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teamBDR
性別:
男性
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高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第9話『進撃の怪人』
作者 luke
作者 luke
走れ。
都市をせましと駆け巡れ。
走れ。
街をゆさぶる風になれ。
吠えろ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!」
吠えろ。
「しゃあああああああああッ!」
吠えろ。
「「待てッ! この野郎ッ‼」」
「はぁ……はぁ……」
「ちくしょう、逃げられちまったか」
浦飯幽助と御坂美琴。二人は汗で濡れた額を拭いながら、息を整える。
「レストランから逃げた奴、一体何者なのかしら?」
「それがわかんねぇから追っかけてるんだろうが」
そしてそれから、目の前に広がる暗闇に目をやった。
「ったく、また面倒くさい所に逃げやがって」
「ほんとよね。私、今日でここらに入るの二回目なんだけど」
二人の前にある、細くて狭い暗闇。裏路地だ。
穏やかな学園都市の午後。幼馴染である浦飯幽助と御坂美琴は約二年ぶりに再会した。二人は思わぬ場所での思わぬ再会を先程まで楽しんでいたが、たった今、事件が起こった。
「それにしても、なんでまたこんなとこに逃げ込んだんだろうな?」
「そりゃあ裏路地は他人の目があまり行き届かないし、近道にもなるからでしょ。ま、私はこの辺は良く通るから問題ないけどね」
美琴は余裕気な笑みを浮かべた。
たしかに、建物の数が多い学園都市の裏路地は複雑で、しかもその建造物らが高層のものばかりだ。よってひどく暗い。夜ほどではないが、今日のような快晴でもうっすらとしか明るさしか感じない。さらにその暗さが不気味さを醸し出すため、基本的には誰も近寄らないのだ。だから近道として優秀でも使われる事は少ないし、不良達がたまり場として使うにしても狭いから勝手が悪い。まぁ幽助と美琴の二人は近道としてフル活用しているのだが……。
時間の経過とともに、徐々に彼らの呼吸が落ち着いてくる。と、幽助は軽いトーンで、
「そういやよぉ、お前の知り合いで風紀委員(ジャッジメント)してんのって、さっきのあの娘だけか?」
幽助の言う『あの娘』とは白井黒子のことだ。彼女とは数十分前に会ったばかりである。
「いや、他にもいるわね。まぁ黒子はかなり優秀なほうよ。能力のレベルも高いし、経験も豊富だしね」
「だったら呼ぶべきなんじゃあねぇのか? 一応この街での事件の処理は黒子らの管轄なわけだし、一緒に追うのなら強力な味方になるだろ?」
「たしかにそうだけど……。でもアイツ、まだ報告書書かなきゃあならない、って言ってたしね」
「その報告書って、書くの大変なの?」
「けっこうな面倒くささらしいわよ。大した事件や事故じゃあなくっても、いちいちキチンと書かなきゃあいけないらしいし」
それに、と美琴は付け加えて、
「第一、風紀委員に任せた方が良い、みたいなこと言ってるくせに、どうしてアンタは真っ先に追いかけて行ったわけ?」
「え? いや……」
返事にやや困る幽助。そんな幽助を見て、美琴はぷっと吹き出した。
「なんだよ?」
「いや別に。相変わらずなのね、その好奇心と正義感は」
「まぁ誇れるようなもんじゃあないけどな。つーか、お前も一緒に追いかけてきたじゃあねぇか」
「な、なによ」美琴は少し慌てた様子で「私だって、ああいうの放っておけないタチだし……。てかアンタ、付き合い長いんだからわかってんでしょうが!」
美琴がたまに見せる、妙に必死な反論。まるで照れでも隠すかのようなそれは、彼女が小学生だったときから変わっていなかった。
変わらなかった美琴の反応に、幽助は変に安心した。
「だよなー。わりぃわりぃ」
そして幽助は快活に笑い飛ばした。
ブワッ、と勢いのある裏路地特有の風が、二人の髪を撫でる。話しているうちに、息は整った。
「んじゃあ」
「よし」
二人は互いの顔を見あわせて、
「「行くか!」」
※
学園都市。それは学生の街であり、街全体を一種の教育機関とした、科学世界の最先端を往く都市である。
最初は東京都の西部の一角を占めていた、実験的な科学の研究施設群に過ぎなかった。しかし、時が進むにつれ、そこにあらゆる研究組織が集まり、さらには教育機関までもが関わったことで『研究教育機関』として発足した。
この『研究教育機関』に関わり、協力する組織はさらに増えていった。よってこの機関は肥大化し、また数多くの研究成果のおかげで社会的にもかなりの権威を得ていた。これによって機関は完全な独立を認められ、現在の『学園都市』にまで形を成した。
ではその研究成果とはどのようなものなのか?
答えは、とにかく『いろいろ』だ。どれもが科学の最先端なものであり、甲乙つけ難い。しかし、残したあらゆる『いろいろ』な功績の中、その中でも抜きん出て秀逸なものがある。
超能力。
意味は文字通り。通常の人間では不可解な超常現象を引き起こす力。
学園都市における超能力とは、薬物投与、催眠術による暗示、直接的な電気刺激などを施す事によって脳の構造を人為的に開発し、科学的に作り出された物を指す。つまりは天然のものではなく、学園都市らしく研究・開発の賜物なのである。
超能力がいくらの人の手によるものだとはいえ、その研究の功績は大きい。人体から未知なる能力の発見。そして開発――これは人類の進化にも等しい。超能力は生物としての人間をワンランク上にのし上げたのである。
この超能力開発に、早速学園都市の教育機関は目をつけた。
なんと学園都市の教育機関は、この超能力開発を世間一般に公表しようと提案したのだ。もちろん開発の方法ではない。『超能力』という存在だけを。
学園都市には秘密が多い。何故なら、一般に公開しては価値が損なわれてしまうような研究・技術が多々あるからだ。その中でも、この超能力開発はトップシークレットであり、開発方法、教育方法などは一切外部に知られていない。いわば、この街の財産だ。
そんな貴重な超能力開発の存在を公表する理由はおもに二つ。一つは、人間のさらなる高みとも言うべき超能力を発現、そして開発に成功した学園都市の力を、さらに世の中に認めさせること。二つは、その超能力開発を売りに、学園都市の学生人口をさらに増やすこと。学園都市統括部はその案を採用し、超能力開発を公に発表した。
結果は大成功だった。世の中のありとあらゆる企業や組織は学園都市の成果と実力を認め、超能力を身につけたいがために学園都市の学生となる人がごまんとやって来た。このおかげで学園都市の運営資金と人口は爆発的に増え、あらゆる事業の規模は拡大。ついに学園都市は西東京だけでなく、東京都全土をほぼ占める都市と化した。
現在、学園都市の管轄下は先述のとおり東京都のほぼ全て。よって、許可が下りれば都内に住む学生は元々の『学園都市』の教育を受けることができる。
門の広くなった学園都市。以前よりも夢と希望と可能性に満ちたその場所。今日も変わらず、この街の住人達は平和に過ごしている。
※
ジョルノ・ジョバーナとナランチャ・ギルガ。二人の少年は午後の学園都市の表通りを歩いていた。
現在二人が歩くエリアは『学区』にあたる。学園都市は面積拡大に伴い『学園都市』が東京全てを指すようになったため、外部の人間は東京の西部、すなわち学生がひしめく元の学園都市を『学区』と言い、それ以外の都市部は『新東京』や『帝都』などと呼ばれている。もちろん、あまり関わりの無い地区も存在し、そこでは外部とさほど変わりのない生活風景がある。
だがそんな二人はこの街の学生では無い。
彼らは外部の人間。イタリアを拠点とするギャング組織『パッショーネ』の一員だ。
「なぁなぁ」
「何です?」
返事をするジョルノ。彼の右手には、手のひらサイズのレーダー探知機が握られている。
「その探知機ってよぉ、性能はどんなもんなの? 俺にはよくわからねぇんだけど」
「けっこう良いと思いますよ。さすがは学園都市製。なんせ、一万円弱でしっかりとしたセンサー付きに耐衝撃性。それに小型ですしね。」
「へぇー。大層なモンだな」
「でもあくまで僕達と敵の位置は地図上の座標でしか表示されないので、完璧な位置がわからないのが残念ですね」
「まぁ俺にはあんましわかんねぇな」ナランチャは呑気な調子で「で、敵は今どこ?」
「探知機通りだと、近くにいるはずですが――」
そこで、二人は改めて周囲の風景を見渡して、
「この人数じゃあねぇ……」
人が多い。
そして道も広く建物も大きい。
二人が歩いているのは、学区の繁華街。学園都市の中でも特に盛りのある場所だ。よって昼でも夜でも関係なく人が多い。ざわざわ、と通りがかる人々が話す声やビルに取り付けられた巨大スクリーンから流れる広告の音、自動車の走行音なんかが絶え間なく耳に入ってくる。
「座標だけを手掛かりに、この辺りをクリアリング(敵の確認)をしていくのは面倒ですね。しかも相手は建物内に潜伏している可能性もある」
「『人を隠すなら人の中』ってわけかよ。厄介だなー」
かったるそうに、ナランチャは頭をわさわさと掻いた。そんな彼に金髪の少年は、
「どうします? しらみ潰しにいきますか?」
「それしかないよなぁ。時間はかかるけど、確実だと思うぜ」
ナランチャはいったん止まって、ぐるりと首を回した。ついでに腕や足も簡単にほぐし、前屈や屈伸まで行う。
「よし」
やり終えて一言。直後、
ナランチャの頭上に小型のプロペラ戦闘機が現れた。
「エアロスミス」彼は頭上のプロペラ戦闘機に目をむけて、「コイツで捜し出す」
エアロスミス、と呼ばれた小型のプロペラ戦闘機。これがナランチャ・ギルガのスタンド能力。
小型といっても、通常のサイズの小型戦闘機では無い。もっと小さく、ナランチャの体より小さい。かなり大きめのプラモデルといったところだ。しかし、その機体は本当によくできている。実際に機銃や投下用の爆弾が装備されてある上、搭乗者(名前はスミス)までいる。
「なんといっても、ここらのヤツにコイツは見えねぇからな。小回り――」
「見えますよ」
へ? とジョルノのすさまじく速い返事に、ナランチャは耳を疑う。少年は『おいおい』と隣の金髪に迫って、
「なに言ってんだよ。『スタンドはスタンド使いにしか見えない』ってのは基本だろ。まさか、こいつらが全員スタンド使いとでも言うのかよ?」
「いいえ、それは無いと思います。しかし、この学園都市の超能力……は知ってますよね?」
「ああ、ブチャラティから聞いたよ。アレだろ? この街が教育の一環として心血注いでるヤツで、なんでもいろいろな効果の能力があるんだろ?」
「はい。じゃあ、能力者にはレベルがあるというのは?」
「強くて便利な能力使えるヤツもいりゃあ、そうでないヤツも当然いる。X-MENとか読んでたから、そのへんはフィーイングでわかる」
「なら大丈夫そうですね」
ジョルノは一瞬間を開けて、
「超能力者はスタンドが見えるんですよ」
…………。その言葉にナランチャは硬直した。
そして、急にあたふたと慌てだした。
「ちょ、ちょっと待て。なら俺のエアロスミスはこの場にいる全員に見えてるってことなのか? だったらオレ達完全にテロリストじゃあねぇか!」
「ちょっと、話を最後まで聞いてください」ジョルノはナランチャの肩をばしばし叩く。「なにも『全員見える』とは言ってないでしょう。見えるのは超能力者の中でも『大能力者(レベル4)』と『超能力者(レベル5)』だけですよ」
「それってどれくらいいるワケ⁉」
「ほんのごく僅かですよ。だいたい、この街は超能力の街と言っても、六割の人間は無能力者です。心配はいりませんよ」
ジョルノの言うとおりだ。この学園都市は教育として超能力開発を実施しているものの、実際に能力に目覚め、使役できる者は四割程度。残りの六割は無能力者だ。また、『超能力』とは言っても実際に『超』の力と認められているのは、能力者の最高ランクである超能力者(レベル5)だけで、強能力(レベル3)以下の能力は使えてもあまりたいした事のない性能である。
「ならよかったよ。焦っちまったぜ」
ナランチャは安堵の表情を浮かべた。が、それはすぐに気合のこもった真剣なものへと変わる。
「じゃあそろそろ行こうぜ。エアロスミスを使う、って言っても、数一〇メートルくらいしか射程距離はねーからな。さっきと同じように基本は足を使って捜索だな」
「ええ、もちろんですとも。あと『アレ』も使うんでしょう?」
コクリ、とナランチャは頷く。そして瞬間、
ナランチャの目の前に、プロペラのついた、宙に浮かぶレーダー探知機が出現した。
その探知機の液晶画面にには大小無数の丸い反応が映っていた。
※
裏路地にしてはやや広めの行き止まりに三人の人物がいた。
一人は浦飯幽助。一人は御坂美琴。
そしてもう一人は……。
「やーと追いついたぜ」幽助は目の前の人間を見据え、「あんたけっこうやるなぁ。俺でもこのへんの路地は迷うことがあるってのに、一切間違わねぇんだもんな。なぁ美琴」
「ホントよね。こんなところ、普通の人が滅多に来るところじゃあないわ。アンタ裏路地に詳しいのね」
「…………」
彼女の言葉に相手は黙ったまま。
その者は身につけているフード付きの上着のフードを深くかぶっており、さらに裏路地の暗さと相まって、幽助達からでは顔が良くわからない。だが、身長や体格からしておそらく男性であるということが推測できる。
(それにしても……)
幽助は思う。
まず第一に、この服装。目の前の男もすでに実践しているが、フードや帽子を深くかぶり顔を隠すというのはもはや刑事ドラマなんかの犯人の常套手段である。これだと、たとえ無関係でも『自分が犯人ですよ』と言っているようなものだ。
二つ目。この男はおそらく何らかの事件が起こったであろうレストランから慌てて逃げてきた。そして逃げ方も特殊。避難したのなら多かれ少なかれ、事件現場の様子が気になるものだ。だが男はまったくそれを気にすることなく、全力でその場から駆けた。
三つ目。明らかに不自然な靴――というより足の色。まるでペンキの缶にでも突っ込んだかのように、男の右足には黄緑色の塗料がべったりと付いていた。簡単にとれそうには見えない。
そして四つ目。
「あんた、『大工財閥(だいくざいばつ)』って知ってる?」にっ、と幽助は片頬を上げて「学区一帯の商業のかなりを占めてる財閥でさ、その総合的な本社が今居る行き止まりと隣接してるわけ。でけービルだぜ。なんせ食界や薬界、その他いろいろな業界に進出してるとこだからな」
相変わらずフードの男は無言だ。
しかし幽助は続けて言う。
「この裏路地は広いし、かなり複雑で厄介なんだ。ヘタすりゃあ現在地がわからなくなっちまう。でも、そんなときはこの大工財閥のビルを目印に道を確認すりゃあ良い。なんたってデカイから見失うことが無いからな。ここの路地に慣れてる奴はみんなそうやって、この裏路地を利用してる。だからよぉ――」
幽助は一呼吸ついて、はっきりと一言。
「このへんに本当に詳しい奴なら、こんな『要所』付近の行き止まりにぶち当たったりしねぇ」
そう。まさしく彼の言うとおりだ。このあたりの裏道に詳しい者なら、その『大工財閥』のビルを道標に行き先を確認する。逆に言えば、ビルの役割を知らない者はこの付近の裏路地に詳しくないのだ。
この学園都市の住人で知らない裏路地に入ろうとする者はそうそういない。いたとしても、何らかしらの理由で入らざるをえなかったか、物好きのどちらかだ。
「この街の裏路地ってやたら複雑なのよね。なんせ建物が多いから。だからそんなわずらわしくて危険なトコ、知らなきゃあ誰も入らないのよ」
「つーわけだ」
浦飯幽助は片目をつぶって、
「あんた、外部の人間だろ?」
外部の人間。
学生とその関係者しかほとんどいないこの『学区』において、それは異端に見られる存在だ。しかもこの男は、たかが中学生二人に追われただけでわざわざこんな薄暗い裏路地にまで逃げている。
幽助の中で容疑は確定した。
こいつが事件の当事者だ、と。
幽助はとりあえず身柄を押さえるためにフードの男に近づこうとして、
「……くっくっくっ」
「へ?」
「くっくっくっ……」
思わず足を止めてしまった。
「くっくっく……、ハーッハッハッハッ!」
急に、男は笑い出した。
男は笑う。大声で。この路地に己の声を響かせるかのように、笑う。
「ヒャーハッハッハッハッ‼ アヘアヘアヘアヘアヘ……」
甲高く、不気味な笑い声。
笑って、そして男は言う。
「あーあ、クソめんどくせぇな」
男は己の首筋を掻きながら、まるで独り言でも呟くかのように、
「ったく。わざわざこんな極東の都市にまで『仕事』しに来たってのに。敵に見つかっておかしなモノ付けられるは、どこの馬の骨かもわからねぇガキどもに追い回されるは、ホンっとめんどくせぇぜ。それに……。」
ぶつぶつぶつぶつ、と男は独り言なのか二人に向けた愚痴なのかわからないセリフをぼやき続ける。彼の声は独り言にしては大きく、幽助と美琴の耳にもはっきりその声が届いた。
「ちょっと!」
美琴はそんなフードの男に、
「アンタの言ってること、私には全然理解できないし、勝手に私達にむかって難癖つけるのやめてくれない? そもそもはアンタが怪しい――」
「やかましいんだよ売女(ビッチ)!」
ぴしゃり、と男はさきほどまでとはうって変わった強い口調で、
「俺が何をしようが俺の勝手だ。しかもそれは、少なくともお前らには何一つ迷惑のかからねぇこと」
男はイライラした様子で続ける。
「干渉しねぇんだから大人しく黙ってろよ……! 『互いに利害の無いものには触れない』。これこそが、人間にとってベストな理念なんだ。わかるか?」
「……、ざけんじゃあないわよ」
瞬間。
バチバチバチッ! と。
美琴の体から青白い光が発した。
「アンタ、『人に迷惑さえかけなければそれで良い』とか思ってるワケ?」
その光は煌々と輝き、薄暗い裏路地に僅かな明かりが生まれる。
そこで、浦飯幽助は見た。
御坂美琴の憤怒の顔を。
本気で怒る少女の目を。
「それとも、自分の考えが最も正しいとか思ってるワケ?」
バチバチバチィッ!
彼女から湧き出る光がさらに勢いを増す。少女を中心に裏路地はまるで火を点けたかのように明るくなった。
「すげぇ……!」
幽助は無意識に笑っていた。初めて目の当たりにする学園都市第三位、超能力者(レベル5)の電撃使い(エレクトロマスター)の能力。そして、その能力者は自分の幼馴染であり親友なのだ。
『超電磁砲(レールガン)』。それが彼女の異名。
「私、アンタみたいなヤツ一番嫌いッ‼」
刹那、快音とともに美琴の体を包む電気が勢いよくスパークした。そして大きく弾けた青白い光は再び、膨れ上がる前の穏やかなものとなり彼女の体に纏わりついた。
「アンタさぁ」美琴はさきほどの激しい怒号とは対照的に落ち着いた様子で「本当に『互いに利害の無いものには触れない』と思うのなら、今すぐ両手を上げて大人しくしなさい。そしたら私達はアンタに危害は加えない。風紀委員(ジャッジメント)に通報して連行してもらうわ」
美琴の友人には街の自治組織である風紀委員(ジャッジメント)、杜王支部のエース、白井黒子がいる。彼女の能力は空間移動(テレポート)。今の状況には適当な能力だろう。
「――――、」
美琴の威嚇に怯んだのか、男は何も口に出さない。それどころか、さっきの荒い印象とはうって変わった静けささえ感じられる。
そんな男の変化を感じたのか、美琴は穏やかな口調で、
「じゃあ、そのまま手を上げてじっとしてて。大丈夫、ホントに何も
「そんなたわ言でなぁ、できるわきゃあねぇだろォォッ‼」
狂気じみた叫びが、裏路地にこだました。
あまりに突然の出来事に、美琴の顔が硬直した。油断していた。完全に。隣で男の様子を眺めていた幽助も眉を顰める。
男は苛つき、胸糞悪そうな様子で、
「お前、一体なに勘違いしてやがんだ? ここで俺が大人しくお前らに降参すると? ハッ、笑えねぇ」
男は用意した台本でも読んでいるかのような、よどみなさで、
「俺には仕事があんだ。こんなところでお前らみてぇな科学の漬けのクソ化け物(フリークス)と遊んでるヒマはねぇ。わかったらとっとと失せろ」
彼は上着のポケットからスッと何かを取り出した。それは手に収まるほどの棒状の物で、ちょうどUSBメモリのようなものだ。
男はUSBメモリ状の物品に取り付けられたボタンを押す。そして、
「ハァハッ!」
思いきり、己の首筋にそれを突き立てた。
瞬間。
光とともに、男の姿が変わった。
頭があり四肢があり、人の形をとっている。しかし、それは間違いなく普通の人間ではない。
怪人。
それは、まさにそう呼ぶに相応しいものだった。
※
呼吸。
ナランチャ・ギルガのスタンド能力『エアロスミス』の一つであるプロペラの付いた浮遊するレーダー。それには周囲の呼吸――正確にはCO2(二酸化炭素)を探知できる能力があり、その反応が液晶画面に大小無数の円として映る。反応の見方としては、CO2の排出量が多ければ多いほど大きい円で、少なければ少ないほど小さな円で表示される。
ジョルノとナチャンチャが歩いている繁華街は人がたくさんいる。よってレーダーには大量の反応が出ており、とてもじゃあないが街にいる人間全員の数など把握できない。
だが。
「こんなに歩行者ばっかのとこに、一人全力でトバしてるやつがいりゃあ目立つよなぁ?」
「歩行者だらけの今の時間帯に周りを気にしない走りっぷり。そして自動車より速度も二酸化炭素の排出量も無い。もうこれは完全でしょう」
「ああ、ドンピシャだよな」
ナランチャの持つレーダーには他の反応とは違うサイズのものが、一塊映っていた。
一塊――。正確には二つ。
「二つってことはよぉ、敵は二人組なわけか?」
「わかりませんね。でも複数人という可能性は大いにあります。一つのチームが複数人で別行動して事を起こす。そう、ちょうど今の僕らみたいにね」
ジョルノは周囲を見渡し、通行人一人一人の顔を注目していく。
「まぁ別の仲間が潜伏してる、ってこともあり得るわけです。しかし今の段階ではそんなのには構えませんからね。今はとりあえず――」
「ああ、こいつらの相手が先決だよな」
二人はレーダーの画面を確認し、正面を見据えた。
レーダーの反応はジョルノ達がいる位置からだいたい一五〇メートル先。そしてその反応は彼らに向かうように動いている。
つまり、二人は待ち伏せする形になる。
「この調子だと、あと二〇秒ほどではち合わせますね。良いですか? 一回で仕留めますよ」
「わかってる。お前もしっかりタイミング合わせろよ」
攻撃を仕掛けて仕留められず、逃げられてしまえば自分たちの顔と手の内を敵に明かしてしまうことになる。さらに、相手を警戒させてしまうことになり、その後の尾行や奇襲が困難になってしまうだろう。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚……。二人は体の全神経に意識を働かせる。
一回できめる。失敗は許されない。
「…………!」
レーダーの反応が二人の位置に到達するまで、時間はあとわずか。
五秒、四秒、三、二、一。
「――――!」
ゼロ。
彼らは目を見開き、構えをとった。
二人の前方。そこには。
二人の男が。
彼らは見た。二人組の正体を。
一人は黒い帽子を被り、黒いジャケットを羽織った二十代くらいの若い男で。
もう一人は詰襟の学ランを着た少年だった。
「え……?」
ジョルノはあっけにとられて、構えを解いた。
彼は知っている。男の一人――黒い帽子を被った男の方を。
「翔太郎さん!」
言うと、ジョルノはナランチャの前に手を出して、彼の行動を制止した。なんだよ? と彼は驚きと不満が同居した声を上げたが、金髪の少年は気にしない。
ジョルノの呼びかけに翔太郎と呼ばれた男は気づいたようだ。彼は隣の学ランの少年を止め、その場で帽子を脱いだ。
「誰なんだ? この人たち」
少年は翔太郎に訊く。大丈夫、知り合いだよ、と彼は言って、
「おう、ジョルノじゃあねぇか。どうした、こんなとこで?」
「僕たちはちょっとした用事で。翔太郎さんこそ何故ここに?」
その質問に翔太郎は苦虫を噛んだような顔で、
「ドーパントが現れやがったんだ」
「ドーパント……。と言いますと、怪人のことですよね?」
「ああ」
翔太郎は頷く。
「ヤツらを放っておくわけにはいかねぇ。ドーパントに変身した人間ってのは自我を損ねて破壊衝動に駆られるからな」
それによ、と。翔太郎の隣にいる学ランの少年は続けて、
「その変身したヤツ、今日この近辺で事件を起こしてやがんだ。詳しい事は知らねぇけど、事件があったっぽいレストランからソイツは全力で逃げてたんだ」
なに…………?
少年の言葉は、ジョルノとナランチャの体に衝撃を走らせるのに充分な威力だった。
「おい、ジョルノ。それって――」
ナランチャは訝しげにジョルノに問う。
「ええ、たぶんそうでしょう。いや、間違いないかな」そう言うと、彼は翔太郎に「頼みたい事があるんだ、ちょっと」
「なんだ?」
「僕達も偶然、あなたと同じ人物を追っています。仲間はなるべく多い方が良い。一緒に来てくれませんか?」
「モチよ!」
翔太郎は親指を立てて、
「そうとなりゃあ早速行動だな。敵も待ってはくれねぇ」
彼はさっと帽子を被り、再び走りだした。三人も彼の後を追い、走る。
「待てェ! ドーパントォッ!」
翔太郎は走りながら、無意識に叫んでいた。
TO BE CONTINUED
次回予告
ステイル「もう逃げられんぞ。大人しくしろ」
幽助「ぜってーお前はぶっ倒す」
ミスタ「くらえッ!」
翔太郎「俺たちは、二人で一つの仮面ライダーだ!」
次回の学園都市の日常・魔術サイドは第10話。お楽しみに!
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五つの雄叫びとどろかせ
ありがとう。
でももっとドラマチックな展開にできたはずなんやけどなぁ。それに後半のほうは疲れてきて、わりといい加減に終わらせてしまったしなぁ。まだまだやな。
冒頭のギンガマンは、書いてるときギンガマン聴きながら書いたてから、ああなった(笑)
でももっとドラマチックな展開にできたはずなんやけどなぁ。それに後半のほうは疲れてきて、わりといい加減に終わらせてしまったしなぁ。まだまだやな。
冒頭のギンガマンは、書いてるときギンガマン聴きながら書いたてから、ああなった(笑)