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teamBDR
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男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第12話「振り切るA/誰のために」
 
作者 Joker

「誰なんだ・・・お前は一体? 味方なのか・・・俺たちと一緒に戦ってくれるのか?」
ダブルに変身している翔太郎は謎の仮面ライダー、アクセルへと近寄る。しかし、
「フンッ!!」
アクセルはエンジンブレードで近寄ってきたダブルを切りつけた。
「うおッ・・・なにすんだッ!!」
切りつけられた胸を押さえながらダブルは憤慨する。
「俺に質問するなッ!! 俺は自分のためだけに戦う・・・俺の邪魔をするというのなら!!」
アクセルはエンジンブレードを振り上げる。
「よせ」
振り上げられた右腕をカブトがつかむ。
「俺もこいつもミュージアムと敵対する者。お前もおそらくミュージアムを敵とする者。いがみ合うべきではない」
アクセルの腕から力が抜けたのを感じてカブトは手を放した。
そしてアクセルは変身を解除し、照井竜の姿へと戻った。照井は強張った顔で、
「俺の名は照井竜。ミュージアムのある者への復讐のために戦っている。とにかく邪魔だけはするな」
そう言って照井はパトカーの中の仲間が無事であることを確認し、ケータイで応援のパトカーと負傷した仲間のための救急車を呼ぶ。
「おい、お前は誰なんだ?」
ダブルは攻撃されないように少し距離を取ってカブトに問いかける。天道は正体は明かさないほうが色々と都合がいいだろうと考え、答えるつもりはなかった。だが、
「さっきの声・・・お前天道だな?」
電話を終えた照井が真実を言い当ててしまった。カブトはキャストオフしてクロックアップで逃げようかと考えたが、フリーズ・D(ドーパント)の攻撃でベルトが凍りついたままでキャストオフができない。
「さっき俺と殴りあった天道が・・・仮面ライダー!?」
ダブルはカブトの両肩をガシッと掴む。カブトは慌ててそれを振り払ったが、その行為が翔太郎に確信を与えてしまった。
「やっぱりそうなのか・・・」
「天道、もうお前はどうでもいい。逃走するなり好きにしろ」
照井にそう言われ天道もそうしたかったが、カブトゼクターがベルトごと凍っているため変身が解除できない。この姿で街中を歩くことなど無理だ。
そんな天道の気持ちを察した翔太郎は、
「フィリップ、ヒートメモリだ」
ヒートの熱なら氷など簡単に溶かせる。ヒートメモリはフィリップの持ち物だ。
『あ、ああ・・・えーと・・・何だったっけ、翔太郎?』
「ちゃんと聞いとけよ。ヒートメモリだ」
『ああ、そうか。わかった』
ダブルの右手に赤いメモリが握られる。その赤いメモリとサイクロンのメモリが挿し換えられ、
―ヒート! ジョーカァーッ!―
右が赤、左が黒のダブル・ヒートジョーカーに変わった。
ダブルは高熱を纏った右手でカブトのベルトに触る。するとみるみる凍りは溶けていき、ベルトは元の状態に戻った。そしてカブトはゼクターをベルトからはずして変身を解除した。ダブルも変身を解除して翔太郎の姿に戻る。
「礼ならいわんぞ」
天道はさっきの殴り合いの件があったので素直に謝る気になれなかった。
「当然だ。ライダーは助け合いだからな。礼なんていらねえよ」
翔太郎はもうさっきの殴り合いの件はどうでもよくなっていた。ライダー同士、助け合って一緒にこの街を守るために戦っていくべきだろう。そういえば先週も別の仮面ライダーに会った気がするが記憶が戻ったばかりで頭が痛かったせいかよく覚えていない。なにか助けを求められていたような気がするが・・・まあいい、いまさら思い出したところでたいしたことではないだろう。翔太郎は今をどうするかしか考えていなかった。
照井は倒れているフリーズ・Dに変身していた男を担ぐ。
「どうするんだ?」
翔太郎が怪訝そうに聞く。
「署に連行してミュージアムのアジトの場所を吐かせる。俺の家族を殺した奴の手がかりがきっとあるはずだ」
「お前、ミュージアムに家族を!?」
「俺に質問するな」
照井が呼んだパトカーと救急車が到着した。照井は男をパトカーに乗せ自分も乗り込もうとする。その時天道が、
「待て、照井。お前のそのベルト・・・渡したのはシュラウドという女じゃなかったか?」
俺に質問するな、と言って返される気もしたが、天道は聞かずにはいられなかった。照井は少し考えたような顔をして、
「そうか・・・あの女はシュラウドというのか・・・」
照井は勝手に1人で納得してパトカーに乗り込み、去っていった。
「やはりシュラウドなのか・・・」
天道の表情が疑問で歪む。その時、翔太郎たちの前に1台のタクシーが滑り込んできて止まった。
「翔太郎! 照井竜は?」
ドアが開いてフィリップが現れる。佐天と初春も乗っていたようで、料金を初春が払っている。3人はタクシーから降りる。
「あいつならドーパントに変身していた男を連れて警察署に戻ってったぜ」
翔太郎は親指でパトカーが走り去っていった方向を指す。するとフィリップは慌てた様子で、
「今すぐ追いかけるんだ! じゃないと取り返しのつかないことになる!」
「取り返しのつかないこと・・・?」
翔太郎はいつもと違う冷静ではないフィリップにただならぬものを感じた。
「俺にも説明してもらおうか」
そう言って天道はこちらに近寄ってきた。
「照井のベルトに一体何があるのか・・・」
 
フィリップが語った照井のベルトの真実はこうだった。
照井のベルト、アクセルドライバーはフィリップがミュージアムに囚われ強制的にガイアメモリの研究をさせられていた頃に作った最初のライダーシステムだった。
後に作らされたダブルドライバーが2つのメモリから50%ずつの力を引き出して100%の力とするのに対し、アクセルドライバーは1つのメモリから100%以上の力を引き出す力を持っていた。
だがガイアメモリの力を100%引き出すということは使用者とメモリの融合、『エクストリーム化』を引き起こすということだった。
メモリの力が100%引き出されるということはメモリと使用者の適合率が100%を示すということだ。その瞬間、メモリはメモリの形を失い使用者の体との融合を始める。そうして融合したメモリは二度と使用者の体から排出されず、使用者は永遠にドーパントの姿のまま理性を失い暴れ続けることになる。
メモリとの適合率は変身するたびに上がっていく。だが普通は素質がない限り適合率はどうやっても100%にはならない。しかしアクセルドライバーの場合は素質がなくても、何度も変身していればそのうち適合率は100%を示すようになる。
圧倒的な強さと引き換えに化物となる可能性を秘めたベルト、それがアクセルドライバー。
 
翔太郎たちは風都署に向かって歩きながら話している。もう一度照井に会う前に状況を整理しているのだ。
「このまま照井を放っておけば・・・」
「照井竜とアクセルメモリは融合し、史上最強最悪のドーパント、アクセル・エクストリームとなる」
なんとしてでも照井からアクセルドライバーを取り上げなければならない。
だが翔太郎たちは知ってしまった。先程、フィリップの地球(ほし)の本棚によって、照井竜の悲しい過去を。誰も彼の復讐心を咎めることはできない。彼の心に復讐心がある限り、彼はアクセルドライバーを手放さないだろう。
「アクセルドライバーはあまりの危険性ゆえに僕自らが島の地下に封印したベルト・・・照井竜にベルトを渡したという女、シュラウドとは一体何者なんだ?」
『シュラウド』、どういうわけかこの名はミュージアムの地球(ほし)の本棚のサーバーによって検索禁止語(ブロックワード)に設定されている。何かあることは確実だ。
「天道、お前さっき照井にシュラウドって知らないかって聞いてたよな?」
翔太郎は天道を横目で見る。フィリップたちも天道に注目する。
「シュラウドって誰なんだ?」
「さあ・・・シュラウドについて俺は知っているとも言えるし、知らないとも言える」
「なんだよそれ・・・どういうことだ?」
「奴は決して自分のことを他人に教えようとしない。俺にわかるのは奴が俺にカブトゼクターを手に入れる手助けをしたということぐらいだ」
天道は腕を組んで目をつむる。シュラウドの正体、それを一番知りたがっているのは天道だ。
翔太郎たちが話し終わったのを見計らって佐天と初春が口を開く。
「とにかく許せない・・・そのシュラウドって人」
「そうですよ。人の気持ちを利用して、怪物になってしまうベルトを渡すなんて・・・」
誰だってそう思うだろう。シュラウドのやったことは文句なしに酷いことと言える。だが問題はその行いがどれだけ酷いかではなく、何故そのような酷い行いをしたのかだ。一体どのような意図があってのことなのか。
「すべてはミュージアムを滅ぼすため・・・」
そろそろ風都署にたどり着くという時に、突然後方から声がした。天道は驚いて振り向く。この聞き覚えのある声は確実に・・・
「シュラウド・・・!」
天道につられて翔太郎たちも振り向く。
「何故あんな危険なベルトを照井に?」
「ミュージアムの戦力はあなたたちの想像を遥かに越えている。特にミュージアムの最強幹部集団、ミュージアム四天王の1人、照井竜が恨みを持つ人物ならカブトを1秒間に10回殺せるでしょう」
天道は無表情を貫いていたが、内心驚いていた。自分が1秒間に10回殺される。そんなもの想像もできない。
「アクセル・エクストリームになれば暴走した感情に振り回されて理性を失うことになる。だから奴に恨みを持つ人物でなければエクストリーム化しても意味がない。だから照井竜にアクセルドライバーを渡した」
淡々とシュラウドはそう説明した。眉間にしわを寄せながら話を聞いていた翔太郎はついにブチ切れて、
「てめえ、人の気持ちを道具みたいに利用しやがって・・・何様のつもりだッ!!」
「何だっていいでしょう。彼は私が渡したベルトで復讐を果たす。私は彼がミュージアム四天王の1人を倒してくれることによってノルマが1つ達成できる。お互いに等しく利がある、これが彼と私の契約」
フィリップは納得できないという気持ちで、
「それはおかしいね。照井竜は自分の命を賭けている。だがシュラウド、あなたは何のリスクも背負っていない。等しく利があるなんてのはあなたの勝手ないいわけだ」
「確かにお前の言う通りだ」
その時、風都署の入り口から照井が出てきてこちらに歩み寄ってきた。
「だが俺はそれでもかまわないと思っている。たとえこの力が悪魔の力でも、俺は俺の家族を殺した奴に復讐ができればそれでいい」
「そういうことよ。竜、あの男からアジトの情報をつかめたんでしょう? そこにあなたが憎んでいる人物はいないわ。でもアクセル・エクストリームになるにはまだまだ適合率が足りない。何度かミュージアムと戦って、徐々に適合率を上げていきなさい」
「そんなの俺が許さねえ!」
翔太郎が拳を握り締める。それを見てシュラウドは溜息をついて、
「そうやってすぐ熱くなる・・・だからあなたはいつまで経ってもハーフボイルドなのよ」
「なんだって・・・シュラウド、あんたは!?」
シュラウドは自分のことをずっと昔から知っている・・・どういうことなのか? 一体何を意味しているのか? 翔太郎にはわけがわからない。
「シュラウド、とりあえずはあんたの意思に従って雑魚と戦って適合率を上げよう。だがこれだけは教えてくれ。俺の家族を殺した奴、その名を」
照井はサングラスの奥にあるシュラウドの瞳をにらみつける。
「俺も教えてもらおう。俺を1秒間に10回殺せる奴・・・興味がある」
天道も同じくシュラウドをにらむ。
「・・・井坂深紅郎、それが奴の名よ。でも今の状態で決して彼に戦いを挑んではならない。確実に殺される」
シュラウドがそう言った直後、突風が吹いて照井たちは顔を伏せた。風が止んだ後、シュラウドの姿はすでになかった。
 
照井は風都署の駐輪場に停めておいたバイクにまたがる。そんな照井の横から翔太郎は話しかける。
「照井・・・俺は復讐が間違っているとは言わねえ。だが自分を犠牲にした復讐は絶対に間違っていると思う」
「何故そう言い切れる? 俺のこの憎しみが分かって言っているのか? 俺にはお前の言っていることは偽善ぶった理想論にしか聞こえん」
照井は今確実にいらついている。次に何か言ったら殴られそうな感じだ。だが今言わなければならない。
「お前は自分の家族を殺した井坂を倒すことで自分の中の憎しみを消そうとしている。でもその結果、お前がなくなっちまったら意味がねえだろ」
「お前は何か勘違いしている。俺は自分の未来のために戦うんじゃない。奴のせいで惨めな最期を迎えさせられた俺の家族の無念を、俺の命と引き換えにしてでも奴にぶつける。そのためだけに俺は戦う」
「そんなのはお前の勝手なエゴだ。そんなことしてお前の家族が喜ぶのかよ!?」
「俺に質問するなァッ!!」
ついに翔太郎は殴られた。左の頬が痛む。帽子は地面に落ちている。
「ああそうだ。たぶんこの復讐が成功したとして、俺の家族は喜ばないだろう。この復讐は俺の自己満足のためのものかもしれない。だが自分のために戦って、死んで、何が悪い!? 全部俺の責任だ。お前にとってもミュージアムの敵が1人減るんだ。嬉しいことだろう」
「何言ってんだ・・・俺はこの街を守るために戦ってんだ。誰かを犠牲にしようなんて、絶対に考えたくねえ」
「そうやって他人のことを考えて戦っていると自分の身が持たんぞ」
そう言って照井はバイクで走り去っていった。翔太郎は帽子を拾って深めにかぶった。
「説得は無理みたいだね」
フィリップたちが後ろから出てきた。翔太郎が照井を1人で説得するというので陰からずっと見ていたのだ。
「でもあきらめたくねえ。あいつをアクセル・エクストリームなんかにはさせねえ」
「なら追うぞ。照井の後を」
天道にそう言われて翔太郎はうなずいた。
「佐天、初春、お前らとはここで解散だ。俺たちの戦いに巻き込むわけにはいかねえ」
「ええ、翔太郎さんたちの戦いに水を差すような事はダメですからね」
「3人ともがんばってください」
 
照井は御幸邸の前でバイクを停めた。
「まさかここが奴らのアジトとはな・・・」
照井はミュージアムの底の知れなさを感じた。だが恐怖はない。命をかけて戦う覚悟ならできている。
「待て照井!」
御幸邸に突入しようとした時、後方からバイクが停車する音と共に自分を呼ぶ声がした。振り向くと翔太郎とフィリップ、天道がバイクから降りる。翔太郎とフィリップが2人でハードボイルダーに、天道はカブトエクステンダーに1人で乗っていた。
「俺たちも戦うぜ、照井」
「僕たちが戦えば君の戦う時間は減る。それで少しは適合率の上昇を防げるはずだ」
「フン、勝手にしろ。どのみちお前たちの出番はない」
照井は再び前を向く。
「照井竜、屋敷の中ではまだパーティーが行われている。なるべく被害を出さないように戦うんだ」
フィリップは忠告するが、
「知らんな。俺は俺の目的が達成できればそれでいい」
「てめえ・・・なんて奴だ」
翔太郎が怒りを露にした時、
「ほお・・・ならこちらから出向いてやることもなかったかな」
翔太郎たちの右方向、噴水がある方から中年の男が1人歩いてきた。その男に翔太郎は見覚えがあった。
「あんたは珀ちゃんの養父の・・・」
「御幸剛だ。まさか仮面ライダーがこんな束になって攻めてくるとは・・・」
「お前がこのアジトの主か?」
照井の眉間にしわが寄る。
「さようだ」
「何故なんだ・・・珀ちゃんはあんたを優しい人だと言っていた。なのに何故あんたはミュージアムに携わるようなことを!?」
翔太郎は納得できなかった。剛は溜息をついて、
「なら聞こう。何故君たちはミュージアム、ガイアメモリを悪と決めつける?」
「え!?」
それは翔太郎たちが予想もしていない質問だった。
「確かにガイアメモリを使用した者は精神を侵され異常な行動に走ることもある。だがそれはガイアメモリがまだ未完成だからだ。それを完成品にし、世のために貢献できる形として送り出すためにミュージアムは存在している」
「そんなのてめえらの勝手ないいわけだろ!」
「君も知っているはずだ。この街では能力を持たない者は淘汰され、差別される存在であるということを」
それは翔太郎が身をもって知っている事実だった。翔太郎はそのせいで高校に行けなかったのだ。
「私もこの身をもって体験している。無能力者に対するいじめのおかげで、私は小学校五年生の時に学校に登校できない状態になってしまった。だから私は小学校五年生以降の勉強ができなかった。そんな私だから社会進出には苦労したよ。大人の社会は小学校以上に無能力者差別が激しいからね。どの企業も私を雇ってはくれなかった。そんな私を救ってくれたのがミュージアムだ。ミュージアムは私に五年生以降の勉強を教えてくれた上に、ガイアメモリの流通に携わる仕事をくれた。おかげでこのような屋敷に住めるまでに富を築くことができた」
翔太郎たちは剛の話をただ黙って聞いているしかなかった。
「私の妹、つまり珀の母親が死んだ時、私はかつてミュージアムが私にしてくれたように、私も珀に最大限尽くしてやろうと思った。そう考えた時、私はある1つの未来を恐れたのだ。もし珀が何の能力にも目覚めなかったら、私と同じような迫害を受けるのではないか・・・と。あの子は誰よりも優しい子だ。そんな目に遭わせるわけにはいかない。だからこそ言おう。君たちを倒し、私はミュージアムとガイアメモリを更なる発展へと導く!」
剛は懐からガイアメモリを取り出す。照井は忌々しそうにガイアメモリを見つめ、
「貴様の言い分は分かった。だがガイアメモリはこの街の条例で取り締まられている立派な犯罪だ。許すわけにはいかん!」
照井はアクセルドライバーを腰に巻いて懐からアクセルメモリを取り出す。天道も空間転移(ジョウント)で飛来したカブトゼクターを右手で掴み取り、
「おばあちゃんが言っていた・・・人の心を動かすのは力ではない。人の心は人の心によってのみ動く」
―アクセル!―
「変ッ・・・身ッ!」
アクセルメモリをアクセルドライバーに挿し込み、右のグリップを捻る。赤い光とバイクのエンジン音のような音が鳴り響き、照井は赤い装甲の戦士、仮面ライダーアクセルへの変身を遂げた。
「変身!」
―Henshin(ヘンシン)―
天道はライダーベルトにカブトゼクターをセットし、仮面ライダーカブト・マスクドフォームへの変身を遂げた。
「翔太郎、僕たちも戦うんだ」
フィリップは棒立ちしている翔太郎に変身の催促をする。だが、
「なあフィリップ、ガイアメモリはこの街を汚す絶対に許せねえ物・・・なんだよなあ?」
「・・・何を言っているんだ。翔太郎?」
「でも俺たちがあいつを倒したら、珀ちゃんは幸せになれるのか? 俺と同じような目に遭ったりしないなんて保障があるのか?」
「翔太郎! 落ち着くんだ!!」
「俺たちだってガイアメモリで変身して戦ってるんじゃねえか・・・害がないんだったらガイアメモリだって誰かを救う力になるかもしれない・・・そういうことなのか?」
翔太郎は完全に自信を喪失してその場にへたれこんでしまった。
剛はあごの裏の生体コネクタを露にして、
「見るがいい! ミュージアムがスタンドの矢の力を利用して作り上げた、スタンドの記憶を内包したガイアメモリを!!」
―ナイトメア・ファクトリー―
普通のガイアメモリとは違う低く濁った声が響いて剛の生体コネクタに挿入される。そして剛はシルクハットをかぶった奇術師のような姿の『スタンド』に変身した。
「スタンドのガイアメモリだと?」
天道は今まで何度かドーパントと戦ったことがあった。だがこのドーパントは今までのドーパントとは何かが違う。
「では、いかせてもらおう」
「それはこっちのセリフだ!」
アクセルはエンジンブレードを持ってナイトメア・F(ファクトリー)に斬りかかる。
「ヌン!」
だが大振りなアクセルの動きは簡単に読まれ、即座に背後に回られてしまった。そしてナイトメア・Fは右手でアクセルの後頭部を掴む。
「さあ発動しろ。悪夢製作所(ナイトメア・ファクトリー)の能力!」
その瞬間、アクセルは頭痛のような痛みに襲われた。だがそれは一瞬のことで、直後には痛みは消え去っていた。ナイトメア・Fはアクセルの頭から手を放す。
「なんだ・・・なんともないぞ・・・」
頭痛から開放されたアクセルは拍子抜けした気持ちで正面を向いた。だがその瞬間、照井は身も心も凍てついた。
「父さん・・・母さん・・・春子(はるこ)・・・!!」
アクセルの眼前に存在しないはずの両親と妹の凍りついた像があったのだ。さっきまで雲ひとつなかった青空は真っ黒な雲で埋め尽くされている。自分の家族が殺された日もこんな不気味な空だったと照井は思い出す。
その時、アクセルは足元が妙に冷たいと感じた。見てみると自分の膝までが凍りついている。ちょうど目の前の家族と同じように。しかも氷はどんどん上に昇ってきている。このままでは全身が氷の中に閉ざされてしまう。
右手でグリップを捻ってアクセルメモリの力で熱を起こそうとした時、腹部を突き刺されたような痛みが走った。ツララだ。極太のツララがアクセルの腹部を貫いている。
「うおおおおおおおおおおおおおッ!!」
アクセルは発狂してまるで凍りついたかのように棒立ちしている。
「・・・どういうことだ?」
カブトの目には頭を掴まれたアクセルが1人で何かに怯えているようにしか見えない。
「俺には分からないような形でダメージを与えたか、それとも幻術の類か・・・」
いずれにしてもナイトメア・Fにつかまるのはまずい。カブトは屋敷の外に向かって走る。
「どうした? 逃げるのか」
「違うな。俺の戦いに臆して逃げるなどという選択肢はない」
カブトは停めておいたカブトエクステンダーにまたがる。そしてエンジン全開で再び屋敷の敷地内に侵入した。
「キャストオフ!」
―Cast Off(キャストオフ) Change Beetle(チェンジビートル)―
カブトはマスクドフォームからライダーフォームへと変わる。それと同時にカブトエクステンダーもフロントカウルが左右に弾け飛び、前輪が左右に分かれて角が前方に伸びる。カブトエクステンダーのキャストオフした高機動形態、エクスモードだ。
「クロックアップ」
―Clock Up(クロックアップ)―
カブトはカブトエクステンダーごとクロックアップする。目に見えないほどの高速移動でナイトメア・Fの周りを周回しながらカブトクナイガンによる銃撃でダメージを与えていく。
「うぬおおおッ!」
ナイトメア・Fは一方的に攻撃され反撃することもできない。
ナイトメア・Fの能力は、頭に触れることで対象が持つ恐怖の記憶をリアリティのある幻覚として体感させること。すなわち相手に接近できなければ意味のない能力なのだ。ナイトメア・Fはパワー型のスタンドだが、どのみちカブトに接近できなければならない。クロックアップを駆使して決して相手に捕らわれることのないカブトとナイトメア・Fの相性は最悪と言える。
「そろそろ引導を渡してやる」
カブトが止めの一撃をナイトメア・Fに加えようとした時、
「させないッ」
突如ナスカ・D(ドーパント)が高速移動で飛来して、剣でカブトを斬りつけた。
「なにッ!」
―Clock Over(クロックオーバー)―
カブトはカブトエクステンダーから弾き飛ばされ、地面を横回転で転がる。
「御幸さん、サポートなら僕に任せてください」
「ありがとう、霧彦君!」
「いえいえ、仕事ですから。それに彼には個人的な因縁もある」
ナスカ・Dは地面に倒れ伏せているカブトに剣を向ける。
「クロックアップに対応できるスピード・・・だと!?」
「フフ・・・ナスカメモリの力なら造作もない。さあ、ケーキをぶつけられた屈辱、ここで晴らしましょう」
カブトは立ち上がりながら、
「そうか・・・お前あの時の・・・なるほど、まだ根に持っているのか。だがおばあちゃんが言っていた。人も料理も、しつこいものは嫌われる・・・と」
「なんだって・・・!? まさか!!」
霧彦は自分の日頃の行いを振り返ってみる。もしかしたら最近妻が冷たいのは自分が何かしつこい態度をとったからかもしれない。だが自分では思い当たる節がまったくない。
「いや・・・でももしかしたら・・・・・・しかし・・・」
霧彦はだんだん自信がなくなってきた。
「霧彦・・・霧彦だな?」
同じく、自信喪失中の翔太郎はナスカ・Dに話しかける。
「教えてくれ! お前は何のためにガイアメモリを!?」
「探偵君か。すまないが今君にかまっている暇はない。僕は今、目の前にいる敵を倒すことしか考えられない」
ナスカ・Dは剣をカブトに向かって構え直す。とりあえず今はミュージアムに敵対する者を倒すことを最優先にするということで落ち着いた。
「お前はこの街を汚そうとしているんじゃないのか?」
「探偵君、僕から言えることはただ1つ。君は僕のライバルだということだ。いつか必ず君は僕の手によって倒される。覚えておくといい」
ナスカ・Dは剣でカブトに斬りかかる。カブトはそれをカブトクナイガン・クナイモードで防ぐ。
 
「このまま幻覚に精神を押し潰されるがいい」
ナイトメア・Fはアクセルの頭部に触れてさらに幻覚を強くする。
「うおおおおおおおおおおおおおッ!!」
アクセルはツララで全身を貫かれた上に極寒の吹雪にさらされる幻覚を見ている。
「そろそろ止めだ。こいつが最も恐ろしいと思うものを見せてやる」
照井の精神は限界まで疲弊しきっていた。精神へのダメージにアクセルメモリの超回復能力は通用しない。
「もう・・・終わるのか・・・・・・まだ始まったばかりなのに・・・俺は!!」
その時、照井の前に1人の男が現れた。男は影になっていて顔は分からない。男は氷漬けにされている照井の家族に触れた。すると男の体から不気味な紫のオーラが放たれ、照井の家族は一瞬にして粉々になった。
「父さん・・・母さん・・・春子・・・うおおおおおおおおおォオオオオオオオオオオッ!!」
アクセルが発狂するのを見てナイトメア・Fは悦に入る。
「勝った! 仮面ライダーアクセル、照井竜の精神は崩壊したッ」
「いいや・・・違うな。崩壊するのは貴様らミュージアムだ」
ナイトメア・Fはハッとなってアクセルを見る。
「まだ見ぬ俺の家族の仇、井坂深紅郎・・・奴に一矢報いるまで、俺は死なん!!」
アクセルはアクセルドライバーをベルトから分離させハンドル部分を握る。するとアクセルの体がどんどんバイクのような姿に変形していく。
「な・・・何だこれは!?」
アクセルの隠された能力、アクセル・バイクフォーム。それはアクセル自身がバイクに変形する能力なのだ。
バイクフォームとなったアクセルはエンジン全開でナイトメア・Fから離れる。
「さあ・・・振り切るぜ!」
―アクセル! マキシマムドライブ!!―
アクセルは景色が溶けて見えるほどの超加速でナイトメア・Fに突っ込む。
「う・・・うぬあああああああああああああッ!!」
あまりのスピードに対応できず、ナイトメア・Fはアクセルに轢き飛ばされた。ナイトメア・Fのメモリが排出され粉々に砕け、御幸剛は元の姿に戻って地面に倒れた。
「御幸さん!」
カブトと交戦中のナスカ・Dはカブトから距離を取って、高速移動で剛の傍に寄った。
「御幸さん! 大丈夫ですか?」
「き・・・霧彦君。もうすぐここには警察が来るだろう。屋敷には調べられてまずい物はない。重要なデータはすべてこのUSBメモリに保存してある・・・霧彦君、これを持って逃げてくれ」
ナスカ・DはうなずいてUSBメモリを受け取る。
「御幸さん、あなたのミュージアムへの想いは受け取りました・・・仮面ライダーカブト、アクセル、そして探偵君、この決着は必ず・・・」
ナスカ・Dは光子の羽を広げ空に飛ぶ。
「逃がすつもりはない」
カブトはカブトエクステンダーに再び乗る。アクセルもバイクフォームを解除してカブトエクステンダーの傍に駆け寄る。
「翔太郎、僕たちも・・・」
「やめろフィリップ・・・今は変身したくない・・・・・・」
翔太郎はまだ迷っている。ガイアメモリを使って変身することをためらっている。そんな翔太郎を見てアクセルは、
「他人のことなんか考えて戦うからそうなる。自分のことだけ考えて行動していればそうやって迷うこともない」
「なんだと!?」
翔太郎はそれを聞いて憤慨する。
「なるほど。お前がハーフボイルドと呼ばれた理由がこれで分かった」
アクセルは納得した。そうこうしているうちにナスカ・Dはどんどん上空へと昇っていく。
「天道、手を貸せ」
「意外だな・・・まさかお前の方から協力を申し込んでくるとはな」
カブトとアクセルの考えていることは同じだった。だがカブトはアクセルに協力を申し出ても断られる気がしていたのだ。
「自分にとっての利害を考えれば必然的にこの考えにたどり着く」
「なるほど・・・いいだろう」
アクセルはカブトエクステンダーの角の部分に立つ。カブトはその状態で重心を後ろに持っていき、アクセルをシーソーのように真上に跳ね上げた。
「何ッ!?」
遥か上空を飛行しているナスカ・Dの目の前にアクセルが現れる。
「絶望がお前のゴールだ!」
―アクセル! マキシマムドライブ!!―
「らあッ!!」
アクセルの必殺の後ろ回し蹴り、アクセルグランツァーがナスカ・Dに決まる。
「ううううううううううううッ!」
ナスカ・Dは斜め下に吹っ飛んでいく。カブトは助走をつけてナスカ・D目掛けてカブトエクステンダーでジャンプする。
「このままではやられる・・・くっ! 地縛神Aslla piscu(アスラピスク)!!」
ナスカ・Dは剣を空に向かって振りかざし全身全霊の力を込める。すると空に青い炎が走ってそこから黒く巨大なハチドリのようなモンスターが現れた。
「くっ・・・!」
青い炎に阻まれてカブトはカブトエクステンダーによる突撃をあきらめた。ナスカ・Dはアスラピスクの背に乗ってどこかへと去っていく。
「今回は・・・引き分けといったところかな」
ナスカ・Dの手中のUSBメモリは砕けて使い物にならなくなっていた。
アクセルとカブトは無事に着地する。遠くから照井があらかじめ呼んでおいたパトカーのサイレンの音が響いてきていた。
 
数日後、鳴海探偵事務所
「で、結局珀ちゃんはどうなったんですか?」
出前で頼んだカツ丼を頬張りながら佐天は聞く。
「翔太郎の頼みでサティスファクション地区の孤児院に鬼柳さんが引き取ってくれたよ」
フィリップは久しぶりのまともな飯にがっつきながら答えた。
「・・・だからいいじゃないですか、翔太郎さん。私のおごりですよ」
初春はサンドバックを叩いている翔太郎に向かって呼びかける。翔太郎はホカホカと湯気を立てているカツ丼には目もくれずに、
「いや、まだだ・・・今の俺じゃミュージアムには勝てねえ。俺も照井や天道のように戦うために・・・早く迷いを振り切らなくちゃならねえんだ!」
サンドバックが翔太郎のパンチを受けて揺れている。
フィリップはそんな翔太郎を見ていて心配でならなかった。果たして次に敵が襲ってきた時にこんな状態でまともに戦えるのか・・・・・・
 
次回予告
佐天「この街では能力者が絶対。無能力者は文字通り無能で、どんな扱いを受けても仕方がない。そんなこと分かってた。分かってたけど・・・ごめん、初春。やっぱり納得できないんだ、私。許せないと思う・・・だから・・・・・・
次回、学園都市の日常・科学サイド『Nが見たもの/友よ、君は何故・・・』
これで決まり・・・」
 
フィリップ「今日の最強ヒーローは『仮面ライダーアクセル・バイクフォーム』
アクセル自身がバイクに変形した姿だ。加速の記憶を宿したアクセルメモリの力を限りなく有効活用している形態と言えるね。マキシマムドライブで超高速の突撃技を繰り出すことができる。僕個人的にはこの状態の照井は一体どういう気分なのか、実に興味深い」 
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使用BGM
by Joker 2012/02/06(Mon)22:59:28 Edit
※BGM1『今回の依頼は』(仮面ライダーWより)
※BGM2『探偵はハードボイルド』(仮面ライダーWより)
※BGM3『地球(ほし)の本棚』(仮面ライダーWより)
※BGM4『心理戦』(遊戯王5D'sより)
※BGM5『思惑』(遊戯王5D'Sより)
※BGM6『FULL FORCE』(仮面ライダーカブトより)
※BGM7『Leave all Behind』(仮面ライダーWより)
※BGM8『ハードボイルド』(遊戯王5D'sより)
作者あとがき
by Joker 2011/05/10(Tue)22:54:37 Edit
なかなかアイデアが浮かばず遅れてしまいました。スイマセン。

次回はついに鬱展開。書きたくて仕方がありませんでした。次回予告のBGMもアレです。お察しください。
というわけで、乞うご期待。
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