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メンバー自己紹介
HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第20話「疾走するJ/仮面狩り」
作者 Joker
作者 Joker
「雅人・・・何を考えている?」
天道は気絶して倒れている矢車に目をやる。矢車の左腕にザビーブレスが無い。ザビーブレスは草加雅人の手の中だ。
「別に。ただ俺はひよりのために戦うだけだ」
草加は淡々とそう答えた。
「ひよりの? いったいどういうつもりだ?」
ひよりとは天道総司の妹であり、草加雅人の同居人だった人物だ。そのひよりのために戦うとはどういう事なのか、天道は説明を求めたが、
「君に教えるつもりはない。それより、聞くところによると君も仮面ライダーだそうだな・・・今すぐ君のライダーシステムを俺に渡してくれないかな?」
草加の邪悪な笑みが天道を見つめる。天道は眉間にしわを寄せて、
「照井も矢車もお前がやったのか? どうして仮面ライダーを潰そうとする?」
「邪魔なんだよ。俺以外のライダーは全員・・・そうだな、君は昔から集団でやるスポーツとかが嫌いだっただろう?」
草加の言う通り、図星だった。天道は集団行動が何よりも嫌いだ。
「それと同じだ。周りで好き勝手に動かれると邪魔で仕方ないんだよ。だからこの街にライダーは俺1人でいい」
「確かに俺も他のライダーたちと協力する気はあまり無い。だがあいつらもこの街の平和を守ろうとしている以上、お互いに傷つけ合うのは無意味なはずだ」
「俺はこの街なんかどうでもいいんだよ。ただひよりさえ無事ならそれで・・・それが俺の正義だ」
2人の気持ちも言葉も反発するばかりでまったく交わらない。いつ殺し合いになってもおかしくない状況だった。
そんな時、草加は少し気持ちを落ち着けて、
「まあいい。俺としても君ほどの奴とはあまり争いたくない。だが君はどれだけ言っても変身アイテムを渡してくれることはないだろう。だからここは俺の方から退くとしよう」
草加は天道に背を向けて去っていく。
「俺の寝首をかくつもりか?」
草加の背中に天道は問いかける。
「さあな」
草加は振り向かずに適当にそう答えて去っていった。
「大丈夫ですか、矢車さん!?」
ワームに襲われていた少年を逃がして戻ってきた矢車の部下たちが倒れている矢車に駆け寄ってくる。それを見て天道も彼らに見つからないうちにさっさとその場を立ち去った。
天道は大急ぎでひよりがアルバイトをしている常盤台地区の翠屋(みどりや)という店へ向かった。
草加がひよりと会えば何をするかわからない。何か起こってしまう前に対処しなければならない。
「おい、ひより!」
勢いよく扉を開けた天道は大声でひよりの名を呼んだ。店内の客が何事かと天道の方を向く。
「どうしたの? 総司君」
茶髪のサイドポニーの女性が迷惑そうに天道に詰め寄る。彼女は翠屋のオーナー、高町(たかまち) なのは、19歳。天道はしょっちゅうこの店に来るので彼女とはお互いよく見知った関係だった。
「ひよりはどこだ?」
「ひよりちゃん? ひよりちゃんならさっき買い出しに行ってくれたけど」
天道はもどかしい思いに駆られた。ひよりは電話での会話が嫌いなため携帯電話を持っていないのだ。しかもひよりは買い出しの時にいつも散歩をしながら帰ってくる。それもいつも違う道をだ。
「くっ・・・しらみつぶしに探し回るしかないか」
店を出ていこうとする天道。だがその肩をなのはがつかむ。
「ちょっと待って総司君。今日こそは滞納した料金を払ってもらうから」
天道はしまったという顔をする。
「いつもいつも私がいない時に来てお金も払わずに勝手にケーキを食べてお茶を飲んで・・・今まで滞納した料金約5万円。今ここで払ってもらうから」
なのはは細めた目で天道の目をしっかりと見つめてそう言った。
「悪いが今は1円も持っていない。そして何より今俺は急いでいる。また今度に・・・」
「ダメ」
なのはは天道を逃がそうとしない。
その時、店に新たに客が入ってきた。
「お前は天道総司!」
名前を呼ばれて天道は振り向く。
「ん・・・お前はさっきの・・・」
新たに入ってきた客は数時間前に黒岩相談所で会った黒岩省吾だった。
「なのは、この男が何かしたのか?」
黒岩がなのはに話しかけた。
「ええ、この人・・・総司君って言うんだけど、うちでの飲食代をいつまでも滞納していて困っているの」
「お前たち知り合いか?」
天道は気になって聞いてみた。その質問になのはが答える。
「黒岩さんはうちの常連さんで、毎日のようにうちに食べにきてくれているの」
黒岩は天道をにらみつける。
「天道総司、お前はなんと迷惑な存在なんだ。やはりお前のような奴の言うことなどでたらめだ」
「コーヒーのことを根に持っているのか? 残念だがあのコーヒーは本当にまずかった」
「貴様!」
黒岩は天道の襟首をつかむ。
「おばあちゃんが言っていた。失敗は成功の母。間違いを指摘されれば素直に受け止めるべきだ」
「総司君が言っていい言葉じゃないと思うよ」
なのはにそう言われて総司はがっくりとうつむく。黒岩は天道の襟首を放して、
「こいつはいくらくらい滞納している?」
「5万円ちょっとかな」
黒岩は財布から6万円を取り出す。
「俺が代わりに立て替えておいてやる」
「どういうつもりだ? 勝手なまねはよせ」
誰かの手を借りることは天道が嫌うことの内の1つだ。天道は黒岩に突っかかる。
「勝手なまねをよすのはお前だ。今後二度となのはに迷惑をかけるな」
黒岩は天道を一括した。天道は黒岩の目をにらみつけて、
「・・・この借りはいつか返す」
「別に返してくれなくてかまわない。なのはに迷惑さえかけなければな」
黒岩はそう言うが、
「いや、必ず返す」
天道は翠屋を出ていった。
黒岩はなのはの方に向き直って、
「なのは、何かあったらいつでも連絡してくれ。俺が相談に乗ろう」
黒岩は真剣な眼差しでそう言った。
「うん、ありがとう」
なのはは軽くそう返した。
「フン」
天道は橋の上から川に向かって石を投げた。
「草加雅人・・・黒岩省吾・・・」
天道はそう呟いてまた石を投げる。
天道はいつになく苛立っていた。自分が気にいらない人間が2人も現れたからだ。
「まったく・・・」
天道は溜息をついた。
「あら? 確かあなたは・・・天道総司?」
偶然通りがかった白井黒子が話しかけてきた。
「お前は・・・」
天道は黒子について思い出す。確かジャッジメントが開発したマスクドライダーシステム・仮面ライダーイクサに変身する者だ。
「確か昨日警察署で会ったのが初めてでしたわね?」
黒子はそう言うが天道はいまいちピンとこない。黒子に会ったのは覚えている。だが色々あったせいで警察に捕まったのがつい昨日のことだとは思えないのだ。
それでも天道は覚えている事から適当に返事をすることにした。
「ああ、そういえばそうだったな。一緒にいた高校生2人はどうした?」
「仗助と億泰なら特訓中ですわ」
黒子は天道の隣に立った。
「あなたには色々と聞きたい事があるんですの」
「そうか。なら先に聞かせてくれ。お前は何故仮面ライダーになった?」
仮面ライダーは皆何かしらの想いを持って戦っている。天道はふとそれが気になった。
「私は小学校1年生の時からジャッジメントの仕事をやっていましたの。その仕事振りが評価されてイクサの装着者に選ばれた・・・といったところですわ」
「なるほどな。何故ジャッジメントの仕事をしている?」
「始めは生活費を稼ぐため・・・でも今は違いますわ。今は守りたいものがあるから」
「守りたいもの?」
黒子は空を見上げる。透き通った青い空だ。
「この街で過ごしていく中で私はすばらしい人たちと出会う事ができましたわ。この仕事をしているとその人たちを守る事ができるんですの」
そう言った黒子の表情は実に濁りのない透き通った笑顔だった。
まったく、雅人とは大違いだ・・・と天道は思ったが、よくよく考えれば雅人と黒子の戦う理由にたいした差はない。どちらも身近な誰かを守りたいというものだ。ただそのやり方に問題があるかないかの違い、それだけだ。
「あなたはどうして仮面ライダーをやっているんですの?」
今度は黒子が天道に聞く。いつもの天道なら人の質問にやすやすと答えるようなことはしないが、今回は自分が先に黒子への質問をしていたので答えることにした。
「昔、エリアXに隕石が落ちたのを知っているか?」
「ええ」
黒子はうなずく。
「あれで俺の両親が死んだ。そして隕石にくっついてやってきたワームたちが人々を襲った。俺は妹を連れて逃げることしかできなかった」
天道は忌々しいあの日の光景を思い出した。あの日の黒雲に閉ざされた暗黒の空は思い出すたびに気分が悪くなる。
黒子は天道の話を静かに聞き入る。
「だから俺はこの力で人々を救う。まずはミュージアムを壊滅させ、この空の下の人々全てを幸せにしてみせる」
天道は川に映った青空を見つめていた。
「全ての人々の幸福・・・無理ですわ。そんなこと」
黒子は驚くほど冷淡な声でそう言い放った。天道はがばっとうつむいていた顔を起こして、
「何を言っている? 俺は天の道を往き、総てを司る男だ。人々の往く道は俺が導く」
そうやって激しく反論したが、黒子は天道の目を強く見つめて、
「あなたも人間でしょう? 人間が神になることなんて不可能ですわ。それに万が一神がいたとしても、誰かの幸福や不幸を決定する権利なんてありませんわ」
と冷静に言った。
「だがこの世界には強者の身勝手の犠牲にされている人たちが大勢いる。そういう人たちを助けて幸せを与える事が間違いだとでもいうのか?」
天道は再度反論を試みる。だが、
「そういうことではありませんわ・・・ただ、自分が思う幸せが他人にとっても同じように幸せであるとは限りませんのよ・・・・・・」
黒子は暗い顔をして遠くを見つめるようにそう言った。
「・・・どういう事だ?」
天道は神妙な黒子の様子が気になって聞き返した。黒子は静かに語りだす。
「昔、ジャッジメントの仕事でミュージアムの下請けでガイアメモリを販売していた組織を摘発した事がありましたの。結果は大成功。その組織のメンバーを全員捕まえる事ができましたわ。これでこの街も少しは平和になる・・・その時はそう思いましたわ。でもそれは間違いでしたの」
黒子は思い出す。血で汚された廃工場、その血を洗い流すかのように強く降る雨、そしてモンスターのように何の意味もない言葉をただ叫びながら警察に連行されていく学生たち。
「数日後、ガイアメモリの入手方法を失った若者たちが手持ちのガイアメモリを奪い合うための暴行事件を起こして・・・死者も出ましたわ。あの事件でわかったんですの。たとえ自分が良いと思ってしたことでも、他の誰かにとっては不幸の元になってしまうこともあると」
「だがその組織が摘発されなければ、ガイアメモリに手を出していた者はもっといたかもしれない。ガイアメモリはこの社会を滅茶苦茶にしてしまうものだ。お前たちのやったことは正しい」
「でも私たちがミュージアムを壊滅させたとして、その後はどうすればいいんですの? 無能力者差別に苦しんでいる人たちがいなくなるわけではありませんわ。その人たちはどうすればいいんですの?」
黒子はもう一度天道の目を強く見つめて、語気を荒げてそう言った。
天道は何も言い返せなかった。ガイアメモリを使って能力を得る事など間違っている。だが超能力は才能だ。ある奴はあるし、無い奴はいくらがんばっても無い。
天道は無能力者だったが、幻海から学んだ拳法のおかげで能力者たちに襲われても撃退する事ができた。だが全ての人々が天道のように強くなれるわけでは無い。
とりあえずちょっと考えただけでは簡単には答えは出て来なかった。
「なら白井、お前の答えはどうなんだ?」
天道は半ばやつあたりに近い形で黒子に答えを迫った。
「私はさっきも言った通り、守りたいものを守るだけですわ」
黒子もハッキリとした解決策は導き出せていない。だが天道との決定的な違いは、黒子の瞳には迷いの色がまったくないということだった。そこには強い信念のようなものが見える・・・天道はそんな気がして黒子の視線から目を逸らした。
「強いんだな、お前は」
再び川に映った青空を眺めながら天道はそう呟いた。
「そんなことはありませんわ。私も言いすぎたかもしれませんし、ごめんなさい。でもあなたの言った天の道は往くことに意味があるのではなくて、目指すことに意味がある。そういう気がしますわ」
天道は負けたなと思った。
天道は自分の実力を知りつくしている。だから自分より下と見た者に屈服することは絶対に無いが、逆に自分より上だと認めた者に対しては敬意と賞賛を惜しまない性格だ。
「ありがとう。今日はいい話ができた。ところで今草加雅人とかいう奴がライダーシステムを持っている奴を次々に襲っている。怪しい男に出会ったら気をつけろ」
天道は黒子の顔を見てそう忠告する。
「ええ、わかりましたわ」
「それからピンチの時にはいつでも俺を呼んでくれ。今は翔太郎の喫茶店で住み込みで働いている」
そう言って天道はその場を去っていった。
黒子は翔太郎から天道は自己中心的なわがまま男だと聞いていた。だが今こうやって話して、案外悪い人間ではないなと思った。
黒子は天道が行った方向とは逆の道を歩く。これから寮に帰るのだ。
その時、彼女は気付いていなかった。自分を付け狙う1人の黒い影に・・・
天道が黒子と話していた頃、ひよりは買い出しを終えてあまり人気のない土手沿いを歩いていた。
「ひより」
名前を呼ばれてひよりは振り返る。
「雅人・・・どうして?」
高校に入ってから1人暮らしを始めたひよりにとって雅人と会うのは久しぶりのことだった。
しかし雅人が今ここにいる理由がわからない。
「それは俺が君を想っているからだ」
え? とひよりがあっけに取られた瞬間、雅人はひよりとの距離を一気に縮めてひよりの目の前で話し始める。
「昔したあの約束・・・覚えていてくれているかな?」
そんなことを言われてもすぐには思い出せない。雅人もそれをわかっているのかまたすぐに話し始めた。
「俺は小さい頃、近所の同級生たちからいじめを受けていた。理由もなく繰り返されるいじめに俺の精神は日に日にすり減らされていった。そんな俺に勇気をくれたのは君の笑顔だった。君は両親を失い、自身も隕石衝突の際の後遺症に苦しんでいた。しかもたった1人残った兄の総司は幻海のばあさんの所で修行。そんな孤独の中でも君は笑顔を絶やす事がなかった」
ひよりはエリアX隕石衝突以降、後遺症で突発的な呼吸障害を起こす事が何度もあった。ひよりはその事を兄の総司には隠した。幼いながらも兄にこの事が知れたら兄は安心して修行に打ちこめない事がわかっていたのだ。
ひよりは後遺症を治すために何度も病院で治療を受けた。子どもの体力では難しい手術を受けた事もあった。激痛が伴う治療法や副作用が酷い投薬を受けた事もあった。それでもひよりは笑顔を絶やさず治療に耐え切ったのだ。
いつからか呼吸障害は嘘だったかのようにまったく起こらなくなった。
「そんな君の姿に俺は勇気を貰った。君がいなければ俺は今ここで生きてはいないだろう」
「ああ、だけど僕だって死の恐怖に涙が止まらなかった事があった」
ひよりは雅人との約束を思い出した。このまま自分の病気は治らずに死んでしまうのではないか・・・そう思って泣いていた時の事だ。
「そうだ。その時俺は君に言った。君が怖いと思ったものは全てこの俺が倒す。死が怖いというのなら俺がずっと傍にいて君を支えている・・・と」
雅人はひよりの顔を見つめる。その表情に邪悪なものは1つも無い。純粋な笑顔だ。
だがひよりは照れくさいのかうつむき気味に雅人の視線から目を逸らした。
「これからも俺が君を守る。だから安心してくれ」
ひよりからの返事はなかった。
雅人は照れているのだろうと思ってひよりから少し距離を置き、
「君がバイトをしている店、翠屋だったかな。今度君が働いている時に行くよ」
雅人はひよりが行こうとしている道と逆の方向へ去っていった。
「さて、続けるか・・・仮面ライダー狩りを」
雅人の笑顔が邪悪な微笑へと一変した。
黒子は杜王地区にある寮へ向かって歩いている。そんな彼女の前に1人の男が立ち塞がった。
「何ですの? あなたは」
黒子は訝しげに聞いた。
「君が白井黒子さんかな? シュラウドという名を知っているか?」
男はそう黒子に聞いてきた。
シュラウドについてなら黒子は翔太郎から話を聞いていた。天道総司や照井竜を仮面ライダーにし、打倒ミュージアムのために戦わせている人物。黒子にとってはレベルアッパー事件の真犯人として印象深い名だった。
「知っていますがそれがなにか?」
「実は俺はシュラウドに選ばれた新しいライダーだ。君に協力して欲しい事があって来たんだが・・・」
黒子は怪しむ。もしかして・・・と思い当たる節があるのだ。先程の天道との会話を思い出しながら黒子は男に1つ質問をする。
「あなた・・・もしかして草加雅人ですの?」
「・・・・・・その様子だと知ってるようだな、俺の事を」
男は無表情で黒子の顔をにらみつける。無表情とはいってもその内には怒りが秘められているのがハッキリとわかる。
黒子は男が草加雅人であると確信した。
「総司の奴・・・余計な事を・・・!」
草加は黒子に自分のことを教えたのを天道だと決めつけて怒りに燃える。
「私のライダーシステムを奪いに来たんですの?」
黒子の言う通り、草加は黒子が持つイクサシステムを奪うためにここに現れた。予定では友好的に黒子に接するふりをして、隙を見て不意打ちをくらわせてイクサシステムを奪って逃げるはずだった。
だがそれがかなわぬこととなった以上、草加は単純に正面からイクサシステムを奪うことにした。
草加は黒子の腹にボディブローを打ち込もうとした。
だが黒子はテレポートでボディブローが当たる前に草加の背後に回って右足による回し蹴りをくらわせた。くらった草加は黒子が元いた方向によろける。
「なるほど、瞬間移動能力者か・・・ならこれが役立ちそうだな」
草加は左袖をめくる。そこには矢車から奪ったザビーブレスが装着されていた。そしてザビーゼクターが飛来して草加の右手に収められた。
「変身」
―Henshin(ヘンシン)―
黒子はテレポートで変身した草加との距離を取る。草加はザビーゼクターを180度回す。
―Cast Off(キャスト オフ) Change Wasp(チェンジ ワスプ)―
草加は仮面ライダーザビー・ライダーフォームに変身した。草加との距離を取っていた黒子はキャストオフで飛んできたザビーの装甲を全て回避する事ができた。
黒子はイクサナックルを取り出す。相手はZECT製のライダーだ。クロックアップされたら生身では勝てない。
―レ・ディ・ー ―
「変身!」
―フィ・ス・ト・オ・ン―
黒子は仮面ライダーイクサ・セーブモードに変身した。黒子はここで草加を倒すつもりだ。このままこの男を放っておけば他のライダーたちが危ない。
「クロックアップ」
―Clock Up(クロック アップ)―
ザビーは高速移動しながらイクサを一方的に殴る、蹴る。
テレポートを使ってもクロックアップが相手では逃走程度にしか役立たない。自分の居場所が知られればすぐにまた攻撃されるからだ。だからイクサはザビーの攻撃をひたすら耐える。
―Clock Over(クロック オーバー)―
ザビーのクロックアップが解ける。イクサはザビーの攻撃を耐え切った。
―イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ―
イクサはイクサナックルを構えて必殺技の体勢に入る。
「ハアッ!」
イクサの必殺技ブロウクン・ファングがザビーに向けて発射される。瞬間電圧5億ボルトのエネルギー弾だ。
「ライダースティング」
―Rider Sting(ライダー スティング)―
ザビーも必殺のライダースティングをエネルギー弾に向かって放つ。ぶつかり合うザビーの左拳とブロウクン・ファング。激しく火花が散る。
「くッ・・・うおおおッ!!」
ザビーのパワーの方が先に弱まった。その瞬間ブロウクン・ファングはザビーの全身を包む眩い光となった。
「ぐああああああああッ!!」
そして爆発が起こりザビーは遥か彼方へ吹き飛ばされた。ザビーはピクリとも動かずに仰向けに倒れている。
イクサは確認のためザビーに近寄る。
「自業自得ですわ・・・悪く思わないでうッ!」
その時、黒子は耐えがたい痛みに襲われた。ザビーの左腕がイクサの腹に突き刺さっている。
ザビーは立ち上がってイクサの腹から左腕を引き抜く。そして右足でイクサを前方向に蹴り飛ばした。イクサの変身が解けて黒子は生身の状態に戻る。
「かッ・・・カハッ!!」
黒子は血を吐いて倒れる。腹部からとめどなく血が溢れ出して赤黒いシミになっている。
黒子ははめられたと思った。全て草加の罠だったのだ。
ザビーはブロウクン・ファングを受け止めた時、実はまだライダースティングを発動していなかった。発動体勢に入ったことで黒子にブロウクン・ファングをライダースティングで受け止めると錯覚させたのだ。ザビーはわざとブロウクン・ファングに吹き飛ばされることでイクサの接近を待った。そして油断したイクサに対してこのタイミングでライダースティングを発動させたのだ。
草加は変身を解除する。そして黒子の目の前に転がっているイクサナックルを拾い上げ、
「じゃあな。自力で助けでも呼ぶんだな」
草加はほくそ笑みながらその場を立ち去った。そんな草加の姿も黒子にはもう見えない。視界が真っ白にぼやけてきている。
それでも黒子は意識を保とうとする。黒子は左手で腹を押さえながら右手でケータイを取り出した。今すぐに仗助を呼べばクレイジー・ダイヤモンドによる治療を受ける事ができる。まだ救いはある。
そう思ってケータイを手にした黒子の手を誰かがそっと握った。誰だと思って黒子は自分の手を握った者の顔の方を向く。ぼやけていてよく見えないがスーツ姿の男性のようだった。
「よかった、無事で。いや本当にあせった」
男は黒子の右手を握ってそう言っている。
「・・・誰ですの・・・あなた?」
通りすがりのサラリーマンだろうか。しかしこの男様子がおかしい。普通、血まみれの少女が道端で倒れていたらすぐにでも警察や救急車を呼ぶだろう。とにかく目の前の少女を救う方法を考えるはずだ。だがこの男はさっきから黒子の右手を妙に熱っぽく触ってくるだけで何もしようとしない。
「いや~本当にきれいな手だなあ。なめまわしてもいいかな?」
「いったい・・・いったい何なんですの・・・・・・あなたは?」
黒子は底知れぬ不気味さを男に対して感じる。視界がぼやけて男の表情が見えないのが黒子の不安感をさらに高める。
「私はヤル前には相手との会話を重んじるのだが・・・君との会話は無理そうだな。じゃあね。君は私が出会った中でも最高級に美しい手の持ち主だった」
男は黒子の右手を握手をするように握った。
その瞬間、黒子の全身をマグマが流れるような衝撃が襲った。
「さあ、これで君は永遠に私の物だ」
男は黒子の右手を頬にすり当ててそう言った。
黒子の右手はもう黒子の体とは繋がっていなかった。もう体が存在していなかったのだ。
マグマのような衝撃が走った直後、黒子の体のパーツは右手と首から上だけしか残っていなかった。
「フフフ、一日中尾行していたかいがあった。やはりすばらしい手だ。ああ血で汚れていなくて本当によかった・・・・・・」
男は恍惚とした表情で黒子の右手をなめまわしている。
「さて・・・それじゃあ頭部は井坂さんのところに持っていくか。これでまた美しい手をした使用済みの実験体が貰える」
黒子はかすれていく意識の中、仗助と億泰の顔を思い浮かべていた。そして黒子は最後の力を振り絞って意識を集中させた。
男が黒子の頭部を拾おうとした時、黒子の頭部が消えた。
「しまった!」
男は爪を噛んだ。とっくに死んだと思って油断していた。黒子は最後の力を振り絞ってどこかへテレポートしたのだ。
「チッ・・・まあいい。そう遠くへは行っていないだろう。なら変死体として処分されるだけだ」
男は落ち着きを取り戻して立ち去っていった。
仗助と億泰はトレーニングを終えて帰路についていた。
その時、背後でドスッという何かが落ちるような音がした。2人とも疑問に思って振り向く。そこには茶色い毛の玉のようなものが転がっていた。
「何すかね? これ・・・」
「さあ・・・とにかく拾ってみようぜ」
仗助はその玉のようなものをつかんで持ち上げる。そしてその正体を知った2人は絶句する。
億泰はあまりの衝撃にその場で嘔吐した。仗助は目の前で何が起こっているのかまったく理解できずただ立ち尽くしていた。2人とも何かの冗談だろうと思いたかった。
仗助が拾ったものの正体。それは口元を血で汚し空虚な眼差しをした黒子の生首だった。
黒子は最期の瞬間、レベル5相当の力を発揮していた。すなわち、頭で思い浮かべた場所へテレポートする能力だ。黒子は仗助と億泰の顔を思い浮かべてテレポートしたのだ。
「そ・・・そうだ。クレイジー・ダイヤモンドで治すんだ!!」
数分経って、やっと現実を認識した仗助はクレイジー・ダイヤモンドの手で黒子の生首に触れる。
「お帰り。吉影君」
黒岩は事務所のソファに座って、帰宅した秘書の吉良 吉影(きら よしかげ)にそう言った。
「ああ、ただいま黒岩君」
吉影は大事そうに紙袋を抱えている。
「その様子だと休暇は楽しめたようだな」
「ああ、今までの中でも指折りの手を手に入れる事ができた」
吉影は紙袋の中から黒子の右手を取り出した。
手を手に入れる・・・というフレーズに笑った後、黒岩は、
「そうか。ならよかった。しかしこちらは最悪の一日だった」
「フフフ、それは残念だったね・・・」
その時、黒子の手が何者かに引っ張られるように吉影の手からすっぽ抜けていった。
「なにィ!?」
吉影は慌ててもう一度黒子の右手をつかもうとする。だが間に合わず、黒子の右手は窓ガラスを突き破って外へと飛び出していってしまった。
「おそらく東方仗助のクレイジー・ダイヤモンドが腕の持ち主の体を治し始めたんだろう」
黒岩は状況から見てそう判断して言った。
吉影は爪を強く噛む。強く噛みすぎてやがて指先から血が流れ出した。
「おのれ東方仗助・・・最高の一日が最悪の一日になってしまった・・・・・・許せないッ・・・!!」
吉影は強い怒りの眼差しを窓の外に向けた。
クレイジー・ダイヤモンドの能力によって黒子の体はどんどん元に戻っていく。
「なあ仗助・・・これじゃあもうどうやっても・・・・・・」
青白く冷たい黒子の体を見て億泰は言う。だが仗助は黙ってクレイジー・ダイヤモンドで黒子の体を治し続ける。
最後に右手が他の部位より遅れて飛んできた。黒子の体は元に戻る。体だけは。
「うっ・・・くっ・・・クソッ!!」
億泰は涙を流していた。黒子の瞳はどこも見ていない。空虚で真っ白な瞳だ。
「ちくしょう・・・ちくしょおおおおおおおおッ!!」
仗助は何度も右拳で地面を殴った。皮が破れて血が流れる。それでもかまわず何度も殴った。
黒子はもう涙も、血も、流すことはない。
白井黒子は死んだのだ。
「ん?」
天道は振り向く。
もうすぐ7月だというのに妙に乾いた冷たい風が吹いた。そんな気がしたのだ。
「・・・気のせいか」
天道は鳴海探偵事務所に向かって歩いていく。
草加はひよりのために戦うと言った。ならとりあえずひよりは安全だろう。
危険なのは草加に狙われているライダーたちだ。天道は帰ったら翔太郎たちと相談するつもりでいた。
「アクセル、ザビー、イクサ、そして俺のカイザ」
草加はシュラウドに渡されたサイドカー付きのバイク、サイドバッシャーの傍で今まで奪ったライダーシステムを広げていた。
「残るはギャレン、ブレイド、それからカブトか・・・さて」
草加は微笑む。それはまさに悪魔の微笑と呼ぶに相応しいものだった。
次回予告
仗助「そんな・・・どうして・・・どうしてこんなことに!!」
天道「雅人・・・貴様ァッ!!」
草加「らしくないなあ、そんなに叫んで」
名護「俺は名護啓介。イクサシステムの開発者だ。さあ、今すぐそれを返しなさい」
翔太郎「次回、学園都市の日常・科学サイド『Iが裁く/ジャッジメント全滅! 妹はワームだった!』
これで決まりだ」
草加「今日の最強ヒールは『仮面ライダーザビー 草加ver』
このライダーシステムはいい。カイザと違って疲れなくてすむ。まあその代わりにパワーはカイザに比べて低い。防御力もそれほど高くない。だがクロックアップが使えるからその点はあまり問題にならない。このライダーシステムで残りのライダーも全員狩ってやる・・・!」
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