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メンバー自己紹介
HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!
[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。
[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。
[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!
[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。
[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第21話「Iが裁く/ジャッジメント全滅! 妹はワームだった!」
作者 Joker
作者 Joker
白井黒子の死から1週間が経った。
喫茶店「W」の扉には「closed(閉店中)」と書かれたプレートが掛けられていた。
翔太郎、フィリップ、天道、橘、初春の5人が鳴海探偵事務所に集まっていた。
「仗助さんと億泰さん・・・あれからまったく顔を見せてくれないんですよ。2人とも家にこもって出て来ないみたいです」
初春はそう言った。大切な仲間が死んで気持ちの整理がつかないのだろう。仗助と億泰の気持ちが翔太郎にはよくわかった。
「天道総司の話から推測するに、黒子ちゃんの死の原因はまず間違いなく草加雅人にあるだろう」
フィリップは神妙な顔つきでそう言った。黒子の死体からはイクサナックルは見つからなかった。恐らく草加雅人が奪ったのだと考えたのだ。
「だがそれだけでは説明がつかない部分もある。仗助の証言ではクレイジー・ダイヤモンドで治した際に右手だけが遅れて飛んできたという。雅人が右手だけを残して持っておくようなことをするとは考えられない。あくまで狙いは白井が持つライダーシステムだけだったはずだ」
天道はフィリップの推理にそう付け加える。そして橘が、
「とにかく、今重要なのは草加雅人に襲われても無事で済むようにすることだ。今残っているライダーは俺のギャレンと天道のカブト、左とフィリップのダブル、そして剣崎のブレイドだ。これからは2人1組で行動した方がいいだろう。2人で戦えば草加にも対抗できるはずだ」
橘はダブルとカブト、ギャレンとブレイドで組んで行動することを提案した。他に異論はなくそれで決定した。
フィリップは天道が2人1組で行動することを嫌がる可能性を考えていたが、さすがに天道も今回は神妙な顔つきで黙って橘の意見を聞いていた。
「では俺は剣崎の所に戻る。天道、くれぐれも単独行動はするなよ」
そう言って橘は出ていった。
「じゃあ私も。白井さんの死を受けて、ジャッジメントの主要メンバーを集めて対策会議が開かれることになりましたから」
初春はそう言った後遠慮がちに小声で、
「それからこういう時になんなんですけど・・・今月から私の口座に毎月月末に3万円振り込んでおいてくださいね」
翔太郎は喫茶店の開業資金を初春に出してもらっていた。それを無利子・無担保の5年ローンで返済することになっているのだ。
翔太郎がああと空返事をすると初春は事務所を出ていった。
「翔太郎・・・」
フィリップは手を組んで何やら考え込むようにうつむいている翔太郎に話しかける。
「ああ、わかってたんだ・・・この戦いが命を懸けたもんだってことは」
翔太郎はミュージアムの凶弾の前に倒れたおやっさん、鳴海荘吉のことを思い出す。
「フィリップ・・・もし俺がハードボイルドなら、こういう時に落ち着いていられるんだろうな」
翔太郎の問いにフィリップはそうだろうねと言った。
「なら、俺はまだハーフボイルドでいい」
翔太郎は立ち上がる。
「天道、草加雅人をぶっ倒しに行くぞ」
天道はうなずく。
「ああ、これ以上奴の暴走を許すわけにはいかないからな」
杜王地区・常盤台中学女子寮
御坂と黒子が一緒に使っていた部屋。今は御坂が1人で黒子の遺品を整理していた。
御坂は電気も点けずにカーテンの閉まった部屋で黙って黒子の私物をダンボールに詰めている。
その途中、御坂は本棚の奥に隠してあったアルバムを発見した。以前から黒子がこそこそと自分に隠れて本棚をいじっていた記憶がある。御坂はアルバムのページをめくる。
そこにあったのは無数の御坂を撮った写真だった。黒子とこの部屋で一緒に生活し始めたのは今年の春からだ。にもかかわらずアルバムには100枚以上の御坂を撮った写真が貼り付けてあった。中には着替えやシャワー中の御坂を撮った盗撮紛いのものまである。
「まったく・・・あいつ、なんてもの撮ってるのよ」
写真は全て黒子が自分で撮ったものらしく、佐天や初春がついでに写っているような写真はいくらかあったが、黒子が写っている写真は1枚も無かった。
写真の中の御坂が滲む。涙が落ちたのだ。
「黒子・・・何で・・・何で死んだのよ・・・!」
悲しさや悔しさ。様々な想いが入り混じって、御坂は泣いた。
天道はカブトエクステンダーを走らせる。その後ろを翔太郎とフィリップが乗るハードボイルダーが走る。
その時、天道の前に1人の男が立ち塞がった。天道はバイクを止める。翔太郎もそれに倣う。
「お前は・・・照井竜!」
翔太郎がそう言うと照井はこちらに歩み寄って、
「シュラウドの場所を教えろ。お前たちならわかるはずだ」
照井はシュラウドからフィリップの地球(ほし)の本棚の話を聞いていた。
「俺は奴に奪われたアクセルドライバーを取り戻さなければならない。だがその前にシュラウドに確かめなければならない事がある。俺がアクセルドライバーを奪われた事がシュラウドの計画によるものなのかどうか・・・」
天道は、
「そうか。ならついてこい。俺たちもシュラウドの元へ向かうところだ」
照井はうなずいて道路のわきに停めてあった自分のバイクにまたがった。
仗助は億泰の家でテレビゲームをしていた。
『いい加減沈めよ! 沈めッ!!』
『懺悔の用意はできているか!』
ゲームの中のキャラクターたちは過激な言葉を叫びながら殴りあっている。
同じ部屋で億泰は兄の残したノートパソコンで無料の同人誌サイト巡りをやっていた。
2人とも空虚な目で何も考えずに行動していた。
キンコォーーーン
チャイムが鳴った音がした。客だ。
億泰はノートパソコンを閉じて玄関に向かった。億泰は戸を開ける。
「おう億泰。ちょっと邪魔するぜ」
現れたのは翔太郎、そしてフィリップと天道、照井だった。
「翔太郎さん・・・何で俺の家に?」
あっけにとられている億泰を尻目に4人はずかずかと億泰の家に上がりこんでくる。
「おいシュラウド! ここにいるのはわかってんだ。出てこい!」
翔太郎は突然大声で叫びだした。その声を聞いて仗助も部屋から出てくる。
「何なんすか? いったい・・・」
「さあ・・・さっぱりわかんねえぜ」
仗助も億泰も突然の翔太郎たちの行動にあっけにとられるばかりだ。
「翔太郎・・・」
「ん? なんだフィリップ」
フィリップは青ざめた顔で、
「僕はここを知っている・・・」
「なに? おいどういう事だよ?」
翔太郎は問いただす。フィリップは今まで一度も億泰の家には来た事がないはずだ。この家に関する記憶があるはずがない。
だがフィリップは両手で頭を押さえて息を荒げている。いつもの冷静なフィリップとの違いに翔太郎はただごとではないと感じる。
突然、フィリップは奥の部屋に向かって走り出した。翔太郎たちも後を追う。
その部屋はダイニングキッチンだった。フィリップの脳裏にある記憶が浮かぶ。
夕食のパスタを運んでくる母親。それを笑顔で食べる父親。まだ成人していないくらいの少女もいる。そしてもう1人、5歳前後くらいの子ども。どこにでもある普通の夕食の光景だ。
そしてその記憶の光景は目の前の現実の光景と重なった。
「あの子どもは・・・まさか・・・僕!?」
「ついに思い出したのね・・・来人」
フィリップ、そして翔太郎たちも振り向く。シュラウドだ。
「どういうことだよおい・・・なんで俺の家にシュラウドが現れるんだよ!?」
億泰はわけがわからない。億泰はシュラウドの顔面をにらみつけて彼女の返答を待つ。
「あなたには悪いけど、ここの地下を私の潜伏場所にさせてもらっているのよ」
「じゃあ勝手に冷蔵庫の食材が減っていたのも、電気料金が異常に増えていたのも、全部あんたのせいだったのか?」
シュラウドは億泰の問いにうなずいた。
「でも何で俺の家に!?」
「それはここが元は僕たちの家だったからさ」
億泰の問いにフィリップが答えた。
「なっ・・・おいどういうことだよフィリップ?」
フィリップは翔太郎の問いには答えずに、
「シュラウド・・・いや母さん。全部思い出したよ。僕が父さんに封印されていた記憶の全てを」
「そう・・・ここに来たことで昔の記憶の一部がフラッシュバックして、それがきっかけとなったのね」
フィリップは悲しげな表情で、
「僕と母さん、そして父さんと姉さん・・・この家にあるのは僕たち家族が一緒にすごしていた頃の楽しい記憶ばかりだ」
フィリップは眉間にしわを寄せて、
「なのに何故! 何故なんだ! どうしてこんな悲しい戦いをしなくちゃならないんだ!!」
シュラウドはフィリップをなだめるような口調で、
「記憶を取り戻したあなたならわかるはずよ。あなたが5歳の時、あなたは地球(ほし)の本棚の能力を私たちに見せた。そして琉兵衛はあなたの能力でガイアメモリを作ることに成功し、あなたを道具として利用することにした。私はあなたが人間として生きられるように琉兵衛を倒そうとしている」
「人間として生きられるように・・・何を言っているんだ。母さんだっていろんな人を利用して、道具のように扱っているじゃないか! そのせいで黒子ちゃんは・・・あんなことに・・・!!」
フィリップは何かを覚悟したような表情で食器棚へと駆け寄る。そして引き出しを開けてナイフを手に取り、自分の喉元へと突きつけた。
「来人!」
シュラウドは取り乱した様子でフィリップの名を叫ぶ。
「おいよせフィリップ!」
翔太郎もフィリップを止めるために近づこうとする。だが、
「止めないでくれ翔太郎! 僕を自分の目的のための道具にしようとしている父さん。その父さんを止めようといろんな人に迷惑をかけている母さん。そのせいで黒子ちゃんが死んだというのなら・・・僕が死んで、この戦いを止めるしかないじゃないか!」
あまりのフィリップの気迫に翔太郎は近づく事ができない。だが近づかなければフィリップは自害してしまうだろう。しかし下手に近づけばフィリップを刺激して結局同じ結果を招いてしまうだろう。
翔太郎は迷う。どうすればいいのかまったく見当もつかない。
シュラウドも翔太郎と同じ気持ちのようで、フィリップを止めたいがどう動けばいいのかわからなかった。さらにシュラウドはフィリップが死ぬのを止めてはいけないような、一種の罪悪感も感じていた。
そうやって迷っているうちにフィリップはナイフをどんどん首の動脈に近づけていく。
その時、天道が動いた。天道は一歩でフィリップの眼前へと迫り、フィリップのナイフを持つ右手を左手でつかみ、さらにそのまま背後へ回ってフィリップの首筋に右手で手刀を打ちこんだ。
うっと小さく声を上げてフィリップは前に倒れこんだ。天道の当て身で気絶したのだ。
「フィリップ!!」
翔太郎はフィリップに駆け寄る。
「おばあちゃんが言っていた。ナイフやフォークは食べ物を食べるための道具。人を傷つけるための道具じゃあないと」
天道はシュラウドの方を向いて、
「おばあちゃんはこんなことも言っていた。命は何よりも尊い大切なもの。それを粗末に扱うようなことは誰にも許されない」
天道はシュラウドをキッとにらんだ。
「シュラウド、お前はやってはいけないことをやってしまった。お前も俺の敵だ」
「あなたたち・・・そんなに草加雅人の事が許せないの?」
シュラウドはさっきの取り乱した様子からいつもの冷淡な口調に戻った。
「当たり前だ! 俺のアクセルドライバーを返せ!!」
照井が怒りを込めてそう叫んだ。
「照井竜。残念だけど、正直なところ私はあなたに井坂を倒してもらおうと思っていないのよ」
「なに! どういうことだ?」
「あなたがエクストリーム化すれば井坂なんて雑魚よ。あなたには井坂よりももっと強い敵を倒してほしいの」
その言葉を聞いて照井は憤慨する。
「ふざけるな! 俺はお前の道具にはならん!! 俺の敵は井坂ただ1人だ。奴さえ俺の手で殺せればそれでいい!」
「そう、なら残念ね。井坂はもうすぐ草加雅人のカイザによって倒されるわ」
「なに! どういうことだ!?」
照井は語気を荒げてそう聞いた。
「カイザは装着者の命と引き換えに絶大なパワーを発揮する」
「命と引き換えに・・・だと!?」
天道がその言葉に反応した。
「カイザのベルトは普通の人間が使えるものではない。それを無理に使用すれば生命エネルギーを著しく消耗し、やがて死に至る」
普通の人間。その言葉が引っかかったが天道は話を進めるためにあえて追求しないことにした。
「つまり、雅人の命と引き換えにミュージアムの強敵を潰そうということか」
「そう。そしておそらくその強敵は井坂になる。彼は強さを求めている。ライダーシステムをいくつか持った草加雅人を彼が狙わないはずはないわ」
「クソッ! 何故俺にカイザのベルトを渡してくれなかった!? 井坂を殺すのはこの俺だ!」
照井はシュラウドに抗議するが、
「アクセルドライバーを使えば誰でもエクストリーム化できるとはいえ、同じアクセル・エクストリームならアクセルメモリとの相性が良いあなたの方が強い。これでわかったかしら? 私は全てが合理的にうまくいくように考えている。あなたたちは余計な口を出さずにただ私の言うことに従っていればいい」
「悪魔め・・・!!」
照井は怒りの眼差しでシュラウドをにらみつけてそう呟いた。
「なんとでも言うといいわ。どんな方法を使ってでもミュージアムを潰す。そして私は来人を自由にする」
「ああそうか。じゃあもういい! 俺もお前を敵と思うことにする! そして井坂は必ず俺が殺す!!」
照井はシュラウドに向かって唾を吐き捨てるようにそう言った。
「シュラウド、俺もさっき言ったとおりお前を敵と思っている。白井を殺したお前の罪は重い」
天道はシュラウドとの決別を決意してそう言った。だがシュラウドは、
「そう言っていられるのも今の内よ。あなたたちはまだ本当のミュージアムを知らない。いずれあなたたちは再び私の力を求めるようになる・・・天道総司、カブトを最強にする力はすでにできているわ。欲しければいつでも私の駒に戻ればいい」
そう言ってシュラウドは部屋を出ていった。
天道も照井もシュラウドが言った事が駒を失ったことによる負け惜しみにしか聞こえなかった。
翔太郎は気絶しているフィリップに肩を貸して立ち上がる。
「左、お前はシュラウドをどう思う?」
天道は聞いた。
「俺は・・・やっぱり許せねえ。少なくとも黒子が死んだのはミュージアムのせいじゃなくてあいつのせいだからな。だが・・・」
翔太郎はフィリップの横顔を見る。フィリップの顔には涙の痕があった。
「俺はフィリップと2人で1人の仮面ライダーだ。シュラウドを敵と考えるかどうかはフィリップと一緒に決める」
「そうか。とにかくこれでシュラウドの意思がわかった。草加を止めるぞ」
天道が翔太郎にそう言うと照井が、
「なら俺も同行させてもらおう」
ついに仲間になってくれるのかと翔太郎は期待したが、
「勘違いするな。俺が草加からアクセルドライバーを取り戻すまでの関係だ。もう一度言っておくが俺の敵は井坂だけだ。他はどうなっても知らん」
照井は冷たくそう言い放った。翔太郎はもしかしてと思い表情を暗くする。
「お前、もしかしてメモリの毒にやられてるんじゃ・・・」
翔太郎は照井にそう聞いた。
メモリの毒とはガイアメモリ使用者の精神を異常にしていく力を形容した言葉だ。ダブルドライバーや霧彦が使っていたガイアドライバーにはメモリの毒を除去する機能があった。翔太郎はアクセルドライバーにもその機能があると思っていたが、アクセルドライバーは使用者のメモリ適合率を無理矢理上げていくものだ。もしかしたらメモリの毒のことは何も考えられていないのかもしれない。
「何を言っている? 俺の心は井坂への憎しみで満ちている・・・だから俺は正常だ」
照井がそう言ったのを聞いて翔太郎は照井がメモリの毒に侵されていることを確信した。この病的なまでの視野の狭さはまさしく異常だ。
天道と照井の2人は屋敷の外に出ていく。
翔太郎は照井についてしばらく様子を見ることにした。メモリを使わない限り毒は徐々に抜けていく。照井がもう少し落ち着いた時に改めて復讐について一緒に考えてやればいい。翔太郎はそう考えた。
翔太郎は仗助と億泰にフィリップを預けて行くことにした。気絶したフィリップを連れて草加を探すのは危険だ。ここなら仗助に億泰、なによりもシュラウドがいるから安全だと考えたのだ。
仗助の肩にフィリップを渡すと翔太郎は天道と共に屋敷を出ていった。
「・・・そろそろ気持ちは落ち着いたかよ、仗助?」
億泰は聞いた。
「ああ、グレートにクールな状態っすよ。これでもう草加雅人に遭遇しちまっても問題ねえ」
黒子を殺されたと知った時、2人の心は怒りで破裂しそうだった。天道からおそらく犯人は草加だと言われた時、2人は草加をぶっ殺してやりたいと心の底から思った。
だが2人は思い出した。黒子が望んでいたのは街の平和だ。草加への復讐ではない。
2人は自分たちの心を一旦落ち着けるために家にこもったのだ。
仗助は億泰の寝室のベッドにフィリップを寝かせた。
「よし、俺たちも行くか!」
仗助と億泰も屋敷を飛び出していった。
常盤台地区・風紀委員(ジャッジメント)本部ビル
ここでこれからジャッジメント主要メンバーを集めての会議が行われるということだった。
吉良吉影はそのビルの前に立っていた。吉影はビルを見上げる。ビルは10階建て以上の高さがある。
「大きいな・・・まあいけるか」
そう呟いて吉影はビルの壁面に触れた。
そして吉影はその場を立ち去った。
草加雅人は廃工場の水道で自身のバイク、サイドバッシャーを洗車していた。
「見つけたぞ。草加雅人」
背後から声がした。草加は敵かと思ってイクサナックルを構え振り向く。
「やはりイクサナックルはお前が持っていたか」
そこには草加とたいして歳が離れていないであろう男が立っていた。草加は眉間にしわを寄せて男をにらみつける。
「誰かな? 君は」
「俺の名は名護 啓介(なご けいすけ)。そのイクサナックルを開発したものだ」
「なるほど。それで俺からこれを取り返そうというわけか・・・だが何故俺の場所が分かったのかな?」
草加は色々な者から追われている。そのため草加は潜伏場所を1日の内に何度も変えている。誰にも気付かれないように行動してきたつもりなのだ。
「イクサは悪を逃さない。イクサは戦闘中に極小の粒子を散布する。粒子は特別な薬品でしか落とす事ができず、付着したものの生体反応を受けて俺が持つレーダーに反応するようになっている」
「つまり、俺は死ぬまで君から逃げられないということか」
草加は軽く歯軋りをする。名護は草加をゴミを見るような目で見る。
「お前はジャッジメントの白井黒子を殺した。俺がお前の罪に罰を与えてやる」
「フン、ライダーシステムを持つ俺にどうやって罰を与えるというのかな」
草加は戦う気満々だ。そんな彼に名護はニッコリと微笑みかけ、
「なに、俺は君に罪を償って欲しいだけだ。まあその気がないのなら君には死をもって罪を償ってもらうしかなくなるが」
草加に罪の意識はまったくなかった。馬鹿馬鹿しいと思いながら草加は名護に聞く。
「じゃあ一応聞かせてもらえるかな? その罪を償う方法を」
「まず俺にイクサを返すこと。そして俺の指揮下に入って戦うことだ」
「断ると言ったら?」
「自分の立場を客観的に見てみろ。いくら君が大量のライダーシステムを持っているとはいえ、こちらには選りすぐりのジャッジメント隊員たちがいる。あきらめなさい。君に勝ち目はない」
名護の言う通りだった。草加は今まで不意打ちでライダーシステムを奪ってきたが、正面から戦えば数で勝る相手の方が有利だ。相手もすでにこちらの存在に気付いている以上もう同じ手は通用しないだろう。だから草加はこの1週間、残りのライダーたちに手を出せなかったのだ。
草加の歯軋りでギリッという音が鳴った。
そんな時、名護のケータイが穏やかなクラシックの着信音を鳴らし始めた。名護は電話に出る。
「もしもし・・・・・・なに!? ・・・そんな馬鹿な・・・・・・わかった。今すぐ行く」
名護はとてつもなく慌てた様子で、
「草加雅人。この話は保留だ。俺は今すぐ行かなければならない。次に会った時には必ず罪を償ってもらう」
そう言って名護は走り去っていった。
「奴の元で戦う・・・か」
草加は空を見上げて考える。やがて草加はニヤリと笑い、
「こうなったら利用できるものは全て利用するしかないかな」
そう呟いて草加はサイドバッシャーにまたがった。
「う~~~トイレトイレ」
外に出ていた康一は今トイレを求めて全力疾走していた。そんなわけで偶然通りがかった公園のトイレにやってきたのだ。
「そういえばこの公園はハッテン場のトイレがあることで有名なところだけど・・・まあいいか」
康一は構わずホイホイと大便器に駆け込んだ。
康一は今まで我慢していたものを出し切ってホッと一息ついた。
その時だった。誰かの足音が聞こえてきた。この男子便所の中に入ってきている。その足音の主は立ち止まって1人でぼそぼそと喋り始めた。
「この辺でいいか。よし、やれキラークイーン」
キラークイーン? 何だそれはと康一は思った。
「ふふふ、東方仗助め。これで私の怒りを感じるといい・・・もっとも奴は私の存在を知りもしないだろうがな」
康一の背中に電流が走った。仗助に恨みを持った人物が今何かしたのだ。キラークイーンとはそのために使った能力の名前なのではないか。康一はすぐに扉を開けて飛び出した。
「待て! どういうことだ!」
足音の主は長身の背広に身を包んだ30歳を過ぎたくらいの男、吉良吉影だった。吉影は康一の登場に驚いているのか顔を引きつらせている。
「コイツ・・・! まさか、聞いていたのか!?」
「いったい仗助君に何をしたんだ! 答えろ!」
吉影は康一の言うことなど一切聞いていない。ただこの失敗にどうやって収拾をつけるかだけを考えていた。その答えはすぐに出た。
「不運だったな。君も私も。君にはここで死んでもらう」
吉影の隣にいきなり筋骨隆々の、しかし顔は骸骨のようで、しかも猫耳のようなものまで生やしている奇妙な怪人が現れた。
「これはスタンド!? ということはスタンド使い!!」
康一は怪人を見てそう言った。
「ほう、君にはこれが見えるのか。スタンドはレベル3以下の能力者と無能力者には見えないと聞いているが・・・君にも何か能力があるのか?」
「答える必要はない!」
康一も自身のスタンド、エコーズを出した。
キラークイーンは右手で握っていたメダルを康一に向かって投げつけた。だがエコーズがそれを高周波サイクルによって康一に届くまでに粉微塵にした。
「なるほど。これは厄介な能力だ」
吉影は眉間にしわを寄せる。
「お前を倒す! そして質問に答えてもらうッ!」
康一はエコーズで吉影に殴りかかった。その拳をキラークイーンが左手で受け止める。たいした威力のパンチではなく、まるで子どものパンチを大人が受け止めたようになってしまった。だが康一はニヤリと笑う。
「かかったな」
「なに?」
受け止められたエコーズの拳から超高周波サイクルが発せられる。それを受けているキラークイーンの左腕はまるで沸騰している湯のようにボゴボゴと爆発した。
「ぐあああッ!!」
耐え切れずに吉影はキラークイーンの左手を引っ込めた。そして後ろに下がってエコーズとの距離を取る。
スタンドのダメージは本体に跳ね返ってくる。吉影の左腕もキラークイーンと同じように傷ついていた。袖から血が垂れているのが見える。
「次は足だ! いやなら降参しろ!」
康一はエコーズと共に吉影に歩み寄っていく。
「油断・・・だ」
吉影はボソッと呟く。康一は何事かと思って歩みを止めた。
「前回手を奪い返された時も、今回この腕をやられた時も、私の心には相手に対する油断があった。どうやら私には知らず知らずの内に相手を見下す悪い癖があるらしい。気をつけなければな・・・」
「手を奪い返された時だって? ・・・まさか、白井さんはお前が!? いったい」
康一が吉影を問い詰めようとした時、キラークイーンは右手の人差し指の第二関節のスイッチを押した。
「え?」
康一は体の奥からとてつもなく熱いものを感じた。
「私の心にもう油断はない。君はもう終わりだ」
「う・・・うわアッーーーーーーーーーー!!」
康一の叫びがトイレの壁に反響した。
常盤台地区・翠屋
「ひより」
厨房で仕事をしていたひよりは名前を呼ばれて振り返った。草加だった。
「雅人、来てくれたのか」
今翠屋にはひよりと草加以外誰もいなかった。ひよりは厨房を出て草加に近づく。
「言った通り来てくれたんだな。でも来るなら来ると事前に言ってくれれば」
草加はニッコリと微笑む。そしてひよりの腹に強烈なボディブローを打ち込んだ。
「え?」
ひよりは気絶した。前のめりに倒れる彼女を草加は受け止める。そして草加はニヤリと笑った。
仗助と億泰は2人で草加を探していた。その時、2人のケータイに同時にジャッジメントの上位組織アンチスキルからの連絡が入った。
「もしもし・・・えッ!? ・・・・・・そんな・・・どうして・・・どうしてそんなことに・・・はい、今すぐ向かいます」
2人とも同じような返事をして電話を切る。2人とも動揺を隠せない。が、今はとにかく向かうしかなかった。
「走るぞ億泰!!」
「オウ!」
仗助と億泰はジャッジメント本部ビルへと向かって走り出した。
天道、照井、翔太郎の3人は草加を探してバイクで走り回っていた。
「おい! 2人とも見ろ!!」
照井が何かに気付いて立ち止まった。天道と翔太郎もバイクを止める。そして照井があれと指差す方向を見た。
照井が指差したのはビルの壁面に設置された巨大モニターだ。そこにはジャッジメントの本部ビルが突然爆発するかのように塵になったという緊急ニュースが流れていた。今日行われていた会議を狙っての能力者による犯行とみられているが、現在犯人の目星はついておらず、ビルにいたジャッジメント隊員のほとんどが死亡したとニュースは伝えている。
「そんな・・・初春・・・まさか初春も!」
翔太郎はいてもたってもいられずにジャッジメント本部ビルへと向かおうとする。だが天道はそんな翔太郎を制止する。
「待て。今行けば救助作業の邪魔になるだけだ。初春の安否は後で東方たちにでも聞くんだ」
そう言われて翔太郎は踏み止まった。だが気持ちはざわついたままでまったく落ち着かない。
「あの爆発・・・草加の仕業ではないな」
照井は呟いた。
「ああ、雅人の持っているライダーシステムにあんな事ができる物はない」
天道は冷静に分析してそう言った。
その時だった。
「総司ィ!」
誰かが天道の名前を呼んだ。3人は声のした方を向く。そこには両腕を後ろ手に縛られ猿ぐつわを噛まされたひよりを連れて歩く草加の姿があった。ひよりは何かをこちらに必死に訴えようとしているが猿ぐつわのせいで喋れないようだ。
「雅人・・・貴様ァッ!! 何のつもりだ! お前はひよりのためだけに戦うんじゃなかったのか!!」
天道は怒りをあらわにして叫ぶ。草加は高笑いをして、
「らしくないなあ、そんなに叫んで。まあそうやって怒る気持ちもわかるがな」
草加の発言に天道の神経は逆撫でされる。天道の怒りのボルテージは頂点だった。
「あいつが草加雅人・・・なんて卑劣な奴なんだ」
翔太郎はそう呟いた。それを聞いて草加は高笑いを止め、
「おっと、そういえば言い忘れていたな。俺は草加雅人ではない」
3人はどういうことだと思う。すると草加雅人は見る見るうちに姿を変えて、緑色のサナギの怪人となった。
「こいつは・・・ワーム!」
「そうだ。俺は草加雅人に擬態してひよりに近づき、お前との交渉の材料にするための人質としたのだ!」
「交渉だと? いったい何をするつもりだ」
天道はサナギワームに問いかけた。
「お前の持つカブトゼクターをよこせ! 断ればこいつを殺す!」
サナギワームはひよりの首の前に腕を出した。
「卑怯な・・・!」
天道はサナギワームをにらみつけた。
「卑怯だと? 何とでも言え。俺たちワームはミュージアムの中でも使い捨ての雑兵扱いだ。どんな手を使ってでものし上がっていくしかないんだよ! さあ早くカブトゼクターをよこせ」
サナギワームは興奮した様子で叫ぶ。天道は仕方なくカブトゼクターを呼んだ。
「そうだ。それとライダーベルトをこっちに向かって投げるんだ」
サナギワームにそう言っている。天道は眉間にしわを寄せ歯を噛み締める。このまま渡していいものか。
ひよりはさっきからずっと暗く沈んだ目をしていた。だが自分のためにあんなに苦悩している天道の様子を見ている内にひよりの目が何かを決意した目つきに変わった。
「こいつは愉快だ! こんなに簡単にライダーを出し抜けるんだからなあ」
サナギワームの高笑いが周囲に響く。
だがその高笑いは急に止まった。
天道たち3人は自分たちの目を疑った。
サナギワームは胸を貫かれていた。サナギワームは後ろに向かって倒れる。地面に緑の血だまりが広がっていく。
「ひより・・・そんな・・・・・・お前・・・」
天道は唖然としている。
サナギワームの胸を貫いたもう1体の緑の怪人。怪人は元の姿に戻る。
元の草加ひよりの姿に。
ひよりは悲しそうな目でこちらを見ていた。
「ひより・・・なのか? いや・・・お前は、誰だ?」
天道は目の前で起こったことを嘘だと信じたかった。
次回予告
名護「我々はジャッジメントを脱した。これからは《鷹》と名乗る」
井坂「冴子さん、お体に触りますよ・・・」
矢車「やめろォ!!」
天道「ひより・・・いや、お前は・・・」
ひより「全部話すよ。僕とひよりの全てを」
矢車「マミ・・・俺は歩いていく。この真っ暗闇の地獄を・・・
次回、学園都市の日常・科学サイド『Iが裁く/マミの首がすっ飛んだ!』
これで決まりだ」
黒岩「知っているか! 今日の最強ヒールは『キラークイーン』
俺の秘書の吉影君のスタンドだ。詳しい能力はまだ明かせないが、とにかく強力なスタンドだ。近距離パワー型のスタンドで東方仗助のクレイジー・ダイヤモンドにも負けないパワーを発揮する。音もなく静かに相手を葬り去るその姿はまさに《殺しの女王》を名乗るに相応しいだろう」
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