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このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

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第23話「永遠のC/君は最強ドーパントを見たくないかい?」

作者 Joker


鳴海探偵事務所
翔太郎は朝食を載せたお盆を持ってフィリップの部屋の戸の前に立った。
「フィリップ、朝飯持ってきたぜ」
扉越しに翔太郎は呼びかける。すると低く曇った声で、
「いいよ・・・ボクのことはほっといてくれ」
とフィリップは返事をした。事務所に帰ってきてからフィリップはずっとこんな感じだ。自殺しようという気はなくなったようだが、完全に塞ぎこんで誰とも関わろうとしない。
「フィリップ、黒子が死んだのはお前のせいじゃねえ。悪いのは争いを巻き起こしてそれに関係のない人たちまで巻き込んでいる奴らだ。お前が責任を感じることはねえよ」
翔太郎はそうやってフィリップを慰めたが、扉の向こうからは何の返事も返ってこなかった。
「飯、置いとくぜ」
翔太郎はそう言ってお盆を扉の前に置いて応接室に戻った。
翔太郎はソファーにもたれかかるとコーヒーを一気に飲み干した。
フィリップを引き取りに億泰の家に行った時、翔太郎は初春の安否を仗助と億泰に聞いた。2人の話によると、初春の髪飾りが現場には落ちていて初春が事件が起こったビルにいたのは確かなのだが、肝心の初春自身がどこを探しても見つからなかったということだった。
初春は跡形もなく消え去ってしまったのかもしれない。だが翔太郎はそんなことは信じたくなかった。
翔太郎は首を動かして部屋を見回す。少し前まではこの部屋に佐天や初春が気まぐれに遊びに来て勝手に騒いでいたものだが、あの時の賑やかさを今はまったく感じる事ができない。佐天は学園都市の外へ旅に出ていて、初春は行方不明。それから天道は朝からどこかに出かけているようでまったく姿を見ていない。
翔太郎は溜息をついて立ち上がると、冷蔵庫から缶を1つ取り出した。酒だ。翔太郎は今日は喫茶店を休みにすることにした。今日は花火大会があってたくさんの集客が望めたが、今の気持ちで接客をするのは無理だと翔太郎は思った。
どうしても飲み込めない苦しい事があった時、そんな時は酒を飲め。翔太郎はおやっさんの言葉を思い出しながら缶に口をつけた。



天道は橘の常に翔太郎と離れず行動するという言いつけを完全に忘れ、豆腐を片手に常盤台地区のイタリア街をあてもなくふらついていた。今、天道の頭にはひよりのことしかなかった。
一晩中寝ずに考え抜いた結果、天道はワームのひよりを殺さないことにした。殺したところで何にもならない上にひよりの命を懸けた約束を無駄にさせたくないからだ。
だがその答えを出した時、天道はどうしようもない虚無感にさいなまれた。もう2度とひよりは戻ってこない。真実を知ってしまった今ではワームのひよりとは今まで通りの兄と妹の関係を続けることもできない。
最も守りたかった繋がりが断ち切れてしまった。正確に言えば断ち切れている事に気付いてしまった。もしこのことにずっと気がつかなかったらどんなに幸せだっただろうと天道は思う。
天道は寂しさを感じていた。
しばらく歩いてイタリア街の一角にある公園に天道はたどりついた。その時、天道は何かにつまづいて前に向かってこけた。右手で持っていたボールが前方に放り出されて豆腐が地面にぶつかって砕ける。
地面に這いつくばりながら天道は首を動かして足元を見る。そうすると自分の足が誰かの足に引っかかっているのがわかった。天道は顔を上げて自分が足を引っ掛けてしまった誰かの顔を見る。
少女だった。
緑の長い髪に麦わら帽子を被り、白いワンピースに身を包んだ少女はベンチに座って足を伸ばしこちらを見ている。
「すまない。足を引っ掛けてしまったようだが、怪我はないか?」
天道は立ち上がって謝罪する。
「ああ、なんともない」
少女は天道から視線を外して無愛想な口調でそう言った。高校生くらいの見た目だが少女の声は妙に色っぽく、大人びていて、何か達観した雰囲気を感じさせた。
「そうか。ならよかった」
天道はボールを拾ってその場から立ち去ろうとした。その時、
「待て」
天道は少女に呼びとめられた。少女は再び天道の方を見て、
「お前、私をかくまえ」
いきなりそんなことを言ってきたが、天道は理解できずに眉間にしわを寄せる。
「どういうことだ? かくまえということは誰かに追われているのか?」
「質問は後だ。とにかくここから動こう」
少女はベンチから立ち上がってすたすたと天道の前を歩いていく。
天道はいまいち状況が把握できないが、とりあえず少女の後を追いかけることにした。

「で、何故俺はお前の頼んだピザの代金を支払わされている?」
天道と少女はイタリア街のとある喫茶店にいた。少女は喫茶店に入るなりいきなりピザを頼んでその代金を天道につけさしたのだ。
「この店から私の故郷の匂いがした。それを嗅いでいたらさっきお前に引っ掛けられた私の足が痛み出したんだ。お前が払うのは当然だろう」
天道は溜息をついた。足を引っ掻けたことを根に持ったのならかくまえなどと回りくどいことは言わずに正直にピザを食わせろと言えばいいものを、と天道は思ったが、一応自分が加害者なので口にはせずに別の気になったことを聞くことにした。
「故郷の匂いと言ったが、お前はイタリア辺りの出身なのか?」
天道がそう聞くと少女はピザを食べながら、
「そうだな・・・たしかそうだった気がする」
「気がするだと。覚えていないのか? そもそもお前の名前を聞いていないな。何なんだお前はいったい?」
少女は不機嫌な眼差しで天道を見る。
「さっきからお前は質問ばかりだな。質問に答えるのも疲れるんだ。だいたい男が女に名前を聞く時というのはまず男の方から名乗るものだ」
天道は少女の物言いにあきれた。いくらなんでもぶっきら棒すぎる。そもそも年上に対する口の聞き方がなっていない。天道はそう思った。
だが一応少女の言うことにも一理あると思ったので天道は自分から名乗ることにした。
「俺は天の道を行き、全てを司る男、天道総司だ」
「何だそれは? なかなか面白い名乗り台詞だな」
少女はくすくすと笑う。天道は少女の態度が上から目線なのが気に入らずに不愉快に思う。
「私の名前は・・・そうだな、C.C.(シーツー)でいい」
「何だそれは。イニシャルの類か?」
天道が聞くと少女はピザの最後の1ピースを食べながら、
「わからない。自分の名前なんてとうの昔に忘れたよ。ただ前いたところではそう呼ばれていた」
天道にはいまいちこのC.C.と名乗った少女の言っている事が理解できない。天道は少しいらつきながらC.C.に聞いた。
「お前・・・ふざけているのか」
「私はいたってまじめだ。さて、次はどこに行こうか」
C.C.は立ち上がって勝手に喫茶店から出ていってしまった。天道は溜息をついてレジで料金を支払う。
天道はこの後もC.C.と一緒に行動するか悩んだ。C.C.はピザ代をたかろうとしただけなのではないのか。そしてこの後もついていけば更なる出費をさせられることになるだろう。天道はそう考えたが、しかしそれにしてはやり方が回りくどいと思う。
もしかすると本当に誰かから追われていて、自分に関することを覚えていないのは前にいたところで酷い仕打ちを受けていてその影響なのかも知れないと天道は考えた。
「楽じゃないな。この空の下の人全てを幸せにするというのも」
天道はもう一度溜息をついて外に出た。扉を出てすぐのところでC.C.は微笑を浮かべて待っていた。


名護と草加、そして仗助と億泰は橘と剣崎がいる山小屋へと続く山道を歩いていた。
「名護君。1つ聞きたいんだが、君の言う究極のライダーシステムというのはいったいどういう物なのかな?」
草加は名護の隣を歩きながら聞いた。その質問に名護は快く答える。
「究極のライダーシステムとはどんな悪でも圧倒的な力で討ち滅ぼすことのできる無敵の力だ。そもそもライダーシステムの歴史とは園崎文音という1人の科学者が作ったG3(ジースリー)から始まった。G3は現在のライダーシステムと比べるとまだまだ見完成で実用に耐えうるようなものではなかったが、それでも無能力者でも能力者に匹敵する力を発揮できるパワードスーツという発想は当時の科学者たちを一様に驚かせたそうだ」
名護はさらに話を続ける。
「そしてある時期に園崎文音は自身が作成したライダーシステムに関するデータをネット上にフリーで公開し、自身は行方をくらませた。そこからライダーシステムの開発が各所で始まった。ZECTのカブトやザビーなどクロックアップシステムを搭載したライダーシステム、ブレイドやギャレンなどカードに封印されたアンデッドの力を引き出すことのできるBOARDのライダーシステム、そして俺が作ったイクサや君の持つカイザ、ライダーシステムは様々な状況に合わせて多様化を極めていった。俺はそれら全てのライダーシステムを1つに合わせる事で究極のライダーシステムが完成すると考えている」
「ふぅん・・・いつ完成するのかな、それは?」
「すぐにとはいかないだろう。だが必ず俺の手で完成させてみせる。俺が求める絶対正義のために」
仗助と億泰は後ろで名護と草加の会話を聞いていた。
「仗助、俺は難しいことはよくわからねえがよぉ、あの2人・・・特に草加雅人が何か企んでるのはわかるぜ」
億泰はそう言った。仗助も億泰と同じ意見だった。仗助はさらに今までの名護と草加の発言から彼らの考えを考察する。
まず名護の目的は世界の秩序の安定だと考えられる。そのために名護は秩序を乱す悪を滅ぼすことのできる力、すなわち究極のライダーシステムを求めているのだ。わからないのは名護が何故秩序を乱す悪そのものである草加を仲間にしたのかということだ。
考えられる答えは名護の正義が草加を悪と認めないということか、または名護は草加を利用しようとしているということかだ。草加は現在ほぼ全てのライダーシステムをその手中に収めている。究極のライダーシステムを作るためには是非とも利用したい存在だろう。仗助は後者の答えである可能性が高いと思った。しかしどのような答えであった場合でも名護の人格が相当歪んでいるということに変わりはない。
そして草加雅人。シュラウドはカイザのベルトは装着者の命を著しく削ると言っていた。命を失うリスクを背負ってまで草加がやりたい事が仗助にはまったくわからない。しかしどんな理由があったとしても黒子を殺したことは絶対に許されないことだ。
今は名護と手を組んで正義のために戦おうとしているように見えるが、草加は自分の目的のために人殺しでもできるような男だ。いつ背中から撃たれてもおかしくはない。
名護啓介と草加雅人。この歪みきった2人が共にいる限り、必ず大きなトラブルが起こるに違いない。
「億泰、いざとなったら俺たちが絶対にあの2人を止めるんだ。絶対にだ」
仗助は小声で億泰に耳打ちする。億泰は仗助の顔を見てうなずいた。

そうやって話しているうちに4人は橘と剣崎がいる小屋にたどりついた。
「仗助、億泰、どうしてここに?」
小屋の表の川原で焚き火をしていた橘はこちらに気付いて立ち上がった。
「あなたが橘さんですか?」
名護は笑みを浮かべて橘に話しかける。
「誰だお前は?」
怪訝な顔をして橘は聞く。
「俺は名護啓介。アンチスキル・技術研究部、通称《素晴らしき青空の会》の主任です。彼らは素晴らしき青空の会の戦闘部隊《鷹》のメンバーです」
名護は草加、仗助、億泰を指してそう言った。
「そうか。君が仗助たちの新しい上司か。しかしこんなところに何の用で?」
「あなたと剣崎一真の持っているライダーシステム、ギャレンバックルとブレイバックル、そしてラウズカードを渡していただきたい」
「何を言っているんだ、お前?」
橘は顔をしかめる。名護はマッドサイエンティストを思わせる狂気的な笑みを浮かべる。
「あなたたちの持つライダーシステムを研究させて欲しいんですよ。究極のライダーシステム作りのためにね」
「仗助、こいつはいったい何だ?」
橘は意味不明といった様子で仗助の方を向いた。
「俺たちも困ってるんすよ。こいつが悪い奴なのかどうなのか・・・」
「何を言っているんです仗助君。俺はとてもいい人ですよ」
名護は真顔になって仗助の顔を見た。
「さあ、早く君のライダーシステムを渡してくれないかな」
草加は橘に詰め寄る。
「そういえば、君は誰なんだ?」
橘の疑問に億泰が答えた。
「そいつは草加雅人。黒子ちゃんを殺した張本人だぜ」
「なんだと? お前が白井を・・・そんな奴にライダーシステムを渡せるか!」
「フン、なら力尽くで奪うまでだな」
草加はカイザのベルトを装着する。そんな彼の肩に手を置いて仗助は待ったをかけた。
「草加雅人、戦う前にいくつか聞きたい事があるぜ。1つは何故黒子を殺したのか? 2つ目はあんたはいったい何のために戦っているのか? ・・・だ」
草加はフンと鼻を鳴らして、
「そんな質問に答えるつもりはないな。俺はただ邪魔者を消す。それだけだ」
「てめぇ・・・今確信したぜ。お前は人の命を何とも思っちゃいない・・・正真正銘のゲスだ! この街にいちゃいけねえ奴だぜッ!」
ついに仗助の堪忍袋の緒が切れた。億泰も仗助に同調して指をパキポキ鳴らしている。2人は橘の傍に立った。
「橘さん、協力して草加を倒しましょう。これ以上あいつに好き勝手やらすわけにはいかねえっすよ」
仗助がそう言うと橘はうなずき、ギャレンのベルトにラウズカードを挿し込んで装着した。
「仗助君、億泰君、俺は今残念な気分だ。まさか君たちが俺たちと敵対してしまうとは。あの白井さんの部下ならきっとこの街の秩序を守るために優秀な働きを見せてくれると信じていたのに・・・やはり君たちのその姿を見た時点で気付くべきだった」
名護は仗助たちの不良風の姿を指してそう言った。億泰は名護の発言に怒りを露にする。
「この野郎! 人を見た目で判断しやがってッ! なにが秩序だ。もう許さねえ!」
名護はイクサのベルトを装着する。
「異端者は排除しなければならない。命までとは言わない。神に懺悔しなさい」
名護はイクサナックルを拳に押し当てる。
―レ・ディ・ー―
草加はカイザフォンに9・1・3と番号を打ちこむ。
―Standing by(スタンディング バイ)―
「変身!」
―フィ・ス・ト・オ・ン―
「変身!」
―Complete(コンプリート)―
2人はそれぞれイクサ、カイザへの変身を完了した。
「変身!」
―Turn Up(ターン アップ)―
橘もギャレンへの変身を完了する。
「クレイジー・ダイヤモンドッ!」
「ザ・ハンドッ!」
仗助と億泰もスタンドを出した。
そして戦いの火蓋は切って落とされた。

風都地区・遊園地
「おい、いい加減に答えろ。お前はいったい誰に狙われている?」
天道はC.C.の背中に問いかけた。2人は今メリーゴーランドに乗っていた。
「別にいいじゃないか、そんなこと。私は今久しぶりの外出を楽しんでいるんだ」
さっきからどんな質問をしてもC.C.はそっけなく返すばかりだ。天道の我慢は限界にきていた。
「いい加減にしろ。狙われているなどと嘘をついて・・・」
「嘘じゃない。私は狙われている」
「じゃあ誰にだ」
天道の口調には若干の怒りがこもっていた。
「そう怒るな。わかったから今答えてやる。私を狙っているものの正体はわからない。ただ何かの組織であることはたしかだ」
何かの組織。そう言われて思いつくものはミュージアムだ。C.C.はミュージアムにとって何かしらの価値があるものということだろうか。
「お前・・・いったい何者なんだ」
「何者か・・・か。知りたいのは私のほうだよ」
そう言ったC.C.の表情は見えなかったが、何故か天道には悲しげな表情をしているように思えた。
2人はメリーゴーランドを降りた。2人は歩きながら話を続ける。
「私はドイツの学園都市の研究機関にいたんだ」
C.C.はそう言った。
学園都市は天道たちがいる日本のものだけではない。学園都市は世界各国に存在し、その国の超能力研究の場として機能している。その中でもトップクラスの研究成果を誇るのが日本の学園都市というわけだ。ドイツの学園都市は軍との結びつきが強く、最強の兵士を作るための研究に勤しんでいるらしいが、その成果は日本の学園都市には遠く及ばないと天道は聞いていた。
「じゃあお前は研究者なのか?」
天道が聞くとC.C.は無表情で、
「いいや。私は実験動物だった」
「・・・どういうことだ?」
天道がそう聞いた時、
「そこまでだ! 異能生存体!」

どこからか声が聞こえたと思うと周りの草むらからぞろぞろと黒スーツの男たちが出てきた。人数にして10人以上はいる。
「何だ、お前たちは? ・・・まさか、お前たちか。C.C.を狙っているというのは」
天道とC.C.はいつの間にか遊園地の中でも人気のない古く廃れたヒーローショーのステージ付近に来ていた。ここまで天道は人気のない道を選んで歩いてきた。天道たちははめられたのだ。
「その女・・・異能生存体は我々スマートブレインにとって必要なものだ。先程からのお前たちの行動は全て見させてもらっている。お前にとってその女はさっき出会ったばかりの他人のはずだ。大人しくこちらに渡してもらおう」
黒スーツの男たちは天道とC.C.を囲んで徐々に歩み寄ってくる。
「総司・・・」
C.C.は天道の顔を見た。
「ああ、お前の言ったことは嘘ではなかった。安心しろ。俺は全ての人々を照らす太陽だ。お前は必ず俺が守ってやる」
天道の手にカブトゼクターが飛来する。
「変身」
―Henshin(ヘンシン)―
天道はカブト・マスクドフォームへの変身を完了した。
「なにッ! こいつ、仮面ライダーだったのか!?」
黒スーツたちは驚いている。
「ほぉ・・・そういうことだったか」
C.C.は何かに納得した様子だ。
「こうなっては仕方がない。この男を倒して異能生存体を回収する!」
黒スーツたちはスーツの下に装着していたベルトを露にする。そしてそのベルトの棒状の部分を横に倒した。
―Complete(コンプリート)―
黒スーツたちは一斉にライオトルーパーへの変身を完了した。
「これは・・・ライダーシステム!? しかも量産型か?」
天道は未知の敵の登場に一瞬様々な考えを張り巡らせたが、今一番重要なのはC.C.を守りぬくことだと思い戦いに集中することにした。
ライオトルーパーたちはコンバットナイフ型の武器、アクセレイガンを振りかざしてカブトに襲いかかる。
「ハアッ」
ライオトルーパーたちが振り下ろしたアクセレイガンをカブトはマスクドフォームの固い装甲で受け止めた。
「くっ・・・!」
しかしライオトルーパーたちのパワーは天道の予想を超えて強力だった。なんとか耐えたものの、ライオトルーパーたちはカブト・ライダーフォーム並みの戦闘力を持っている事が今の攻防でわかった。
つまりカブトとライオトルーパー軍団の戦力差は純粋に1対多数。クロックアップの有無があるとはいえ、 こちらはC.C.を守って戦っている以上そんなものはまるで意味がない。つまり戦って勝つことは不可能というわけだ。
「伏せろ!」
カブトはC.C.にそう言った。C.C.は素直に言うことを聞いた。
「キャストオフ!」
―Cast Off(キャスト オフ)―
マスクドフォームの装甲が弾け飛ぶ。その弾け飛んだ装甲はカブトの周囲にいたライオトルーパーたちを全て吹き飛ばした。そしてカブトは近くにあった消火栓をカブトクナイガンで撃った。
消火栓から大量の水が撒き散らされ視界が悪くなる。
「今の内に逃げるぞ」
カブトはC.C.を抱えてその場から急いで立ち去った。

「もうすぐか」
照井は翔太郎に教えてもらった橘のいる小屋を目指して山道を歩いていた。照井は橘に協力してもらって草加からアクセルドライバーを取り戻すつもりでいた。
しかし翔太郎の描いた地図はまるで小学生が描いたもののようでかなりわかりにくく、ここまで来るのに照井はずいぶん苦労した。
「まったく、あいつも探偵ならもっとマシな地図は描けなかったのか」
その時、照井の視界が真っ白に染まった。次の瞬間、耳を裂くような轟音が辺りに響き渡った。
「何だ・・・雷か?」
照井は空を見る。しかし空は雲1つない快晴だった。照井は雷が落ちたであろう方向を見る。それは橘の小屋の方向と一致していた。うっすらと煙が上がっているのが見える。
照井は嫌な予感がして橘の小屋に向かって走り出した。

「どういうことだ・・・これは!?」
照井が見たものは焼け焦げた大地に横たわる仗助と億泰、それから誰かわからない男1人、そしてボロボロになって戦っているカイザとギャレン・キングフォーム、その2人の前に立ち塞がる謎の白いドーパントだった。
「おい、しっかりしろ!」
照井は仗助と億泰に近寄って語りかける。
「う・・・照井・・・竜?」
億泰は目を覚ました。仗助は気絶したままだがたいした怪我はなさそうだ。
「そうか、仗助がクレイジー・ダイヤモンドで俺の傷を治してくれたのか」
億泰は同じ攻撃をくらいながら自分の方が傷が少ない理由をそう理解した。
「ひとまずあそこに隠れるぞ」
照井が草むらを指差すと億泰はうなずいた。2人は気絶している仗助を連れて草むらに隠れた。
「いったい何が起こった? 見たところあの白いドーパントにやられたようだが・・・」
照井が億泰に問うと、億泰は震えながらその問いに答えた。
「俺たち・・・俺と仗助と橘さんは色々あって草加雅人とあそこに倒れている名護啓介の2人と戦ってたんだ。戦いはお互い互角って感じでよぉ、なかなか決着がつかなかったんだ。それでしばらくしたら・・・あいつが現れたんだ」
「あの白いドーパントか」
「ああ、赤い稲妻と共に現れてよ・・・俺たちの力を超えるとか言って襲いかかってきたんだ」
「ぐああああああああああああああッ!!」
その時、白いドーパントの攻撃を受けたカイザが照井たちが隠れている草むらまで吹っ飛んできた。あまりのダメージにカイザの変身が解けている。
「もっと本気を出してくれませんかねえ。カイザが本気を出せば私など・・・」
草加は気絶している。白いドーパントは草加を追ってこちらに近づいてきている。
「待てよ・・・もしや!」
照井は草加の懐を探る・・・あった。照井はアクセルドライバーを発見した。
「ン? そこにいるのは誰ですか。どうやら私が戦っている間に新しいねずみが紛れ込んだようですが」
白いドーパントはいつの間にか仗助と億泰の姿が消えているのに気がついて言った。
照井は草むらから飛び出した。
「照井・・・照井竜か!」
ギャレンは肩で息をしながら叫んだ。
「気をつけろ! こいつは普通じゃない!」
そう叫んでギャレンは倒れた。変身が解除されて橘の姿に戻る。
照井はギャレンの戦いを見た事がない。だがシュラウドからギャレンがどういうライダーなのかは聞いていた。BOARD製のライダーシステムは装着者の感情によって力が変化する。ラウズカードの持つ強大な力と合わせればおそらく最強クラスのライダーだろう、と。
そのギャレンが最強フォームのキングフォームをもってしても敵わない相手だ。今までの敵とは明らかに格が違う。
「なるほど。君が照井竜ですか。君の持つアクセルドライバー・・・いいですね。是非とも手に入れたい」
白いドーパントはそう言った。
「貴様・・・何者だ?」
「私はミュージアム四天王の1人」
それを聞いた瞬間、照井の心臓が高鳴った。まさか・・・と思い照井の脈拍がどんどん上昇していく。
「井坂深紅郎です。以後お見知りおきを」
照井はついにこの時が来たと思った。井坂深紅郎、シュラウドからこの名を聞いて以来、照井は一時もこの名を忘れる事がなかった。
「そうか・・・貴様か。貴様が母さんを! 父さんを! 春子を!」
―アクセル!―
「変ッ・・・身ッ!!」
怒りに燃える照井はアクセルに変身するとエンジンブレードを構えて猛ダッシュで白いドーパントに斬りかかった。
「らあアッ!!」
アクセルはエンジンブレードを頭上から勢いよく振り下ろす。だが白いドーパントはそれを右手の人差し指と中指だけでいとも簡単に止めてみせた。
「何故だッ! 何故俺の家族を殺した!!」
アクセルは問う。すると白いドーパントはとぼけた様子で、
「君の家族? ・・・ああ、あの時の。君の妹はレベル4の発火能力者でしたね。私はその能力が欲しかったんですよ」
アクセルは話を聞きながらもエンジンブレードに力を込め続けている。だが白いドーパントはまったく微動だにせず話を続ける。
「私がメインで使っているのはウェザーのメモリ。だがそれだけでは最強の力を手に入れることはできない。だから私は超能力やスタンド能力をメモリ化して自分の力としている。君の妹さんの能力は今も私の中で生きているんですよ」
白いドーパント、ウェザー・ドーパントは左手の人差し指をエンジンブレードに向ける。するとエンジンブレードは一瞬にして炎に包まれた。アクセルはエンジンブレードを手放して後ろに下がる。
「まあレベル4程度では話にならないので複数の発火能力メモリを直列につないで使っているのですがね」
「・・・お前は何のために力を求めている」
アクセルがそう聞くとウェザー・ドーパントは嘲り笑うように、
「決まっているでしょう。弱いのが嫌だからですよ」
「ふざけるなあああッ!!」
―アクセル! マキシマムドライブ!!―
アクセルは跳び上がる。必殺の飛び回し蹴り、アクセルグランツァーを決めるつもりだ。
「らあああああああああああああああッ!!」
「フン」
ウェザー・ドーパントはアクセルに向かって右手をかざす。するとアクセルを強烈な冷気が襲った。
「なっ・・・この冷たさは!!」
「そう、君の家族を殺した能力ですよ」
アクセルの足がガチガチの氷で固まった。アクセルは地面に落ちる。
「くっ・・・うぅっ・・・」
足が凍っていてまったく動く事ができない。ウェザー・ドーパントはアクセルを見下して言う。
「君の家族はいい実験台になってくれました。そして君の持つアクセルドライバーによって私は更なる高みに昇る事ができる。感謝しますよ」
「くそッ! くそッ!! くそおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
照井の叫びは山中にこだました。


風都地区・とあるホテル
「まったく、よくもあんなに水を撒いてくれたな」
C.C.はシャワーを終えてバスローブ姿で出てきた。
C.C.は消火栓の水でびしょ濡れになっていた。そこで天道とC.C.は着替えのためにホテルの1室を借りたのだった。
「仕方がないだろう。お前が守ってくれと言ったから俺は守ったんだ。まあとにかく、ここなら奴らも当分は追ってこないだろう。お前の服はこの部屋の乾燥機にかけてある。乾くまではその姿で我慢してくれ」
「それは心配だ。いつお前に襲われるかわからない」
C.C.がからかうと天道は顔を真っ赤にして、
「なっ・・・何を言っている! そんなこと・・・俺がするはずがないだろう!」
天道の反応を見てC.C.は冷静に言った。
「お前・・・童貞だろう?」
「なっ、何故わかる?」
「まあ年季の差というやつかな」
どう見ても自分より年下なのに・・・と天道は思う。しかしよく見るとこのC.C.はとても子供とは思えない大人の魅力というものを備えていた。
鉄の男天道総司といえどもやはり男。シャワーから上がったばかりのほてった美女を前にして興奮しないはずがなかった。しかし悲しいことに天道は生まれてこの方女性経験の一切無い童貞君。興奮するばかりで結局何もできない。
「そうだな、お前なら相手になってやってもいい」
そう言ってC.C.は顔を天道の目の前に持ってきた。天道が慌てふためいている内にC.C.は天道の唇に自身の唇を重ねていた。
女性の方から誘われると流れるままにホイホイとやっちゃうのは童貞のどうしようもない性である。

風都地区・ミュージアムのトライアルシリーズ保管庫
「なに? それは本当か」
利根川は部下からの報告を聞いてそう言った。
報告の内容は「ドイツの学園都市から異能生存体の女がこの日本の学園都市に逃げてきている」というものだった。
「異能生存体か・・・よし、私が出よう」
相手が異能生存体ならば自分でなければどうすることもできない。利根川はそう考えた。
ミュージアムの更なる発展のため、利根川は自身の手で異能生存体を捕獲することを決意した。

次回予告
C.C.「異能生存体、遺伝確立約250億分の1の超特異体質」
名護「俺が・・・俺が負けるはずが・・・負けるはずがないんだッ!!」
億泰「もうやめろ! みっともないぜ、あんた!」
草加「シュラウドめ。俺を殺したくなったのか」
利根川「私はアギトの力に目覚めた者だ」
天道「父さん・・・母さん・・・ひより・・・」
C.C.「次回、学園都市の日常・科学サイド『永遠のC/泣くな初恋天道』
これで決まりだ」

黒岩「知っているか! 今日の最強ヒールは『ウェザー・ドーパント』
ミュージアム四天王の1人、井坂深紅郎が変身する・ドーパントだ。ウェザーのガイアメモリをメインとして井坂は超能力やスタンドのメモリを数え切れないほど使用している。そのためウェザー・・ドーパントは1つのメモリではありえないほどの数の能力と圧倒的攻撃力を誇っている。まったく・・・気に入らない男だ」
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感想
by luke 2012/04/20(Fri)23:26:21 Edit
おつかれさま。
今回はけっこうシリアスな話なのはわかった……けど最後なんだ(笑)。しかもC.C.は男じゃあねぇ(笑)
使用BGM
by Joker 2012/04/19(Thu)23:06:51 Edit
※BGM1『Conturbatio』(魔法少女まどか☆マギカより)
※BGM2『Sis puella magica!』(魔法少女まどか☆マギカより)
※BGM3『緊張の瞬間』(遊戯王5D'sより)
※BGM4『怒り』(遊戯王5D'sより)
※BGM5『オルフェノク出現』(仮面ライダー555より)
※BGM6『Symposium magarum』(魔法少女まどか☆マギカより)
※BGM7『やらないか』(くそみそテクニックより)
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