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HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第14話「Nが見たもの/友は空の彼方」
 
作者 Joker

バード・D(ドーパント)はダブルを足の爪でつかんだ。ダブルはバード・Dの足に締め付けられる。
「ぐわああああああああああああああああッ!!」
あまりの締め付けにダブルのボディにヒビが入る。このまま締め付けられ続けたら翔太郎は死ぬ。フィリップはなんとか対抗策を考えるが、どう考えてもダブルのパワーではバード・Dには勝てない。
『もうどうしようもないのか・・・・・・』
フィリップも翔太郎もあきらめようとしていたその時だった。
「地縛神Chacu Challhua(チャクチャルア)!!」
路地裏を一直線に青い炎が走り、アスファルトの地面がまるで水面のように揺れる。そして地面から真っ黒いシャチのような地縛神チャクチャルアが水面を跳ねるように現れ、バード・Dを弾き飛ばした。
「キルルルエエエエエエエエッ!!」
バード・Dは追撃を逃れるためにダブルを手放した。チャクチャルアは地面の中に消える。
『地縛神・・・まさか!!』
空から光子の翼を広げてナスカ・D(ドーパント)が倒れているダブルの横に降り立った。
「霧彦・・・どうして!?」
「探偵君、僕の仕事はメモリの使用者の安全を保障すること。だが僕のライバルに手を出したとあっては黙っていられない。それにあのドーパントは普通じゃない」
『それは君たちミュージアムが引き起こしたことじゃないのか!?』
フィリップは怒りを露にする。
「いや・・・だとしたら謝らなければならない。これは我々ミュージアムのミスだ」
バード・Dは翼を広げこちらを威嚇している。今にも襲ってきそうだ。
「とにかく今は逃げるんだ!!」
ナスカ・Dはダブルに肩を貸し、路地裏の外に向かって走る。
「君たちも来るんだ!」
ナスカ・Dは御坂と初春に向かって叫ぶ。2人はうなずいてナスカ・Dに寄り添った。
「地縛神Aslla piscu(アスラピスク)!!」
空に青い炎が走って黒いハチドリ型の地縛神が現れる。ナスカ・Dたちはその背に乗る。そしてアスラピスクは雨の降る空を高く舞い上がった。
「キュルルルエエエエエエエエエッ!!」
バード・Dもこちらに向かって飛んでくる。
「くっ・・・地縛神Uru(ウル)!!」
ナスカ・Dは力を振り絞る。すると路地裏に再び青い炎が走り、今度は黒い蜘蛛の姿をした地縛神が現れた。ウルは口から黒い糸を吐き、バード・Dに巻きつけた。
「キュエッ!?」
意図で翼を封じられたバード・Dはまっ逆さまに落下していく。
「佐天さん・・・・・・」
初春は高度800メートルから下を見下ろして悲しげに呟いた。
「あのドーパントは君の友人なのか?」
ナスカ・Dが聞くと初春は無言でうなずいた。
「そうか・・・それにしても何故あのドーパントはあのような暴走を・・・まるで感情のままに暴れ回っているようだった」
『君はエクストリーム化を知らないのか?』
フィリップは少し驚きながら言う。どうやら霧彦はエクストリーム化について何も知らなかったらしい。
『エクストリーム化をするとその者の最も強い感情だけが残り暴走する・・・おそらくそこにバード・Dの行動の謎の答えが隠されているはずだ』
フィリップはここまでしゃべっていて今気がついた。翔太郎の意識がない。ダブルに変身しているとダメージはすべて翔太郎の肉体が受ける。精神だけのフィリップのダメージは翔太郎に比べて遥かに少ない。だから今まで気づけなかった。
『とにかく今は翔太郎の回復を優先しないと・・・初春ちゃん、白井さんに連絡を取ってくれ』
仗助のクレイジー・D(ダイヤモンド)ならどんな傷でも瞬時に完治する。初春はケータイで黒子に連絡を取る。ジャッジメントの技術の粋を集めて作ったケータイなので高度800メートルでもアンテナは3本立っている。初春は黒子に現在地の連絡を取る。
「ミュージアム・・・これはミスなのか、それとも・・・・・・」
ナスカ・Dたちは冷たい雨と風に吹かれながらただうつむいていた。
 
翔太郎と黒子たちはジャッジメント風都支部にて落ち合った。フィリップもハードボイルダーで駆けつけてくれた。霧彦は風都支部で翔太郎たちを降ろした後、そのままどこかに飛んでいった。
初春たちはタオルと着替えを受け取り、更衣室で着替えた後黒子たちの班の部屋に集まった。翔太郎は先に仗助の治療を受けている。
「もう大丈夫っすよ、翔太郎さん。クレイジー・Dが全部治しました」
「サンキュー、仗助」
翔太郎の傷は完治した。だが酷く疲れたような気持ちがする。それは肉体的な苦痛から来たものではなく、精神的な傷から来たものだからだ。フィリップも初春も翔太郎と同じ顔をしている。
「お姉さま、あの雷はお姉さまが落としたものですわね?」
黒子は御坂に問う。あちこちの現場を回っている最中、御坂が落とした雷を黒子たち3人も目撃していた。御坂は黙ってうなずく。
「一体何があったんですの?」
「佐天さんがドーパントの正体だったのよ」
「なんですって!?」
黒子も仗助も億泰も、皆一様に驚き言葉を失う。
「一体何故!?」
混乱する3人に御坂は冷静に、
「わからない。ただ私から言えるのはあのドーパントは今までのとは比べ物にならないくらい強いってことよ。ダブルの必殺技がなに一つ効いてなかった・・・ミュージアムの男の力を借りて逃げるのが精一杯だった」
御坂は思う。おそらくあれには自分のレールガン、カブトのライダーキック、ザビーのライダースティングをいくら撃ち込んでも効かないだろうと。表面上は冷静な御坂だったが、その冷静さはある種の諦めから来ているものだった。
フィリップは椅子から立ち上がり、
「とにかく早く佐天さんを止めないと・・・完全にエクストリーム化したら、佐天さんはもう二度と元の姿に戻れなくなる・・・!」
「そんな・・・! なんとかする方法はないんですか!?」
初春はフィリップに詰め寄る。
「わからない・・・ダブルの必殺技はすべて防がれてしまった。メモリブレイクは不可能と考えていい・・・天道総司や照井竜、矢車想と協力できたとしても結果は同じだろう。さっき戦った時の適合率はたぶん60%くらいか・・・もうあまり時間もない・・・・・・くそっ!! どうしたらいいんだ!!」
普段あまり感情的になることのないフィリップが感情に任せて机を叩いた。部屋全体が静まり返る。
「・・・・・・そういえば、雨・・・やんでたんだな」
億泰は静まり返った部屋の外で雨の音がしないことにふと気がついた。億泰はこういう空気が苦手だ。逃げるように億泰は窓際へと歩み寄ってゆく。しかし、窓の外を見た億泰は戦慄した。
「な・・・何なんだよ・・・・・・アレ!?」
 
園崎邸。霧彦は今回のことについて追求するためここに来た。もし今回のことがミュージアムのミスならばミュージアムの全力をもって対処しなければならない。
霧彦はノックもせずに勢いよく扉を開ける。
「お父様!」
部屋の中ではミュージアム首領、園崎琉兵衛が愛猫を抱いて優雅に椅子に腰掛けていた。
「やあ、君は・・・」
琉兵衛は一瞬だけ霧彦のほうを振り返って見る。
「一体どういうことですか? あのエクストリーム化は!」
霧彦は琉兵衛に詰め寄る。琉兵衛は霧彦に椅子の背を向けたまま会話する。
「ほう・・・あれがどうかしたかね」
「どうもこうもありませんよ、大変なことになっている! このままではあのメモリの使用者もこの街も壊滅です!」
「そうか。なら安心だ」
「え!?」
安心とはどういうことだ? 霧彦の心にその言葉が沈んで波紋を広げていく。
「あのメモリは私が冴子に佐天という少女に渡して欲しいと頼んだんだ。そしてそれが無事エクストリーム化に成功したんだ。大成功だよ」
「大成功・・・?」
「ああ、そうだ。君は知っているかね。ガイアメモリを使用した人間がどうして凶暴化するのか? それは適合率だよ」
「適合率?」
琉兵衛は霧彦に背を向けたまま、
「そうだ。適合率が100%ではない。自分とは合わない。それなのにメモリの力を引き出そうとするからメモリの力に自分の心が曲げられてしまう。だが100%になったからといって安心というわけでもない。100%に至るまでの過程で人間の心は相当捻じ曲げられてしまう。いきなり100%でなければ意味はないのだよ」
「つまり今回のことはそれを克服するための実験というわけですか?」
「ああ。メモリの力を制御できるガイアドライバーも技術費の問題で大量生産はできないからね」
なるほど、と思いつつも霧彦は何故か納得できないものも感じていた。
ガイアメモリは未完成。その完成の前に大いなる犠牲は付き物と考え、今まで街中でガイアメモリを売りさばいていた霧彦だ。ガイアメモリ完成のための実験と考えれば納得できるはずだった。
だがどうにも腑に落ちないものがある。いつもは感じなかった心の奥底で熱く煮えたぎるように震えているものを感じる。
「それにあの少女が完全にエクストリーム化すれば、きっと大いなる力も現れるだろう」
「大いなる力?」
「我らミュージアムの理想を達成へと導いてくれるものだよ」
ミュージアムのため・・・それが無能力で苦しむ人たちのためになると思って霧彦はここまで来た。だが、
『佐天さん・・・・・・』
不意に霧彦の脳裏に先程の悲しげな顔をした少女、初春の顔が思い浮かんだ。
「どうだね、君。納得できたかな?」
琉兵衛はこちらに背を向けたままだ。その背に向かって霧彦は言った。
「いいえ・・・納得できません」
「なに?」
「僕は馬鹿だった・・・実験台にされていった人たちの気持ちを深く考えもしないで、次の世代への大いなる犠牲だと勝手な言い訳をして・・・僕は他人の気持ちを弄んで利用している最低な奴だった!! だがそんな僕は今日で終わりだッ!!」
―ナスカ!―
霧彦はガイアドライバーにナスカメモリを挿入する。
「いいのかね。ミュージアムに反旗を翻せば君の夢も終わる」
「もう自分の夢に他人を犠牲にしたりしない。守りたいものは自分の手で守りぬいてみせる!」
ナスカ・Dとなった霧彦は剣を琉兵衛の首筋にあてがう。
「そうか・・・残念だよ」
その時、琉兵衛からとてつもない力の波動が発せられるのをナスカ・Dは感じた。
「な・・・何だ!? このとてつもなくどす黒く冷たい力の流れは・・・! まるで魂を吸い込まれるかのようだ!! 体が震えて言うことを聞かない!」
琉兵衛はさっきからナスカ・Dに背を向けたまま一寸も動いていない。ガイアメモリも使わずに威圧感だけで自分をおしている。ナスカ・Dは琉兵衛のその姿に恐怖を覚えた。
「くっ・・・うッ・・・うわああああああああああああああああああッ!!」
ナスカ・Dは心を恐怖で押しつぶされる寸前でなんとか踏みとどまり、高速移動でなんとかその場から逃げ出した。
「おやおや、逃げられてしまったようだ」
琉兵衛はニコニコしながら愛猫ミックののどをさする。ミックは琉兵衛の膝の上で丸くなっている。
「まあいいだろう。彼も私の恐怖から逃れることはできない。しかし・・・・・・」
琉兵衛は1つだけ気になったことがあった。
「彼は一体誰だったか・・・どこかで会ったような気もするが・・・・・・はて?」
霧彦が誰だったか思い出せない琉兵衛。そんなことはどうでもいいというのか、ミックはミャーと1回鳴いた。
 
翔太郎たちは億泰に言われて外に出る。そして億泰が指差す空を見上げた。
「何なんだ・・・アレは!?」
夕焼けに染まりつつある空、風都のシンボル風都タワーの上空に太陽のように輝く直径50メートルほどの光球が浮かんでいる。
「あれはバード・Dよ。現在適合率80%といったところね」
声がしたほうへ全員振り返る。そこには全身を包帯と黒いコートで包んだ怪しげなサングラスの女が立っていた。
「お前はシュラウド! 今どういう状況かわかってんのか?」
翔太郎が聞くとシュラウドは縦にうなずく。
「あれがあなたたちの友人だということも・・・でも私にとってそんなことはどうでもいい」
バード・Dが完全にエクストリーム化に成功した時、大いなる力が現れる。シュラウドもその大いなる力を欲しているが、それは今手に入れるべきものではない。ましてや今の戦力ではミュージアムに奪われてしまうだろう。シュラウドはそのことを翔太郎たちには告げずに、
「私もなんとしてでもあのエクストリーム化を止めたい。だからあなたたちにあの友達のことを諦めてもらうように頼みに来た」
「そんな・・・なんとかならないんですか!?」
初春は必死の思いでシュラウドのコートの裾をつかむ。
「ならないわ・・・諦めてもらうと言ったけれど、正直私でもあれを倒せるとは思えない」
照井の適合率はまだ低い。現在製作中のカブトのパワーアップアイテムはまだ構想の域を出ていない。
「もう・・・私たちに希望はないのよ」
シュラウドのその言葉は他の誰が言うよりも説得力があった。皆静まり返ってうつむく。
徐々に100%へと近づきつつあるバード・Dの光球から雄々しく巨大な金色の翼が生える。それと同時に空に何万本という炎の剣が浮かぶ。この剣をエクストリーム化完了の瞬間に降らせ、街の能力者すべてを滅ぼそうというのだ。
街の者たちは皆不安げな表情で空を見上げる。太陽のように輝くバード・Dのおかげで街は真昼間のように明るかったが、人々の心は暗く沈んでいた。
「もう、終わりなのか・・・このまま絶望して終わるしかないのか?」
「いや、絶望するにはまだ早い」
翔太郎は顔を上げた。こちらに向かって誰かが歩いてくる。白地に一点血が滲んだようなスカーフ、シャキッとした黒いスーツ姿、紛れもなく霧彦だ。
霧彦は園崎邸から命辛々なんとか逃げ出し、ここに辿り着いたのだ。
「僕に1つだけ考えがある」
霧彦はガイアドライバーを掲げる。
「これはメモリの力をコントロールする道具だ。これをバード・Dに取り付けることができれば・・・」
「エクストリーム化を抑えることができるかもしれない」
シュラウドが霧彦の策を有効だと認めた。翔太郎は霧彦に詰め寄って、
「でも霧彦、お前ミュージアムは・・・?」
「やめたよ。守りたいものは自分の手で守ると誓ったんだ。君のおかげでね」
霧彦は初春を見る。彼女の友を想う心が霧彦を動かしたのだ。霧彦は翔太郎に視線を戻し、
「とにかく急ごう。エクストリーム化が完了してしまったら手遅れになる。僕はナスカ・Dに変身して奴の背中にしがみつく。そしてガイアドライバーをセットする。君にはその援護を頼む」
「ちょっと待ってくれ」
フィリップが霧彦に待ったをかける。
「つまり君はバード・Dの背中で変身を解くということか? 危険すぎる! そんなことをしたら確実に死ぬぞ!!」
ハッとして翔太郎は霧彦の目を見る。本気だ。霧彦は自分を犠牲にしてエクストリーム化を止めるつもりなのか?
「霧彦、お前・・・!?」
「いいんだ・・・空中を高速移動して奴の背後に回れるのは僕しかいない。これしか希望はないんだ」
霧彦の言う通りだ。これ以外に方法はない。だが翔太郎はどうしても霧彦に1つだけ言いたいことがあった。
「霧彦・・・これだけは約束してくれ」
「なんだい?」
「・・・死ぬなよ」
「・・・ああ、もちろんだとも・・・・・・翔太郎」
霧彦が初めて翔太郎の事を名前で呼んだ瞬間だった。
 
翔太郎とフィリップは仮面ライダーダブル・ルナトリガーに変身し、フィリップが作った特製の携帯電話型のガジェット、スタッグフォンである番号を打つ。
しばらくすると後部にリボルバーのようなものを備えた巨大な装甲車、リボルギャリーが自動操縦でこちらに到着した。リボルギャリーの動きが止まると、今度はリボルギャリーのボディが左右に展開されステージ状になる。ハードボイルダーに乗ったダブルはバックでリボルギャリーのステージ部分に乗る。さらにそのままバックでリボルギャリーの後部のリボルバーの前まで進んだ。
『空中戦用のユニットに変えよう』
ハードボイルダー後部の緑色の通常ユニットが取り外されリボルバーに収納される。そしてリボルバーが回り、今度は赤い空中戦用のユニットが連結される。空中戦用の形態、ハードタービュラーだ。
「じゃあお前ら、万が一の時には頼んだぜ」
翔太郎に言われて黒子たちはそれぞれ別の場所に向かって走る。いざというときは街の人たちをあの炎の剣から守らなくてはならない。皆そのために散開したのだ。
シュラウドもいつの間にかどこかに消えており、ジャッジメント風都支部の前に残ったのはダブルとナスカ・Dに変身した霧彦だけだった。
バード・Dはさらにエクストリーム化を進め、球体からくちばしや足のようなものも生え始めていた。
「じゃあ行こうか」
ダブルを乗せたハードタービュラーが宙に浮かび上がる。
「地縛神Wiraqocha Rasca(ウィラコチャラスカ)!!
ナスカ・Dが地面に剣を刺すと、地上からコンドルの姿をした黒く巨大な地縛神が羽ばたいて現れた。
「うおおおおおおおおおおおおッ!!」
ナスカ・Dはウィラコチャラスカの背に乗り、バード・Dに向かって飛んでいく。
「キュエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」
球体から生えたくちばしが甲高い鳴き声を風都中に響かせる。そして空中に浮かんだ炎の剣の一部がナスカ・Dに向いた。
「させるか!」
ダブルはハードタービュラーで空を駆け回り、トリガーマグナムで炎の剣を狙い撃つ。だが炎の剣は2、3発撃った程度では消えず、しかもあまりにも多い数のため処理しきれない。撃ち損ねた炎の剣がナスカ・Dに向かっていく。
「フンッ!」
ナスカ・Dは剣の先に青い光弾を作り出し、それで炎の剣を迎撃する。しかしそれでも炎の剣は雨のようにナスカ・Dに降り注ぐ。
「ぐはぁッ!!」
ナスカ・Dはウィラコチャラスカの背に膝をつく。バード・Dまでの距離はまだまだ遠い。
「やはり・・・無理かしらね」
シュラウドは戦場から300メートルほど離れた廃ビルの屋上から様子をうかがっていた。ナスカメモリと霧彦の適合率はせいぜい30%である。どうやってもバード・Dのパワーに打ち勝つことは不可能だ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
それでもナスカ・Dは向かっていく。今度は光子の翼を広げウィラコチャラスカの腹に回る。ウィラコチャラスカを盾にして進もうというのだ。ダブルも援護射撃を続ける。
「キュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ!!」
だんだんと炎を纏った金色の不死鳥のような姿に近づいてきたバード・Dは雄叫びを上げて翼を動かす。
『まずい! 翔太郎、下がるんだ!!』
「ああ!」
ダブルは全速力で後退を始める。ナスカ・Dもウィラコチャラスカの陰に隠れる。
「クワァッ!!」
バード・Dが起こした風に高熱が乗り、見えない凶器となってナスカ・Dたちを襲う。
「うう・・・くっ!!」
ナスカ・Dは激しい風と高熱にとにかく耐える。だが熱波の直撃を受けたウィラコチャラスカはもう長く持ちそうにない。
ダブルも全速力で後退したために受けたダメージは少なかったが、それでもハードタービュラーの一部が溶けるほどの熱をくらっている。
熱波の影響は風都にも及んでおり、ビルの窓ガラスは割れ、砂埃は舞い上がり、熱でゴミが燃え出すなど甚大な被害を出していた。
「もうぐずぐずしている暇はない・・・か!」
ナスカ・Dは決意する。
「コオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・・・・!!」
ウィラコチャラスカが熱波で受けたダメージで消えていく。そしてそれと同時にナスカ・Dは光子の翼を最大まで広げ、バード・Dに突撃していった。
「霧彦!?」
『無茶だ! あれでは格好の的にされてしまうぞ!』
だがナスカ・Dはそれでもいいと思って突撃をやめない。どれだけ攻撃しても炎の剣は次から次へと現れて降り注いでくる。それならば炎の剣に当たるのは仕方のない事と割り切って無理矢理にでも突撃したほうがいい。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
何百本という炎の剣がナスカ・Dの体を黒く焼いていく。その苦痛に耐えながらナスカ・Dは徐々にバード・Dとの距離を詰めていく。
だがバード・Dはそんなナスカ・Dにもう一度熱波を浴びせようと翼を構える。
「霧彦おッ!!」
ダブルはハードタービュラーでバード・Dの至近距離に急接近する。
「せめて時間稼ぎくらいにはなってくれ・・・!」
―トリガーッ! マキシマムドライブ!!―
前回の戦いでは全弾避けられてしまったトリガーフルバースト。だがエクストリームかも終盤にさしかかりほとんど動けない今、もう一度あの高速移動で避けるのは不可能だ。
「『トリガーフルバーストッ!!」』
無数の青と黄の光弾がバード・Dの右の翼の一点を集中的に狙い撃つ。
「キュエッ!?」
バード・Dの動きが一瞬止まった。
「今だ!!」
ナスカ・Dは高速移動でバード・Dの背後へと回る。そしてバード・Dの背後に飛びついた。
「よっしゃ!」
ダブルは左腕でガッツポーズをする。霧彦はナスカ・Dの変身を解除し、ガイアドライバーを両手に持った。
「これで・・・!」
霧彦はガイアドライバーをバード・Dの背中に押し当てた。すると眩い光の閃光が全方位に放たれる。
「これって・・・」
「やりましたの・・・?」
地上で待機している御坂や黒子たち、それから風都の人々は皆空を見上げ固唾を呑んでいる。
「フィリップ・・・やったのか? 佐天は助かったのか?」
翔太郎は光から目を逸らしながら聞く。
『ああ・・・だがこの光は・・・まずいかもしれない』
「どういうことだ?」
『僕の推測が正しければ、あともう少しでエクストリーム化に使われなかったエネルギーが行き場をなくして大爆発を起こす』
「なんだって!?」
『この高さなら地上への被害は出ない。でも涙子ちゃんと園崎霧彦が心配だ・・・』
その時、光の中から地上に向かって何かが落下していった。佐天だ。気絶した佐天が頭からまっ逆さまに地上へと落ちていっている。
「危ねえ!!」
ダブルはハードタービュラーを全速力で動かす。そして見事佐天をキャッチすることに成功した。
『よかった! 涙子ちゃんは無事だったんだ!!』
「でも霧彦は!?」
その瞬間、バード・Dのエネルギーが眩い光と共に大爆発を起こした。
「霧彦ォーーーーーーーーッ!!」
全速力で退避するダブルの目の前をバードメモリやガイアドライバーの破片が飛んでいく。
『あの爆発の中を生身で生き残ることは・・・』
フィリップがそう言った瞬間、霧彦がいつもつけていたスカーフが目の前をかすめていった。
「うっ・・・ちくしょう・・・ちくしょおーーーーーーーーーーッ!!」
霧彦は佐天を救ってくれた。だが自分は霧彦を救うことができなかった。その想いが翔太郎を締めつける。
だがその時、ダブルは不思議なものを見た。直径3メートルほどの白い光の玉が自分たちの前を通り過ぎていったのだ。その光の玉は先程ダブルの目の前をかすめていったスカーフに追いつく。
『これは・・・一体!?』
光の玉の中から誰かが現れる。それは赤い眼と金色の角、仮面ライダーがつけているようなベルトを巻いている。見た目もまさしく仮面ライダーそのものであるが、翔太郎もフィリップもこれが自分たちと同じ仮面ライダーとは思えなかった。自分たちとはパワーもオーラも何もかもが違い過ぎる。
神、それが翔太郎とフィリップに共通して浮かんだその戦士に対する印象だった。
その戦士はスカーフをつかみ、光の玉の奥へと戻ろうとする。
「待ってくれ! もしかしてお前は・・・霧彦なのか?」
スカーフをつかんだのを見てまさかと思った翔太郎は戦士を叫んで呼び止める。戦士はこちらに振り向いて、
「翔太郎・・・またいつか、ランチでも食べにいこう」
そういって戦士は光の玉の中に消え、旋回しながら風都のどこかに降りていった。
「・・・霧彦、またいつかこの街のどこかで・・・・・・」
爆発は止み、ダブルの頭上では夜を待っていた星たちが輝こうとしていた。
 
「ハハハ! そうか、失敗したか」
琉兵衛は街のいたるところに設置された監視カメラの映像をモニターに映し出し、事の一部始終をすべて見ていた。琉兵衛は陽気に笑いながら、
「まさか裏切り者がエクストリーム化を止めるとは。しかもその裏切り者が・・・」
琉兵衛はリモコンで光の玉の中の戦士の画像を拡大する。
「AGITΩ(アギト)の力の持ち主だったとは・・・実に面白いじゃないか!」
琉兵衛は手の平に乗せたキャットフードを膝の上の愛猫ミックに食べさせながら高らかに笑っていた。
 
「園崎霧彦、まさか彼がAGITΩの力の持ち主だったなんて・・・」
シュラウドも光の玉の中の戦士を目撃していた。エクストリーム化にも匹敵し、始まりと終わりを司る力、AGITΩ・・・その正体を知る者は少ない。
「とにかく彼のおかげで最悪の事態は逃れたわ・・・それにしても」
シュラウドは考える。翔太郎やフィリップ、それにそのほかの者たちにもなにかと甘さが目立つ。今のままでは再び仲間が敵になるような事態に見舞われてもまた戸惑ってしまうだろう。
「このままではいけない・・・やはり私が動くしかないわね」
シュラウドは闇夜の中を1人歩み始めた。
 
次回予告
仗助「何なんすか、こいつらは!? データでは低レベル能力者なのに、全然強さが違うっすよ!!」
億泰「ジャッジメントのデータベースの担当の野郎が仕事をサボりやがったのか!?」
初春「そんなことはありません! 一体なにがどうなっているのか・・・」
黒子「とにかく止めますわよ! このイクサの力で! 変身!!」
天道「すべてお前の仕業なのか・・・さあ答えてもらおうか、シュラウド。
次回、学園都市の日常・科学サイド『次なるL/殺人サウンド 恐怖のメロディー』
これで決まりだ」
 
霧彦「今日の最強ヒーローは『ナスカ・ドーパント』
僕がナスカのガイアメモリで変身したドーパントだ。クロックアップにも匹敵する高速移動に華麗な剣技、光子の翼を広げれば空を飛ぶこともできる。さらにナスカの地上絵に封印されているという邪神、地縛神を召喚して操ることもできる。翔太郎、またいつか君と会える日を・・・楽しみにしているよ」
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使用BGM
by Joker 2012/02/07(Tue)22:08:52 Edit
※BGM1『恐怖と破壊』(遊戯王5D'sより)
※BGM2『ミラクルワールド』(仮面ライダーWより)
※BGM3『探偵はハードボイルド』(仮面ライダーWより)
※BGM4『Surgam identidem』(魔法少女まどか☆マギカより)
※BGM5『Decretum』(魔法少女まどか☆マギカより)
※BGM6『アギト-神秘の戦士-』(仮面ライダーアギトより)
作者あとがき
by Joker 2011/05/22(Sun)21:54:56 Edit
園崎リュゥべえ・・・いいえ、なんでもありません。
霧彦さんはこれからは魔術サイドメインでがんばっちゃってくれますが・・・第7話はいつかな?
期待して待ってます。
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