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~teamBDRの酒場~
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teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第26話「Rがよみがえる時/さすが! ハイパーカブトは強かった!」

作者 Joker


翔太郎は静かに瓦礫と炎の中で横たわっていた。
「C.C.・・・・・・」
ハイパーカブトはうわごとのようにそう呟く。そして天道はカブトゼクターをベルトから外し、変身を解除して翔太郎へと歩み寄っていった。
ハイパーカブトのハイパーライダーキックで翔太郎は大火傷を負い、頭や口から血が出ていた。だがその血はまったく流れていない。天道は翔太郎の手首を握った。
脈がない。翔太郎は息絶えていた。
「C.C.・・・いや翔太郎・・・俺はお前を・・・・・・」
殺してしまった。その事実に気がついた時、天道は胃の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。天道は口を押さえ、そして耐え切れなくなって嘔吐した。
天道は息を荒げて独り言を始める。
「翔太郎を殺さなければ、俺が殺されていたんだ・・・・・・翔太郎が俺を殺す? 馬鹿な・・・だがハイパーゼクターは俺がダブルに殺される未来を見せた・・・・・・ハイパーゼクターが俺に間違った未来を見せた? なら、俺は・・・!?」
天道はもう何も考えられなかった。ただただ呆然として翔太郎の死体の横で口を大きく開けて空を見上げている。
黒い雲が太陽を覆い隠して雨の気配を漂わせていた。



鳴海探偵事務所
鈍い音が響いて口内に血の匂いが広がる。
「天道総司・・・君はァッ!!」
フィリップは襟首をつかんで天道の顔面を何度も何度も殴りつけた。
翔太郎の死体はフィリップによってベッドに運ばれていた。
「見ろ! 君のせいで翔太郎は・・・僕の相棒は死んでしまった! クソッ!」
フィリップは天道を壁に向かって突き飛ばす。そして床に手をついて突っ伏した。
「返してくれ・・・翔太郎を返してくれ・・・・・・!!」
フィリップは泣いていた。天道は空虚な瞳で天井を向いていた。
自分勝手な理屈で罪のない他人を殺してしまった。天道は自分がミュージアムや草加雅人と同じ所まで落ちたと思った。
天道は誰かに操られているかのようによろよろと立ち上がるとフラフラと鳴海探偵事務所を出ていった。

「おい億泰! 億泰しっかりしろ!!」
誰かが自分を呼んでいる。億泰は重たいまぶたを開いた。
「無事だったか億泰! まったく心配させやがって!」
まぶたを開くと仗助がいた。
億泰は思い出す。確か自分はレッド・ホット・チリ・ペッパーに手ひどくやられ瀕死の重症を負ったが、レッド・ホット・チリ・ペッパーが去ってからしばらくして最後の力を振り絞って意識を取り戻し、異次元の扉を開いて仗助を現実世界に戻したのだ。
全身の怪我がまるで嘘だったかのように治っている。仗助がクレイジー・ダイヤモンドで治してくれたのだ。
「だが仗助、おめえ腕が・・・」
仗助は折れている腕を酷使して億泰の治療を行った。仗助の腕は紫色に腫れ上がっていた。
「ああ、どうやらしばらくは戦えねえらしい・・・億泰、本部に救援を頼んでくれ」
億泰はケータイを取り出してジャッジメント本部に連絡を入れた。あと10分もすれば救援部隊が到着する。
「しかし・・・翔太郎さんは天道を止められたのか?」
億泰は不安そうな顔をする。
「わからねえ。だがあの怪人はとりあえず俺たちのことは倒したと思ってるはずだぜ。なら次に狙うのはたぶん翔太郎さんだろう」
「じゃああの怪人の能力を翔太郎さんに伝えねえといけねえな」
億泰は翔太郎のケータイに電話を入れる。だがどれだけ経っても翔太郎は電話に出なかった。
「翔太郎さん・・・まさか、まだ戦ってるのか?」
2人は廃工場の方に視線を向けた。

「さあ、足の再生治療は終了しましたよ」
井坂は手術台の上で寝ているレッド・ホット・チリ・ペッパーに話しかける。レッド・ホット・チリ・ペッパーは井坂の方は見ずに黙って話を聞いている。
「ですが一晩ほど時間を置かなければまだ動くことはできませんねえ。とりあえずそこでそのまま寝ていてもらいましょうか」
「・・・次は、誰を倒せばいい?」
「別に特定の誰かを倒す必要はない。君が第3の能力にさえ目覚めてくれれば・・・ですがそうですね、やはり戦いの中の方が新しい能力にも目覚めやすいでしょう」
井坂は少し考えてから言った。
「天道総司、仮面ライダーカブトと戦ってもらいましょうかねえ。仮面ライダーダブルは私の手で倒したい。カブトぐらいなら君に譲ってやっても構わないし、ちょうどいい対戦相手でしょう」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは目を閉じて決意した。必ずカブトと戦い新しい能力を得て、自分の夢を取り戻すことを。

フィリップは茫然自失としてソファに座っていた。
「これからどうすればいいんだ・・・・・・」
フィリップはベッドで横たわっている翔太郎を見る。
その時、扉を開けて誰かが部屋に入ってきた。誰だと思って振り向くとそこにはシュラウドがいた。
「シュラウド・・・あなたは!!」
フィリップはシュラウドに詰め寄って怒鳴る。
「天道総司にあんな物を渡したのはあなただろ! そのせいで翔太郎は死んでしまった!!」
「そう・・・やはり翔太郎は死んでしまったのね」
「やはり? わかっていたというのか? 翔太郎が死ぬことを・・・じゃあ何故止められなかったんだ!!」
フィリップは今にもシュラウドにつかみかかりそうな勢いだ。
「安心しなさい来人。彼は直によみがえるわ」
「翔太郎が・・・よみがえる!?」
驚きと錯乱、それらが入り混じったような感情がフィリップの中を駆け巡った。だが死人がよみがえるなどありえない。
「まさか、学園都市の裏の技術に死人をよみがえらせる術が・・・」
「いいえ、違うわ。彼、左翔太郎はAGITΩ(アギト)の力を持っている」
「アギトの・・・力?」
「そう、だから彼が一度死ぬことも私の計画の一部だった。彼をより強いアギトの力に覚醒させるために」
「つまり・・・そのアギトの力というのが目覚めれば、翔太郎はよみがえる。そういう事なのか?」
シュラウドはフィリップの質問にうなずいた。
「けど、何なんだ? そのアギトの力というのは?」
「あなたも見た事があるはずよ。そう、佐天涙子がエクストリーム化を果たそうとした時、最後に起こった爆発の中から生還した園崎霧彦の姿を」
フィリップは思い出す。確かにあの時、フィリップは白い光の玉の中から現れた赤い眼と金色の角、そしてすさまじいパワーを持った戦士を見た。
「あれがアギトの力・・・」
フィリップはそう呟いて自室に戻ろうとする。
「地球(ほし)の本棚で調べる気? それは無駄よ」
「どうしてだ?」
フィリップは再びシュラウドの方を向く。
「今のあなたの力ではアギトの力の情報を引き出すことはできない。何故ならアギトの力も地球(ほし)の本棚と同じ、この地球が創り出した力だから」
「なら教えてくれ。あなたが知っている限りのことを!」
フィリップはシュラウドに近寄る。
「残念だけど、アギトの力の説明は長くなる。今はそんな暇はないの。それよりもこれを」
シュラウドは手の平に乗るサイズの恐竜のロボットのようなものをフィリップに渡した。
「ファングメモリ。翔太郎がよみがえったとしてもしばらくの間は戦えない。でもそれを使えばあなたの肉体でダブルに変身する事ができる」
そう言ってシュラウドはきびすを返して帰ろうとする。
「待てシュラウド! 最後に1つ聞かせてくれ。あなたはまだこんなことを続けるのか?」
シュラウドは振り返って答える。
「ええ。たとえあなたが拒もうとも、私はあなたが安心して暮らせる世界を作る。どんな手段を使ってでも」
シュラウドはフィリップの返事が帰ってくる前に逃げるように出ていった。
フィリップは辛そうな顔でうつむいている。億泰の家で自分の過去を思い出して以来、昔の普通の家族だった頃の記憶がフィリップの頭の中から離れなかった。
「シュラウド・・・あなたは僕が欲しいものが何なのか、わかっているのか・・・?」
フィリップは右手に持ったファングメモリに視線を落とした。


「どうしたんだい総司」
幻海は暗く沈んだ顔で正座している天道に尋ねた。
天道は幻海の元を訪ねていた。
「その様子、何か思い悩んでいることでもあるようだね」
「・・・俺は、大切な人を殺されて、その怒りで我を忘れて、他の人の大切な人を殺してしまった」
「なるほど。で、あたしに何を頼みに来たんだい?」
天道は何もかも見透かされているような気分になる。
「昔おばあちゃんが言っていた《天の堂》を使わせて欲しい」
「・・・あんた、覚悟はできてるんだろうね?」
幻海がいつになく真剣な表情で天道に問う。
「あれに入ったらあんたの魂はあの世に行く。あんたの魂があの世に惹かれちまったらもう二度とこっちの世界には帰ってこられないよ」
「それでも会いたい人がいる。それに、今のままでは俺はどのみち死んでいるのと同じだ」
幻海は黙って天道の瞳を見つめる。確かに迷っている目だ。このままでは遅かれ早かれ天道は迷いに押しつぶされるだろう。
「わかったよ。ついてきな」
天道は幻海の後について暗い山道を歩いていく。他の場所では小鳥がさえずり猿や鹿が姿を見せていたのに、この山道は生物の気配がまったくしない。ただ生温い風が不気味に木の枝をがさがさと揺らしていた。
「ついたよ。ここが天の堂だ」
天の堂は木々が開けたところにひっそりと建っていた。天の堂にはいたるところに何かわけのわからない文字が書かれた札が貼ってあって、すさまじい不気味さを醸し出していた。
「ちなみに総司。この天の堂に入って帰ってきた奴は今まで1人もいないよ。それでも行くんだね?」
幻海は天の堂の扉の前に立って最後の確認をする。それに天道は黙ってうなずいた。
幻海は扉に貼ってあった一際目立つ大きな札を外した。すると誰も力をかけていないのに天の堂の扉は勝手に開いた。
天道はゆっくりと天の堂の中へ入っていく。天の堂の中は真っ暗で何も見えない。そして天道が完全に天の堂の中に入った時、天の堂の扉が勝手に閉まった。
天道を包むのは上下もわからなくなるほどの暗闇だ。だがやがて天道の前に1つの青い光が現れた。
「C.C.・・・」
その青い光がC.C.だということはすぐにわかった。青い光は徐々に形を変えてC.C.の姿になっていく。
「総司か。どうした? お前はまだ生きているんだろう」
C.C.は口を動かして喋っている。だがその声は天道の頭の中に直接響いてくるようだった。
「C.C.・・・俺はお前に謝りたくてここに来た。俺はお前を守ってみせると言った。だが結局俺はお前を死なせてしまった。俺はとんだ嘘つきだ」
「そう自分を卑下するな。お前は最後まで私を守ろうとしてくれたんだ。ならお前は嘘つきじゃないさ」
「いや、俺は嘘つきだ。お前を救えなかった時、俺は気付いた。俺はこの空の下の全ての人を幸せにしたいと思っていたが、それは嘘だ。俺が幸せにしたかったのは俺が大切だと思っているごく一部の人間だけだと。全ての人を幸せにするというのは自分の無力さを認めたくないただの強がりだったんだ・・・」
天道の魂が黒く沈んでいくようにC.C.には見えた。そんな彼にC.C.は優しく語りかけた。
「いいじゃないか総司。お前はそうやって過ちから学べたんだ」
「だがそのためにお前は死んでしまった!!」
天道はうつむいて叫んだ。辛そうな顔をしている。
「総司、人は永久には輝き続けられない。花火のように一瞬輝いて消えていく。そういうものだ。だから私はその輝きを忘れずに覚えていてくれる人がいるだけで幸せだと思うよ」
天道は顔を上げる。そしてC.C.の顔を見た。C.C.は微笑んでいた。
「C.C.・・・俺は守りたい。俺の目の前で、人の輝きを消させたくはない・・・!」
「その想いを忘れるな。お前は強い。その想いを忘れなければお前は何度やられても太陽のようによみがえり続けられるさ。そしていつかお前の願いは現実になるだろう」
「ありがとうC.C.。俺はお前のことを絶対に忘れない。そしてもう二度とお前のような哀しみを繰り返させない」
天道はC.C.を抱きしめた。かすかな温もりが天道の魂に伝わってくる。
「C.C.、最後に言わせてくれ。俺はお前を愛していた」
天道の表情にもう迷いはなかった。C.C.は安心したという顔で微笑んでみせた。
「ああ、私もだよ」
腕を離すと2人の魂は徐々に離れていった。
「C.C.・・・またどこかで」
「総司・・・いつまでも待っている。だから、早まるなよ・・・・・・」
そしてC.C.の姿は見えなくなった。天道はきびすを返して別の方向に向かって歩いていく。
「さて、次はあいつを探すか・・・」
天道は目を閉じて魂の感覚を研ぎ澄ませた。

「ここは・・・どこだ?」
翔太郎は辺りを見回す。どこまでも広がる真っ白い空間。目の前には大きな川が流れている。
「もしかして、これが三途の川ってやつか? あの世に流れているっていう・・・じゃあ俺はやっぱり死んだのか・・・」
翔太郎は溜息をつく。天道を止めようとしたことに後悔はない。だがやはり死んでしまったのは残念だ。
「ハァ・・・今頃天道やフィリップはどうしてるか・・・・・・まあもう考えても仕方ねえか」
翔太郎はあきらめて三途の川を渡ろうとした。その時だった。
「翔ちゃん、お前はまだこっちに来るべきじゃないよ」
翔太郎の頭の中に声が響いた。
「その声・・・まさか! じーちゃん!?」
翔太郎はきょろきょろと周りを見る。そして川の向こう岸に誰かが立っているのを発見した。だが川の向こう岸は霞がかっていて人影として認識できるのみだった。
「久しぶりじゃな翔ちゃん」
「やっぱりじーちゃんなのか?」
向こう岸の人影はうなずいた。
「翔ちゃんにはまだやるべき事が山ほどある。だからまだこっちに来ちゃダメだよ」
「だけどじーちゃん、俺はもう・・・」
「大丈夫! 翔ちゃんはわしの孫だから、もう少しすればきっと元の世界に帰れるよ」
「そりゃあ確かにじーちゃんはすげえけどよ、いくらなんでも生き返るのは無理・・・ありゃ?」
翔太郎が振り返るとじーちゃんの人影はすでになくなっていた。
「じーちゃん!?」
「見つけたぞ、左」
また誰かの声が頭の中に響いた。翔太郎は振り返る。そこには天道が立っていた。
「天道・・・まさかお前」
天道も死んでしまったのではと思ったが、天道は首を横に振って即座に否定した。
「お前には悪いことをした。謝って済むことではないことはわかっている。俺は・・・」
「いいじゃねえか別に」
翔太郎は楽観的に答えた。
「お前が正気に戻ってくれたみたいで安心したぜ。これでお前にあの街を預ける事ができる」
「左・・・」
「つっても俺、何かこれから生き返れるらしいんだけどよ」
「なに!? それはどういうことだ?」
「さあ・・・さっきじーちゃんに会ってそれで言われたんだよ。その時はそんなことはねえって思ったんだけどよ、なんかついさっきから引っ張られてる感じがするんだよな。元の世界に」
「そうか・・・よかった。本当に」
天道はほっと一息つく。
「よっしゃ! じゃあこれからは俺たちとお前でこの街を守っていこうぜ!」
翔太郎は右手を天道に向かって伸ばす。
「ああ、もう二度と俺の前で人の輝きを消させはしない!」
天道はガシッと翔太郎の右手を握り返した。

天道は天の扉を開いて外に出る。朝焼けが眩しく天道を照らしている。
「その様子、問題は解決したようだね」
扉を出るとすぐそこで幻海が待っていた。
「俺は生まれ変わった。もう迷ったりはしない」
天道の引き締まった表情を見て幻海は満足そうにフッと笑った。
その時、幻海の表情が強張った。邪悪な意思を持った誰かがこちらに近づいてくるのを感じ取ったのだ。
「総司」
「ああ」

天道はカブトゼクターをつかみとる。
「変身」
―Henshin(ヘンシン)―
天道はカブトへと変身した。さらにカブトはハイパーゼクターを呼び寄せた。カブトは左手でそれをつかみとる。カブトはハイパーゼクターを見つめる。
「今の俺に迷いはない・・・ハイパーキャストオフ」
カブトはハイパーゼクターをベルトの左側面に装着し、角型のレバーを1回押し倒した。
―Hyper Cast Off(ハイパーキャストオフ)―
カブトの鎧がより重厚な銀色の鎧にパワーアップする。
―Change Hyper Beetle(チェンジハイパービートル)―
一瞬、背中から蝶の羽のような緑色のタキオン粒子が広がった。カブトはハイパーカブトへの進化を遂げた。
「未来は見えた」
ハイパーカブトは前方に向かってダッシュする。そして右の拳で目の前の何もない空間を殴った。
「グヘェッ!!」
ハイパーカブトの拳には確かな殴った感触がある。奇声もした。敵に一撃浴びせたのだ。
木の影で様子を窺っているウェザー・ドーパントはハイパーカブトの力に驚きを隠せずにいた。
「まさか・・・! 第2の能力で完全に気配を消しているレッド・ホット・チリ・ペッパーが殴られるとは・・・あのカブト、いったいどんなパワーアップを・・・・・・」
ウェザー・ドーパントは右手を空に向かって伸ばす。そして能力で雷雲を呼び寄せた。レッド・ホット・チリ・ペッパーの充電のためだ。
雷雲がゴロゴロと稲光を発する。それを見てレッド・ホット・チリ・ペッパーはウェザー・ドーパントがどこに雷を落とすのか察した。レッド・ホット・チリ・ペッパーは第2の能力を発動させた状態で雷の落下地点へと飛び込む。
だがハイパーカブトはそれを許さなかった。並行世界への扉を開いてドレイクゼクターを取り出すとレッド・ホット・チリ・ペッパーを撃ち、雷の落下地点から吹き飛ばした。雷は何もない地面へと落ちた。
「カハアァッ!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーの第2の能力が解ける。そしてレッド・ホット・チリ・ペッパーの姿が始めてあらわになった。

その時、天道はハイパークロックアップでレッド・ホット・チリ・ペッパーの過去を見させられた。
レッド・ホット・チリ・ペッパーの本名は音石明。ごく普通のどこにでもいるようなギターが好きな青年だった。
ある日、明は自身と同じ趣味の伯父を自分が運転する車に乗せて好きなアーティストのコンサート会場に向かっていた。車は海岸沿いの道路を走っている。その時だった。
「ア、アキラッ!!」
伯父が叫ぶ。対向車線を走ってきた車がカーブを曲がりきれずにこちらに向かってきたのだ。
「アキラァッ!!」
明たちが乗った車はガードレールを飛び越えて海へと投げ出された。
気がついた時には明は病院のベッドの上で、伯父はすでに死んでいて、自身も左腕の肘から先を失っていた。車に乗せていた音石愛用のギターは波にさらわれてどこかにいってしまったらしい。そして学園都市の最先端科学技術を利用した再生手術を受けることは貧乏人の明には不可能だった。
明はギタリストの夢を絶たれた。
絶望する明の元にある時、1人の男が訪ねてきた。
「どうです? うちの組織ならあなたのその左腕をもう一度ギターが弾けるようにできますがねえ。もちろんお金はとりませんよ」
それが井坂深紅郎との始めての出会いだった。何も知らなかった音石は井坂の言葉を信じて彼の手術を受けた。
手術を受けた後、音石は自分の姿を見て驚愕した。音石は醜い恐竜の化け物になっていた。
「治った左腕はちゃんと動きますか?」
井坂はほくそ笑んでいた。
「何なんだこの姿は!?」
「私の実験ですよ。このスタンドの矢を君に刺し君をスタンド使いにした。そして君のスタンドをメモリ化した。さらに私はそのメモリを君の体と完全に一体化させたんですよ。そうすることでスタンドメモリがどこまでの力を発揮するのか知りたくてねえ」
音石は井坂の言っていることの意味がわからなかった。ただ恐怖と絶望感だけがどんどん増していった。
「ふざけるなッ!! こんな姿で人前でギターを弾けるか!!」
「ですが君の願いはギターをもう一度弾けるようになる事。君の体を実験に利用したのはその代金だと思って欲しいですねえ」
音石はやられたと思った。取り返しのつかないことをしてしまった。
それからしばらくして井坂は音石にこう言った。
「あなたの持つ力を全て見せてくれたら、元の姿に戻してやってもいいでしょう」
音石は井坂の言う事を聞くしかなくなった。元の姿に戻り、再びギタリストを夢見るために・・・

「そうか・・・これがお前の過去か」
天道は一瞬で音石の過去を閲覧し終えた。さらに音石の未来も全て見通した。
そして天道は音石の未来には破滅しかないことを知った。ここで自分が倒してやる事が音石にとってもっとも苦痛のない未来。だが、せめてと天道は思う。
ハイパーカブトは林の方にドレイクゼクターを向ける。そして何発か威嚇するように発砲した。
ハイパーカブトは様々に分岐した未来からウェザー・ドーパントがこちらに飛びだしてくる未来を見て、ウェザー・ドーパントが林の方に隠れていることを知ったのだ。
「まずい。あのカブトの力は未知数・・・今ここで戦うべきではないでしょうねえ・・・・・・」
ウェザー・ドーパントは若干悔しく思いながらもその場から撤退した。
ハイパーカブトは並行世界の扉を開いて左腕を突っ込む。そして抜かれた左腕にはザビーゼクターが装着されていた。ザビーゼクターからタキオン粒子が噴出し、左腕を包んで巨大なランスのような形状となった。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは溜め込んでいた電気を全て開放した。最後の特攻をかけるつもりだ。
「クロックアップ」
―Clock Up(クロックアップ)―
ハイパーカブトはレッド・ホット・チリ・ペッパーの特攻に備えてクロックアップした。ハイパーカブトのアーマーが展開する。
「オオオオオオオオオオッ!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーが叫び声を上げながら一直線にこちらに突進してくる。クロックアップ中だというのにレッド・ホット・チリ・ペッパーの動きは戦闘機並みの速さに感じられた。
だがハイパーカブトに対してどれだけ速く動こうと意味はない。
ハイパーカブトはレッド・ホット・チリ・ペッパーの未来の動きを全て見ている。レッド・ホット・チリ・ペッパーのパンチやキックの応酬はことごとく的確に防がれた。
ハイパーカブトは隙をついてレッド・ホット・チリ・ペッパーの腹にザビーゼクターのランスによる一撃を叩きこんだ。
「グブォッ!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは10メートル先まで吹っ飛んでそこからさらに転がった。
―Maximum Rider Power(マキシマムライダーパワー) 1・2・3(ワン・ツー・スリー)―
「ハイパーキック」
―Rider Kick(ライダーキック)―
ハイパーカブトは最強必殺技ハイパーライダーキックを放つ体勢に入った。背中から蝶の羽のようなタキオン粒子が広がってハイパーカブトは空へ飛んだ。
レッド・ホット・チリ・ペッパーはよろよろと立ち上がる。ハイパークロックアップによって絶対にかわされない方法はすでに導き出してある。
「ハアアアッ!!」
タキオン粒子を大量に纏った緑色に輝くハイパーカブトの右足がレッド・ホット・チリ・ペッパーを捉えた。
―Clock Over(クロックオーバー)―

「・・・何故直撃させなかった?」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは大木にもたれて座りこんでいた。ハイパーカブトがそこまで運んだのだ。レッド・ホット・チリ・ペッパーにもう歩く力は残っていなかった。直撃は受けなかったもののハイパーライダーキックはレッド・ホット・チリ・ペッパーの命を削るのに十分な威力だった。
「俺はもう二度と俺の前で人の輝きを消させはしないと誓った」
ハイパーカブトは並行世界の扉から1本のギターを取り出した。
「そいつは・・・!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは驚きを隠せないようだった。ハイパーカブトが取り出したのは海に消えたはずの音石愛用のギターだったのだ。
「聴かせてくれ。お前のギターを」
そう言ってハイパーカブトはレッド・ホット・チリ・ペッパーにギターを渡し、変身を解除した。
「・・・へへっ、もう二度と俺のギターなんて聴いてくれるやつはいねえと思ってたのによ・・・・・・」
レッド・ホット・チリ・ペッパー、音石明はギターを弾き始めた。

天道、そして幻海も音石のギターに聞き入っていた。儚いメロディー。だがギターを弾く音石の姿はどこか満足げに見えた。
「いい曲じゃないか」
幻海はそう呟いた。
「音石、お前のその曲は永遠に忘れない」
天道は心に刻んだ。
やがてギターの音は消え、音石明は燃え尽きたように息絶えた。

「ん・・・ンンッ!!」
翔太郎はあまりの激痛に奇声を上げた。
「翔太郎!? 本当によみがえったのか!?」
フィリップは慌てて翔太郎の傍に駆け寄る。
「あ・・・ああ。全身死ぬほど痛てーけどな」
「フフ、何を言っているんだい。さっきまで本当に死んでいたじゃないか」
「そういえばそうだったか」
フィリップは安心して思わず笑いをこらえられなかった。シュラウドの言っていたアギトの力というのが気になるが、今は翔太郎がよみがえったことを素直に喜ぼう。フィリップはそう思った。

夜、常盤台地区
天道は音石を幻海が保有している山の一角に丁重に埋葬した後、鳴海探偵事務所に向かった。
そこで改めて翔太郎とフィリップに土下座して謝った。人に頭を下げて謝ったのは初めてのことだった。それでもフィリップは怒っていたが、翔太郎の説得もあって仲間として認めてくれることになった。これからは皆で協力してこの街を守っていくんだと翔太郎は自分が怪我人だという事を忘れているかのように張り切っていた。
そして今、天道は翠屋へと向かっていた。
天道は閉店間近の翠屋の扉を開けて中に入る。店内ではひよりが1人で掃除をしていた。
「兄・・・天道総司・・・・・・」
どこか怯えているようにひよりはそう言った。彼女は本当はひよりではない。ひよりに擬態したワームだ。だがそれをわかった上で天道は言った。
「今まで通りでいい。お前がひよりとの約束を守るというのなら、お前は俺の妹だ。ずっと傍にいて守ってやる」
天道はひよりに向かって微笑んだ。そしてひよりもつられたように笑った。
「そうか・・・ありがとう、兄さん・・・・・・じゃあこれからは、ケーキの代金を払うという事も守ってくれ」
そう言われて天道の微笑みは苦笑いに変わった。

次回予告
翔太郎「なにィ? バンド!?」
杏子「あんたらさー、怪しすぎでしょ」
翔太郎「いいか、この辺の公園はどこも有名なハッテン場なんだよ!」
チームサティスファクション「デュエッ!!」
天道「あいつら・・・本当に人間か?」
フィリップ「わからない・・・僕は、何のために戦えばいいんだ・・・・・・」
鬼柳「次回、学園都市の日常・科学サイド『Fという名の牙/結成! 満足インフェルニティタイム』
これで満足だ!」


シュラウド「今日の最強ヒーローは『仮面ライダーカブト・ハイパーフォーム』
カブトがハイパーゼクターの力で進化した姿よ。通常時とは比べ物にならないほど大量のタキオン粒子を操る事ができ、格闘能力も格段にパワーアップしている。そして最大の特徴は装着者の脳を四次元の段階へ高めるシステム、ハイパークロックアップ。これがある限りハイパーカブトの戦闘は答えのわかっている詰め将棋のようなものよ」
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応援、ありがとー!!
by Joker 2012/06/17(Sun)22:31:43 Edit
今回でやっと天道編も終わったから次からは好き放題できるぜw
ヘッヘッヘッヘッヘwww
ナック離れのできない音石
by luke HP 2012/06/17(Sun)22:22:19 Edit
ア、アキラァッ!
お疲れさま。うん、今回は秀逸な話だったと思う。特に終わり方が良かった。また、以前よりも地の文が安定していて、すごく読みやすい。次回が俄然楽しみになってきた。
使用BGM
by Joker 2012/06/17(Sun)02:31:11 Edit
#1「裏」 遊戯王5D'sより
#2「怒り」 遊戯王5D'sより
#3「Stories」 コードギアス 反逆のルルーシュより
#4「NEXT LEVEL」 仮面ライダーカブトより
#5「"FourDivertimentos,op."'n°1,AndantinoGrazioso'」 仮面ライダー555より
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