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メンバー自己紹介
HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第19話「疾走するJ/惨状、草加雅人」
作者 Joker
作者 Joker
トライアルK&Zとの戦闘の後、天道と橘は幻海の家で一晩を過ごした。
そして朝、天道は山を下りることにした。橘は剣崎と共にトライアルの出現に備えるという。剣崎の暴走が心配だが、おばあちゃんもいるのでそれほど心配する必要はないだろう。
心配するべきは自分のことだ。
「さて・・・これからどうするか・・・」
家もない。職もない。金もほとんどない。敵にいつ襲われるかもわからないのにひよりのいる場所に行くこともできない。
人気のない学園都市の辺境の駅のホームで天道は1人途方に暮れていた。その時、風が吹いて新聞の広告が1枚飛んできて天道の足に張り付いた。天道はそれを拾って見る。
「黒岩相談所・・・」
あらゆる悩みに親身に応じ解決へと導きます・・・と書いてある。
くだらない。こんな問題、自分の力だけでどうにかできる。そう思って天道はチラシをゴミ箱に捨てようと思ったが、天道は今まで定職についたこともなくバイトの経験も皆無だ。天道はチラシをたたんでズボンのポケットに突っ込んだ。
風都地区・黒岩相談所
ミュージアム四天王の黒岩省吾はオフィスチェアーに座りタバコを吸っていた。
「ふぅ・・・吉影君は今頃どうしているだろうか・・・・・・」
久しぶりの休暇を取っている助手のことを考えたりして黒岩は退屈な時間を潰していた。
だがそんな暇な時間もドンドンというドアをノックする音によって終わりを告げられた。
「客か・・・どうぞ」
黒岩は椅子から立ち上がってドアを開ける。そして黒岩は驚いた。そこにいたのはミュージアムの敵、天道総司だったのだ。
「どうした? ここが黒岩相談所で合っているだろ?」
天道は眉間にしわを寄せてにらむようにこちらを見る黒岩にクシャクシャになったチラシを見せる。
天道が何を考えてここに来たのかはわからないが、とりあえず怪しまれてはまずい。黒岩は平静を装って、
「いや、久しぶりの客人だったもので少し驚いただけです。さあどうぞ中へ」
天道をソファに座らせ黒岩はコーヒーを2人分淹れて持ってくる。
「どうぞ」
天道にコーヒーを差し出し、黒岩も天道の向かい側のソファに座る。
黒岩は考える。天道は先日、ミュージアム首領の園崎琉兵衛を暗殺しようとした。おそらく敵対勢力の中では現在最も過激で危険な人物だ。こうしてこの事務所にやって来たのも何か考えがあってのことかもしれない。
黒岩が様々な考えを頭の中で浮かべては更なる疑問に悩まされている中、天道はのんきな顔で黒岩が出したコーヒーを一口すする。
だが次の瞬間、天道の表情に暗い影がさした。
「おい、なんだこのコーヒーは。客人に出すものではないな」
「なに?」
黒岩はムッとして眉間にしわを寄せる。
「ふざけるな。このコーヒーは俺があらゆる書物を読み漁って得た知識でブレンドしたものだ。まずいはずがない」
「いや、ならまずいはずだ。お前が得たのは薄っぺらい紙の上の知識。そんなもので本当にうまいコーヒーが作れるわけがない。コーヒーのブレンドとは自分の口で確かめて作るものだ」
そう言って天道は立ち上がり、邪魔したなと言って黒岩相談所を出ていった。
天道が去った後、黒岩は自分が淹れたコーヒーを一口飲む。そしてそのカップをテーブルに置き、直後に右腕で2つのカップをテーブルの外へ弾き飛ばした。カップはガチャンと音を立てて割れ、床に黒いシミを広げる。
「俺を馬鹿にしにきたのか・・・? 天道総司・・・この屈辱はいつか必ず晴らす・・・・・・!!」
黒岩は普段の冷静さからは考えられないほど怒っていた。そしてこの瞬間、黒岩は天道を自身の宿敵と定めた。
黒岩相談所を出た天道はコーヒーがまずかったという不快感でここに来たことを後悔していた。
「まったく・・・結局何も解決せずにまずいコーヒーを飲まされただけとは・・・・・・」
とりあえず天道はうまいコーヒーを飲んで口直しをしたいと思った。このままではこの不快感がいつまでも残り続ける。
そしてその口直しの場所はすぐに見つかった。黒岩相談所の斜向かいにある真新しいい喫茶店『W(ダブル)』。天道はここに入ることにした。
「え・・・天道!?」
ウェイターをしていた翔太郎は突然訪れた天道に驚きを隠せないでいた。天道もここで翔太郎が働いていることに驚いていた。だがよくよく考えてみれば天道はこの辺りの景色に見覚えがあった。1階が喫茶店になっているがこの建物は鳴海探偵事務所だ。
「天道・・・いったい何しに来たんだ?」
翔太郎は天道に詰め寄る。
「ああ、ここはうまいコーヒーを飲ましてくれるんだろうな?」
もう天道はうまいコーヒーさえ飲めれば何でもよかった。
「当たり前だ。うちのコーヒーはそんじょそこらのとは違うぜ」
「そのわりにはまったく客がいないな」
天道は店内を見渡す。客は天道ただ1人だけだった。天道はカウンター席に腰掛ける。翔太郎もカウンターに戻り、
「ああ、今は休憩中だ」
「休憩中? 今は昼、客入れ時に休憩とはどういうことだ?」
「従業員が足りないんだよ。俺とフィリップの2人だけ。しかもフィリップは何か気になったことがあったらすぐ自室にこもって延々と地球(ほし)の本棚で検索を始めちまう。今日も客がしてたゾンビ映画の話に興味を持って行っちまった」
「なるほど、そういう理由か」
「ああ、それで休憩中の看板をかけてたのに、お前は無視して入ってきたわけだ」
「そうか、じゃあ俺がここで働いてやる」
「なんだと?」
翔太郎は天道の意外な申し出に驚愕した。
「ここならたとえミュージアムが突然攻めてきたとしても安心だ。だから俺がここで住み込みで働いてやろう」
「いや、勝手に決めんなよ」
とはいえ、確かに天道の言う通り仮面ライダーが2人いれば片方が襲ってきたミュージアムと戦っていてももう片方が客を避難させることができる。
それに今まで協調性の欠片も見せてこなかった天道がこの瞬間こちら側に歩み寄ってきたのだ。これは天道との協力体制を整える千歳一隅のチャンスかもしれない。
「よし、じゃあ1階の物置の横の部屋を貸してやる。しっかり働いてくれよ」
「ああ、このコーヒーをくれ」
天道はメニューを指差して翔太郎に頼んだ。翔太郎はとびきりうまいコーヒーを天道のために淹れてやることにした。
「おい聞いたか? あの照井竜、こないだガイアメモリ所持罪で捕まったみたいだが、そのガイアメモリ・・・押収したものってことにされたらしいぜ」
「外部から上に圧力がかけられたんだってな。やっぱりあいつ、変な繋がりがあるんだよ」
風都署の廊下を歩いているとすれ違った者が皆自分のことについてひそひそと喋りだす。その会話が丸聞こえなのも照井竜にとってはいつものことだった。
照井は若干25歳にして風都署の超常犯罪捜査課の課長にまで昇り詰めた。実際照井は自身の実力でその地位についたわけだが、そのことを疑問視する連中が照井竜は裏で怪しいコネを使っていると言っているのだ。そのせいで超常犯罪捜査課のメンバーたちも照井に対して距離を置いている。
だが照井はそんなことを気にしたりはしない。復讐さえ達成できれば他はどうでもいいのだ。それに1人でいるほうが色々行動もしやすい。
廊下を歩いていると照井のケータイが震えだした。非通知の着信だ。照井は電話に出る。
「誰だ?」
『シュラウドよ。頼みたいことがあるの』
照井はシュラウドに自分の電話番号を教えた憶えはない。だが問題はそこではない。シュラウドが自分に頼み事とはどういうことだろうか。
『署の裏で待ってるわ。今すぐ来なさい』
そう言ってシュラウドは電話を切った。そして照井も振り返って直ちにシュラウドの元に向かうことにした。
署の裏の人気のないところにシュラウドはいた。
「頼み事とはなんだ?」
この女に挨拶はいらない。そう思って照井は単刀直入に聞く。
「新しい仮面ライダーが誕生したわ。あなたにそのサポートを頼みたい」
「サポート? 何故そんなものが必要なんだ?」
「その新しいライダーはある連中に狙われている」
「ある連中?」
「彼に盗ませたライダーシステムの持ち主たちよ。奴らが取り戻そうと必死になってくるのはわかっていた。だからその時はあなたに適合率のアップを兼ねて戦ってもらおうと思っていた」
「なるほどな・・・ところで俺とアクセルメモリの適合率は現在どのくらいなんだ?」
照井竜が使うアクセルドライバーはガイアメモリの力を誰でも100%引き出すことのできるベルトだ。だがその代償に使用者のメモリ適合率は通常の倍以上の速度で高まっていく。そして適合率が100を示した時、使用者はメモリと融合し一生化け物の姿から戻れなくなるのだ。
照井は今までにミュージアムからの刺客と何度も戦闘を行ってきた。そのたびにアクセルメモリの力が自分の体に強く馴染んでいくのを感じていた。
「そうね、あなたが今まで行った戦闘は全て把握しているけど・・・ざっと60%といったところかしら」
「ならもう少しすれば俺はエクストリーム化を起こすのか・・・」
照井は右の拳を強く握り締める。
「いいえ、まだまだよ。最近のあなたの様子を見ているとどうやら安定期に入ってきたようだわ。沸点に近くなった水のグラフがその直前でしばらく水平を描くように、メモリの適合率にも水平の時期がある。あなたは今その時期にある」
「そうか・・・じゃあ1つ約束してくれ。俺がエクストリーム化をする時、それは復讐を達成する時だ。だからその時は俺を奴の・・・井坂の元に導いてくれ」
まだ見ぬ復讐の相手、井坂深紅郎。シュラウドは奴のことを知っている。
「ええ、いいでしょう。でもおそらくその必要はないわ」
「なに? どういうことだ?」
「奴は強さを求めている。だから奴はもうすぐあなたたち仮面ライダーの強さを求めてその姿を現すでしょう。自分以外の全ての力を蹂躙するために」
照井の心拍はさっきから上がりっぱなしだった。
「いいだろう。必ず返り討ちにしてやる・・・!」
「そう・・・それで新しい仮面ライダーのことだけれど・・・・・・」
シュラウドは照井に新しい仮面ライダーの変身者のことを話し始めた。
1人の若い男が橋の下で数人のスーツ姿の男たちに囲まれていた。男は川を背にして立っている。
「もうあきらめろ。盗んだ物を返せ」
スーツの男たちは男にじりじりと迫ってくる。
「まったく・・・しつこいなぁ、君たちは・・・・・・」
男は懐から携帯電話を取り出す。それを見てスーツの男たちは慌てて身構えた。
「そんなに返して欲しかったら返してやるよ・・・冥土になぁ!」
男はケータイに9・1・3と番号を打ちこんだ。
―Standing by(スタンディング バイ)―
ケータイからボゥンボゥンという待機音が鳴り響く。そして、
「変身!」
男は装着していたベルトにそのケータイを挿し込み、下に向かって倒した。
―Complete(コンプリート)―
音声が鳴り響き、辺りが黄金の光に包まれる。スーツの男たちは一斉に目を伏せる。そして光が弱まった時、再び男の方を見るとそこには全身に黄色のラインを走らせ、バツ印をつけた顔の仮面ライダーが立っていた。
「カイザ・・・返す気はまったくないということか」
カイザ、スーツの男たちはこの仮面ライダーをそう呼んだ。そしてもはや力づくで取り戻すしかないと考えたスーツの男たちは腰に巻いたベルトに手を伸ばす。
「変身」
スーツの男たちはベルトの『SMART BRAIN(スマートブレイン)』と書かれた上に向いているパーツを下に向かって倒す。
―Complete(コンプリート)―
電子音声が鳴り響き、スーツの男たちは銀色の仮面の戦士、ライオトルーパーへと変身した。
ライオトルーパーたちは左足のホルダーに収納していたコンバットナイフ型の武器、アクセレイガンを引き抜く。
カイザも右手をあごに当て首の骨を一回鳴らし、そしてベルトの右側のホルスターに収納されている十字型の武器、カイザブレイガンを引き抜いて右手に持った。
ライオトルーパーたちは一斉にカイザに向かって突っ込んでいく。カイザは引き金を引きカイザブレイガンの放つ光の弾丸で応戦するが数が多いためすぐに接近されてしまった。
カイザはパンチやキックで周囲のライオトルーパーたちをふっとばしながら、隙を見てベルトの前面の小型パーツ、ミッションメモリーを抜いてカイザブレイガンにセットした。するとカイザブレイガンの下部から棒状に1メートルほどの光の刃が伸びる。
カイザは光の刃に対してカイザブレイガンを逆手に持ち、今度はそれでライオトルーパーたちを攻撃し始めた。カイザブレイガン・ブレードモードの威力は高く、その一撃をくらったライオトルーパーたちは皆吹き飛ばされ悶え苦しんだ後、青い炎を上げて灰になって死んだ。
「くっ・・・! やはりカイザの力にはこれでは太刀打ちできんか・・・全員撤退するぞ!」
ライオトルーパーたちは全員急いで走ってカイザの前から姿を消した。
カイザは去るものは追わずといった感じで変身を解除した。その時、
「君が草加 雅人(くさか まさと)か」
橋脚の裏から1人の男が現れた。照井竜だ。照井はカイザの戦いを始めからずっと見ていたのだ。
「だとしたらどうなのかな?」
仮面ライダーカイザに変身する男、草加雅人は聞き返す。
「俺はシュラウドに頼まれて来た。君がある組織に狙われているから助力を頼むと」
「なるほど、そういう事情か。ということはあんたも?」
「ああ、シュラウドに選ばれた仮面ライダーだ」
ふーん、と言って草加は納得した。だが、
「うっ・・・」
草加は突然ふらついてその場で膝をついた。
「どうした?」
照井はしゃがんで草加の顔を見る。すごく気分が悪そうだ。
「ああ・・・カイザドライバーは装着者の体力を著しく消耗する・・・・・・すまないが1人で立ち上がれそうにない。肩を貸してくれないか?」
照井は了承して草加と肩を組んで立ち上がった。
その瞬間、照井は腹部に強烈な痛みを受けて一瞬で気絶した。
草加はニヤリと笑って倒れた照井を見下している。草加は照井が立ち上がった瞬間を狙って強烈なボディブローを照井に打ち込んだのだ。
草加は倒れている照井からアクセルドライバーを盗み取る。そして照井を置いてさっさとその場から立ち去った。
翔太郎は天道の実力を見るために午後から店を再開させた。
天道はウェイターの仕事も厨房の仕事もすべててきぱきと手際よくこなしてみせた。おかげでそこそこの数の客が入っていたのにまったく苦にならず、むしろ余裕さえ感じることができた。
しばらくして店内に客がいなくなってから翔太郎は天道に話しかけた。
「いや~まさかお前がこんなにできるやつだったとはなあ」
「当然だ。なにしろ俺は天の道を往き、総てを司る男だからな」
意味不明なことを言い、意味不明なことをする男。だがその実力は確かだ。翔太郎は天道を雇って正解だったと思った。
その時、扉を開けて新たに客が入ってきた。
「いらっしゃ・・・シュラウド!?」
翔太郎も天道も目を見開いて驚愕していた。いったい何が起こったのだと。
だがシュラウドはいつもの冷静さで、首を動かして店内の様子を見てから、
「なかなかいい店ね」
と言った。
「そんなことを言うためにこの店に来たんじゃないだろう。いったい今日は何の用だ?」
天道はシュラウドの顔をにらみつけて言った。
「この街に新たな仮面ライダーが誕生したわ。それを伝えにここに来た」
「それはどうも。で、どんなやつだ?」
「それは天道総司、あなたがよく知っている人物よ」
「俺がよく知っている人物・・・?」
天道は考える。自分の知り合いの中で仮面ライダーになりそうな人物を。そして考えている内に天道は先日の幻海の言葉を思い出した。
『このあいだ、雅人がうちに来たよ。これから自分がすることの邪魔をするな・・・だとさ。自分の前に立ち塞がる奴は容赦なく殺すとも言ってたねえ』
「まさかシュラウド・・・草加雅人を仮面ライダーにしたのか?」
「ええ、そうよ」
それは天道にとってなによりも恐ろしいことだった。
「何故奴をライダーにした!」
天道の語調が荒くなる。
「お前がミュージアムと戦う上で都合のいい人物を選んでライダーにしているのはわかる。だが奴だけは・・・草加雅人だけはライダーにするべきではなかった!」
「でも彼はミュージアムとの戦いにおいてきっと役に立つ。彼の信念があれば・・・」
「シュラウド、まさか雅人がどういう人間か知っていて・・・それでもやつをライダーにしたのか!?」
天道は信じられないという思いでシュラウドの顔を凝視する。
「ええ、そうよ」
「ふざけるな!」
天道は強く机に自分の両拳を叩きつけた。バンと大きな音が店内に響く。
「いつか必ず奴をライダーにしたことを後悔する時が来るぞ」
その時、シュラウドのケータイが着信音が鳴り始めた。シュラウドは電話に出る。そしてしばらくして電話を切るとシュラウドは天道に言った。
「照井竜が草加雅人にやられたわ。アクセルドライバーを盗まれたそうよ」
「やはりな・・・もたもたしていれば他のライダーたちも雅人に襲われるぞ」
そう言った直後、今度は天道のケータイが着信音を鳴らし始めた。メールだ。天道のバイク、カブトエクステンダーに搭載されているワームサーチャーが反応したのだ。メールにはワームが出現した位置が記されている。
「ワームか。きっと矢車が戦っているだろう。雅人もいるかもしれない」
天道は急いで外に出ていった。シュラウドも外に出ていこうとするが、
「待てよ」
翔太郎はシュラウドを呼び止めた。
「あんたには聞きたい事がある。こないだの事件で木山春生から色々聞いたからな」
「そう・・・答えられる範囲で答えてあげるわ」
シュラウドは翔太郎の方へ向き直る。
「あんたとおやっさん・・・鳴海荘吉の関係を教えてくれ」
シュラウドの依頼でダブルドライバーを託され、そのダブルドライバーを翔太郎に託して凶弾に倒れた翔太郎がおやっさんと呼んで敬愛した男、鳴海荘吉。
何故おやっさんはシュラウドからの命がけの依頼を受けたのか。翔太郎にはそれがわからなかった。
シュラウドは質問に答える。
「彼は私の幼馴染だった。小学生くらいの頃からかしらね」
シュラウドは昔を懐かしむように語り始める。
「彼は昔から寡黙だったけれども誰よりも正義感に熱く、そして誰よりもこの街を愛していた。私がミュージアムを敵に回し、もはやこの街に居場所を失った時、もはや頼れるのは彼だけだった。翔太郎、あなたがスーパーマーケットの試食品を荒らしていた時、それを鎮めてくれるように荘吉に依頼したのは私よ」
「なんだって・・・!?」
「そしてその依頼の真の目的は、あなたを荘吉の弟子にすること。荘吉は弟子を取るなんて柄じゃないと嫌がったけれども、あなたは荘吉に憧れて荘吉の弟子になってくれたわ」
全てシュラウドの予定通りだったというのか、と翔太郎は驚愕のあまり何も言葉を返せなかった。
「来人救出の依頼は荘吉は何も文句を言わなかったわ。それがこの街を救うことに繋がると荘吉は理解していてくれたようだったから」
「街を救うことに繋がる? 一体どういうことなんだ・・・?」
翔太郎はもう1度シュラウドに質問をする。
「教えてくれ! 俺が『切り札(ジョーカー)』とはどういうことなんだ!?」
木山春生は翔太郎のことをそう言った。何故フィリップの相棒が、ダブルの左が翔太郎でなければならないのか。翔太郎はその言葉に答えがあるような気がしてならなかった。
「それはいずれあなたが自分自身の体で知ることになるわ」
そういってシュラウドはさっさと去っていってしまった。
1人取り残された翔太郎。結局、謎だけが残った。
天道はカブトエクステンダーを走らせながら草加雅人についての過去を思い出していた。
天道総司と草加雅人の初めての出会いは天道が7歳の時の正月だった。
幻海の元で修行をするために妹のひよりと別れた総司だったが、それでも正月や盆には親戚一同が集まるために会うことができた。
総司が引き取られたのは母方の幻海の家。対して、ひよりが引き取られたのは父方の草加家だった。草加家は天道の父親の弟夫妻の家庭で、草加雅人はその家の子供だった。つまり天道総司とは従兄弟(いとこ)の関係に当たる。
総司と雅人は同い年だったが、その性格はまるで正反対だった。毎日の幻海の厳しい修行に耐え、歳の割には何でもそつなくこなせた総司。話しかけられてもうじうじしているばかりで、お茶や雑煮を和服の裾に引っ掛けて何度もこぼしていた雅人。
聞くところによると雅人は学校ではいじめの対象になっているらしかった。確かにこれだけ人見知りが激しくどんくさければ友達の1人もできずにいじめられるだろうなと当時の総司は思った。
だがひよりの前にいるときだけ、雅人はいつもと違ういきいきとした様子を見せていた。
しばらくして総司たちは外で羽根突きを始めた。
雅人はここでもその不器用さとどんくささを発揮し、総司によってどんどん顔が黒く染められていった。
しばらくして雅人の顔が完全に真っ黒になった頃、雅人は羽を総司とはまったく逆の方向に飛ばしてしまった。それをひよりが拾いにいった時、ひよりはつまずいて近くにいた野良犬の尻尾を押し潰してしまった。怒った野良犬はひよりの足に噛み付き、ひよりは怪我をした。
すぐさま総司はひよりを抱えて家の中に駆け込んだ。幻海に診てもらうためだ。雅人は野良犬をにらんだまま動こうとはしなかった。
ひよりの怪我はたいしたことはなく、消毒などをしただけで済んだ。
その治療が終わった後、庭から肉が焦げたような匂いが漂ってきた。不審に思った総司と幻海はひよりを家の中において庭へと向かう。
そこで見たのは焚き火の中で真っ黒に燃えている先程の野良犬だった。口や足を針金で縛られて抵抗できないようにされている。そんな野良犬を見下すように雅人が見つめていた。
雅人は総司たちに気がつくと墨で真っ黒な顔をこちらに向けて、
「ひよりは大丈夫だった?」
と笑顔で振り向いた。
総司は底知れぬ不安と恐怖をその時感じた。
幻海も同じものを感じたのだろう。後に雅人が幻海の元で修行をしたいと言ってきた時も幻海はまったく相手にせずに追い返した。
総司はその事件以来、雅人の『自分の大切なものを傷つけるものに対する、異常なまでの攻撃性』を心底恐れ、避けていた。
今回、雅人がライダーになったことで何かとてつもなく悪い事が起きる。総司にはそうとしか思えなかった。
「矢車さん、大丈夫ですか?」
部下たちが矢車に詰め寄って心配そうな眼差しで問いかけてくる。
「ああ、大丈夫だ。何も問題はない」
そう言って矢車は車へと急ぎ気味に歩いていく。
「でも矢車さん、さっき救出されたばかりじゃないですか! 本当に大丈夫なんですか!?」
トライアルZの攻撃をくらって吹き飛ばされた矢車は、川を流れていたところを先程救出されたばかりだった。そんな時に休む間もなくワームが現れたのだ。
「しかし今出撃してワームを倒さなければ・・・俺はきっとザビーを、シャドウの隊長を辞めさせられるだろう。だからもう後には引けない!」
矢車は少し離れたところからこちらを見つめる上司の三島の存在に気がついていた。彼の視線が本当にこれが最後のチャンスだと矢車に告げている。
矢車は覚悟して車に乗り込んだ。
草加は公園のベンチに座って照井から奪ったアクセルドライバーをいじっていた。
「何だ・・・他に何かなければ変身できないのか?」
草加はアクセルドライバーでの変身にガイアメモリが必要であることを知らなかった。
「こんなことならあいつが変身して戦うところを見てから奪うんだったな」
草加が照井からアクセルドライバーを盗んだのは自分が変身するため。そして、
「まあいい。これで邪魔なライダーも減った・・・次は・・・」
「うわああああああああッ!!」
その時、公園の中をヘッドフォンをしたDJのような風貌の 1人の少年が何かから逃げるように駆け抜けていった。見ると少年は数匹の緑色をした怪人に追われていた。
「あれは・・・ワームか」
草加はある程度のことは独自の調査とシュラウドからの情報で知っていた。
草加はベンチから立ち上がって、静かにワームたちの後をつける。
やがてワームたちは少年に追いつき、その腕で少年を殴り殺そうとする。
「うわああああああああああッ!!」
草加はケータイ型の変身アイテム、カイザフォンを取り出し変身しようとした。が、
「はあッ!」
ワームの腕が少年の顔面を直撃する直前、ザビー・ライダーフォームに変身した矢車の拳がワームを殴り飛ばした。それを見て草加はカイザフォンを再びしまう。
「お前たち! この人を安全な場所に避難させろ」
矢車の指示でシャドウの隊員たちは襲われていた少年を連れてワームの前から姿を消した。
「フウゥ・・・・・・!」
3体のサナギワームのうちの1体が脱皮してランピュリスワームと化した。
「お前たちは俺が倒す!」
ザビーはワームたちとの戦闘を開始した。草加は物陰からザビーとワームの戦いをじっくりと観察する。
「フンッ! はあッ!」
矢車はパンチの連打でサナギワーム2体を倒した。残るはランピュリスワームただ1体を残すのみだ。
「カアッ!」
ランピュリスワームは強く全身を発光させる。強烈なフラッシュでザビーは目の前が真っ白になった。
「くッ・・・ぐはぁ!」
ランピュリスワームの太い腕から繰り出されるラリアットがザビーを大きく吹き飛ばす。
「カシャアッ!!」
ランピュリスワームはクロックアップを開始してフラッシュで視界を奪われたザビーを一方的に痛めつけ始めた。
「うッ・・・くッ・・・クロックアップ!」
―Clock Up(クロック アップ)―
ザビーは手探りでベルト側面をスライドさせクロックアップを開始する。
「ライダースティング」
―Rider Sting(ライダー スティング)―
まだ視界が戻らないザビーは動き回らずにその場にしゃがむ。チャンスとばかりにランピュリスワームはザビーの背後から襲いかかった。
「はあッ!!」
だが次の瞬間、ランピュリスワームの胴体はザビーが突き出した左腕によって貫かれ風穴が開いていた。
矢車の超能力『視界盗用(サイレントジャック)』は半径30メートル内の他人の視覚と聴覚を頭の中のイメージとして共有できる能力だ。それによってザビーはランピュリスワームの視界を使って、わざと敵の接近を許し、必殺のライダースティングを撃ち込んだのだった。
「キャシャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
断末魔の悲鳴を上げてランピュリスワームは爆発し、緑の煙となって消滅した。
ランピュリスワームを倒してしばらくして、フラッシュにやられていたザビーの視界は元に戻った。
「そこで見ている奴。誰だ?」
ザビーはサイレントジャックで草加の存在に気がついていた。草加は物陰から出ていこうとしないが、ザビーは草加の方にどんどん近づいていく。
「最初から観察していたようだったな? 何のためだ?」
ザビーは質問しながら草加に歩み寄る。だがその時、
―Complete(コンプリート)―
「フン!」
カイザに変身した草加は物陰から急に飛び出してザビーを思い切り斬りつけた。
「かはッ!?」
カイザの不意打ちをまともにくらったザビーは地面に倒れ伏せる。
「フン」
そしてカイザは倒れ伏せているザビーの左腕を持ち上げられないように力を込めて踏みつけた。
「あああッ!!」
力のこもった踏み付けでザビーは苦痛のうめき声を上げる。どうやら左腕はこの踏み付けで折れてしまったようだった。
カイザは抵抗できないザビーの左腕から無理矢理ザビーゼクターとザビーブレスを奪う。ザビーの変身アイテムを奪われたことで変身は解除され、ザビーは元の矢車の姿に戻った。
カイザも変身を解除した。草加はザビーゼクターをまじまじと見つめ、
「クロックアップができるZECTのライダーシステムか。なかなかいいものだな。俺が貰っておく」
草加は矢車を置いてその場を立ち去ろうとする。
「ま・・・待て! それを・・・ザビーゼクターを返せ!」
草加は立ち止まって振り向き、
「命を奪わないだけ感謝してもらいたいなあ。それとも・・・君は今ここで死にたいのかな?」
草加は矢車に歩み寄り、右足で矢車の左肩の辺りを踏みつけた。
「ぐッ・・・あああ!!」
「恨みたいのなら恨めばいい。だが俺の邪魔だけはするな。いいな?」
最後に草加は矢車の顔面を蹴飛ばした。草加の執拗な攻撃にずっと耐えていた矢車はついに気絶した。
再びその場を草加が立ち去ろうとした時、1台のバイクがそこに駆けつけた。
草加は足を止める。そのバイクに乗っている者に見覚えがあったのだ。
バイクに乗っている男はバイクから降りてヘルメットを取った。草加はその男に話しかける。
「久しぶりだな。総司」
「雅人・・・・・・」
2人に昔を懐かしむような気ははなからなく、ただ不穏な空気のみがその場を支配していた。
空は雲に覆われていた。
次回予告
琉兵衛「人とは楽園を目指して生きるもの。ある者は正義に、ある者は野望に、またある者は愛に、理想とする楽園を求めて突き進む。哀しき宿命を背負った者たちには走り続けることでしか楽園は見えてこないのだ。天道総司と草加雅人。天を往く者と地獄を往く者が楽園を求めて走る時、街に潜んでいた爆弾に密かに火が点けられるのだった。
次回、学園都市の日常・科学サイド『疾走するJ/仮面狩り』
楽園に辿り着くのが先か、力尽きて果てるのが先か」
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