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teamBDR
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高校生
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このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第29話「Oが心/ぶっ生き返す!!」

作者 Joker


学園都市の内外を行き来するためのゲート
ついさっき手続きを済ませた少女が学園都市の外から中へ入ってきた。少女は深く深呼吸をする。
「ハア~~~・・・久しぶりね、この街も。皆元気にしてるかな」
少女は長いスカートの制服姿で、漆黒の木刀を脇に差し、長い黒髪を低い位置で1つにまとめていた。その姿はさながら侍のようであった。
「さて、じゃあ行きますか」
少女はどこかに向かって歩き始めた。

「ん・・・ここは・・・?」
数回のまばたき。そして初春は目覚めた。ベッドの上だ。初春は上半身を起こす。ベッドの周りには様々な花が挿された無数の花瓶が置いてあった。どの花も美しく咲き誇っている。
『やっと目覚めましたか』
初春は急に話しかけられてビクッとする。若い男の声だ。そして恐る恐る声がした方を見た。スピーカーだ。天井に備え付けられたスピーカーから声は出ていた。
『少し待っていてください。すぐに向かいますので』
初春は思い出す。確か自分はジャッジメントの会議でジャッジメント本部ビルにいた。そして会議中に何かが起こった。その何かによってビルは爆発したかのように崩壊し、自分はビルの10階の高さからまっ逆さまに落下していったのだ。
なら何故自分は生きているのだろうか。ビルの10階から落ちて無事なはずがない。
そしてここはどこだろう。最初は病院かと思ったがどうにも雰囲気が違う。霊安室かとも思ったがそんな場所にスピーカーなど取り付けないだろう。
わからない。初春には何もわからなかった。ただ漠然と自分の身に何か変化が起こった気がする・・・初春は不安だった。



「お目覚めですね。初春飾利さん」
扉が開けられ1人の男が部屋に入ってくる。どうやらさっきスピーカーで話していた男らしかった。
「あなたは誰ですか? ここはどこなんですか?」
男はうっすらと笑みを浮かべて答える。
「ここはスマートブレイン本社ビル地下室。私は社長の村上です」
スマートブレイン、聞き覚えがあった。確か学園都市に本社を置いているマイナーな家電メーカーだ。マイナーと言っても確かな技術を持っていて、堅実で安心して使える高性能な品を作っているので初春はたびたびこのメーカーの製品を使っていた。
「こんなところで話をするのもなんでしょう。上にレストランがあるのでそこで話をしましょう」
この人なら何か知ってそうだ。初春はそう思って社長と話をする事にした。

「何かわかったか、天道?」
翔太郎はハイパーカブトに変身している天道に話しかけた。
「ああ、もうちょっと待て」
ハイパーカブトはハイパーゼクターを通じて過去を見ている。
翔太郎たちは仗助、億泰と一緒にジャッジメント本部ビル跡に来ていた。初春が行方不明になってから1週間以上経っている。さらに同じ日に康一も行方不明になっている。今日は皆で2人の捜索を行う事にしたのだ。
「フィリップ、そっちはどうだ?」
フィリップは地球(ほし)の本棚で広瀬康一が行方不明になった日の行動について調べていた。
「こっちは検索完了だよ・・・・・・残念だけど広瀬康一はもうこの世にはいない・・・」
その言葉を聞いて仗助と億泰は苦虫を噛み潰したような顔になった。最悪の答えだ。
「俺たちの仲間が・・・また1人・・・!!」
「許せねえ・・・絶対に許せねえぜッ・・・!!」
翔太郎もフィリップも彼らと同じように悲しんだ。だが悲しんでいるばかりでは駄目だ。自分たちはその先に進まなければならない。仗助と億泰もそれをわかっていた。だから今は誰も涙を流さなかった。
「なるほどな・・・左、わかったぞ」
天道は変身を解除して言った。
「初春飾利は確かにここで死んだ。だがその遺体はスマートブレインの者たちによって運ばれたようだ」
「初春がスマートブレインに!? いったいどういうことだよ?」
「杏子が言っていたな。オルフェノクは滅びの運命にあると・・・」
天道は翔太郎に先日杏子が言っていた事を思い出させる。

「オルフェノクは滅びの運命にあるんだよ・・・」
「滅び・・・死ぬってことかよ?」
翔太郎の言葉に杏子はうなずいた。
「限界を超えて強化されたオルフェノクの肉体は常に崩壊のリスクがある・・・放っておけばどんなオルフェノクでもいつかは灰色の砂になって消滅しちまうってスマートブレインの社長が言ってたよ」
「そんな・・・じゃあお前もいつかは?」
「ああ、砂になって消えるんだ。でも社長はその崩壊を止める手段もあるって言ってた。その手段ってのがアギトの力を吸収することなんだ」
「奴らがアギトの力を狙うのにはそんな理由があったのか・・・そうだ。俺のアギトの力を受け取ってくれ! そうすればお前は助かるだろ」
杏子は首を横に振る。
「アギトの力を吸収された人は死んじまうんだ。今のあたしに翔太郎を殺してまで生き残ろうって気持ちはないよ・・・・・・とにかく気をつけろ。スマートブレインはアギトの力を手に入れるために仲間を集めてる。しかもアギトを捕獲するためにいくつもライダーシステムを作って持ってるんだ・・・死ぬなよ」

「スマートブレインが欲しがっているのはアギトの力を持つ者と強い仲間だ。初春はアギト、またはオルフェノクに目覚めたんだろう」
天道はそう分析した。もしそれが本当だとしたら大変だ。アギトになったのだとしたら初春の命が危ない、もしくはすでに亡くなっているかもしれない。オルフェノクになったのだとしても肉体の崩壊のリスクがある。つまりどのみち初春に希望は無いという事だ。
「とにかく早く初春に会わねえと・・・俺とフィリップはスマートブレインに行くぜ」
翔太郎がそう言った時、フィリップのケータイに電話が入った。フィリップは電話に出る。橘さんだった。
『フィリップ、君に手伝ってほしい事がある。照井のために新しいメモリを作ってやりたい。君ならメモリの製造方法を知っているだろう?』
「照井竜のために? どうしてあなたが?」
『頼む。あいつを化け物にしたくない』
「・・・わかりました。すぐ行きます」
フィリップは電話を切った。
「すまない翔太郎。僕は一緒には行けなくなった」
「そうか・・・困ったな」
天道はフィリップが検索した情報を頼りに仗助、億泰と共に康一の死の真相を確かめに行く予定だ。ダブルに変身できない翔太郎が1人でスマートブレインに乗り込むのは危険を通り越してあまりに無謀だ。
「待てよ・・・そうだ、あの人に頼もう」
翔太郎は自分に同行してくれる人物に思い当たって電話をかけてみた。


初春は常盤台地区のイギリス街を歩いていた。特に行く当ては無かった。ただ無心で歩いていた。
初春は村上に聞かされたのだ。オルフェノクの全てを。そして初春は迷っていた。スマートブレインに協力するべきか、しないべきか。初春はその返事を保留にしてスマートブレイン本社を出た。
自分はもはや人間ではない。その真実を知った時、初春の頭の中に浮かんだのは翔太郎や佐天、親しい者たちの姿だった。果たして彼らは今の自分を受け入れてくれるのだろうか? そんな事を考えながら歩いていたら今まで来たこともないイギリス街にたどりついていたのだ。
「初春さん?」
突然後ろから声をかけられた。初春は恐る恐る振り返る。
「やっぱり初春さん? いったい今までどこ行ってたのよ?」
声をかけてきたのは御坂だった。
「御坂さん・・・その格好」
御坂はいつもの常盤台中学の制服姿ではなく、夏用スーツに身を包みきっちりとネクタイを締めたまるでサラリーマンのような姿だった。
「ああこれ? まあ色々あったのよ」
御坂は立ち話もなんだから近くのオープンカフェで話をしようと言った。
2人は円形のテーブルに向かい合って座る。
初春が何を話せばいいのか戸惑っていると、先に御坂の方が話し始めた。
「黒子が死んで、私気付いたのよ。あいつは私の一番の友達だったって。あいつはレベル5とか第3位とか、そういう肩書きに関係なくあたしに接してくれた。だからすごく後悔してるのよ。私は今まで自分のためだけに戦ってきた。自分の事だけ考えて・・・それで肝心な時に黒子を助けてあげられなかった」
ウェイトレスが2人に紅茶を運んでくる。御坂はそれを一口すすって再び話し出した。
「私決めたのよ。これからは自分勝手な戦いはしない。他人のために戦う。だからZECTに入って、これを手に入れた」
御坂は左の袖をまくってザビーブレスを見せる。
「これからこの街の平和は私が守る。天道総司は信用ならないけど、翔太郎さんたちとは協力して戦う。初春さんも悪い奴に襲われそうになったらいつでも呼んで。すぐに助けに行くから」
初春は御坂の微笑を直視できなかった。それは吸血鬼が太陽の光を嫌うのと同じだった。
今の御坂に自分の真実を伝える事はできない。オルフェノクの姿を見た彼女はそれをドーパントやワームと変わらないただの化け物と認識するだろうから。
「じゃあ行きましょうか。翔太郎さんたちの所へ。きっと皆喜ぶわよ」
初春はたまらなくなって一目散にその場から逃げ出した。
「え、ちょッ・・・初春さん!?」
御坂が呼びかけても初春はわき目もふらずに走り去っていった。御坂は伝票の下に千円札を挟む。そして初春を追いかけて走り出した。


初春は走る。それも尋常ではない速度で。元々運動が得意ではない初春だったが、オルフェノクになったことでオリンピックに出るトップアスリートたちも真っ青の運動能力を獲得していた。だが初春は自分がすごい速度で走っていることにまったく気付いていなかった。ただ仲間たちに会いたくないという気持ちで、景色など見ていなかった。
その時、けたたましいクラクションの音が鳴り響いた。
初春は走りを止めて音のした方を向く。
大型トラックがこちらに向かって突っ込んでくる。初春は信号を無視して道路に進入していたのだ。
トラックは初春の目の前にまで接近している。もはや逃げようがない。
「い・・・いやあああああああああッ!!」
初春は苦悶の表情で叫んだ。と同時に初春の顔に紋様が浮かぶ。
次の瞬間、大型トラックは制止していた。トラックの運転手は衝撃で開いたエアバッグに顔をうずめて気絶している。
初春は変身していた。チェリーブラッサムオルフェノク、それがオルフェノクとしての初春の名だった。
チェリーブラッサムオルフェノクは片腕でトラックを止めていた。チェリーブラッサムオルフェノクはまるで嗚咽をあげるかのように肩で息をしていた。
「見つけたぞ・・・オルフェノク・・・!!」
チェリーブラッサムオルフェノクは振り返る。そこには苦痛の表情でフラフラとこちらに向かって歩いてくる1人の男がいた。
「あなたは・・・?」
「さあなあ・・・化け物相手に自己紹介なんかするかよ・・・」
男は立ち止まってベルトを装着した。
「それは! カイザドライバー!?」
初春は村上からスマートブレインが所有するライダーシステムについて聞いていた。カイザドライバーは草加雅人によって盗まれていたはずだ。ということはつまりこの男が草加雅人という事になる。
「あなたが・・・白井さんを!!」
初春の心に怒りの炎が灯る。
「白井・・・ああ、あのイクサの女か・・・お前、あの女の仲間か? ならあの時殺しといて正解だったな」
草加はクスクスと不気味に笑って、
「幻海が言っていたなあ・・・腐ったみかんは周りのみかんも腐らせる。お前のような腐った仲間を持って、きっと白井黒子も腐っていたんじゃないのかなあ?」
「白井さんは・・・白井さんは腐ってなんかいないッ!!」
チェリーブラッサムオルフェノクは怒りの叫びを上げて七支刀のような武器を出現させてそれで草加に斬りかかった。だが草加はそれをヒョイと避けてみせた。太刀筋が単純すぎる。おそらくこのオルフェノクはまだ覚醒してから日が浅いのだろうと草加は判断した。
「1つ教えといてやるよ。オルフェノクになった人間は心まで腐っていくんだ」
草加はカイザフォンに9・1・3のコードを打ち込んだ。
―Standing by(スタンディングバイ)―
カイザフォンから待機音が鳴り響く。
「変身!」
草加はカイザフォンをベルトに差し込んだ。
―Complete(コンプリート)―
金色のフォトンの光が走って草加はその姿を仮面ライダーカイザに変えた。カイザは右手であごの辺りに触れて首を1回ポキッと鳴らした。
「うわあああああああああああああッ!!」
雄叫びを上げてチェリーブラッサムオルフェノクはカイザに斬りかかる。カイザはその斬撃をカイザブレイガンで受け止めた。
「くッ!」
カイザの腕に痺れが走る。実はまだハイパーカブトとの戦闘での傷が癒えていないのだ。
「俺はまだ倒れるわけにはいかないんだよ・・・お前らのような化け物を1匹残らず滅ぼし尽くすまではなあッ!!」
カイザは右足でチェリーブラッサムオルフェノクを蹴り飛ばした。小さく悲鳴を上げてチェリーブラッサムオルフェノクは吹っ飛ぶ。
「う・・・うう・・・」
チェリーブラッサムオルフェノクはよろめきながら立ち上がった。その時だった。
「初春さーん!」
御坂だ。初春を追いかけていた御坂がここに来てしまったのだ。
「お前は・・・御坂美琴。シャドウの新隊長だったな」
「あんたは! 草加雅人!!」
御坂はカイザの存在に気付いた。そして相対しているチェリーブラッサムオルフェノクの存在にも気付く。
「こいつは・・・?」
「見ての通りの化け物だ」
カイザが冷たく言い放つと御坂はキッとチェリーブラッサムオルフェノクをにらんだ。
「そう・・・あんたもこの街を汚す化け物・・・なら、私はあんたを倒す!」
やはりこうなってしまった。わかっていたことだったが、初春の心は震えていた。
御坂はザビーゼクターを呼び寄せる。
「変身!」
そしてそれを左腕のザビーブレスに装着した。
―Henshin(ヘンシン) Cast Off(キャストオフ) Change Wasp(チェンジワスプ)―
御坂はザビー・ライダーフォームへと変身した。ザビーの体を電流がほとばしる。御坂の超能力、レベル5の電流だ。
「こいつは私が倒す!!」
ザビーはカイザに向かって言った。
「そうか・・・」
草加はマスクの下でほくそ笑んだ。御坂を利用してチェリーブラッサムオルフェノクを倒そうと考えたのだ。
チェリーブラッサムオルフェノクは無言で七支刀を構える。
「御坂さん・・・翔太郎さん・・・佐天さん・・・さようなら・・・・・・」
初春は心の中で静かに呟いた。


翔太郎はスマートブレイン本社ビルの前に来ていた。それなりに大きな企業のようだが人気はあまりない。翔太郎は辺りをきょろきょろと見回した。
「ここだ、翔太郎」
声の方に振り向くと柱の影から承太郎が現れた。
「承太郎さん、先に来てくれてたのか」
翔太郎が電話で同行を頼んだ相手とは承太郎だった。彼の持つ最強クラスのスタンド、スタープラチナがあれば安心だと判断したのだ。
「すまねえ承太郎さん。街の外の人間のあんたにいつまでも頼っていられねえとはわかってるんだけどよ・・・」
「気にするな。目の前の悪事を見過ごしていたらどんどん大きくなって、そうなっては街の中も外も関係なくなる。止められる内に止めないといけない」
承太郎はスマートブレイン本社ビルを見上げた。
「ここに初春がいるんだってな」
「ああ。ここの社長を呼び出して問い詰めてやる」
2人は正面からビルの中に入っていった。2人はずかずかと進んで受付に行く。
「ハ~~~イ! いらっしゃいませ。今日はどのようなご用件でしょうか?」
変にテンションの高い受付嬢が2人に尋ねた。翔太郎はストレートに答える。
「ここの社長に会わせてくれ」
「アポは取っておられますか?」
「・・・無い。だが、これがある!」
翔太郎はデュエルディスクを装着した。
「かしこまりました」
受付嬢もデュエルディスクを装着する。
「俺が勝ったら社長の所へ案内してもらうぜ!」
「じゃあ私が勝ったらぁ・・・このビルを隅から隅まで掃除してもらいまーす!」
お互いデッキをデュエルディスクに装填する。
「勝てよ・・・翔太郎」
承太郎は固唾を呑みながらこのデュエルを見守ることにした。
「デュエル!!」

天道、仗助、億泰の3人は常盤台地区のとある公園に来ていた。フィリップの検索結果によればこの公園に康一の死の真相が隠されているらしい。
「おい仗助、無理はするなよ」
億泰は仗助のギプスに巻かれた両腕を見て言った。仗助の腕は先日のレッド・ホット・チリ・ペッパーとの戦闘で両方とも折れている。スタンドは本体の状態に影響される。拳で触れなければ能力を発動できないクレイジー・ダイヤモンドは実質無効化された状態なのだ。
「大丈夫だぜ億泰。俺はいざとなったら脚だけでも戦うからよォ・・・」
仗助の目は真っ直ぐ前を見つめている。康一を殺した奴は絶対に許せない。必ず自分の手で倒すと仗助は心に誓っていた。
「それよりも大丈夫っすか? ここの公園のトイレは有名なハッテン場っすよ」
仗助がそう言うと天道は溜息をついた。
「ハッテン場か・・・いったいこの街にはどれだけハッテン場があるんだ?」
「さあ・・・? 噂ではかなりあるらしいっすよ」
天道はさらに深い溜息をつく。だんだんやる気が無くなってきた。だが康一の死の真相を知るために止めるわけにはいかない。
天道はカブトゼクターとハイパーゼクターを呼び寄せる。
「変身」
―Henshin(ヘンシン) Cast Off(キャストオフ) Change Beetle(チェンジビートル)―
カブト・ライダーフォームへの変身が完了する。
「ハイパーキャストオフ」
さらにハイパーゼクターをベルトの左側面に装着して角を1回倒す。
―Hyper Cast Off(ハイパーキャストオフ) Change Hyper Beetle(チェンジハイパービートル)―
角が巨大化し、アーマーが強化され、カブト・ハイパーフォームへの変身が完了する。
ハイパーカブトはハイパークロックアップによってこの公園でかつて起こったあらゆる出来事を見る。
「こっちだ」
そう言ってハイパーカブトはトイレに向かって歩き出した。
「よりにもよってトイレの方かよ・・・」
「ぼやくな億泰。行くぞ」
仗助たちもハイパーカブトの後をついていく。3人は男子トイレの中に入った。

「う~~~トイレトイレ」
「不運だったな。君も私も。君にはここで死んでもらう」
「お前を倒す! そして質問に答えてもらうッ!」
「私の心にもう油断はない。君はもう終わりだ」
「う・・・うわアッーーーーーーーーーー!!」

「そうだったのか・・・全てがわかったぞ」
そう言ってカブトはハイパーフォームからライダーフォームへと戻った。ハイパークロックアップによって康一の死の真相を知ると同時に、このハッテン場でかつて行われていたおぞましい行為の数々を全て見てしまった。精神の消耗が激しすぎる。しばらくはハイパーフォームにはなれない。
「どういうことっすか・・・天道さん、全てって・・・?」
「広瀬康一はここである男に殺された。その男の名は康一が命がけで明かしてくれた・・・」

「う・・・うわアッーーーーーーーーーー!!」
康一の体が吉影のスタンド、キラークイーンの能力によって爆発する。康一のへそから下が吹っ飛んだ。康一は地面に虫のように這いつくばる。
「ふぅん・・・耐えたか。しぶといな」
とは言っても康一はもはや虫の息だ。もはや助かる見込みはないだろう。吉影はほくそ笑んだ。
「う・・・うおおおおおおおおッ!!」
康一は最後の力を振り絞ってエコーズで吉影にパンチを繰り出した。慢心している吉影の胸にそのパンチはいともたやすく当たった。だが当たっただけでたいしたダメージは無かった。
「まったく。どうせ死ぬとわかっていながら何故こんな無駄な事をするのか、理解に苦しむな」
吉影は再びキラークイーンに右手人差し指のスイッチを押させようとする。
「お前の名前・・・吉良吉影か・・・・・・」
ギョッとして吉影は全ての動作を止めた。吉影は視線だけを康一の頭に向ける。康一はエコーズが右手に握っている1枚の名刺を見ていた。
「貴様ッ・・・胸に入れておいた私の名刺を盗んだのか!? あのパンチでッ!!」
「そうだよ・・・吉良吉影・・・・・・ミュージアムの人間だったのか・・・お前はいつか裁かれる」
「何を言っている・・・私は!」
「絶対に裁かれる! いつか僕の仲間たちがお前の存在に気付いて、お前を裁きに来る! 覚悟していろッ!!」
康一はそう叫んだ直後、力が抜けたように頭を地面に打ちつけた。死んでいる。満足気な死に顔をしている。吉影はわなわなと震えだした。
「こいつッ・・・絶対に裁かれるだと!? ・・・・・・そんな事が・・・あってたまるかッ!!」
吉影はキラークイーンにスイッチを押させる。康一の体は爆発して塵となった。康一が着ていた服も、奪われた名刺も、全てが消え失せた。
「だが何だ・・・このモヤモヤとした不快感はッ!!」
吉影は拳で壁をドンと叩いた。

「吉良吉影・・・それが康一を殺した男の名前だ。そしてジャッジメント本部ビルを破壊したのもおそらくこいつだ。しかもミュージアムの一員であるようだ」
カブトがそう言うと仗助も億泰も表情を渋らせた。カブトは2人に康一が殺された状況をより詳しく説明しようとした。その時だった。
「コッチヲ見ロ・・・」
仗助でも億泰でもない、不気味な声が背後からした。カブトはゆっくりと振り返る。
「コッチヲ見ロ・・・見タカ?」
そいつはカブトの背中にくっついていた。髑髏(どくろ)が付いた小型のキャタピラ車のようなそいつはカブトの背中から左肩へどんどん上がってくる。
「こいつは!?」
「死ネ」
カブトの左肩ですさまじい爆発が起こる。仗助と億泰は爆風によって後ろの壁まで吹き飛ばされた。
「て・・・天道さん!!」
仗助は叫ぶ。が、返事はない。代わりにカブトの特徴的な角が折れてこちらに飛んできた。
仗助と億泰はカブトに駆け寄る。カブトは地面に仰向けで倒れていた。マスクが割れて天道は頭から血を流して気絶している。
「とりあえず無事みたいだな」
「ああ・・・だがいったい何が・・・」
「コッチヲ見ロ」
億泰はビクッとした。誰かが自分に話しかけた。さらに自分の背中をキャタピラのような何かが走っている感覚がある。
「仗助・・・俺の背中を見てくれ・・・」
「え!?」
「いいかろ見ろォーーーッ!! 俺の背中をおおおッ!!」
仗助は億泰の背中を見た。だが億泰の背中には何もない。
「コッチヲ見ロ」
億泰は自分の左肩を見た。不気味な髑髏が億泰を見つめていた。
「こいつは・・・スタンド!!」
「見タカ? 死ネ」


風都地区・黒岩相談所
「ン?」
「どうした? 吉影君」
急に表情を強張らせた吉影に黒岩は問いかけた。
「いや・・・1週間ほど前に私の秘密を知りかけた広瀬康一という少年を殺したんだが、万が一のために彼を殺した現場に仕掛けておいたキラークイーン第2の爆弾が作動したようだ」
「第2の爆弾・・・シアー・ハート・アタックか。もしその少年の仲間が調べに来たのだとしてもあの能力に襲われればひとたまりもないだろう」
黒岩はコーヒーを一気に飲み干す。そして吉影に念を押すように言った。
「だが吉影君、もし第2の爆弾を作動させた相手が天道総司なら殺さないで欲しい。奴は俺のライバルだ。奴だけは俺の手で倒す」
「どうかな・・・黒岩君、君も知っているはずだ。シアー・ハート・アタックは自動操縦型のスタンド能力。俺からは向こうがどうなっているのかはわからない。止めようと思っても現地まで行かなければ解除もできない。誰が相手かはわからないが、もしこれで天道総司を殺してしまったら謝るよ」
黒岩は椅子の背もたれに深く寄りかかった。どうしようもなくもやもやとした気持ちが募ってきた。天道は前に自分の淹れたコーヒーを馬鹿にした。そもそもあの天道総司と言う男はふざけている。人を小馬鹿にしたような傍若無人で不遜な態度。思い出しただけで腹が立ってくる。天道総司、この男については何もかもが気に入らない。だからこそ、この男だけは自分の手で倒したい。倒してこの男に対する自分の優位性を証明したい。
「吉影君、第2の爆弾を仕掛けた場所を教えてくれ。今からそこに向かう」
吉影は少し驚いたような顔をした。
「どうしてだ? そんな事をする必要がどこにある?」
「俺は確かめなければならない。もし第2の爆弾を受けている相手が天道総司なら、俺がその場で奴を倒す!」
黒岩は握った拳を机に叩きつけた。
「なるほど。そういうことなら私も行こう。どのみち第2の爆弾を解除するために後で向かわなければならない。それに第2の爆弾を受けているのがどんな奴か確かめておくのもいいかもしれない・・・もっとも我々が向かった頃にはとっくに死んでいるだろうが・・・」
吉影は不気味な笑みを浮かべた。
こうして2人は常盤台地区のとあるハッテン場で有名な公園に向かうことにした。

とある路地裏、初春はケータイに向かって喋っていた。
「社長・・・仮面ライダーカイザ・草加雅人と仮面ライダーザビー・御坂美琴を倒しました・・・・・・はい、2人とも川に落ちました。おそらく再起不能だと思われます。それからカイザドライバーですが、草加雅人からの奪還に成功しました・・・・・・はい、私もスマートブレインに協力させていただきます。では後ほど」
初春は電話を切った。ふと初春は自分の頬を何かが流れているのに気付いて触れてみる。水の感触だ。
「おかしいな・・・もう人間じゃないのに・・・悲しくなんかないのに・・・涙なんて・・・・・・」
初春はまったくの無表情だった。やがて涙は渇いて初春は歩き出した。スマートブレイン本社ビルに向かって。


翔太郎たちがスマートブレイン本社ビルにいる頃、学園都市のどこかにあるZECT本部
「どういうことだ・・・これは」
ZECTの幹部、三島はわけがわからなかった。三島は管理室で監視モニターを注視する。そこには何者かによって倒されたZECT精鋭の警備員たちが映っていた。他のモニターを見ても同じ様子だ。そして管理室にもっとも近いカメラが侵入者の姿を捉えていた。侵入者は木刀を持った女子中学生だった。
「ありえない・・・ここは街の最高機密の1つ、ZECT本部だ。一般人、ましてやワームが紛れ込んでいい場所ではない・・・」
そう呟いた次の瞬間、管理室の扉が轟音と共に弾き飛ばされた。三島は冷静に振り返って銃を構えた。扉は鋭い刃で切られたかのように真っ二つで地面に落ちている。そして先程カメラが捉えていたのと同じ木刀を持った女子中学生が管理室に入ってきた。
「動くな。貴様何者だ?」
三島は冷徹に言い放った。たとえ相手が女子中学生の姿をしていようと関係はない。敵ならば即刻ここで射殺するだけだ。だが三島は同時に違和感も感じていた。果たしてこの女子中学生は敵なのか? カメラに映っている警備員たちは1人として死んでいない。全員みねうちを受けて気絶しているだけだ。
「さあ、早く答えろ」
管理室はモニターから発せられる明かりのみで、その他の照明は一切無い。三島が持った銃は鈍く銀色に光っていた。
その時、三島は見た。逆光で詳しくはわからなかったが、女子中学生の表情は確かに笑っている。
その事に気付いた直後、女子中学生は話し始めた。
「園崎文音という名を知っていますか?」
「なんだと? マスクドライダーシステムの母、園崎文音の事を言っているのか?」
「そうです。私はその人の命でここに来ました」
園崎文音の命令。三島はただならぬものを感じた。カブトやザビーなどのマスクドライダーシステム、機密情報を守り通すための専用のネットワーク、本部の防衛システム、これらは全て園崎文音からの技術提供で成り立っている。つまり園崎文音とはZECTの影の支配者なのだ。彼女が手配したというのならただの女子中学生がZECT本部に侵入できたのにも納得がいく。
三島は銃を下ろした。女子中学生は安心したように再び話し始める。
「本当はカブトみたいに盗んでこいって言われたんですけど・・・さすがにそれは気が引けるんで、1つ提案をする事にしたんです」
「提案?」
「はい、私をZECTに入隊させてください。そして私に新型のサソードゼクターをください」
三島は溜息をついた。またゼクター泥棒だ。下手に出ているようにも見えるが、警備員たちを片っ端から倒していったような者が手に負える人材だとは思えない。
それでも今までのゼクター泥棒たちよりはマシだと思えたのと、御坂だけでは矢車の二の舞になる気がしたので、三島は1つの質問をする事にした。
「ちなみに君は能力者か? ゼクターの資格者は毎回レベル4以上の能力者の中から最適だと思う者を選んでいるのだが・・・」
「いいえ。私は全くの無能力者です。ですがここの警備員さんたち・・・精鋭だったんでしょう? 私の実力に関しては能力者の人たちにも引けを取らないと思うんですけど」
女子中学生は明るくはきはきとそう言った。こんなテロリストは見たことも聞いた事もない。勿論対処法などわかるわけがない。三島は頭を抱えた。
その時、三島は感じた。自分の背筋を凍てつくような悪寒が走ったのを。吐き気すら催す殺意。鳥肌が立ち、三島は今自分が狩られる立場にある事を認識した。このような事は生まれて始めてだった。三島は自分がプロの指揮官である事を自負している。だからどのような状況でもうろたえず、全く動じない心を育ててきたつもりだった。
だがそれは今目の前にいるたった1人の女子中学生によって撃ち破られてしまった。女子中学生は脂汗を流している三島を見つめて極めてにこやかに笑っている。
「・・・負けだ、私の・・・・・・君の要求を呑もう」
三島がそう言うとさっきまでの寒気が嘘のように去っていった。

次回予告
翔太郎「いったい初春に何をしたんだ?」
村上「知りたいのなら今から説明します。我々オルフェノクの歴史を・・・」
承太郎「スタープラチナ・ザ・ワールドッ!!」
吉影「フン・・・私に近づこうとする者は全て塵になって消える」
天道「お前は確か・・・黒岩省吾?」
黒岩「知っているか?」
佐天「皆、ただいま。
次回、学園都市の日常・科学サイド『Oが心/乱桜侍(みだれさくら さそりさむらい)』
これで決まりだ!!」


翔太郎「おい天道! お前カブトの角が吹っ飛んじまったらただのメスカブトじゃねえか!」
天道「まさかあんなふうに不意をつかれるとはな・・・」
翔太郎「これもお前がホモセックスのビジョンに耐え切れずにハイパーフォームを解除したせいだな。よし、これから毎日ヤマジュン読もうぜ?」
天道「俺にゲイマンガを読ませるつもりか!?」
翔太郎「男は度胸。何でもためしてみるのさ。きっといい気持ちだぜ」
天道「そんなに言うなら・・・読むか」
次回もお楽しみに!
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くそみそ学園都市
by luke 2012/07/20(Fri)16:55:52 Edit
学園都市にはなぜこんなにもハッテン場が多いのか。これは学園都市都市伝説の一つである。

それにしても謎の女の子威圧感ハンパないな(笑)。ダァレナンダ、アンタイッタイ?
使用BGM
by Joker 2012/07/18(Wed)06:39:18 Edit
#1「今までのダブルは」 仮面ライダーWより
#2「闇の家族」 仮面ライダーWより
#3「ボルガ博士死のバラード」 チャージマン研!より
#4「カイザ、圧倒的な力」 仮面ライダー555
#5「鬼柳京介」 遊戯王5D's
#6「裏」 遊戯王5D's
#7「SOS」 遊戯王5D's
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