に立とうと前向きに努力をした。そして彼は中学時代には伝説のエースストライカーとして名を広めるまでに成長した。相手選手を華麗なドリブルで次々と抜きさり、力強いシュートでゴールを貫く彼のプレイに魅せられた者は多かった。
そして炎谷はこの街で1番のサッカーの名門高校に推薦で入学した。炎谷は今まで以上にチームに貢献しようと努力を続けたのだが、チームメイトに炎谷のプレイは独りよがりだと言われた。確かに自分は試合中に味方にパスを出したことがほとんどない。自分でやるほうが絶対に確実だからだ。それで失敗をしたこともない。大事なのは結果ではないか。
ある時、炎谷は能力者のチームメイト数名からリンチを受けた。無能力者である炎谷が能力者数名に太刀打ちできるはずもなく、炎谷は全治6ヶ月の大怪我を負った。チームメイトたちは言っていた。『お前は俺たちのフォローに回ってればよかったんだよ。ただサッカーが上手いだけの無能力者のお前が能力者の俺たちを差し置いてでしゃばるんじゃない』と。学校側は当校の名誉にかかわるとして示談金をもってこの事件を隠蔽した。
炎谷は病院のベッドでサッカーのテレビ中継を見ていた。自分を襲ったチームメイトたちが優勝杯を持って喜び合っている。その時、炎谷の能力者に対する憎しみが頂点に達した。その炎谷の心が引き寄せたのだろうか。突然病室に現れた黒いスーツを着たガイアメモリの売人が炎谷に悪魔の力を売り渡したのだ。
「俺は取り戻したいんだよ! この力で俺のサッカーを!! だからこの街から能力者を1人残らず消すんだ・・・あなたたちならわかるだろう? 俺の気持ちが」
確かに、炎谷の気持ちは鬼柳たちにはよくわかる。無能力者狩りに遭ったり、能力者の身代わりにされて刑務所に入れられたこともあった。だが、
「それでもお前のやり方は間違っている」
鬼柳は断言する。
「お前は力に振り回されているんだ。そのままではお前もお前をリンチしたチームメイトたちと同じになる」
「なんだよ・・・じゃあどうしろっていうんだよ!!」
激情した炎谷は鬼柳に拳を真っ直ぐに突き出す。だが鬼柳はそれを手の平で受け止め、
「なら勝負だ! お前の好きなサッカーで俺たちと勝負をする。それで・・・満足するしかねえだろ!!」
鬼柳は炎谷の瞳を真っ直ぐに見つめていた。
次回予告
翔太郎「鬼柳! 正気かよ、サッカー対決なんて!?」
鬼柳「俺はマジだぜ。あいつの心の闇はサッカーでしか取り除けねえ。俺たちの超次元満足で炎谷を助ける!!」
クロウ「俺たちサティスファクションの」
遊星「絆パワーを結集させるときだな」
ジャック「うむ!!」
鬼柳「次回、学園都市の日常・科学サイド『Sで満足/決めろ必殺シュート!!』」
チーム・サティスファクション「「「「「これで満足だッ!!」」」」」
翔太郎「今日の最強ヒーローは『ザ・ハンド』
億泰のスタンドだ。右手で掴んだあらゆるものを空間ごと削り取ることができる。削られた空間は自然に閉じ、間の削られたものがどこに行くのかは億泰自身にもわからない。削られたものはクレイジー・ダイヤモンドの能力でも戻すことは出来ないから億泰は注意して使っているらしい」
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使用BGM
※BGM1『遊星たちの日常』(遊戯王5D'sより)
※BGM2『鬼柳京介』(遊戯王5D'sより)
※BGM3『鬼柳京介(ハーモニカver.)』(遊戯王5D'sより)
※BGM4『日常BGM 1』(チャージマン研!より)
※BGM5『フォーゼ変身』(仮面ライダーフォーゼより)
※BGM6『パニックワールド』(仮面ライダーWより)
※BGM7『思惑』(遊戯王5D'sより)
※BGM2『鬼柳京介』(遊戯王5D'sより)
※BGM3『鬼柳京介(ハーモニカver.)』(遊戯王5D'sより)
※BGM4『日常BGM 1』(チャージマン研!より)
※BGM5『フォーゼ変身』(仮面ライダーフォーゼより)
※BGM6『パニックワールド』(仮面ライダーWより)
※BGM7『思惑』(遊戯王5D'sより)