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teamBDR
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男性
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高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
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[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
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第26話「オンリー・マイ・レールガン」
 
作者 Joker 

「順調のようね。音石明」
暗く重苦しい雰囲気の部屋で冴子は音石と2人で話をしていた。
ここはミュージアム四幹部の間。
今は音石と冴子にだけスポットライトの光が真上から当てられていた。
「あたりまえだ。俺があんな奴らごときにてこずらされるわけがないだろう」
音石は余裕の様子でいすに座りながら、右手でギターをなでている。
「それよりも、約束はちゃんと守ってくれるんだろうな?」
ギターをなでていたときとは対照的な、鋭い音石の眼差しが冴子を捉える。
「あたりまえじゃない。約束はちゃんと守るわよ。
ただし、あなたがちゃんとあいつらを始末できたらの話だけどね」
冴子は音石の眼差しにもまったくひるまずにそう答えた。
「そうか・・・ならいい」
音石は自分の右手を開いて見つめた。
 
『あんたたちが悪いのよ。あんたたちが邪魔だから!!』
 
右手を見るたびに思い出されるあの日の記憶。
 
『音石君。君はすばらしい。きっと立派なミュージシャンになれますよ』
 
取り戻したいのは過去の栄光。
 
「大丈夫よ。私は強い男が好きだから。
だからあなたも見せてちょうだい。自分が強いってことを」
冴子のその言葉を聞き、音石は右手を精一杯握り締めた。
「行ってくる」
音石は部屋から去った。
スポットライトが照らすものは音石が座っていた椅子と冴子のみとなった。
「彼の持つエレクトリックメモリ・・・興味深いですねぇ」
「井坂先生・・・いらしたんですか」
3つ目のスポットライトが点き、冴子の背後にいたミュージアム四幹部の1人、井坂深紅郎を照らし出した。
「あれはもともとこの街の超能力者第3位、御坂美琴が使っていた電撃。
今私が使っているレベル4クラスの電撃とは比べ物にならない強さだ。
あれがあれば、私はより最強に近づける」
「あら、あんなものがなくとも井坂先生は十分に強いですわ」
「冴子君。私は完璧になりたいんですよ。
完璧な強さを得て、この世のすべてを手に入れたい」
井坂は終始無表情でそう言った。
「フフフ・・・」
それを聞いて、冴子は含み笑いをしてから、
「最高よ、井坂先生。あなたは今まで私が出会ってきた中で最も強く、最も野心があって、そして最も素敵な男性よ。でも、今回の作戦の邪魔だけはしないで」
と言った。
「さて・・・それはどうでしょうかね」
井坂は依然、無表情だ。
「ふふ、つれない人」
冴子は井坂の顔に自分の顔を近づける。
2人のシルエットが重なろうとした瞬間、スポットライトの光が消えた。
 
グォオオオオオオオオンッ
 
4台のバイクが杜王港へ向かって疾走している。
天道総司を乗せたカブトエクステンダー、
草加雅人を乗せたサイドバッシャー、
橘朔也を乗せたレッドランバス、
照井竜を乗せたディアブロッサである。
やがて4台は杜王港に到着し、エンジンの音を潜めた。
草加は左腕につけた腕時計に目をやる。
時刻は現在午前11時03分。
音石との約束までにはまだ1時間ほども余裕がある。
今日、港は休みのようで人はほとんどいなかった。
「これならどれだけ戦っても安心だな」
天道がぼそりとつぶやいた。すると草加は、
「フン、甘いな。君はまだそんなことを言っているのか。
愛する者のためなら、周りがどうなろうが知ったことではない。
奴(音石)を倒さなければひよりが危ない・・・君は本当にわかっているのかな?」
やたらと顔を近づけて目をにらみつけながら、草加は天道にそう言った。
「雅人・・・お前」
2人の間に険悪なムードが漂う。その時、
「あ! 天道さん」
港の奥の方から仗助、億泰、黒子の3人がこちらへ向かって走りよってきた。
「チッ!」
草加が舌打ちをしてから天道から離れる。
「お前たちも呼ばれていたのか」
「ええ。それからあの人も・・・」
黒子が首を振って左にあるコンテナの上を見るように促す。するとそこには、
「こんにちは」
「名護か」
「まったく、困りますね。
今日は趣味の畑いじりをしようと思っていたのに」
名護は本当に残念そうに、ため息混じりでそう言った。
「意外だな。お前が農作とは」
「食べ物は人が生きていくうえで必ず必要なもの。
それを作ることこそ私は人類にとって最も有意義な仕事だと考えている。
というわけで私はジャッジメントの寮の畑を借りて農作をやっているんですよ」
「なるほど。お前も少しはまともな考えができるらしい」
「私も君のような人が私の高尚な話を理解できるとは意外ですね」
名護は嫌味ったらしく天道に言い放った。
「フン」
「ふん!」
天道と名護はお互いそっぽを向いた。
「ところで東方、広瀬はどうした」
照井が仗助に疑問をぶつける。
たしかにいつも仗助たちと一緒にいるはずの康一が今日はいない。
「ああ、康一なら用事があるとかいって遅れてくるそうっス」
 
「ククク、今頃戦々恐々としてる頃だろうなあ。奴ら」
音石はくすくすと笑いながら杜王地区の繁華街を歩いていた。
「予定までまだ1時間あるな。そこらで暇でも潰してるか」
音石は近くにあった楽器店に入った。
「いらっしゃ・・・あ! 音石君じゃあないか。久しぶり」
レジの前に座る初老の男が暖かい笑みを浮かべる。どうやら2人は知り合いらしい。
「相変わらず儲かってなさそうだな。マスター」
「いや、そんなことはないよ。
最近、アニメだかなんだかの影響でギターやドラムがよく売れるんだよ」
「フン! どうせ上手く使えもしねーのによォ。
観賞用で終わるんじゃあせっかくの楽器がかわいそうだぜ。
それにマスター。アンタも楽器がそんな風に扱われるのが嫌だったはずだぜ。
昔のあんたならただのかっこつけは追い返してたはずだ。どうして?」
「・・・もう理想だけじゃあやっていけないんだよ、音石君。
そりゃあ私にだって夢はあったさ。うちで楽器を買っていった人たちが一流のミュージシャンになって成功してくれることを願いながら楽器を売っていた輝いていた日々があったさ。
でもね、やっぱりそれだけじゃあ生きていけないんだよ」
温かかったマスターの顔は、今や氷の中に閉ざされている。音石はそう感じた。
「ちわ~っス」
どでかいヘッドホンをつけ、アニメ雑誌を持った男が店に入ってきた。
「さ~て、今日も何か買ってくかー」
男が1歩踏み出そうとした瞬間、
「帰りなッ! ここはてめーみたいなキモオタの来る店じゃあないぜッ!!」
音石は肩にかけているギターを男の眼前に突き出した。
ギターの先は研ぎ澄まされた槍のようにとがっている。
「俺のギター・・・音撃弦・烈雷にブッ刺されたくなかったら、とっとと出ていきな!!」
「ヒ・・・ヒィィィイイイ!!」
男は一目散に逃げていった。
「お、音石君・・・」
「マスター。あんた昔俺にこう言ったよな。
“音石君。君はすばらしい。きっと立派なミュージシャンになれますよ”ってよお。
俺はあんたの言葉を信じて、たとえこのぶっ壊れた右腕でもやっていこうと・・・」
音石は自分の右腕を左手でつかみ、苦渋の表情でにらみつけた。そして、
「手段を選べなんてことは言わねえ。どんな汚いことをやっても俺は黙って見ている。
だが、夢をそう簡単に捨てるんじゃあねーよ」
音石はマスターに背を向けて店を去ろうとする。
「音石君・・・どこへ?」
マスターは今にも待ってくれといわん表情をしている。だが、音石はその表情を見ようとはしなかった。
「夢だ。夢のために・・・俺にはやるべきことがある」
音石は店を出た。約束の時がまもなく訪れようとしていた。
 
「あ、承太郎さん」
コンテナの後ろから承太郎が出てきたのを億泰が発見した。
「久しぶりだな。億泰」
「承太郎さん。音石はかなりやばい奴だ。それに・・・」
「お前の兄貴を殺している。だが熱くなるんじゃあないぜ」
「その通りだ」
会話を聞いていた照井が2人に近寄ってきた。
「たとえ相手が憎い仇でも、絶対に自分を見失ってはダメだ」
「・・・はい!」
 
グオオオオオンッ
 
「この音は・・・」
仗助は振り向く。港に向かって1台のバイクが走ってきていた。
緑と黒にカラーリングされたバイク。これは間違いなく、
「翔太郎さん!」
翔太郎を乗せたハードボイルダーは仗助たちの目の前で止まった。
さらによく見れば後ろにもう1人乗っている。
「康一もか!」
「遅くなってごめん。調べ物をしていたんだ」
「調べ物?」
その時、
 
ビッシャアアアアアンッ
 
突然、港の空が暗雲に覆われ、一筋の雷が落ちた。そして雷が落ちた跡には、
「音石!!」
「時間だぜ。あの世行きのな」
音石がただ1人、圧倒的なオーラを纏ってたたずんでいた。
「こいつが音石か・・・」
天道はつぶやいた。
状況は11対1、こちらが圧倒的に有利だ。
だが音石には御坂から奪い取ったレベル5の電撃能力がある。
さらにそれを最も有効活用できるであろうスタンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーの存在。
この2つのみでこちらが持つ11人という数のアドバンテージは簡単に覆されるかもしれない。
「なら、全力で潰すしかないな」
 
ギュイイイイインッ
 
カブトゼクターが天道に向かって飛来する。
天道はそれをつかむと、
「変身!」 ―Henshin(ヘンシン)―
と叫び、仮面ライダーカブト・マスクドフォームへと変身した。
「キャストオフ」 ―cast off(キャストオフ)―
 
バシュウウウウウンッ ―Change Beetle(チェンジビートル)―
 
カブトはカブトゼクターの角(ゼクターホーン)を倒し、ライダーフォームに変わった。
「何をしても無駄だ。クロックアップ程度のスピードなら、俺のレッド・ホット・チリ・ペッパーは追いつける」
音石はあざ笑うかのように言う。
「俺を見くびってもらっては困る。おばあちゃんが言っていた。
“総ての者の頂点に君臨するもの。それが天の道だ”」
カブトはそう言って天に向かって左腕を高く伸ばした。
 
バジィィィンッ
 
カブトの左手の中に白いカブトムシ型のゼクターが現れる。
それをカブトはベルトの左側に装着し、ゼクターの角を倒した。
「ハイパーキャストオフ」
 
―Hyper cast off(ハイパーキャストオフ)―
 
カブトの身体を分厚いアーマーが包んでいき、カブトはハイパーフォームへと進化した。
―Change Hyper Beetle(チェンジハイパービートル)―
「これは・・・!!」
翔太郎はハイパーカブトを見て思い出す。このカブトは木山と戦ったときに現れたのと同じ姿だ。
「噂には聞いているぞ。たしかカブト・ハイパーフォームには時を越える能力があると・・・」
音石はつばを飲む。
「ああ。だがお前にその能力は必要ない」
 
バシュウウウンッ
 
ハイパーカブトの右斜め上から時空を越えて1本の刀のようなものが降ってきた。
 
ジャキィィィン
 
カブトはそれを右手でキャッチした。
「パーフェクトゼクター・・・これでお前を倒す」
カブトが音石に向かって1歩踏み出そうとした。その時、
「ちょっと待って! 天道さん!!」
康一がハイパーカブトの前に立ちふさがった。
「なんだ康一。早くどけ!」
「聞いて欲しい事があるんだ! みんなに」
康一は必死だ。その様子を見てハイパーカブトは1歩下がった。
「音石は・・・被害者なんだ」
「何!? ・・・どういうことだよそりゃあ!!」
康一が言ったことに対して億泰が叫んだ。
「音石は御坂さんに復讐すると言っていた・・・その理由を翔太郎さんのところで調べていたんだ」
康一は音石の方に向き直る。
「そしてわかったよ。その理由が」
康一は語り出した。
 
―4年前
音石(当時16歳)は一流のミュージシャンになるという夢を持ったごく普通の少年だった。
彼は高校卒業後に渡米するための資金を毎日こつこつとバイトをして貯めていた。
そんなある日の給料日のこと・・・
「おい、にーちゃん! なんやたんまり金持っとるやんけ。少し分けてくれーや」
通りがかった道で偶然、不良数名に絡まれた。
当然音石は相手の要求を断り、喧嘩沙汰になった。
音石は喧嘩には自信があり、普通にいけば全員問題なくぶちのめし、無事家に帰れるはずだった。
 
あの少女が現れなければ・・・
 
「ちょっとあんたたち、そこで何してんのよ」
御坂美琴(当時10歳)である。
「あんたたち・・・邪魔だからどきなさいよ」
御坂はきつめにそう言い放った。
「あアン? しょんべんくせえクソガキが、なに偉そうにぶっこいどんじゃあ!!
こぐのは屁だけにせんかい!!」
不良の1人がそう言った瞬間、
「あんたたちが悪いのよ。あんたたちが邪魔だから!!」
 
バヂィィィイイイイインッ
 
一瞬だった。一瞬でその場にいた全員が御坂の放った電撃に吹き飛ばされた。
調べによると御坂はこのときレベル5になったばかりで、自分の力を誇示したくてたまらなかったらしく、ぶちのめしても問題なさそうな不良を見つけてはレベル5の電撃を浴びせていたらしい。
御坂が電撃で吹き飛んだ不良たちを見て満足して帰った後、音石はただ1人右腕を押さえてもがき苦しんでいた。
この時、音石は右腕に御坂の電撃を直接くらい、二度とギターの弾けない右腕になってしまったのだ。
音石の心は絶望に閉ざされた。
高校を中退し、毎日を喧嘩と酒に費やした。
薬に身を任せようとしたこともあった。だが、夢を捨て切れずできなかった。
何とか右腕を元に戻す方法はないのか? そう考えていた音石は1年前、
虹村形兆の放ったスタンドの矢によってレッド・ホット・チリ・ペッパーに目覚めた。
そしてその隠密性の高い能力をミュージアム四幹部の1人である園咲冴子に買われたのだ。
さらに冴子は雇うときの条件として、“自分の出す依頼を順調にクリアすれば、右腕を治す”と言った。
そう言われれば音石は断ることができなかった。
しかも冴子によれば御坂はミュージアムに反抗する敵だということだった。
御坂に復讐し、同時に右腕を治すこともできる。これほどの好条件はなかった。
そして音石は冴子の下で傭兵として働くようになり、今に至るのだ・・・
 
「音石は何も悪くないんだ。悪いのは・・・」
「嘘ですわッ!!」
黒子が叫ぶ。
「お姉さまが・・・そんなこと・・・」
「白井、この話は本当だ」
翔太郎がシリアスな口調で言う。
それを聞いて億泰が歯を食いしばりながら、
「・・・だがよぉ、翔太郎さん? こいつは命令されたとはいえ俺の兄貴を殺してるんだぜ!?」
「ああ・・・だが、音石はそういう風に動かされていただけだ。
音石をお前の兄貴を殺すように動かしたのは・・・御坂と、ミュージアムだ」
翔太郎のその言葉で場の空気が重く沈んだ。
「音石。俺の知り合いにお前の腕を治せるかも・・・いや、治せる奴がいる。
そいつに頼めば・・・」
翔太郎は知り合いの金髪のギャングを思い出しながら音石を説得しようとした。だが、
「てめぇ・・・俺にミュージアムを裏切れっていうのか?
たしかに今の俺は無敵だ。だが・・・そんな俺でもミュージアムは倒せない。
ミュージアムはすべてにおいて無敵を超えている。もし裏切れば・・・」
 
死、あるのみ。
 
「やはり、戦うしかないようだな」
ハイパーカブトがそうつぶやいて音石へと歩を進める。
「たとえお前にどんな過去があろうと、ひよりを殺すと言ったお前を俺は絶対に許さない!!」
―913(ピロリピロリピロリン) Standing by(スタンディンバイ)―
「変身!!」
―Complete(コンプリート)―
草加は仮面ライダーカイザに変身した。
「変身!」 「変・・・身!」
―Turn up(ターンアップ)― ブルォンブルォンギィィィンッ
橘と照井もそれぞれ仮面ライダーギャレン、仮面ライダーアクセルに変身した。
「いくらいいわけをしようと、あなたの魂はすでに汚れきっている! その命・・・神に返しなさい!!」
―レ・ディ・ー ―
「変身!」
―フィ・ス・ト・オ・ン―
名護も仮面ライダーイクサに変身した。
仗助、億泰、康一もスタンドを出し、黒子も鉄矢を持って構える。
「・・・行くぜ、相棒」
翔太郎が覇気のない声でそう言って、Wドライバーを装着した。
『残念だったね、翔太郎』
フィリップは慰めるようにそう言った。
「・・・ああ」
―サイクロン!― ―ジョーカァーッ!―
『変身』W「変身」
―サイクロン!― ―ジョーカァーッ!―
翔太郎の身を緑と黒のアーマーが覆い、翔太郎とフィリップは仮面ライダーダブル・サイクロンジョーカーに変身した。
「さあ」
音石はレッド・ホット・チリ・ペッパーを出現させると、
―エレクトリック!―
レッド・ホット・チリ・ペッパーの背面にある生体コネクタにメモリを挿した。
レッド・ホット・チリ・ペッパーの身体を黄金の電気が覆う。
「始まりだ」
今、戦いの火蓋が切って落とされた。
 
 
ギュウウウウウウウウン ガシィィィィィンッ
 
ハイパーカブトが持つパーフェクトゼクターにザビー、ドレイク、サソードの3つのゼクターが装着された。
―KABUTO THEBEE DRAKE SASWORD Power All Zector Combine
 (カブト ザビー ドレイク サソード パワー オールゼクターコンバイン)―
「一瞬で決めてやる」
―Maximum Hyper Typhoon(マキシマムハイパータイフーン)―
ハイパーカブトがレッド・ホット・チリ・ペッパーに向かって駆けてゆく。
海を背に立つレッド・ホット・チリ・ペッパーは微動だにしない。おそらく受け止めるつもりだ。
「ハァッ!!」
ハイパーカブトは光子の刃となったパーフェクトゼクターでレッド・ホット・チリ・ペッパーを横一文字に切り払う。だが、
「何!?」
 
いない。
 
さっきまで目の前にいたはずのレッド・ホット・チリ・ペッパーと音石が、いない。
「いったい・・・どこに消えたんだ?」
「天道さん! 奴は消えたんじゃあないッ 後ろだッ!!」
仗助は必死になって叫んだ。だが、結果は空しかった。
「らァッ!!」
「うわあああ!!」
ハイパーカブトは背後からレッド・ホット・チリ・ペッパーに殴り飛ばされ、コンテナに激突した。
激突の衝撃でコンテナは窪み、その中で変身を強制解除させられた天道がうずくまっている。
「いったい・・・何が・・・!?」
「天道さん!!」
「ハハハ! 無様だな。天道総司」
天道がうずくまっているコンテナの上で音石がけらけらと笑っている。
「気づかなかったのか? お前がマキシマムハイパータイフーンを放った瞬間、レッド・ホット・チリ・ペッパーがお前の身体を180度、つまり反対に向けたことに! 高速すぎてわからなかったか!?」
「く・・・くそ!」
天道は悔しそうに眉間を寄せる。この様子ではこれ以上の戦闘は不可能だろう。
「フン、口ほどにもないなぁ、総司。俺が勝つところを指でもくわえて見てろ」
カイザはコンテナの上の音石に向かって跳躍した。
「スタンドを倒す手っ取り早い方法は、スタンドの本体を倒すことだ」
言いながらカイザはカイザブレイガンにミッションメモリーをセットし、コンテナの上に着地した。
「だができるかな? レッド・ホット・チリ・ペッパーを越えて俺に攻撃するなんて」
「やってみようか?」
カイザはカイザブレイガンを構えて音石に向かって突進してゆく。
「レッド・ホット・チリ・ペッパーッ!!」
しかしカイザの前には案の定レッド・ホット・チリ・ペッパーが立ちふさがった。だが、
 
ブォォォオオオオオンッ!!
 
突然、赤色のバイクがコンテナを駆け上がってレッド・ホット・チリ・ペッパーを跳ね飛ばしながらレッド・ホット・チリ・ペッパーを音石から遠ざけた。
「何だと!?」
跳ね飛ばされたレッド・ホット・チリ・ペッパーが地面を転げまわり、赤いバイクは後輪を滑らせるようにして止まった。バイクにはギャレンが乗っている。
『ぐぬぬぬぅ・・・』
レッド・ホット・チリ・ペッパーがよろよろと立ち上がるのを見ると、ギャレンはバイクから降りた。
そしてバイクは変形し、仮面ライダーアクセルの姿になった。バイクの正体はアクセル・バイクフォームだったのである。
「草加! こっちは任せろ」
ギャレンの叫びを聞き、カイザは音石に向かって迷うことなく駆けだした。
「ラァアッ!」
カイザブレイガンが音石に首を捉える。はずだった。
「うッ・・・!」
カイザの腹に音石の音撃弦・烈雷が突き立てられていた。
「立花っつー店の地下からかっぱらってきた代物だぜ」
音石は雷轟と呼ばれるギターの弦に相当するパーツを烈雷にはめ込んだ。
「この腕じゃあ上手く弾くことはできねえが・・・」
音石は右手を構える。
「痺れろ」
 
ギャイィィィィィンッ
 
「ぐわあああああッ!!」
カイザはとてつもない音の衝撃を腹にくらい、コンテナから吹っ飛んで地面に転がり落ち、強制変身解除した。
「草加ァ! ぐわッ!!」
草加の心配をするギャレンとアクセルであったが、自分たちもかなり危ない状況であった。
レッド・ホット・チリ・ペッパーに傷ひとつつけられていなかったのだ。
「やれ。レッド・ホット・チリ・ペッパー」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは隠し持っていたピストルの銃弾を手の平でじゃらつかせた。
「ミリタリー屋からかっぱらってきたものだ・・・とりあえず20発」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは空中に銃弾をばら撒く。そして銃弾は空中で固定されたかのように静止した。
「これは・・・!?」
「磁力や磁場を操作し銃弾を空中に固定した。そしてくらえ。“零式レールガン”」
 
ビシュンッビシュンッビシュンッビシュンッビシュンッ・・・
 
大量の銃弾が一斉にレールガンによって発射され、ギャレンとアクセルの装甲をボコボコにした。
「うわあああッ!!」 「うおおおおッ!!」
土煙とともに吹き飛ばされた2人は強制変身解除させられた。
「動作は銃弾を空中に放り投げるだけ。後は一切の動作が必要なく、御坂のレールガンのように1発ずつではなく1度に大量に発射することができる。これが零式レールガンだ」
音石は得意そうにそう言った。
すでにカブト、カイザ、ギャレン、アクセルがやられ、残っているのは仮面ライダーがダブルとイクサ。
スタンド使いが仗助と億泰、康一、承太郎。そして超能力者の黒子で7人である。
「マジでやばいっスねぇ・・・」
普段はわりと気楽にしている仗助も今は緊張で頭がどうにかなりそうだった。
「零式レールガン・・・あんなもん、生身の俺たちがくらったら・・・」
億泰ももう復讐云々ではなく、どうやったらこの状況を生き延びることができるのかに精一杯だった。
そしてそれは康一や黒子も同じであった。
表面上はクールな承太郎もその胸の内では同じことを考えているだろう。
つまりこの状況、いかにして音石の攻撃から生き延びるかなのだ。
勝つことよりもまず、あの零式レールガンから生き延びなければならない。
零式レールガンを攻略しない限り、勝利はないのだ。
だが、現在この中の誰もその攻略法を思いついてはいない。
その時、
 
ゴロゴロゴロ・・・
 
港の空が黒い雲に覆われた。音石が現れた時と同じような状況だ。
だが心なしか音石の時よりもどす黒く、より不安をあおるような感じの雲だと康一は思った。
まるでゲリラ豪雨でも来るような、何かすごいものが来るという予感をさせる雲だった。
 
ビッシャァァァアアアアアンッ
 
港に血のように紅い一筋の雷が落ちた。
雷が落ちた跡には1体のドーパントがたたずんでいる。
「お・・・お前は!!」
音石はこのドーパントを知っている様子だ。
「き・・・貴様ぁ・・・何故ここに!?」
傷だらけで倒れている照井もこのドーパントに反応した。
そしてドーパントは音石の方を向いて言った。
「さあ、君のエレクトリックメモリをもらいましょうか」
ウェザー・ドーパント。ミュージアム四幹部の1人、井坂深紅郎であった。
「何だと!? 誰がお前なんかにッ! 第一、それでは作戦妨害のはずだ!! 許されることじゃあないぜッ!!」
音石はウェザー・ドーパントに食って掛かった。しかし、
「彼女、冴子君は許してくれましたよ。“私が強くなるためなら、何をしてくれてもかまわない”と」
「そんな・・・だが・・・だが! 俺は許さねえッ!! そんなことッ!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは100発ほど銃弾を宙に放り投げ、ウェザー・ドーパントに向けて零式レールガンを連射した。
「うおおおおオオオオッ!!」
だが、
「なんだ。ただの鉄の塊ですか」
ウェザー・ドーパントは周囲に高熱を発生させ、零式レールガンをすべて溶かしてしまった。
「なッ・・・!」
「所詮、君や御坂ごときではこの能力を有効活用することはできない。やはりこの能力は私が持つべきだ」
ウェザー・ドーパントはレッド・ホット・チリ・ペッパーに向けて右手をかざした。
すると大気中の水分が集まって、レッド・ホット・チリ・ペッパーは水でできた球体の中に閉じ込められてしまった。
「うぐぐぐ・・・!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーが水の中に閉じ込められたことで、本体である音石も連動して息ができなくなった。音石は地面を転がりまわってもがき苦しんでいる。
「レ・・・ッド・・・ホット・・・チ・・・リ・・・ペッ・・・パー・・・」
音石は必死に電撃で反撃しようとする。だが水の中に閉じ込められていてはウェザー・ドーパントに電撃が届くことはない。まさに袋の中のネズミ状態であった。
「さあ、もらいましょうか」
ウェザー・ドーパントはレッド・ホット・チリ・ペッパーに向けて弾丸のような雨粒を発射した。
「うボォアぁッ!!」
レッド・ホット・チリ・ペッパーは吹き飛ばされ、生体コネクタからエレクトリックメモリが強制排出された。
「あのレッド・ホット・チリ・ペッパーを・・・こんな簡単に!!」
驚愕する仗助たち。
「・・・まずい! エレクトリックメモリが!!」
ダブルが叫ぶ。ウェザー・ドーパントは徐々にエレクトリックメモリへと近づいてゆく。
何とか阻止したいがここからではどう考えても距離的に無理だ。
それでもダブルたちは駆けだした。
「ふふふ・・・ついに、ついにレベル5が・・・!」
目の前にある宝を見て邪悪な笑みを浮かべるウェザー・ドーパント。
「か・・・かえ・・・せ」
音石もエレクトリックメモリを取り戻そうと、ボロボロの身体で歩み寄ってくる。
「くそッ! 間に合えぇッ!!」
ダブルたちも祈る思いでエレクトリックメモリに向かって走る。
果たしてエレクトリックメモリをつかむのは・・・
 
「スタープラチナ ザ・ワールドッ!!」
 
バアアアアアンッ
 
時が止まった。
この状況で動けるのは時を止めた張本人、空条承太郎ただ1人である。
「やれやれ・・・」
承太郎は地面に落ちているエレクトリックメモリを拾い上げた。
「これでもう安心だぜ。時は動き出す」
 
ズギュウウウウウンッ
 
「フフフ、これでエレクトリックメモリは・・・何!?」
ウェザー・ドーパントはそこにあるはずのエレクトリックメモリがなくなっていることに気づき驚愕する。
「なんだとぉ!?」
それは音石、ダブルたちも同じであった。
「いったい何が・・・」
呆然と立ち尽くすダブルたち。
「ほらよ、探偵。探し物はこれだろう」
承太郎はダブルにエレクトリックメモリを手渡した。
「いつの間に・・・!」
「君が持っていたんですか。さあ、渡してもらいましょう」
ウェザー・ドーパントがダブルに向かって歩いてくる。
『翔太郎・・・このメモリ、もしかしたら!』
ダブルの中のフィリップの意思がひらめいた。
「・・・よし、やってみるか」
ダブルはサイクロンとジョーカーのメモリを抜き、代わりにエレクトリックとトリガーのメモリを挿し込んだ。
―エレクトリック! トリガー!―
ダブルの右半身がオレンジ、左半身が青に染まる。電撃と銃のダブル・エレクトリックトリガーである。
『やはり。メモリの形状がダブルのメモリと同じだったからもしやと思ったんだ』
「よし、一気に決めるぜ。相棒」
―トリガー! マキシマムドライブ!―
マキシマムモードにしたトリガーマグナムをウェザー・ドーパントに向けた。
『「トリガーレールガン!!」』
 
ドシュウウウウウウウウウウンッ
 
「何!?」
ウェザー・ドーパントは迫り来る巨大な電気弾を間一髪でかわした。
電気弾はそのまま直進し、コンテナにあたって大爆発を起こした。周りを熱気が包みこむ。
「くッ・・・! 今日のところは引き上げますか・・・」
ウェザー・ドーパントは霧に包まれてどこかに消えていった。
「よし! 残るは・・・」
音石明、ただ1人。
だが音石にはもう戦う力がなかった。エレクトリックメモリを失い、レッド・ホット・チリ・ペッパーを動かす電力はもうどこにもない。
「音石、もう観念しろ。右腕なら俺の知り合いが・・・」
ダブルは音石を諭す。だが音石は、
「あんたたちに迷惑をかけまくった俺が、あんたたちの慈悲にあやかれると思ってんのか?」
「音石・・・」
「・・・億泰、よく見とけよ」
「え?」
 
グッシャアアアアアッ
 
一瞬だった。レッド・ホット・チリ・ペッパーが残された電力で音石の腹をおもいっきり貫いたのだ。
「お・・・音石ぃぃぃ!!」
億泰はわけもわからず叫び、音石に駆け寄った。
他の者たちは呆然として立ち尽くしている。
「何やってんだ馬鹿野郎ォ!!」
「今の俺に・・・エレクトリックメモリを取り戻す力はねえ・・・・・・
ミュージアムに戻っても・・・絶望が待っているだろう・・・・・・
だから・・・せめて・・・お前たちにわびようと・・・・・・」
「だからって死ぬこたねえだろう!!」
「フフフ・・・ギターの夢を・・・捨てられていたらなあ・・・・・・」
音石は目を閉じた。もう二度と覚めることのない、夢の中へ・・・
 
カツ・・・カツ・・・カツ・・・・・・
 
場のどうしようもないやるせない空気を引き裂くような足音が近づいてきていた。
「アンタたち・・・音石は?」
御坂だ。
「お姉さま・・・音石は・・・」
黒子は眠りについた音石の方を指差した。どうしようもなく悔しい気持ちで指が震える。
「・・・ふ~ん、あいつ死んだんだ。・・・で、エレクトリックメモリはどこよ?」
「・・・これだ」
変身を解除した翔太郎が御坂にメモリを渡した。
「はぁ~、よかった~。これでレベル5に戻れる・・・」
だがメモリをどれだけ身体に押し当てても何も起こらない。
「ちょ・・・ちょっとどうなってるのよ!? 戻りなさいよ!!」
だがどうやっても何も起こらない。御坂は音石の方へ向かって歩いてゆく。
「御坂・・・?」
音石のそばで落ち込んでいる億泰を尻目に御坂は音石の襟首をつかんで、
「ちょっとアンタ! どうやったら元に戻るのよ! ねえ!! 勝手に死んでないで早く答えなさいよ!!」
 
バチィィィンッ
 
黒子が御坂の頬をはたいた。
「く・・・黒子?」
「お姉さま・・・黒子は・・・失望しましたの」
唖然とする御坂の手の平からエレクトリックメモリを取り上げ、黒子は翔太郎に渡した。
そして皆、それぞれその場から立ち去ってゆく。
御坂がただ1人、その場に残された。
「黒子・・・・・・そうよ・・・力がなかったから・・・
もう一度、何か力を手に入れれば・・・黒子も・・・」
歪んだ闇が御坂を包んでゆく。
「・・・いい闇だ」
そんな御坂を矢車がコンテナの陰から見つめていた。
 
御坂はこの後、レベル5でなくなった事から常盤台中学校から別の学校に転校を要請され、
事実上常盤台中学校を退学させられることになる。
そして御坂は転校先の学校を決めることもせず、新たな力を求めて街を彷徨い歩くのであった。
 
TO BE CONTINUED 
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