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teamBDR
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男性
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高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第5話 『排液ティータイム』


作者 Luke


「で、今から俺たちはどこに向かうんだよぉ?」
 ほぼ正午。アスファルトで舗装された学園都市の歩道を歩きながら、上条当麻は言う。
「ん?」
 返事をしたのは上条の左隣のジッパーが多数付けられた服を着た長身の男だ。彼は少年の方も向かずに歩きながら、
「行けばわかる。心配するな」
「いや、そういう大雑把な返答のほうが不安になるんですけど」
 やや青ざめながら突っ込みを入れる上条。そんな様子に彼の右隣の金髪の少年は、
「大丈夫ですよ。別に僕たちは君に野暮な事をするわけではないからね。それよりも君が彼らに『気にいって』もらえるかどうかが心配だ……」
「……なんかスゲー不安になってきた」
 彼らの頭上には風力発電のプロペラが音もなく、くるくると回っている。
 以前の小さな事件から数日経った今日。上条当麻はギャングの男、ブローノ・ブチャラティから『少し付き合え』と言われたために、ジョルノ・ジョバーナ(こいつもブチャラティと同じくギャング)を加えた三人で行動することになった。ちなみに右隣の金髪がジョルノで左隣のジッパーの長身がブチャラティである。
(くそ、何の事情でコイツらに付き合わなくちゃあならねぇえんだ)
 真昼の日差しを全身に浴びながら、ギャング部外者の少年は毒気づく。
 ジョルノとブチャラティの言動から察するに、どうやら彼らは上条を『とある場所』へ連れて行こうとしているようだった。しかし場所は不明。返事もかなりいい加減。相手はギャングということもあり、上条の不安は募っていくばかりだった。
(……ったく。せめて行き先くらい教えろっつーの!)
 うがー、と両手で頭を掻きむしる上条に、すれ違う通行人が首を傾げていた。
 と、ブチャラティの足がピタリと止まった。
(なんだ?)
上条とジョルノも彼に倣って歩を止める。彼らの止まったちょうど右側には洒落たイタリアンレストランがあり、ブチャラティは店の前に立て掛けられてあるメニュー表を眺めている。
「……、ん?」
 そんなブチャラティの視線の先に気づいたのか、上条は彼の顔を見て、
「お前まさか……ここで昼メシ食うつもりじゃあないだろうな?」
「そのとおりだが。なにか不味いことでもあったのか?」
「いや、お前俺をどっかに連れ行くんじゃあなかったのか? こんなところで呑気にメシ食ってていいのか?」
「だから今からメシを食うと言っているだろう」
「え……」上条は軽めの苦笑いを浮かべて、「まさか、メシ食いに行くのに俺を呼んだのか……?」
 ブチャラティは質問の答えに少し迷ったように、一瞬無言になった。が、すぐに元の調子で、
「まぁ、そんなところだ」
 言って店の中へと入って行った。
 はぁ……、と上条の口からため息が漏れる。ギャングに呼び出されたから一体何かと思えば、メシを食いに行くという用件だったのだ。まったく、いらん神経を使わせるな、と彼は少し怒りながらも同時に安心したようだった。
 ブチャラティの入って行った店はさっき述べたようにイタリア料理を扱うレストランだ。外装は気品漂うお洒落な造りで敷地内の植え込みもよく手入れされてある。見た目としてはなかなか申し分ない。それどころか、ほとんどコンクリートで舗装された道路や鉄筋の高層ビルが立ち並ぶ学園都市には良い意味で不似合いだった。
「……でもさぁ」
「なんです?」
 学園都市内ならどこにでもあるドラム缶型の清掃ロボットが、二人のすぐ傍を横切った。
「やっぱ、本当にメシ食うだけなのか? 本当にそれだけだったら普通呼び出しなんてしないと思うんだが」
「ええ、たしかに」ジョルノは少し上条の方へ歩み寄ると、「もちろん食事がメインではありません。もっと重要な事があります」
「重要な事? なんだよそりゃあ?」
「君には僕たちの仲間に会ってもらいます」
 言葉に上条の表情が一瞬硬直した。おそらく嫌な予感でもしたのだろう。彼は気を取り直して、
「大丈夫なんだろうなソイツら?」
「大丈夫です。たしかに彼らは初対面の人間に対して『かなりキツめのジョーク』をかますことはありますが、みんな良い人です」
「……………………」
再び上条は少し胃が重くなる程の不安感に襲われた。
 
 



「おい、何のマネだこりゃあ⁉」
 レストラン内。静かで落ち着いた空気に満たされたそこに、一人の男の声が響いた。
 店内に特におかしな様子は無い。少し暗めに調整された照明に、周りには花と額に入った絵が飾られてある。どこにでもあるようなレストラン内の光景だ。
一〇個ほど席が設けられた店内のちょうど真ん中くらいの席に、その男は座っている。一人だけではない。席には男の友人らしき者が三人おり、男を含めて四人座っていた。
 大声を出した男――名前はグイード・ミスタ。
 身長は一八〇センチほど。耳まで完全に覆ってある帽子を被っており、格子の柄が入った上の服からはファッションでヘソを出している。少し変わった服装をしているが、温かい印象の青年だ。ちなみに歳は一八。
 ミスタの目の前にはデザートとして運ばれてきたイチゴケーキが四切れワゴンの上にあり、彼はそれを訝しげに見つめている。そんな様子が気になったのか、彼の隣の少年がイチゴケーキへ目を向けた。
 少年は言う。
「……何ってイチゴケーキですよ。食べたいヤツがあるなら選べば」
 少年の名はパンナコッタ・フーゴ。歳は一六。上条当麻とだいたい同じ年齢だ。
彼も右側以外オールバックにした髪型や、やや露出度の高い服などミスタ同様に奇抜なファッションだ。しかし、その表情からは横暴さや荒々しさは感じられず、知的で物静かな印象を受ける。物腰も柔らかそうだ。
 ミスタはフーゴの言葉に対し、また声を上げる。
「イチゴケーキだっつーのは見りゃあわかる! チョコ―ケーキでもなきゃあチーズケーキでもないからな」そこで彼は一旦言葉を切り、「そうじゃあねぇーーーーッ! ケーキの切れが『四つ』なんだ! この俺に『死ねッ!』つーのかッ‼」
 ワゴンの上のイチゴケーキ。たしかに四切れだ。これは店側のほうが彼らの人数に合わせて気を利かせて出してくれたのだろう。が、ミスタはお怒りの様子だ。
「『四切れ』で足りませんか? もっと食いたいですか?」
「知らねーのかマヌケッ。『四つ』のものから一つ選ぶのは縁起が悪いんだ! 五つのものから選ぶのはいい。三つのものから選ぶのもいい。だが、『四つ』のものから選ぶと良くない事が起るんだ」
「そんなの迷信ですよッ。冷静に考えて一個ずつケーキが減っていくんだから、僕らの中の誰かは『四つの中』から選ぶはめになるんですよ」
「そこなんだッ! こーゆー場合はレストランが気を利かせて三個にすべきなんだッ。この店、サービスがなってねぇぜッ!」
「あーもう」さすがに疲れたようにフーゴはため息をつき、「じゃあ食べなきゃいいでしょォ」
「イチゴケーキが食いてーんだよ俺はッ‼」
 ぎゃーぎゃーとわめく隣の男に再びため息をつくフーゴ。どうしてそんな事に対して神経質になるのか、彼には不思議でたまらなかった。
 トントン、と左隣の者がフーゴの肩を叩いた。彼は視線を向ける。そこには、満足気な顔でノートを一冊持っている少年がいた。
 ナランチャ・ギルガ。この少年の名前だ。
 黒いサラサラの髪が特徴的な彼はその頭にバンダナのような布を巻いている。もちろん服装はやや奇抜で、この街の雑踏の中なんかでは周囲の目を惹くだろう。たぶん、こういったファッションはこの集団の持ち味だと思われる。
 彼はフーゴより年上の一七歳だが、やや童顔であるせいであまりそうには見えない。それどころか、華奢な体格や男性にしては少し低めの身長のため女性にすら見える。
「できたよ、フーゴ。どう?」
 ナランチャはフーゴにノートの中身を見せる。そこには何やら数字が書かれており、内容は一六×五五の筆算。どうやら小学三年生レベルの算数の問題のようだ。彼はその問題を解いていたらしい。
「へへへ。当たってる?」
 ナランチャはニコニコしながら訊く。だがフーゴの表情は対照的に無表情だ。
「…………」
 答え。ナランチャが書いた、その問題の解答は、
 二八。
「……何これ」
 瞬間。
 
 
 ザクゥッ、と。
 フーゴはナランチャの右頬にフォークを突き刺した。
 
 
 ぎゃあああ、というナランチャの悲鳴が店内に響いた。しかしフーゴは気にも留めない。間髪入れずに黒髪の少年の頭部を掴み、
「このチンピラが。この俺をナメてんのかッ! 何回教えりゃあ理解できんだコラァッ!」
フーゴは頭を掴んだ手にさらに力を込める。
「最初は『ろくご三〇』って言ってやってんのになんで三〇より減るんだこの……ド低脳がァーーーーッ‼」
 グシャァッ、と。ナランチャはテーブルに思い切り叩きつけられた。
「あーあ。また切れた切れた」
 一通りの様子を傍観していたミスタは呑気にぼやく。彼の横で紅茶をすすっているのは一九〇センチ近い長身、それに加えて長髪の男、レオーネ・アバッキオだ。
 それにしても意外。それはフーゴの第一印象のイメージとはかけ離れた行為だった。
しかし、ミスタ達の反応は『いつもの事だ』といった様子でまったく驚いていない。どうやら彼は今回たまたまブチ切れたのではなく、日常茶飯事なのだろう。つまり、わりと短気なのだ。
「く……」
 ナランチャは体を起こすと、懐から折りたたみ式の小さなナイフを取り出して、
 ビシィッ、と迷わずそれをフーゴの首元に突きつけた。
「『ド低脳』って言ったなぁぁ? 人を見下す言い方は良くない。殺してやる! 殺してやるぜぇぇぇぇフーゴ」
「この野郎……ッ」
 フーゴがそこまで言った途端、
 
 
「てめーらッ! 何やってんだーーーーッ!」
 
 
 入口の方から怒号が飛んだ。
「「「「……‼」」」」
 四人はゆっくりとした動きで、声のした方へと意識を移す。
 立っていたのはブチャラティとジョルノだった。声を上げたのはブチャラティである。
 だが、彼らはブチャラティの声に驚いたから入り口を注視したのではない。
 二人と一緒に入って来た、普段見かけない少年がいたからだ。
 ジロリ、と。
 四人は初対面の少年――上条当麻へと視線を向けた。
 
 
 
 とんでもない場所へやって来てしまったな、と上条は顔を引きつらせる。とりあえず、不安要素が二つある。
 一つ目。
 目の前の四人がブチャラティの仲間というのはだいたいわかった。しかし、さすがに『今すぐ彼らとジョークでも交わせるか?』と訊かれたら答えはノーだろう。
 上条は人見知りな性格ではない。どちらかと言えば彼はそこそこの社交的センスは持っているのでわりとすぐに人と打ち解けられるほうだ。実際『魔術師』などというかなり風変りな人間達とも仲良くやっている。もちろん、すべて知り合いであるが。
 だが、この場にいるのは『ギャング』という括(くく)りの人間だ。上条は『ギャング』という者達の事をまだよく知らない。というより、ジョルノとブチャラティを除けば初めてになる。要は『ギャングという異文化の世界』に触れるのが初めてなのだ。
 二つ目。
 少年は己の右手に視線を落とす。
 幻想殺し(イマジンブレイカー)。そこには、異能の力ならどんなものでも無効にする能力が宿っている。
 魔術師の操る『魔術』や能力者の『超能力』なんかには、その右手は遺憾なく効果を発揮するだろう。しかし、彼らはそんなものに関してほぼ無縁のはずで、職業柄凶器を普通に持ち歩いていたっておかしくない。上条の能力はもちろん通常の現象には適用されず、この場で揉め事が起こっても彼の右手は正直役に立たないのだ。また、うっかり発砲でもされたらたまったもんじゃあない。
(マジに大丈夫かよコイツら……)
こういう時、まずは自己紹介からだろう。上条は軽く息を吸ってから、
「え、と……。上条当麻っていいます。よろしく」
 直後。
 四人の上条を見る目がさらに鋭さを増した。
(…………)
 上条の背中を嫌な汗が伝う。マズイ。非常にマズイ。彼は横目で隣のブチャラティに視線を送って、
「(ちょっと!)」
「(なんだ?)」
「(なんかスゲー危ない事態な気がしてならないんだけど!)」
「(心配するな。コイツらは初対面の人間には大抵こういう感じなんだ)」
「(じゃあ何故彼らはこんなに殺気剥き出しなんですか⁉)」
「(……仕方ない)」
 コホン、とブチャラティは一つ咳払いをした。
「おいお前ら! このブチャラティが連れて来たんだ。愛想良くしろよッ!」
 ……。四人は変わらず無言だが、ブチャラティの言葉もあってか少し警戒を解いたようだった。
 と、四人の中の一人、アバッキオはテーブルに置いてあった紅茶のポットを手に取った。そのまま彼はポットを持った手を前へ出し、
「上条当麻君だっけ? まぁここで会ったのも何かの縁。お茶でもしながら何か話そうや」
 言って、カップに紅茶を注いだ。
 こういう場合はいただいておくのが礼儀だろう。せっかく相手が好意を持って接してきてくれているのだ。それに、受け取らなければそれこそ発砲されそうな気さえする。
「じゃあ、いただきます」
 上条は前に置かれたカップに手を伸ばした。
 が、その瞬間。
「待ってください」
 全員が声の主へと視線を向けた。言ったのはジョルノである。
 ジョルノはアバッキオのほうへと歩み寄っていく。そのまま彼はアバッキオの耳もとへ口を近づけて、
「(彼は普通の人間なんですよ。それなのに、『ソイツ』を出すのはちょいと外道なんじゃあないですか?)」
 ポットの蓋を開けた。
 
 
 中にはやや黄色い液体が入っていて、それは生温かい温度と、独特の異臭がした。
 尿だ。『ションベン』だ。
 
 

「(ちっ……)」
 アバッキオはつまらなさそうに吐き捨てる。
 彼は別に悪意があったわけではない。彼は上条を自分なりのユーモアセンスでからかおうとしただけだろう。でも、さすがにこれはブラックユーモアすぎる。
 アバッキオは前に置いたカップを手に取り、
「悪いがコイツは駄目だ。他のを注文してくれ」
「え?」事態がよくわかっていない上条は間の抜けた声を出して、「何でだよ? せっかく出してくれたのにもったいないじゃあねぇかよ」
「毒が入ってるからだ」
「毒ぅ⁉ お前それを知ってて俺に出したのかよ!」
「ジョークだよ」
「そういうのは日本ではジョークとは言いませんっ!」
 どうやらジョルノの言ってた事は本当だったようで、上条の悪い予想も的中した。発砲はされていないものの、しょっぱなからこんな調子で大丈夫なのかと戦慄する。
 少年はついでに周りに目を凝らした。ジョルノはナランチャと話しながら紅茶を飲んでいるし、アバッキオはまた何か新しい注文を取っている。ミスタなんかはフーゴにまだイキゴケーキの事をごちゃごちゃ言っている。ブチャラティは――
 ブチャラティに目を向けた瞬間、彼は再び、今度は大きく咳払いした。
 全員、ブチャラティへ注目する。
 彼は言う。
「今日この場所に上条当麻を連れて来たのにはワケがある。とても重要な事だ」
「はいはい」ナランチャは上条を指差して、「俺も気になってたんだ。なんでブチャラティがコイツをここにつれてきたかよォ」
 それは……、とブチャラティは一度言葉を切る。切って、
「それは、保護者である上条当麻に『禁書目録』の事を訊くためだ」
 直後。
 一瞬沈黙が訪れた。だが、
 うって変わって、全員どよめいた。
「えぇぇぇぇーーーーッ!」ミスタはイチゴケーキの時以上の大声を上げて、「お前、『禁書目録』の保護者なのかよォーー⁉」
 ミスタだけではない。他のメンバーも驚きの声を上げた。
だが、そんなに驚かれたって上条自身もうろたえている。まさかそんな目的で連れてこられたとは思わなかったし、保護者として扱われているということも知らなかったからだ。
 そこで、一人だけ冷静なブチャラティは冷静に言う。
「まず、『禁書目録』は普段どのように生活しているか教えてもらいたい。やはり、この街でも四六時中魔道書なんかに目を通しているのか?」
「いや、四六時中テレビ見てるけど」
 ん? と。ブチャラティの表情は一瞬固まる。もちろん彼だけではない。他の五人もブチャラティと同じような表情をしている。
 気を取り直してブチャラティは、
「テレビを介して何か重要な事でも伝えられているのか? それとも、彼女自身にとって必要性のある番組でも見ているのか?」
「アニメを見てるけど。わかる? アニメーション。たぶんインデックスにとっては必要性のある番組なんだと思うんだけどさ」
 彼らの表情がさらに険しくなっていく。けれども、ブチャラティは続けて、
「彼女の普段の食事はどんなものだ? 彼女の口に合わせて欧米チックなものか?」
「ん? バラバラかな。あと、メシは俺が作ってるから栄養や味がどうのこうの言われても、よくわからねーし。まぁアイツは喜んで食べてる――」
 そこまで言った時。
 おそるおそる、といった感じで、ジョルノがゆっくり手を上げた。
 ジョルノは一つ息を吸って、言う。
「その、『禁書目録』の詳しい事を教えてもらえるかい? なにか僕の思っていたイメージとかなり違う気がするんだが」
 言われて上条は全員の顔を見ると、みんなジョルノと同じような表情だ。おそらく、意見は同じだ。ああ、と少年は軽い返事をした後、携帯電話を取り出して、
「はいよ。こいつがインデックスだ」
 画面には普段と全く変わらないインデックスの写真が表示されてある。
 が、沈黙。
 さっきよりも、長い沈黙。
「あの、みなさんどうかしました?」
 声を出す者は誰もいない。レストラン内の空気は静まり返っている。
「……ちょっと、みんなマジでどうしたんだ?」
 不安げに上条が言った瞬間、
 ブワッ‼ と。
 ありえないボリュームの声が店内に響いた。
「‼」
 まるで吹き飛ばすかのような音圧に、上条の体は一瞬すくんだ。
 写真を見てギャングたちは、ぽかんと口が開いている者もいれば、眉間にしわを寄せている者もいる。これは一体どういうことなのだろうか。
「あのさ、みんなどうしてそんなに驚いてるんだ? 特にブチャラティ。お前はインデックスのことを知っている上で俺を呼んだはずだろ?」
「『禁書目録』が女だということは知っている。しかし、こんな幼い子供だったとは思ってもいなかった……」
 たしかに、とフーゴも続いて、
「僕はてっきり聖母マリアのような見た目の女性だと思っていた。けど、ここまでイメージと違うとは」
「……。一応俺の一つぐらい下の歳だったと思うんだけど」
 今の発言でまたどよめきが起こった。すかさずアバッキオはニヒルに、
「テメェそういう趣味でヤツを保護してんのかッ。このロリータコンプレックスがッ!」
「違います! 申し訳ながら正式名称で言われても否定します!」
「おいおい」と、ニヤニヤしながらミスタ。「ってコトはもうできちまってんのか? つーか、もうヤったんだろ? 正直に言えよオイ」
「あのなぁ!」
 いや、とジョルノが割り込んで、
「確か特別な修道女というものは『未経験』の女性でなければならなかったはずです。でないと、なんでも神聖な力が働かなくなってしまうとか」
「へぇ」ナランチャは感心した様子で、「ってコトはソイツはまだヴァージンなのかよォッ」
「まぁそういうことですね。あ、でも彼らがもうヤってしまったのなら話は別ですが……」
「彼女はまだ清らかな修道女です!」
 ダメだ、と上条は頭を抱える。ギャングというのは一体どんなヤツらなのかと少し興味あり、不安ありだったのだが、これだと学校のツレとなんら変わりない。典型的な『束になった野郎のテンション』だ。
 早く話題が変わってくれることを願うが、そんな様子はまだ無い。ちょっとした被害に遭った少年は気を紛らわすため店内に飾られた絵でも眺めておく事にした。
 上条の目にたまたま留まったのは、花が描かれた絵だ。大して花に詳しいわけではないので何という名前までかはわからないが、鮮やかな花が見事に映えている。
(……。ん?)
 そこで、少しおかしなところを見つけた。
 絵自体に異常は無い。だが、そこには『別の物』が描かれてある。
(あれは……なんだ?)
 目を細めて注視する。するとそれは、
 
 
 人間。だが、
『人』と呼ぶにはあまりにも奇妙な見た目。
 そして動いている。
 こちらに近づいてくるように。
 
 

「後ろに何かいるッ!」
 上条は思わず叫んでいた。直後、ジョルノ達は上条が座っている席の奥――彼の背後の窓へと視線を集中させた。
 視線の先。やはりそこには。
 幽(かす)かだが、人影がある。
「……ッ!」
 バッ! と。ミスタは風を切る音ともに、懐から何か黒光りする物を取り出した。瞬時に彼はそれを己の目線の位置まで持っていくと、
 
 
 ガァァン‼
 耳を麻痺させるような炸裂音が店内――いや、レストラン周辺にまで響いた。
 
 
 乾いた快音の後、もう一つ音が連鎖する。窓ガラスの割れた音だ。
「…………」
 上条は驚きのあまり声さえも出ない。対照に、ミスタの手にある黒光りする物はプスプスと硝煙を上げている。
 黒光りする物体。
(拳……銃⁉)
 上条は目を丸くして、ミスタの拳銃――六発装填のリボルバーに視線を向ける。
「お、おい」
「なんだよ」
「今のは……一体なんなんだ?」
「銃声だよ」ミスタは特に気にした様子もなくリボルバーに弾を込めながら、「映画みたいにでかい音じゃあなかったはずだが」
「…………」
 ゴクリ、と上条の喉が鳴る。
 ギャングである彼らがなんらかしらの凶器を持っているということはなんとなく予想していた。しかし、それが本当に銃器で、まさか発砲までするなんて思いもしなかった。
 と、そこまで考えて上条は、驚きのあまり頭から吹っ飛んでいた重要な事に気付いた。
「おい!」
「今度は何だ?」
「お前、外してないだろうな?」
 そう。ここはあくまで公共のレストランで、それでもって『学園都市』だ。この街には治安組織として、超能力を持った学生で構成された『風紀委員(ジャッジメント)』と最新のツールで武装した教職員から構成される『警備員(アンチスキル)』の二つが存在している。これらは民間のボランティアでできていて、彼らはむやみに取り締まるという事は無いが、さすがに今の銃声は出動モノだ。
 それと、ミスタが撃った弾丸は間違いなく実弾だ。ミスタの表情でわかる。実弾ということはかなりの殺傷能力を持っているということであり、当たり所が悪ければ即死だ。また、死にはしなかったとしてもそれなりの怪我は負うだろう。
 すると、フーゴがリラックスした様子で、
「大丈夫ですよ。ミスタの腕前は確かですから。ねぇ?」
「ああ。ちゃんと手ごたえあったぜ。俺のスタンド『セックスピストルズ』が敵と接触したから間違いねぇ」
 ミスタは一度リボルバーに息を吹きかけると、静かにそれを懐へ収めた。
 シーン、と。
 さっきの騒ぎが無かったかのように店内は静かになった。
「さて」ブチャラティはゆっくり椅子から腰を上げると、「さっきのヤツは今から追うとして、上条当麻。なぜお前は後ろから俺達を狙っている者がいるとわかった?」
 ん? と。上条は思い出すように宙を仰いで、視線を前方――さっきの花の絵に視線を移す。
「そこの絵に反射して見えたんだよ。ほら、額のついた絵って透明なガラスの板みたいなのが付いてるだろ? それだよ」
「なるほど……」
 とは言ったものの、ブチャラティはまだ何か腑に落ちないような顔色を浮かべていた。
「……確かにお前は、『姿』を見たんだな?」
「? どういう意味だよ?」
「普通の人間の見た目じゃあなかったのか?」
「言ってる意味が良くわかんねーけど、確かに変な見た目のヤツがいた。漫画に出てくる怪人みてーなヤツが」
「……どうやら本当のようだな」
ブチャラティはガラスの割れた窓へと指を向けて、
「あそこにいたのは『スタンド』と呼ばれるヤツだ。俺達はスタンドの姿を見ることができるが、一般人には見えない。だが。」
 全員。
上条に視線を向けて、
 
 
「一般人であるはずのお前に、なぜスタンドが見える?」


 TO BE CONTINUED

次回予告
御坂美琴「浦飯幽助(うらめし ゆうすけ)?」
浦飯幽助「お前、変わったな」
ツインテールの少女「お姉さま?」
浦飯幽助の友人「蔵馬です、よろしく。ちなみに『蔵馬』っていうのはあだ名で、本名は南野秀一(みなみのしゅういち)」
次回の学園都市の日常・魔術サイドは第6話。お楽しみに!
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変更
by luke 2012/06/19(Tue)16:31:09 Edit
これもまた、変更。

出典
※BGM1『アバン』(アニメ ボボボーボ・ボーボボより)
※OPおよび挿入歌『flying』(GARNET CROW)
※BGM2『Twilight 』(アニメ TIGER&BUNNYより)
※BGM3『ダースベーダーのテーマ(リコーダーVer.)』(映画 STAR WARSシリーズより)
※EDおよび挿入歌 『Tactics』(THE YELLOW MONKEY)
※BGM4 『名探偵コナン メインテーマ(次回予告ver.)』(アニメ 名探偵コナンより)
あとがき
by Sgt.LUKE 2010/09/27(Mon)18:25:39 Edit
更新ペース早くするとか言っといて全然変わっとらんやんけコラァッ!
と。思わず突っ込みたくなる魔術サイドです。5話までこれました。読んでくださってる方には感謝感謝です。
今回は前回の投稿時からあまり書く時間が無かったので。結局月イチくらいのペースに・・・。がんばりたいと思います。
さて。次の6話は新展開。内容はともかくとしてお楽しみに~
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