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teamBDR
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男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第24話「永遠のC/泣くな初恋天道」

作者 Joker


「さあ、アクセルドライバーをいただきますよ」
ウェザー・ドーパントは身動きができないアクセルに向かって手を伸ばす。
「や・・・やめろォ!!」
もはやアクセルには叫ぶことしかできなかった。すぐ目の前に憎い仇がいて殺したくて仕方がないのに、どうすることもできない。照井は自分でも気付かない内に涙を流していた。
「おい!」
その時、誰かが叫ぶ声が聞こえた。
ウェザー・ドーパントは振り向く。そこにいたのは山菜採りから帰ってきた剣崎一真だった。
「ほお・・・あなたは剣崎一真。人間を超え、アンデッドとなったものですか」
剣崎は眉間にしわを寄せて不快感を示す。ウェザー・ドーパントは嬉々として語り始めた。
「私の最終目標はあなたなんですよ。ジョーカーとなったあなたは誰にも負けない最強の力を得た・・・そうでしょう? 私もあなたと同じように人間を超え、最強の存在になりたいと考えているんですよ」
「なにを馬鹿なことを言っているんだ・・・」
剣崎は辺りを見回す。ボロボロになった橘や草加、名護たちが倒れている。
「お前は俺が止める!」
剣崎はブレイバックルを装着する。
「変身!」
―Turn Up(ターン アップ)―
剣崎はブレイド・キングフォームに変身した。
「ウェエエエイッ!!」
ブレイドは大剣型の武器キングラウザーを振り下ろす。
「さすがにこれは受け止められませんね」
ウェザー・ドーパントはヒョイとかわす。
「ウェエイッ!!」
ブレイドは攻撃の手を緩めず次々に斬撃を繰り出す。ウェザー・ドーパントはかわすので精一杯だ。
「くっ・・・やはりジョーカー。勝てる気がしない・・・だが」
ウェザー・ドーパントが力むと突然巨大な刀のような武器が現れた。
「スタンド、サメハダ」
ウェザー・ドーパントは刀の形をしたスタンド、サメハダでキングラウザーと鍔迫り合いをする。
「サメハダの能力は相手の生気を喰らうこと・・・じきにあなたは立っていることすらできなくなる」
サメハダの表面のとげのような突起物がギシギシと音を立てながらブレイドの生気を喰っている。
剣崎はもう限界だった。思わず飛び出していってしまったが、やはりジョーカーの本能が剣崎の体を乗っ取ろうと襲いかかってきた。
『コロセ・・・ホロボセ・・・』
さっきから頭の中でそんな言葉がひっきりなしに響いている。
「う・・・う・・・ウェエエエエエエエエエエイッ!!」
ブレイドの剣がサメハダを弾いた。
「まさか! 生気を喰われながらサメハダを弾くなど!!」
「ウェイッ!!」
今までで一番速い斬撃がウェザー・ドーパントの腹をかすった。
「うっ・・・くっ!! ・・・仕方がありませんね。やはり全力以上の力を出さなければジョーカーを超えることはできませんか。ならば・・・」
ウェザー・ドーパントは右腕に凍結能力、左腕に発火能力のエネルギーを込める。そして両腕を合わせて2つのエネルギーをスパークさせる。
「私の最大の奥義、メドローア」
ウェザー・ドーパントは左腕をブレイドに向けて真っ直ぐに伸ばし、右腕を弓を引くように構える。ウェザー・ドーパントの腕が直視できないほどの光を放っている。
ブレイドはこの技の危険性をジョーカーの本能で感じ取った。そしてこの技に対抗するには自分も最大の奥義で対抗するしかないと考えるにいたった。
―スペード10・J・Q・K・A(テン・ジャック・クイーン・キング・エース)―
ブレイドはキングラウザーに5枚のラウズカードを読み込ませた。
―ロイヤルストレートフラッシュ―
キングラウザーもウェザー・ドーパントに負けないほどの光を帯びる。
そしてウェザー・ドーパントのメドローアは放たれた。
ブレイドはウェザー・ドーパントが放った光に向かって必殺の斬撃、ロイヤルストレートフラッシュをぶつける。メドローアとロイヤルストレートフラッシュ、2つのエネルギーの衝突が大地を震えさせる。
「メドローアは全てを消滅させる技・・・今はラウズカードの力で弾いているようですが・・・それもいつまでもつか・・・・・・」
ウェザー・ドーパントは息を切らせながらそう言った。
ブレイドはキングラウザーに全ての力を込めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!! ウェエエエエエエエエエエイッ!!」
ブレイドの渾身の一振りによってメドローアの軌道はそれて、遠くの山の山頂まで飛んでいった。メドローアが山頂にぶつかった瞬間、眩い光が辺りを照らした。光が収まった時、山頂があった場所には何も無かった。まるで今までずっとそうであったかのように、きれいに何もなくなっていた。
キングラウザーの剣先も10センチメートルほど消滅していた。ブレイドは力尽きて膝をつく。そしてブレイドの変身が強制的に解除させられた。
「さすが・・・ジョーカー・・・・・・まだ私の及ぶところではありませんか・・・」
ウェザー・ドーパントもメドローアに全力を込めていたためこれ以上の戦闘は無理だった。
「次は・・・超えさせてもらいますよ」
ウェザー・ドーパントの体が小さな竜巻に包まれる。竜巻が去った後、ウェザー・ドーパントの姿はもうなかった。
「ま、待て! 俺の決着はまだ・・・まだついていないぞ! 井坂深紅郎オオオオオオオオオオッ!!」
照井は叫ぶ。だがウェザー・ドーパントにまったく歯が立たなかった自分と、その後のブレイド・キングフォームを相手にして本気を出したウェザー・ドーパントの姿を比べると、照井はどうしようもない虚しさに胸がつまる思いだった。



風都地区のとある公園
天道とC.C.は並んでベンチに座っていた。
「結局キスから先は何もできないとはな」
C.C.は天道をからかうように言った。ホテルで天道はC.C.に何もしなかった。
「だいたいそういう事はちゃんとした付き合いの後結婚してからでなければいけない」
天道は言い返してみたが、
「やれやれ、頭の固い坊やだ。この先苦労すると思うぞ」
「坊やと呼ぶな。だいたいお前の方が俺より年下だろう。年上には敬意を示すものだ」
「ならお前が私に敬意を示すべきだ。私はお前の何千倍も長く生きているからな」
「お前が俺よりも長生きをしているだと? どういうことだ?」
「さっきの男たちが言っていただろう。異能生存体と」
それはスマートブレインを名乗る黒スーツの男たちがC.C.を指して言った言葉だった。
「異能生存体、遺伝確立約250億分の1の超特異体質。簡単に言うと、私の体はどんな事が起こっても死なないようにできている。たとえ銃で全身蜂の巣にされても、毒薬を服用しようとも、車に撥ね飛ばされても絶対に死なない。体の成長は16歳で止まってしまった。どうやら寿命でも死なせてくれないらしい」
「じゃあお前は・・・今いったい何歳なんだ?」
「そうだな・・・もう昔のことはあまり覚えていないが、西ローマ帝国が滅んだ時はまだ100歳になっていなかったかな」
天道は途方もない気分になった。西ローマ帝国が滅んだのは西暦476年。日本はまだ古墳時代だ。もう長生きなどというレベルではない。
「魔女狩りであらゆる拷問にかけられ、戦争に巻き込まれ酷い仕打ちを受けて、それでも私は死ななかった。でも死なないだけで痛みはあるんだ。そんな痛みの記憶ばかりが積み重なって、気がついたらドイツの学園都市で不老不死の研究の材料にされていた。そして隙をみて脱走して、今ここにいる」
「脱走か。お前には何かやりたい事があるのか?」
「そうだな。やりたいこととは違うかもしれないが、私は死にたいと思っている」
「死にたい・・・だと? 今までずっと苦しいことばかりだったからか? なら俺が守ってやる。死にたいなどと言うことは俺が許さない」
「守ってやる・・・か。お前のような奴が今まで何人もいた。だが皆私をおいて逝ってしまった。私が愛した人も、私を愛してくれた人も、皆私をおいて逝ってしまう。体の痛みには慣れてしまったが、別れの痛みだけはいまだに慣れないんだ」
C.C.の表情は耐えがたいほどに悲しげだった。
「この日本の学園都市は世界で一番の技術を誇っていると聞いた。ここならきっと私を殺す方法も見つかる・・・そんな気がする」
「・・・どうしてお前は俺にかくまえなどと言ったんだ?」
「この街にも私を狙っている奴らがいる。もう実験材料にされるのはこりごりなんだ。自分が人間じゃないような気がしてきてな。もっとも、これだけ長く生きていれば人間扱いされないのは当然か」
C.C.は自嘲気味に言った。
「お前を選んだのはお前から戦いの匂いがしたからだよ。だてに何千年も生きてきたわけじゃない。お前なら奴らを追っ払える力を持っていると思ったんだ・・・がっかりしたか?」
「いいや、別に」
天道は素っ気無くそう答えた。
「じゃあ私は行く」
C.C.はベンチから立ち上がった。
「どこへ?」
「さあな。だがお前は私が死ぬことを許してくれないんだろう? ならお前とは一緒にいられない。他を当たることにするよ。じゃあな、総司。さようなら、楽しかったよ」
C.C.は背中を向けて去っていこうとする。だが天道は彼女の右手をつかんだ。
「待て。お前を行かせるわけにはいかない。おばあちゃんが言っていた。死ぬ時に笑顔でいられるような生き方をしろ、と。今の気持ちのままではお前は笑顔で逝けない。そんな気がする。それに俺はお前を守ると言ってしまった。俺はその発言に責任を持たなければならない」
「お前・・・とんだエゴイストだな」
「なんとでも言え。お前も俺も運が悪かった」
天道はC.C.の腕を引っ張って歩く。C.C.は微笑んでいた。

「んっ・・・ここは・・・」
「名護さん、目が覚めたみたいっすね」
名護は上体を起こして辺りを見回す。どうやら橘たちの小屋の中で介抱を受けていたらしい。
「・・・奴は・・・あの・ドーパントは!!」
名護はウェザー・ドーパントとの戦いのことを思い出した。名護は飛び上がって小屋から飛び出した。
「おい! どこだッ! どこにいる!!」
名護は声を張り上げて叫んだ。
「あのドーパントならもうずっと前にどっかに行ったぜ。照井竜と草加雅人は先に帰った」
小屋の中から億泰が出てきてそう言った。仗助、橘の2人も出てくる。剣崎は小屋の中でまだ眠っていた。
「くそッ! どこだ! 早く出てこいッ!!」
名護はさらに声を張り上げて叫ぶ。
「だからもうどっかに行ったって・・・」
「うるさい!! 俺が・・・俺が負けるはずが・・・負けるはずがないんだッ!!」
うめき声を上げながら名護は巨木に向かって走る。そしてその巨木を自身の拳で何度も殴りつけた。
「くそッ! くそッ! くそおおおおおッ!! うおおおおおおおおおおおおおッ!!」
名護の拳は血まみれだ。それでも名護は巨木を殴るのをやめない。
「もうやめろ! みっともないぜ、あんた!」
億泰は名護の見苦しい姿に耐え切れず、名護を羽交い絞めにした。
「俺が負けるはずがない・・・そうだ、負けたのはイクサだ。こうしてはいられない・・・早く究極のライダーシステムを完成させなければ!!」
名護はそう呟いて億泰の腕を振り解くと、もと来た道を時々こけながら走り去っていった。
仗助は橘に話しかけた。
「橘さん、あのドーパント・・・剣崎さんなら」
倒せるんじゃないか、と言いかけたところで橘が先に話し始めた。
「いや、だめだ。確かに剣崎ならあのドーパントを倒せるかもしれない・・・いや、倒せるだろう。だが剣崎は戦えないんだ」
「どうして・・・だって剣崎さんは戦えてたじゃないっすか」
「最初は俺もそう思った。だが戦いが終わった後の剣崎の様子を見て考えが変わった」
橘は死んだように眠っている剣崎の方を見る。
「あいつはそうとう無理をしていたようだ。こんな戦いを続けていれば、やがて剣崎の精神は崩壊し、剣崎は本当の意味でのジョーカーになってしまうだろう。今の剣崎は力を使うことで他人を傷つけてしまうんじゃないかという迷いを持っている。その迷いを払拭しない限り、剣崎を戦わせることはできない」
橘の気がかりはもう1つあった。照井竜だ。照井がアクセルに変身し続ければいつかエクストリーム化が起こって照井は最強最悪のドーパントになってしまうという話は翔太郎から聞いていた。
「まるで昔の俺だな・・・」
復讐に燃える照井の姿を思い出して橘はそう呟いた。

よろよろとした足取りで草加は廃工場を歩いていた。
「井坂深紅郎、ウェザー・ドーパントと戦ったみたいね」
「シュラウドか・・・何の用かな」
草加は背後に立っているシュラウドに背を向けたまま話しかけた。
「何故本気を出さなかったのか。それを聞きにきた」
「本気? 何のことか・・・」
「カイザが本気を出せばウェザー・ドーパントを倒す事ができたはずよ」
草加は沈黙する。
「邪魔者を全て消す。それがあなたの望みだったはず」
「そうだ。だがあの時カイザの全力を出していれば、俺は死んでいた。そうだろう?」
「そう・・・気付いていたのね」
「俺の望みはひよりに危害を加える可能性のある者すべてを消すことだ。まだここで死ぬわけにはいかないんだよ・・・」
「あなたも私の駒にはならないというのね」
シュラウドの声は冷たかった。草加はそんな彼女を突き放すように話す。
「ああ、最初からそのつもりだ。俺は利用できるものを利用するだけだ」
シュラウドの足音が遠ざかっていく。草加はその場に座りこんで溜息をついた。
現時点であのウェザー・ドーパントに対抗する手はカイザのフルパワーしかない。しかしそれを使ってしまっては自分の命がない。
「ちっ・・・アクセルドライバーが奪われていたか」
草加は現時点で持っているライダーシステムを全て出してみた。全てと言ってもカイザギアとザビーゼクターの2つだけだ。ザビーは使いやすくクロックアップもあるとはいえカイザよりも非力だ。ウェザー・ドーパントに対抗しうる力にはならないだろう。
名護の言っていた究極のライダーシステムというのもあまりあてになるとは思えない。名護が究極のライダーシステムを完成させた時、名護を始末して究極のライダーシステムを奪う予定だったが、ウェザー・ドーパントに真っ先にやられるような男がそんな大それた物を作れるとは思えない。
名護の方も大量のライダーシステムを持っている自分を利用しようとして近づいてきたはず。なら名護にとっての自分の利用価値がなくなった今が縁の切り時か、と草加は考えた。
その時、草加に向かってくる複数の足音があった。
「あんたが草加雅人ね」
「誰かな?」
「ZECT機動部隊《シャドウ》隊長、御坂美琴。あんたが持ってるザビーゼクターを返してもらいにきたわ」
黒いスーツに身を包んだ少女はきつく冷めた視線でこちらをにらみながらそう言った。
「シャドウの隊長は矢車とかいう奴じゃなかったか?」
「その人がクビになったから私が隊長をやってんのよ。さあ、あんたが今弱ってんのは知ってるから早くザビーゼクターを渡しなさい」
御坂の背後にはマシンガンを持ったゼクトルーパーたちが構えている。
「フン、まあいい。ちょうどこいつは使えないと思っていたところだからな。返してやるよ」
草加はザビーゼクターとザビーブレスを御坂に向かって放り投げた。御坂はそれをキャッチした。
「確かに返してもらったわ。でも残念ね。あんたが素直に返してくれなかったら、容赦なくあんたを殺してたのに・・・」
御坂の体から青い電流がほとばしる。
「小言はいい。とっとと帰ってくれないかな」
草加がそう言うと御坂たちはきびすを返して去っていった。
「あいつらは俺が戦いの後で弱っていることを知っていた・・・シュラウドめ。俺を殺したくなったのか」
草加は後ろの壁を右手の甲で殴った。ドンという音が工場内に響き渡った。


夜、鳴海探偵事務所1階・喫茶店W
「よし、できたぞ」
天道はピザを焼いてC.C.のところに持ってきた。C.C.はピザを切り分けて1ピース口に運んだ。
「うまいじゃないか。今まで食べた中で一番だ」
C.C.は素直に驚いているようだった。天道はその様子を見て満足げに微笑む。
「当然だ。この俺が作ったんだからな」
今ここにいるのは天道とC.C.の2人だけだった。翔太郎は2階の応接室で酒の缶を散らかしながら眠っていた。
「どうだ? うまいピザを食って死ぬ気は失せたか?」
「いいや、それとこれとは別だな」
C.C.は素っ気無く答えた。天道は溜息をつく。
その時、外で何かが爆発するような音が聞こえた。
「何だ?」
天道は外に飛び出した。C.C.もピザをくわえながら外に出る。
「これは・・・」
「花火か」
風都の夜空にいくつもの色とりどりの炎が開いては消えていく。天道は今日が花火大会だったことを思い出した。
「綺麗だな。花火はいつの時代も綺麗だった」
「そうか? 確かに花火は綺麗だが、俺はあまりいい印象はないな」
花火をにらむようにして見ながら天道は言った。
「花火が放つ光は一瞬だ。一瞬輝いてすぐ消えてしまう。俺が目指している太陽の輝きとは正反対だ」
「ふぅん、私は逆だな。私はあの花火のように、一瞬でも輝いて誰かの記憶に残る人生を送りたい・・・いや、送りたかったかな」
「C.C.・・・俺には理解できないな」
「いいさ。お前にはお前の生き方がある。ただ・・・お前の生き方は苦しいぞ」
「そんなもの、覚悟の上だ」
天道は硬い表情をしている。そんな彼をC.C.は暖かい表情で見つめていた。花火に照らされたその顔はとても優しく、美しかった。
「見つけたぞ!!」
今まで人などいなかった周囲が急にバタバタと騒がしくなる。黒スーツの男たちが再び天道たちの前に現れたのだ。
「さっきはよくもやってくれたな。今度は逃がさん!」
―Complete(コンプリート)―
黒スーツの男たちは有無を言わさずライオトルーパーへと変身した。
「C.C.、下がってろ。変身」
―Henshin(ヘンシン)―
天道もカブト・マスクドフォームへと変身した。
「キャストオフ」
―Cast Off(キャスト オフ)―
マスクドフォームの装甲がライオトルーパーたちに向かって弾け飛んでいく。ライオトルーパーたちは避けたり、アクセレイガンで捌いたりしてダメージを防ぐ。
「クロックアップ」
―Clock Up(クロック アップ)―
ライダーフォームとなったカブトはクロックアップを開始して、15人いるライオトルーパーたちに1発づつ急所への攻撃を叩きこんだ。これだけの人数、それも1人1人がカブト並みの力を持っているとなると倒している余裕はない。だから気絶させることにしたのだ。
「うっ!」
「おふっ・・・」
ライオトルーパーたちは認識不可能なカブトの超高速攻撃をくらってうめき声を上げながら次々と倒れていく。
―Clock Over(クロック オーバー)―
制限時間を迎えたことでカブトのクロックアップが解除される。しかしカブトの攻撃に耐えたライオトルーパーがまだ4体残っていた。
ライオトルーパーたちは一斉にカブトに襲いかかる。
先頭のライオトルーパーは右手にアクセレイガンを持って突撃する。カブトはその右手を捻り上げて背後に回り首筋に肘打ちをくらわせる。そしてそのまま右足で2体目のライオトルーパーの腹に蹴りを入れた。カブトはカブトクナイガンをガンモードにして2体目のライオトルーパーに向けて連射する。
こうして残るライオトルーパーはあと2体。
しかしカブトが2体のライオトルーパーを相手にしている間、他の2体のライオトルーパーはC.C.に接近していた。
「さあ、俺たちと一緒に来てもらおうか」
「やめろ! そいつに、そいつに触るなあ!!」
ライオトルーパーの手がC.C.に触れようとした瞬間、カブトはC.C.とライオトルーパーの間に割って入った。ライオトルーパーはその隙を逃さず、カブトの背中をアクセレイガンで切り裂いた。天道の背中を生暖かい痛みが走りぬける。だがカブトはひるまず即座に反撃に出る。カブトはカブトクナイガンをクナイモードへと変えた。
「ライダービート!」
―Rider Beat(ライダービート)―
カブトクナイガンが黄緑色のタキオン粒子を大量に帯びる。カブトはそれで2体のライオトルーパーを連続で切りつけた。
「ぎゃあああああああッ!」
ライオトルーパーの変身が解除される。黒スーツの男たちはドサッと音を立てて倒れた。
「くっ・・・」
「大丈夫か、総司?」
C.C.は背中の痛みに耐えるカブトに寄り添う。
「ああ、大丈夫だ。それよりもここから逃げるぞ」
カブトは再び立ち上がった。その時、
「待て」
ドスの利いた男の声が突然カブトたちに向けて発せられた。スーツ姿の四角い顔の中年の男が立っていた。
「誰だ、お前は?」
「私はミュージアム四天王の1人、利根川幸雄」
「ミュージアム四天王・・・C.C.を狙っているのか?」
「その通りだ。しかし君が彼女をかくまっているとは思いもよらなかった。この際だ。彼女を手に入れるのは天道総司・・・貴様を倒してからにする・・・!」
利根川は腹の前で両腕を交差する。すると利根川の腰にベルトのようなものが出現した。
「変身」
利根川の姿が見る見るうちに変化していく。体は銀と黒の色をした鎧のように変質し、顔は黒く鋭い角が2本伸び、つりあがった複眼が不気味に紅く発光している。
利根川はアギト・ダークフォームへの変身を遂げたのだ。
「なんだお前は・・・お前もライダーなのか!?」
天道は激しく動揺する。そんな彼をせせら笑うようにアギトと化した利根川は話す。
「違う。私はアギトの力に目覚めた者だ」
アギトの力、天道が疑問に思う間もなくアギトはカブトに襲いかかる。
「クロックアップ!」
―Clock Up(クロック アップ)―
カブトはアギトのパンチを避けた。そして高速で動き回りつつアギトの右斜め後方から襲いかかった。
「フンッ!」
しかしアギトは高速で動いているカブトの動きがまるで全て見えているとしか思えない反応でカブトの腹にカウンターパンチを撃ち込んだ。
「がッ・・・!」
―Clock Over(クロック オーバー)―
クロックアップがダメージによって解除される。
「さすがはミュージアム四天王の1人・・・やはり本気でいくしかない」
―1・2・3(ワン・ツー・スリー)―
「ライダーキック!」
―Rider Kick(ライダーキック)―
カブトの右足を大量のタキオン粒子が覆う。そしてカブトは助走をつけてアギトに向かって飛び蹴りを繰り出した。
「スゥ・・・フン!」
アギトもカブトに向かって飛び蹴りを繰り出す。2人の足が空中で交差する。
「ぐあああああああああああああッ!!」
カブトは悲鳴をあげて地面を転がる。対してアギトはまったくのノーダメージで華麗に着地する。
「そんな・・・総司の必殺技がまったくきいていない・・・」
C.C.は愕然とする。
「勘違いしてもらっては困るから言うが・・・今私が繰り出したのはただの飛び蹴り・・・・・・つまり今貴様が繰り出したような必殺技が私にもあるということ・・・・・・!」
そう言ってアギトは足を前後に開いて構えを取る。するとアギトの足元に巨大な紋章のようなものが現れた。紋章は黒い光となってアギトの両足に吸収される。
カブトはよろよろと立ち上がる。あまりのダメージに意識が朦朧として目の前で何が起こっているのかわかっていない。
「総司! しっかりしろ! 殺されるぞ!」
C.C.の叫びを聞いてもカブトは立っているのが精一杯でどうすることもできない。
「父さん・・・母さん・・・ひより・・・」
天道は無意識の内にそう呟いていた。
「これで貴様に引導を渡す・・・!」
アギトは先程とは比べ物にならないエネルギーを纏った飛び蹴りをカブトに向かって放つ。
カブトの変身がダメージによって解ける。意識が朦朧としている天道は迫りくるアギトのキックを避けようとしない。その時、天道は誰かに突き飛ばされた。
「C.C.・・・?」
次の瞬間、天道が見たものはアギトのキックを受けて吹き飛ばされるC.C.だった。
「し・・・C.C.!!」
天道はC.C.に駆け寄ろうとする。しかしすでにボロボロの体ではそうすることはできず、天道はこけて地面に這いつくばりながらC.C.の元に寄り添った。
「しまったっ・・・! アギトの力が裏目に出たか・・・まあいい。異能生存体の力がなくとも・・・ミュージアムの繁栄に揺るぎはないっ・・・・・・!」
アギトはそう呟いて帰っていった。

「C.C.・・・お前は異能生存体なんだろう? だから死なないんだろう?」
天道はC.C.が流しているおびただしい量の血液を見てC.C.に問いただす。
「い・・・いいや・・・確かに私は異能生存体だが・・・・・・どうやらここで死ぬらしい・・・・・・」
「何故だ! ・・・いや、そんなことはどうでもいい。生きろ! 頼むから生きてくれ!!」
天道はC.C.の手をつかんで懇願する。しかしその手はもうかなり冷たくなっていた。
「いいんだ・・・総司・・・元々死ぬのが私の望みだった・・・・・・だが・・・何故だろうな・・・・・・今・・・一瞬・・・まだ死にたく・・・ないと・・・・・・思ってしまったよ・・・・・・」
C.C.は最後の力を振り絞って天道の後頭部に手を伸ばした。そして目を瞑り、天道の唇と自分の唇を重ねた。天道は何も考えずにただ唇を重ねていた。
しばらくして天道の後頭部にあったC.C.の手が力を失って地面に落ちた。
「C.C.!?」
天道は唇を離してC.C.に呼びかける。C.C.はすでに息絶えていた。血にまみれているがきれいな死に顔で、うっすらと微笑を浮かべているようにも見えた。
だがそこに天道は救いを見い出す事ができなかった。
「俺は・・・また守れなかった・・・・・・俺はあの時から・・・何も変わっていなかった・・・・・・」
天道の視界がどんどん真っ黒に染まっていく。そして天道は花火が消えた夜空に向かって虚しい声で吼えた。

杜王地区・億泰宅玄関前
「・・・来ると思っていたわ」
シュラウドはそう言った。
「いつかあなたがもう一度私の力を求めてここに来る日が」
「何でもいい・・・早く俺に新しい力をくれ・・・」
そう言われてシュラウドは銀色のカブトムシのようなゼクターを差し出した。
「ハイパーゼクター。これであなたは誰にも負けない無敵の力を得る事ができる」
天道は空虚な目でそれを見つめ、そして手に取った。
「これがあれば・・・俺は変われる・・・・・・」
そう言った天道は口元だけが笑っていた。

次回予告
天道「草加雅人・・・お前を殺す」
草加「君も俺と同じ、大切なもののために邪魔なものは消す・・・そういう考えにいたったわけか」
シュラウド「ハイパークロックアップによって装着者は戦っている相手の過去や未来が見える」
翔太郎「ふざけんなよ・・・天道にそのハイパーゼクターとかいうのを渡したのはあんただろ!」」
天道「殺す・・・殺される前に、全て殺す・・・!!」
翔太郎「これじゃあおやっさんに・・・ハーフボイルドだって・・・・・・言われちまうな・・・・・・」
天道「次回、学園都市の日常・科学サイド『Rがよみがえる時/ハイパーカブト廃工場で乱暴』
これで決まりだ」

黒岩「知っているか! 今日の最強ヒールは『アギト・ダークフォーム』
利根川さんがアギトの力を開放した姿だ。アギトの力が何なのか。それを今明かすことはできない。だが利根川さんはこの力ゆえにミュージアム四天王の中で最強を誇っている。必殺技はアギトの力を足に集めて放つダークネスキックだ」
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いやー良かったよ
by luke HP 2012/05/17(Thu)19:43:13 Edit
天道の成長を見れた話だったと思うよ。次回のハイパーは期待やな。

けど、次回のタイトルなんだあれ(笑)
シリアスそうな次回予告なのにタイトルだけが浮いとるw
使用BGM
by Joker 2012/05/15(Tue)22:06:49 Edit
#1「ブレイド激戦(仮面ライダー剣より)」
#2「ジムノペディ 第1番」
#3「Innocent Days(コードギアス 反逆のルルーシュより)」
#4「Masquerade(コードギアス 反逆のルルーシュより)」
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