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~teamBDRの酒場~
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teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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5話「Kの道を往く/最強男と電撃少女」
 
作者 Joker

学園都市・常盤台(ときわだい)地区。学園都市内の地区中最大の面積を誇り、高層ビルが立ち並ぶ都会的な景観が特徴のこの地区だが、その一角に場違いな廃墟群と直径900メートルほどのクレーターのある無断立ち入り禁止区域、エリアXがあった。そしてそこに密かに建てられた研究所で重要な会議が行われていた。仗助たちが京兆と戦う2日ほど前の夜のことである。
「やはり我々が作ったシステムには、学園都市最強の超能力者、一方通行(アクセラレーター)が妥当だと思います」
10人ほどの研究員があるシステムの被験者について話し合っている。
「いや、確かにこのシステムには力に耐えうる強力な人材が必要だが・・・一方通行(アクセラレーター)は使いにくいでしょう。我々に素直に協力してくれるような人物ではない」
「素直に協力してくれるという条件なら、学園都市第3位の能力者、御坂 美琴(みさか みこと)が良いと思います」
「ほう・・・御坂美琴か」
他の研究員たちもこの意見に同調する。
「よし、決定だ。では我々が開発した対ワーム殲滅用マスクドライダーシステム・カブトの装着者は学園都市第3位能力者、御坂美琴とする」
その時、急にけたたましいサイレンの音が研究所内に鳴り響き始めた。
「大変です所長!」
息を荒げた警備員が扉を開けて入ってきた。
「システムが・・・システムが何者かによって盗まれました!!」
「何だと!?」
研究員たちはざわつく。直ちに捜索令が出されたが、当の犯人はすでに遥か遠くの街のビルの屋上にてたたずんでいた。
「これでいいだろう?」
犯人の男は自分の周りに赤い機械の昆虫のようなものを飛ばせつつ、自分の背後にいた女にそう言った。女はそれを聞くときびすを返して去っていった。
「・・・俺が往く道は・・・・・・」
男はネオンで光り輝く街を見下ろしながら呟いた。

 
仗助たちが京兆と戦っている頃、ひとりの少女が常盤台の街を歩きまわっていた。少女の名は御坂美琴。学園都市第3位の超能力者であり、レベル5の電撃使い(エレクトロマスター)で常盤台の超電磁砲(レールガン)の異名を持っている。さらにレベル3未満の能力者は王侯貴族であっても籍を置けないという、学園都市でも5本の指に入る世界有数のお嬢様学校、常盤台中学に通っている超エリートの14歳・・・とここまで書けばとてつもない人物だが、見た目はいたって普通のどこにでもいる女子中学生である。茶色のショートヘアーをなびかせつつ彼女が向かうのは常盤台地区の一角にあるイタリア街だ。イタリア街とはこの街に住む大富豪、園崎琉兵衛(そのざきりゅうべえ)が本物のイタリアの街を精巧に真似て造らせた壮大な模造品(レプリカ)だ。レプリカといっても本物と見分けがつかないようなコロッセオやヴェネツィアの町並みがあったりで本当にイタリアにいるような気分になれるというので街の名所のひとつとなっている。これは彼の趣味で、他にも東京タワーや埼玉スーパーアリーナなど数えればきりが無いほどのレプリカが常盤台に造られているが、その様はまるで地球のあらゆる場所を集めた博物館といったような感じで、街の人たちは皆これらを見て園崎氏の大きな力を感じるのであった。
「あとはあそこだけか・・・」
御坂がイタリア街に来た理由はただひとつ。1週間ほど前、不良に絡まれていた自分を何も言っていないのに黙って助けたあいつに会うためだ。あいつはあの時豆腐を入れるボールを持っていた。御坂はその後学園都市中の豆腐屋を調べつくし、あいつが使っている豆腐屋を探していたのだ。残る候補はイタリア街にひっそりと構えている老舗の豆腐屋ただひとつだけ。
「・・・ついに見つけたわよ。アンタ」
御坂の革靴(ローファー)が和服の男に向かってコツコツと音を鳴らしてゆく。
「なんだお前は?
「お前じゃないわ。御坂美琴よ。アンタ、よくもこないだは私のこと勝手に助けてくれたわね」
和服の男はすでに成人で御坂とは比べ物にならないくらい身長も高い。だが御坂は物怖じする様子も無く、
「気に入らないのよ。あれじゃあまるで私がアンタみたいなただの人間に守られなきゃいけない弱い人間だって言ってるのと同じよ。私はアンタより確実に強い。アンタに助けてもらう必要なんかなかったのよ。なのにアンタは・・・!
御坂の周囲に微弱だが電気がほとばしる。彼女は己の発電能力で静電気レベルの微弱な電気から雷まで自由自在に操ることができるのだ。
「なるほど。それで俺と戦って自分の方が強いということを証明したいというわけか」
「そういうこと。大丈夫、死なないように手加減してあげるから」
自信満々の御坂。当然だ。だが何故か男の方はそれ以上に自信満々。いや、余裕すら感じさせるほどの態度で、
「いいだろう。だが手加減はいらないな。全力でかかってこい。それから俺はアンタじゃない」
男は頭上に昇る太陽を指す。
「おばあちゃんが言っていた。俺は天の道を往き、総てを司る男。天道総司(てんどうそうじ)」
 
2人は人気のない海沿いに行くとまっすぐに対峙した。
「さあ、手っ取り早く超電磁砲(レールガン)を撃ってこい。噂に聞いたことがある。それがお前の得意技だろう」
天道は右手に豆腐の入ったボールを持ったまま棒立ちしている。御坂はその余裕が許せなくて迷うことなくポケットからゲームセンターのメダルを取り出した。それを右手の親指に乗せ電気を込めて弾く。それは稲妻の槍となって天道へと突き進んでいく。
「甘いな」
その時、小さな赤い何かが突然現れてレールガンとぶつかった。レールガンは軌道を真横にずらされ海にぶつかった。激しい爆音と水蒸気が沸きあがる。
「お前の最強の技は防いだ。俺の勝ちだな」
「え!? ちょッ・・・待ちなさいよ!!
きびすを返して去ろうとする天道を御坂は引き止める。
「さっきの何よ! アンタ何もしてないじゃないの!?」
「そうだ。俺は何もしていない。じゃあな」
「だから!! なんで私のレールガンが防げたのか聞いてるのよ!!」
「お前が俺より弱いからだ。思い上がったような口を利くんじゃない」
天道の背中がどんどん遠ざかっていく。御坂はただ歯を食いしばって見ていることしかできなかった。
 
「ちぇッ! クッソォ!」
御坂は電気を込めた右足で公園の自販機に蹴りを放った。自販機が狂った電子音を上げて大量の缶ジュースを吐き出す。御坂はその中から1本選ぶとベンチに座った。
「天道・・・何なのよあいつは・・・」
さっき放ったレールガン。あれは本気ではなかった。とはいえ天道のあの余裕。おそらく全力で放っていても・・・
「いや、信じない!! 私があんな奴に・・・レベル5の学園都市第3位があんなただの人間に・・・!!」
だが御坂は自分を打ち破ったことのある人間を天道の他にもう1人知っている。そいつもただの人間で御坂のような力も名誉もない奴だった。だが御坂はそいつに負けた。天道にも負けた。自分よりも上の人間が2人もいる。自分の世界がどんどん他人に侵食されていく。それは御坂にとって許せないことであった。
「あーーーもう!!」
御坂は電気で磁石化させた空のアルミ缶を投げて鉄製のゴミかごに投げ込む。缶がかごの中で暴れまわって音を立てる。
「フフフフフ・・・・・・」
その時、背後から声が聞こえた。御坂は振り返って後ろの林を見る。そこにいたのは御坂を見つめて笑っている天道だった。
「アンタ・・・なに笑ってんのよ!」
林の中に消えてゆく天道を御坂は追いかける。
「待ちなさいよ! なんなのよアンタは!!」
林の中に御坂の声がこだまする。だが確かにいたはずの天道はどこにもいない。
「逃げるなんて卑怯じゃないの! 出てきなさいよ!」
その時、背後でガサガサッという音がした。天道かと思って振り向くとそこには・・・
「あ・・・アンタは・・・!?」
そこにいたのは自分だった。鏡で映したように寸分違わぬもう1人の御坂美琴。

その御坂は低く落ち着いた声で、
「お前はこの街において大きな力と地位を持っている。とても便利な存在だ。その存在、私がいただこう」
「あ・・・アンタ何を・・・・・・」
怖気を感じて御坂はもう1人の自分との間に距離を取る。
「フフフフフ・・・」
微笑みとともにもう1人の御坂は暗い黄色の人型をした昆虫のような怪物に姿を変えた。
「ひっ・・・!!」
いくら学園都市第3位のレベル5とはいえこのような気色の悪い姿の怪物を見たら誰だって恐怖するだろう。ましてや彼女はまだ14歳の少女なのだ。御坂は逃げようと思うが足に力が入らず尻もちをついてしまった。
「これからは私がお前として生きてやろう」
怪物が太い腕で御坂を撲殺しようとしたその時、突然赤い機械の昆虫のような物体が飛来して怪物を攻撃し始めた。
「何ッ! こいつは・・・!?」
怪物は機械の昆虫を振り払おうと必死だ。御坂ははっと我に返りもたつきながらも怪物との距離を取った。
「ちぃッ!」
怪物はバットでボールを叩くように機械の昆虫を弾き飛ばす。だが昆虫は無傷で、今度は林の奥の木漏れ日で輝いている場所にいる誰かの元へと飛んでいった。
「アンタ・・・!!」
その誰かとは天道であった。天道は機械の昆虫を右手で掴むとゆっくりこちらに向かって歩いて来た。怪物は怒った様子で息を荒げながら天道に向かってゆく。
「俺はこの時を待っていた。この力を得てお前たちと戦う時を・・・」
太陽を背にして天道が叫ぶ。
「変身!」
天道は赤い機械の昆虫、カブトゼクターを腰に巻いていたライダーベルトにセットする。
Henshin(ヘンシン)―
カブトゼクターから電子音が発せられ、天道の身を銀色の重厚な鎧が覆ってゆく。
「アンタは・・・いったい・・・?」
御坂は思い出す。たしか友人の佐天涙子が言っていた。この街には仮面ライダーという正体不明の戦士がいると。だが御坂はそれをただの都市伝説の1つにすぎないと思っていた。科学が異常に発達したこの街にはそのような真偽不明の都市伝説が腐るほどあるからだ。だがその都市伝説が今、目の前に姿を現した。御坂は知る由もないが、この戦士の名は仮面ライダーカブト・マスクドフォームといった。
「ギシャアアア!!」
怪物がカブトに襲い掛かる。大きく太った腕をハンマーのように振り回す怪物。だがカブトはその大振りな攻撃を軽々と避けている。避けながらカブトは自身の武器であるカブトクナイガンを取り出してアックスモードとして持つ。
「ハアッ!」
斧状に研ぎ澄まされた刃は怪物の腹に深々と突き刺さった。
「グエェ!!」
怪物の腹から緑色の血が噴き出す。その傷口にカブトが蹴りを入れると怪物はさらに叫び声を大きくした。たまらなくなった怪物は逃げようとする。
「仮面ライダー・・・この借りは必ず返す・・・・・・」
そう言って怪物は肉眼では捉えられないような速さでこの場を去った。
「クロックアップか・・・逃げられたな」
天道はカブトゼクターを外し変身を解除した。
「ねえ、アンタ・・・今のは・・・・・・?」
天道は御坂の質問には答えずその場を去った。
「なんなのよ・・・アイツ」
「隊長! こっちです」
急に辺りが騒がしくなった。それも隊長という言葉や重々しいブーツの音。まるで軍隊だ。やがてその軍隊は姿を現し、隊長と思しき20代後半ぐらいのスーツ姿の男の人が御坂に話しかけてきた。
「君、大丈夫か? 怪我は?」
「あ・・・ないです」
「そうか。ならここで異様な怪物を見なかったか? 俺たちはその怪物が現れたのを察知してここに来たのだが」
「そ、それなら見ました! 黄色の気色の悪い怪物で・・・あとそれから都市伝説の仮面ライダーが現れてその怪物と戦ったんです!」
「仮面ライダー・・・だと?」
その言葉に隊長が強い反応を示す。
「もしかしてその仮面ライダーは・・・銀色の大きな装甲、もしくは赤く大きな角がなかったか?」
「ありました・・・銀色の頑丈そうな装甲です」
「そうか・・・・・・」
隊長は遠くを見て何か考えたあと再び御坂に視線を戻して、
「すまないが、これから君にいろいろと話してもらいたい。俺は矢車 想(やぐるま そう)。君は?」
「私は御坂美琴です」
「なに!? ・・・奇遇だ。これは少し。いや、かなり話さなければならない時間が増えそうだ・・・・・・昼食をご馳走しよう。そこでゆっくり話をしよう」
こうして御坂は矢車とイタリア街のレストランで対談をすることになった。御坂は天道や怪物、仮面ライダーなど今日起こったわけのわからない出来事を矢車さんが説明してくれるかもしれないと思い、迷わずついていくことにした。
 
貸し切りのレストランで矢車と御坂は大きな円形のテーブルに向かい合って座っていた。矢車はステーキをナイフで切りながら、
「まず君の言った天道総司という男だが・・・君の言った通りその男が仮面ライダーに変身したのなら、間違いなくその男は2日前に俺たちの組織の研究所からカブトゼクターを盗み出した犯人だ」
御坂はスパゲッティーをフォークで巻き取りながら、
「俺たちの組織というのは?」
ZECT(ゼクト)。ジャッジメントなどと同じこの街の防衛機関だ。君がさっき見た怪物は“ワーム”という地球外生命体だ。俺たちはそのワームによる犯罪を調査、そしてワームの殲滅を仕事にしている」
「何故そんな奴がこの街に?」
「君も知っているだろう。15年前、この街に隕石が衝突した事件を・・・」
15年前、常盤台地区のエリアXに隕石が衝突した事件。宇宙空間に突然現れたそれは学園都市の超科学をもってしても防ぐことができず、結果として死者数万人という大きな被害を出した学園都市史上に残る大事件だ。今でもエリアXに復興のめどは立っていない。
「あの隕石は、実はワームたちが乗っていた宇宙船だったんだ」
矢車が衝撃の事実を語りだす。宇宙空間に突然隕石が現れたのはワームたちがワープ飛行で操縦していたから。しかもワームたちはこの学園都市に狙いを定めて落下して来たのだという。この街を地球侵略の拠点とするために。
「しかも奴らには恐ろしい能力が備わっていた。擬態能力だ。君も見たんだろう? ワームが天道や自分の姿に化けるのを。奴らはそうやって人間と摩り替わる。記憶、人格までコピーして・・・この街、ゆくゆくは世界を乗っ取ろうとしている。しかも奴らは人間の姿でいるときこちらのワームサーチャーに引っかからない。怪物になって人を襲うときにしかこちらでは奴らを発見できないんだ」
たしかに自分の身の回りにいる人間がいつの間にかワームと入れ替わっていたらと思うとゾッとする。自分が今までZECTやワームについて知らなかったのはおそらく街が情報規制をかけているからだろう。もしワームの存在が公になれば人は他人を信用しなくなるからだ。
「そしてワームたちはクロックアップといわれる高速移動能力まで持っている。生身の人間では奴らに立ち向かうことは不可能だ。だから我々ZECTはマスクドライダーシステムを作った。仮面ライダーに変身するための道具だ。マスクドライダーシステムがあればワームに対抗することができる・・・だが、天道がそれを奪った」
矢車はフォークとナイフを置いて神妙な顔つきで手を組む。
「元々あのマスクドライダーシステム・カブトは・・・君に渡されるはずだったものなんだ」
「え!? 私を・・・仮面ライダーに?」
だとしたらますます御坂は天道を許せない。自分に渡されるはずだったものを盗んだということは、御坂のものを天道が盗んだということだ。絶対に取り返したい。
「これも何かの縁だ。天道捜索に協力してほしい。レベル5の君がいてくれればこちらとしては大いに助かる」
「もちろん。喜んで」
迷うことなき判断だった。そして御坂は誓う。天道へのリベンジを。
 
天道の日課は妹がバイトをしている喫茶店でティータイムを過ごすことだった。
「ひより、いつものをくれ」
「兄さん・・・毎日毎日ここに来て、いったいいくら料金滞納していると思っているんだ?」
相変わらず俺の妹は無愛想だなと思いつつ、天道は運ばれてきたコーヒーを飲む。料金滞納については思い出すのが面倒なのでスルーした。
「ところでひより。これからは何か困ったことがあったら俺に言え。すぐに俺が助けてやる」
天道の脳内で15年前の記憶がフラッシュバックする。忌々しい記憶だ。
「いや、その前に料金を・・・だいたい兄さん、もう21になるのに学校にも行かず働きもせず毎日街をフラフラして・・・・・・そのうちおばあちゃんからの仕送りも止められるぞ」
天道はそんな妹のいたいけな忠告をいつものことと思い無視した。自分はこれからこの街に潜む悪党と戦っていかなければならない。働いてなどいられるか。ひよりも半ばあきらめた様子で、ケーキを食べている天道をただにらんでいた。
「さて、行くか」
「どこへ行くんだ?」
席を立つ天道をひよりは引き止めようとした。いい加減料金を払ってもらわないと困る。
「野暮用だ」
だが天道はさっさと行ってしまった。ひよりはすでにため息をつく気力もないほどあきれ果てていた。
「許せひより・・・太陽には人々を照らす義務がある。俺はこの街を照らす」
さっき仕留め損ねたワーム。奴はおそらく再び御坂を狙うだろう。天道は自分の勘に任せて御坂のいるところへ向かうことにした。
 
矢車はZECTのシャドウという機動部隊の隊長だった。御坂と矢車、数人のシャドウ隊員たちは大量の装備や計器を積んだ黒塗りのワゴンカーに乗って現在、レプリカの埼玉スーパーアリーナ近くを移動しながらワームを探していた。
「おそらく天道もさっきのワームを探しているだろう。御坂、君はモニターを見ていてくれ。街中の監視カメラの映像が送られてくる。もう1人の自分の姿が映っていないか見るんだ」
矢車や他の隊員たちもモニターやワームサーチャーを凝視している。だが一向に反応は得られない。御坂は慣れない空気に緊張しつつもモニターをじっと見ていた。その時、
「隊長! 現れました!!」
突然、1人の隊員が大声を張り上げた。
「どこだ!?」
「それは・・・前方です!!」
大声を出したのは運転手だった。もう1人の御坂は50メートルほど前方で邪悪な笑みを浮かべて立っている。
「傷は癒えた・・・今度こそいただくぞ。御坂美琴」
もう1人の御坂はワームの姿、スカラバイウスワーム・トニトルスへと変わった。
「止めろ!!」
運転手がブレーキを踏んでワゴンカーはトニトルスの目の前で止まった。トニトルスは電気を帯びた右腕でワゴンカーのエンジン部分を滅多打ちにし始めた。シャドウ隊員たちは防護服を身にまといアリを模したヘルメットをかぶる。ゼクトルーパーと呼ばれるZECTの戦闘員だ。ゼクトルーパーたちはマシンガンブレードという武器を持って車の後部ハッチから外に出る。
「そこまでだ! ワーム!!」
ゼクトルーパーたちはマシンガンブレードでトニトルスを一斉射撃する。だがワームの硬い皮膚にマシンガンの銃弾は悲しいほど効かない。
「キシャアアア!!」
トニトルスは御坂に擬態したことで得た電撃能力でゼクトルーパーたちに放電攻撃を行った。
「うわあああ!!」
「ぐがががが・・・」
耐電機能のある防護スーツを焦げ付かせるほどの電撃をくらったゼクトルーパーたち。傷を負ったものはいないが、全員痺れて動けなくなっていた。
「御坂、君はここで待っていろ。俺は出る」
「え!? 矢車さん!?」
矢車は防護スーツも着ずマシンガンブレードも持たず、スーツ姿のまま無防備な状態で外に出た。
「よくも俺の部下たちを・・・ワーム、お前は俺が倒す」
矢車の瞳に静かな青い炎が宿りトニトルスをにらみつける。
「生身のお前に何ができる? 死ね!!」
トニトルスは自分に撃ち込まれたマシンガンの弾丸を使ってレールガンを放った。御坂が天道に放ったのと同じくらいの威力のものだ。
「矢車さん! 危ない!!」
車を盾にして頭だけ出して慌てて叫ぶ御坂とは対照的に、矢車は堂々として冷静だった。自分に向けてレールガンが放たれようとした瞬間、
「来い! ザビーゼクター!!」
突然、黄色い昆虫のような物体が飛来してレールガンと横からぶつかり、レールガンは軌道を横にずらされ地面と激突した。砕かれたコンクリートが砂塵を巻き上げている。
「一緒だ・・・天道の時と」
だが天道の場合赤いカブトムシを模した機械の昆虫だったが、矢車のは黄色いハチのような機械の昆虫だ。矢車はそのハチのような機械の昆虫、ザビーゼクターを自分の右の手の平に留まらせると左腕につけたライダーブレスにセットした。
「変身」
Henshin(ヘンシン)―
ザビーゼクターから電子音が発せられ、矢車の体を重厚な銀の鎧が覆ってゆく。仮面ライダーザビー・マスクドフォームだ。
「矢車さんも・・・仮面ライダー・・・!」
「これよりワームを殲滅する」
まずザビーはトニトルスにパンチの連打を叩きこんだ。リズムミカルに放たれるパンチは次々とトニトルスの腹部にヒットしてゆく。
「ギシャアアア!!」
トニトルスも負けじと電撃で反撃しようとする。だがその時、痺れから回復したゼクトルーパーたちがザビーの指揮で一斉に構えた。
「撃て」
マシンガンブレードが火を吹く。決定的なダメージにはならないが牽制にはなる。トニトルスは電撃で銃弾を撃ち落すが、その隙にザビーに背後に回られパンチを4発、蹴りを3発くらってしまった。
「つ・・・強い」
矢車は計算された動きでどんどんワームの体力を奪っていく。リズミカルな攻撃、統制されたゼクトルーパーたちの動き。まるで一流オーケストラの交響曲を聴いているような気分だ。
「これが俺の完全調和。パーフェクトハーモニーだ」
矢車の信条はそれだった。完全に統一された乱れないもの。それこそが人類を平和へと導くと矢車は信じている。だからこそこの街の調和を乱そうとするワームが、天道が矢車には許せない。
「隊長! 高速移動(クロックアップ)します!」
トニトルスが体に力を蓄える。矢車はクロックアップに対抗できるライダーフォームに変わろうとザビーゼクターに手を伸ばす。その時、
「待て。そいつは俺が倒す」
「アンタは・・・天道!!」
カブト・マスクドフォームに変身した天道がここに姿を現した。
「お前が天道か!? 何故カブトゼクターを奪った?」
ザビーがカブトを問い詰めようとした時、
「うわあああ!!」
クロックアップを始めたトニトルスにゼクトルーパーたちが攻撃される。懸命にマシンガンブレードを撃つが弾丸が止まって見えるほど高速で動いているトニトルスにはまったく当たらない。
「しまった!!」
ザビーはカブトからトニトルスへと意識を戻しザビーゼクターへ再び手を伸ばす。
「キャストオフ!」
ザビーはザビーゼクターを手首と水平方向に回した。
Cast Off(キャストオフ)―
ザビーの重厚な装甲が外側に向かって勢いよく吹き飛ぶ。
Change Wasp(チェンジワスプ)―
装甲の下のメタリックな黄色のボディ、スズメバチのようなフェイスが現れザビーはスマートなライダーフォームへと変わった。
「キャストオフ」
カブトもカブトゼクターの角を右に向かって倒す。
Cast Off(キャストオフ)―
カブトの装甲が吹き飛んでメタリックな赤いボディが露わとなり、大きなカブトムシのような角が持ち上がる。
Change Beetle(チェンジビートル)―
高速移動形態、カブト・ライダーフォームだ。
「クロックアップ!」 「クロックアップ」
Clock Up(クロックアップ)― ―Clock Up(クロックアップ)―
ザビーはベルトの側部をスライドさせ、カブトはベルト側部のスイッチを叩いて2人同時にクロックアップした。高速で動き回っていたトニトルスが見えるようになる。
「ウガアアア!!」
トニトルスは口から異臭のする茶色い泥団子のようなものを発射する。カブトとザビーは難なくそれを避けてトニトルスに接近する。矢車はハンマーのようなトニトルスの左腕を右腕で押さえてから左の拳で腹部に強烈なアッパーを撃ち込んだ。カブトは背後から中段蹴りで背骨の辺りを蹴飛ばす。
「グルルアアアアアッ!!」
怒ったトニトルスは電撃を全開にして2人を振り払う。そして電気を帯びた両腕はカブトへと振り下ろされた。だがカブトはそれをカブトクナイガン・クナイモードの刃で受け止めた。そしてカブトはその間に空いている左手でカブトゼクターの上部の3つのスイッチを順番に押す。
1・2・3(ワン・ツー・スリー)―
そしてカブトゼクターの角をいったん元の方向に倒して、もう1度右に向かって倒した。
「ライダーキック」
Rider Kick(ライダーキック)―
トニトルスの後方にいたザビーも右手でザビーゼクター上部のスイッチを押す。
「ライダースティング」
Rider Sting(ライダースティング)―
「ハアッ!!」 「ハアッ!!」
ザビーは背後からザビーゼクターから発生したエネルギーの針を纏った必殺の左ストレートを、カブトは前方からエネルギーを纏った右足による回し蹴りを、トニトルスに対して2人同時に放った。
Clock Over(クロックオーバー)― ―Clock Over(クロックオーバー)―
2人のクロックアップが同時に終了する。
「ギシャアアアアアアアアッ!!」
トニトルスは緑色の光となって爆発した。それを見届けて去ろうとするカブトの肩をザビーが掴む。
「待て! お前には聞かなければならないことが山ほどある」
「お前には何も話すつもりはない。第一、俺は組織とかいうものが大嫌いだ」
「ならせめてそのカブトゼクターは返してもらおう」
「そうよ! それは元々私が受け取るはずだったものなのよ」
御坂もカブトの目の前に立って抗議する。
「違うな。これは俺が手に入れる運命にあった。お前の元にこれが来ることは絶対になかったんだ」
「なによそれ・・・そんなので納得できるわけないじゃないの!」
御坂の怒りは頂点に近かった。この天道という男はことごとく自分のしゃくに障る男だ。早くカブトゼクターを取り戻して永遠にお別れしたい。
「天道。返す気がないというのなら、力尽くでということになる。それは俺にとっても避けたいことだ」
ゼクトルーパーたちが円形にカブトを取り囲む。逃がす気はない。
「街を守りたいという意思があるのなら、お前もZECTに入ればいい」
「さっきも言っただろう。俺は組織というものが大嫌いだ。調和だとか統制だとか、そういうものには反吐が出る」
「・・・どうやら俺とお前は相容れないものらしいな。御坂、君は下がっていろ」
ゼクトルーパーに囲まれた円内にはザビーとカブトの2人だけだ。あたりに殺伐とした決闘の空気が流れる。今、お互いにとって負けられない戦いが始まろうとしていた。
 
「マスクドライダーシステム・・・厄介ね」
その様子を物陰から見ていた女が1人。園崎冴子、ミュージアムの幹部の1人にして園崎霧彦の嫁だ。彼女は2日前に起こったカブトゼクター強奪事件を知り、新たな仮面ライダーの誕生を予感していたのだ。
「早めに消しておいたほうがよさそうね・・・頼んだわよ」
「グギュルルル・・・」
「ハアアアアア・・・」
冴子は背後にいたスカラバイウスワーム・イグニースとスカラバイウスワーム・ベントゥスにカブトとザビーの始末を命令する。そう、ワームもミュージアムの支配下にあったのだ。
 
仮面ライダーカブト、天道総司。彼が往く道は、まだ誰も知らない。
 
次回予告
矢車「天道、この街の調和を乱すお前を俺は許さない。俺がお前のその腐った根性を修正してやる」
天道「腐っているのはお前だ。完璧というある種の限界を自らの手で作り、自分の成長を止めてしまっている。だが俺はこの1分1秒にも成長を続けている。この勝負、必ず俺が勝つ。
次回、学園都市の日常・科学サイド『Kの道を往く/最強vs完全』
これで決まりだ」
 
天道「今日の最強ヒーローは『仮面ライダーカブト・マスクドフォーム』
カブトゼクターをライダーベルトにセットするとまずこの姿になる。カブトクナイガンのガンモードとアックスモードを駆使して戦う、攻撃力と防御力に優れた形態だ。ただし、重厚な装甲のため機動力は劣り、クロックアップや必殺のライダーキックも使用できない。まさに昆虫でいうサナギの状態だ」
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by Joker 2012/02/05(Sun)20:13:48 Edit
※BGM1『思惑』(遊戯王5D'sより)
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※BGM3『僕のパパは時代おくれ?』(チャージマン研!より)
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※BGM5『愛の挨拶』(作曲:エドワード・エルガー)
※BGM6『FULL FORCE』(仮面ライダーカブトより)
おつかれさまですm(_ _)m
by Sgt.LUKE 2010/12/08(Wed)19:47:44 Edit
長文ごくろうさま。終始わかりやすかったよ
作者あとがき
by Joker 2010/12/07(Tue)23:39:21 Edit
学園都市の日常・科学サイドは多数の作品をコラボレーションさせるということで、いつもこの作品の設定をどうしようか? この設定とこの設定が組み合うと面白いんじゃないか? とか考えながら作っています。でもすべての作品をそのままぶち込んだのでは粗ばかり多くなって整合性の取れた物語にならないので、いらない設定などは省いたり変えたりしています。原作が好きな人にとっては改悪でしょうが、そこには目をつぶってもらって純粋に楽しんでくれれば嬉しいと思います。
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