忍者ブログ
Twitter
カウンター
コンテンツ
~teamBDRの酒場~
掲示板です。

~teamBDRの会議室~
チャットです。
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
メンバー自己紹介
HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
バーコード
ブログ村
アクセス解析
引越ししました→http://teambdreveryday.blog.fc2.com/
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第23話「Fの残光/夏休み突入」
 
作者 Joker 

「翔太郎さん、海に行きませんか?」
学園都市の学校は全部、昨日から夏休みに入った。
そして今日、佐天が初春を連れてそんなことを言ってきたのだ。
「なに言ってんだ、こっちは学生と違って忙しいんだよ。
だいいち外は熱いしダルい。ハードボイルドな男が行く場所じゃあないぜ。
お前たちだけで行けばいいだろう」
「そんなこと言わないで一緒に来てくださいよ~
私たちだけだと怖いじゃないですか。夏の海って怖い人がいっぱいいるイメージがあるし」
「別に海は不審者の巣窟じゃあねえよ。安心して行ってこい」
「そんな~・・・」
「フィリップさんはどうですか? 海」
初春が読書をしていたフィリップに話を振った。
「実に興味深い・・・実は僕も最近、海に関する情報を閲覧してねえ、実際に見てみたいと思っていたんだ」
「おい! フィリップ、ちょっと待て。考え直せ!」
「よし、行こう翔太郎。海へ」
 
「なんでこんな目に・・・」
翔太郎が運転する車はフィリップと佐天、初春を乗せて風都のウィンドビーチへと向かった。
 
「さあ、着いたぜ」
1時間後、翔太郎一行はウィンドビーチに到着した。
すでに全員、水着に着替えている。
ビーチに人はあまりいなかった。どうやら最近の学生たちはインドア派が多いらしい。
「さあ、行こうか。涙子ちゃん、飾利ちゃん」
「待ってくださいよ、フィリップさん。その前に準備体操しないと」
「準備体操? ああ、あの水に入る前に行うという儀式のことか。
いけないいけない、忘れるところだった」
3人が仲良くラジオ体操をしているのを、翔太郎はパラソルを張りながらぼんやり眺めていた。
「いいよなぁ・・・ガキは無邪気で」
その時、佐天の右腕にチラッとガイアメモリの生体コネクタが見えた。
「・・・! そうか、そういえばあの事件からもう1ヶ月か・・・」
翔太郎は思い出す。
佐天がバードメモリを手に入れて大暴れしたこと。
霧彦との別れ。
木山春生の陰謀。
そしてウルトラマン・・・
「色々あったなあ・・・」
翔太郎は考える。
佐天はあの右腕の生体コネクタを見るたびに何を思っているのだろう、と。
一生消えることのない生体コネクタは佐天にとっての罪の証なのだろうか。
翔太郎は佐天を見る。
そこにはどこまでも純粋な屈託のない笑顔があった。
「ま、余計な心配はいらねえか」
「あ! 翔太郎さんさっきからなにジロジロとこっちを見てるんですか! もう! やめてくださいよ~」
 
「よし、さっそく海に飛び込もう」
フィリップが喜び勇んで海に向かっていく。
学園都市の海は環境問題への取り組みの努力のかいもあって、リゾート地に勝るとも劣らない綺麗なエメラルドグリーンに輝いていた。
「よ~し! 私もッ」
「あ、待ってくださいよ~ 佐天さん、フィリップさ~ん」
フィリップがザブザブと海の中に入っていく。
フィリップは自分の指をくわえてみた。
「なるほど、たしかにしょっぱい。海から塩が作られるというのも納得だ」
佐天たちも海の中に入っていく。
「何!? 初春あんた泳げないの?」
「ハイ、浮き輪無しだとどうしても怖くて・・・」
「よ~し、じゃあ私が引っ張っていってあげよーッ!」
「え! ちょ・・・佐天さーーーん!!」
佐天は初春の浮き輪の紐をつかむと、ものすごいスピードで遠くに泳いでいった。
「さて、次は海に住む魚だ」
ジャポーーーン
フィリップは潜水を開始した。
「おお、ゾクゾクするねえ。水族館では絶対に見られないリアルさがある」
フィリップは色とりどりの魚たちに夢中になっていた。
水深5メートルの深さで、我を忘れるほどに。
「フィリップの奴・・・さっき潜ったっきり上がってこねえな・・・まさか!」
パラソルの下で優雅にチェアーにもたれながらメロンソーダを飲んでいた翔太郎は息を呑んだ。
「おーーーーーいッ!! 誰かーーーーーッ!! 人が溺れているんだーーーーーッ!! 助けてくれーーーーーッ!!」
翔太郎は遠くにいるライフセーバーに向かって叫んだ。
「ム! 億泰!!」
「オウッ!」
仗助と億泰の2人は海へ向かって駆け出す。
「 !? あいつらは・・・」
2人はガッチリと肩を組んで立ち止まった。
「行けッ! 黒子!!」
ビシュンッ
「たあッ!」
突如、空中に現れた黒子が2人の肩を蹴って海の上に跳んだ。
ビシュンッ
黒子は海中に沈んでいるフィリップを発見すると、一気にそこまでテレポートしてフィリップを抱えあげた。
ビシュンッ
そしてテレポートで今度は仗助と億泰の真上に移動した。
ドサアッ
フィリップと黒子を2人が見事にキャッチする。
 
パチパチパチ
 
パラソルの下で優雅にチェアーにもたれながらカルピスを飲んでいる男は3人に拍手を送った。
「まあまあの手際のよさだな。65点といったところか」
「名護さ~ん、遅れてすいませーん!!」
「康一君、君は遅刻だ。罰として後で海辺のゴミ拾いをしなさい」
「は~い・・・」
「おい、お前らなんでここにいるんだよ」
翔太郎は仗助たち3人に近寄った。
「俺たちジャッジメントは夏の間、交代でライフセーバーをやらなきゃいけないんスよ」
「最近は物騒な事件も増えていますから」
「ま、でも俺たちは人が少ないこの時期だったからラッキーだったぜ」
「ふ~ん・・・あ!! それよりフィリップッ!!」
フィリップは顔が青ざめてグッタリしている。
「大変だ・・・息がない!! 早く人工呼吸を!!」
「でも誰がやるんスか?」
 
シ~~~~~ン
 
「わ、私は嫌ですのよ!? こんなところでファーストを使うなんて・・・」
「俺だって嫌だぜ! 男同士でやるなんてよォ~~~」
「おいおい、それなら俺だって・・・あ! 翔太郎さん、あんた相棒なんでしょう? なら・・・」
「絶対に断るッ!!」
4人が揉め合っている間、フィリップは限りなく薄い意識の中で何かを感じた。
 
アエェェェェェェェェン・・・・・・・・・
 
(何だ・・・今の声は・・・・・・まさか! あいつが・・・でもそんな・・・それだけはッ・・・!)
 
「何をしているのです! 早くこの人を助けなさい!!」
「あ、名護さん」
「まったく、くだらない言い争いだ。これだから争いは無くならないのです。
君たちは下がっていなさい。私がやろう」
名護がフィリップに唇を近づける。
(な・・・名護さん・・・!!)
(うわッ! 見たくねぇッ! 男同士のなんて・・・見たくねえッ!!)
(仕方がありませんわ・・・だって・・・)
(すまねぇ・・・フィリップ!!)
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
「ハア~~~」
名護が空気を吸ってフィリップに人工呼吸をしようとした、その瞬間、
「ッ!! プゥーーーーーーーーーーーーッ!!」
フィリップが突然、水を噴き出した。
「ップワッ!!」
フィリップの眼前にいた名護には当然、大量の塩水が噴きかかった。
「大丈夫か、フィリップ!?」
「ああ、何故だろう・・・とても嫌な気配を感じた・・・」
「よかったぜ。お前の感覚は正常だ」
「・・・? (さっきの気配・・・やはりアイツが近くに? ・・・いや、気のせいだろう)」
ザッパ~~~ンッ
海から佐天が上がってきた。後ろにいる初春はヘトヘトだ。よっぽど振り回されたのだろう。
「あれ? 白井さんたちも来てたんですか。丁度いい。みんなでお昼ご飯食べましょうよ」
 
「いらっしゃい」
「え!? あんたはこないだの・・・たしか、天道総司?」
翔太郎たちは近くの海の家に入っていた。
「それに照井竜、それから・・・」
「橘朔也だ」
「なんであんたたちここで海の家なんかやってるんだ?」
「毎年やってるんだ。夏はいつもここに来て商売をやっている」
「俺は好きでこんなことやってるんじゃあないがな」
「何言ってんだ照井。本当にそうなら草加みたいに来ないって言えばよかったじゃあないか」
「うッ! ちっ違うぞ橘! 俺は別に好き好んで来たわけじゃあない! ただ日頃世話になってるから手伝おうと思っただけだ!!」
「で、注文は何だ?」
天道が聞いてきた。
「え? ああ・・・じゃあ焼きそばで。おまえらはどうする?」
「全員焼きそばでいいです」
「じゃあ焼きそば9人前で・・・」
「ちょっと待て」
「何だよ・・・え~と、名護さんだっけ?」
「その通りだ。私は名護さんだ。そして私は焼きそばなどという低俗な食べ物を食べる気は無い。
少し歩いたところにあるイタリア料理店でスパゲッティでも食べてくる」
「あ、じゃあ8人前で」
「ちょっと待て。名護、俺の作る焼きそばが低俗な食べ物だと?」
名護の発言に天道が食いかかる。
「何か文句でも?」
「いや・・・かわいそうだと思ってな」
「何!?」
「今までよほど貧相な焼きそばしか食べてこなかったんだろう。
本当の焼きそばの美味さを知らないなんて・・・本当にかわいそうだ」
「何を言っているのです。焼きそばなど所詮、庶民の料理。
貧困な知恵が生み出した、ただソースをかけて炒めただけのギトギトしたそばに過ぎない。
スパゲッティと比べれば優雅さやバリエーションで大いに劣ることがわかるでしょう?」
「なら俺がお前の言うスパゲッティに負けない焼きそばを作ってやる。
そしてお前に美味いと言わせてやろう」
「望むところです。この勝負、受けてたちましょう」
天道と名護の間で火花が散る。
 
「さあ、できたぞ」
10分後、天道たち3人が焼きそば9人前を運んできた。
「さて、いったいどれだけの恥をかくことでしょうね。総司君」
「それは食ってから言え。さあ、どうぞ」
「ふんッ! ・・・ん!? こっ・・・これは!!」
「あれ? この焼きそば白いですよ」
「普通は茶色いですよねえ、焼きそばって」
佐天と初春が不思議そうに言う。
「ま・・・まさか、これは!! ・・・塩!?」
「そうだ。塩焼きそばだ。塩焼きそばの方がこの辺で獲れた新鮮な魚介との相性がいいからな」
「なるほど・・・たしかに魚介系の具を多く使っていますね。だが、肝心の味はどうでしょうか?」
チュル
「なッ!」
「おいしい!」
「普通の焼きそばのような油のギトギトした感じがありませんわ!」
「塩のまろやかな味が麺全体を包みこんであっさりと仕上げているぜ!!」
「それにこの塩・・・具の魚介とすごい合うっすよ!? 素材の味が真に引き出されているって言うんですか!? 今までに食べたことが無いくらい深い味を出しているッス!!」
「合うのは当然だ。なんせ、この塩もここで取れたものだからな」
「うっ・・・くッ!!」
「名護、これでわかっただろう! たしかに焼きそばはスパゲッティに比べれば優雅じゃあないし、バリエーションにも乏しいだろう。だがそれは焼きそばが劣っていることの証明にはならない。お前が今食べた焼きそばは、スパゲッティに劣っていなかったはずだ。
お前が言った貧困な知恵というのは、人が焼きそばをいかに美味く作るかに思案した歴史だ!
昨日今日焼きそばを食ったばかりの男が言えるようなことじゃあない!!」
「くぅぅぅッ!! み、認めません・・・認めませんよ私はァ!!
どれだけ味が良かろうと、やはりスパゲッティのような優雅さが無いのでは話にならない!!
庶民なら喜ぶだろうが、私なら激怒するッ!!」
「やれやれ・・・どうやらお前は、モノを見た目でしか判断できないらしい。
俺が最も嫌いとするタイプの人間だ」
―レ・ディ・ー ―
「黙りなさい!」
「やるか?」
―Henshin(ヘンシン)―
―フィ・ス・ト・オ・ン―
天道と名護はそれぞれカブトとイクサに変身した。
「ちょッ・・・あんたたち!! ・・・つーか、カブトの正体は天道だったのか!」
焼きそばを食べていた翔太郎たちがうろたえる。
「フンッ!」
「ハァッ!」
しかし、そんな周りの様子を気にもせず2人は戦いを始めた。
波打ち際で2人はカブトクナイガンとイクサカリバーで切り合っている。
「やれやれ・・・橘」
「ああ、止めるしかないな」
―アクセル!―
―Turn Up(ターンアップ)―
照井と橘もアクセルとギャレンに変身して2人を止めに入る。
「おい止めろ、2人ともッ!」
ギャレンはカブトにつかみかかる。
「邪魔だ。下がってろ」
―cast off(キャストオフ)―
バシュィーーーーーンッ
マスクドフォームの装甲がギャレンを弾き飛ばす。
「うわぁッ!!」
―Change Beetle(チェンジビートル)―
「くっ・・・ナニヤッテュンデュア! フズァゲンヌァッ!!(何やってんだ! ふざけるなッ!!)」
「落ち着け橘! 滑舌がグチャグチャだぞ!」
ギャレンに言いながらアクセルはイクサにエンジンブレードで切りかかる。
「邪魔をするのはやめなさいッ!!」
―イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ―
「はァッ!!」
イクサがイクサナックルによって放った強力な右ストレート・ブロウクンファングによってアクセルは大きく吹き飛ばされた。
「ぐわぁぁぁぁぁッ!!」
アクセルは砂浜から10メートルほど離れた海中に沈んだ。
「テェイッ!!(照井ッ!!) オマエダヂュ・・・イイガゲンギジロォォォッ!!(お前たち・・・いい加減にしろぉぉぉッ!!)」
ギャレンは左腕のラウズアブゾーバーにダイヤのクイーンとキングのカードを通した。
―アブソーブクイーン・エヴォリューションキング―
カテゴリーキング・ギラファアンデッドの紋章がギャレンの胸に刻まれ、ギャレンのボディを黒、金、赤に彩っていく。
ギャレン最強フォーム・キングフォームである。
ギャレンキングフォームは1メートルほどもある巨大な銃・覚醒銃キングラウザーを構える。
―ダイヤ10(テン)・J(ジャック)・Q(クイーン)・K(キング)・A(エース)―
ギャレンキングフォームはキングラウザーに5枚のカードを通した。
「うおおおおッ! テンドン! ナグォー!(天道! 名護ぉー!)」
―ロイヤルストレートフラッシュ―
きんぐらうざーから放たれた光線が、銃口から1メートル先の空中に五角形に並んだカード型のエネルギー体を通って、巨大な5つの収束砲となりカブトとイクサを海に向かって吹き飛ばした。
「うわあああああああッ!!」
「うおおおおおおおおッ!!」
カブトとイクサは砂浜から100メートルほど離れた海中に沈んだ。
 
「照井ぃーーー大丈夫かッ!?」
橘が海岸に打ち上げられた照井に走り寄る。
「ああ、大丈夫だ。しかし・・・さっきの攻撃、すさまじい威力だった。
まさかお前があんなに強いとは・・・もしかして天道以上なんじゃあないか?」
「そんなことはどうだっていい」
橘は照井の肩を持って海の家へと戻った。
 
「いや~さっきのスゲーすっきりしたなあ!」
「ホンとそうですわ。あの名護慶介のやられ様」
「でも一緒に吹っ飛ばされた天道さんは大丈夫っスかねえ?」
焼きそばを食い終えた仗助たちはのんびりしていた。
「いったいこの街はどうなってんだ・・・」
翔太郎は最近の仮面ライダー、ドーパント、ワームなどを思い出して寒気がした。
「俺たちも強くなんねえとなあ、フィリップ」
「・・・嫌だ。僕は・・・強くなんかなりたくない・・・」
フィリップがひどくおびえた様子でそう答えた。
「・・・? どうしたんだ、フィリップ?」
その時、
「スイマセン・・・焼きそばを食べたいんですが」
真っ黒なスーツ姿に帽子をかぶった中年の男が海の家にやってきた。
(なんだ? このすさまじく場違いで季節外れなおっさんは!?)
「焼きそば20・・・いや、30人前頼めますかねぇ」
「さ・・・30ッ!! つーか、俺この店の人じゃあないんですけど・・・」
「じゃあ誰に頼めばいい?」
「今は全員出払ってる。もうしばらく待ってたら戻ってくると思う」
「そうか・・・ではここで待たせてもらおう」
「・・・ハァ~」
翔太郎はタメ息をついた。何故自分の周りにはこんな扱いにくい人間ばかりが集まるのだろう、と。
 
しばらくして照井と橘が帰ってきた。
「あ、照井に橘。客が来てるぜ」
翔太郎は先ほどのスーツの男を指差した。
「焼きそば30人前だとよ」
「左、お前ふざけているのか?」
「俺だって驚いたぜ」
「・・・しかし、それにしても・・・」
照井が神妙な顔つきになってスーツの男をにらんだ。
「どうした、照井?」
「あの男・・・嫌なにおいがする。まるで死肉のような・・・」
「マジか!?」
「俺の目に狂いはない。だが、証拠がない以上問い詰めても意味はないだろうな」
「それより誰が焼きそばを作るんだ?」
橘がのんきにそう言った。
「天道は俺が吹き飛ばしていないし・・・」
「・・・くッ! 仕方がない。適当に炒めれば何とかなるはずだ!」
本来、会計&ウェイター担当の2人には料理ができない。
だがそれでも何とかしようと2人は厨房に立った。
「あれ? おかしいな・・・照井、火が点かないぞ」
「何!? そんな馬鹿な・・・」
照井はコンロに火を点けようとした。だがどうやっても火は点かない。
「まさか・・・故障!?」
「馬鹿な・・・買ったばかりだぞ!!」
「ガスは?」
「新しいのを入れた・・・どういうことだ!?」
照井と橘は厨房であせっていた。
そんな時、客席にいた黒子たちは何やら異変を感じていた。
「仗助、億泰、康一、さっきから寒くありません?」
「え!? 白井さんもやっぱり!?」
「おいおい・・・俺の気のせいじゃあなかったのかよ」
「つーことは、俺たちは今誰かに襲われている可能性が高いっつーことっすかねぇ・・・」
翔太郎とフィリップも同感だった。
さらに2人はこれの原因が誰であるかの心当たりもあった。
「フィリップ・・・この冷気は!?」
「ああ、間違いない。この冷気は・・・あいつのものだ!」
「・・・佐天、初春、お前たちはここでじっとしておけ」
「え? じゃあ翔太郎さんたちは・・・」
「戦ってくる。あと、フィリップの身体を頼む」
翔太郎は外へ飛び出した。
「あ! 翔太郎さん!!」
ジャッジメントの4人もつられて外に飛び出した。
そこにいたのは白い鎧のようなスタンドを纏った男だった。
「ギアッチョ・・・」
翔太郎は男の名を呼ぶ。
「・・・日本にはよお、“2度あることは3度ある”っつーことわざがある。
俺とお前が出会うのはこれで3回目だ・・・そして俺はお前に2度負けている。
このことわざに従うなら俺は今日も負けることになる。
だが日本には“3度目の正直”っつーことわざもある・・・
結局どっちなんだよォ~~~ッ!! 俺は勝つのか!? 負けるのかァ~~~ッ!!
チクショウがッ!  チクショウがッ! チクショウがァーーーーーッ!! なめやがって~~~ッ!!」
ギアッチョは1人で勝手にブチ切れ始めた。砂浜を何度も何度も右の拳で殴っている。
その様子を仗助たちは唖然として見ている。
「しょ・・・翔太郎さん、何なんすか? このキチガイは・・・」
「こいつはギアッチョ。パッショーネっつうギャングの1人だ。こいつは俺とフィリップの命を狙っている」
「なんですって!?」
驚く黒子たちを尻目にギアッチョは立ち上がり、
「仮面ライダーW! 今日俺が来たのはインデックスを奪うためじゃあねぇ!
ある方に依頼されててめーを始末しにきた。さあとっとと変身しやがれ!」
と高らかに叫んだ。
「行くぜ、フィリップ。ヒートジョーカーだ」
『・・・ああ』
「変身!」w『変身・・・』
―ヒート! ジョーカァーッ!―
翔太郎の身体を右半分が赤、左半分が黒の鎧が包みこんでゆく。
炎の仮面ライダーWヒートジョーカーだ。
「うおおおおッ!」
Wは炎を纏った右手でギアッチョに殴りかかる。
「ホワイトアルバムッ!」
しかしギアッチョは微動だにせず、体からとてつもない冷気を噴射した。
「何!?」
Wの右手を覆っていた炎があまりの冷気に消え失せ、威力が減少したパンチはギアッチョに軽々と受け止められてしまった。
『くそ! やはりヒートの熱じゃ奴の冷気には対抗できない!』
「この程度か、仮面ライダー!!」
ギアッチョの右アッパーを後ろにかわしたWはトリガーのメモリを取り出した。
―ヒート! トリガー!―
『奴を倒すにはヒートトリガーの高威力銃撃しかない!!』
「だがヒートトリガーは力の制御が難しいぜ。気をしっかり持てよ、フィリップ」
『ああ、大丈夫だ。あの力を使うよりはマシだ・・・』
「 ? 」
「おらァッ! ボサっとしてんじゃあねぇぞォッ!!」
ギアッチョが海水を巨大なツララにして投げ飛ばしてくる。
ボジュゥンッ ボジュゥンッ
Wはトリガーマグナムで火球を発射しツララを溶かした。
「翔太郎さん! 俺たちも助太刀するっス!!」
仗助たちが加勢しようとこちらに向かってきた。だが、
「うるせぇ! ザコは引っ込んでろッ!!」
突如、物陰から大量に現れたマスカレード・ドーパントたちが仗助たちの行方を阻む。
「クレイジー・ダイヤモンドッ!」
「ザ・ハンドッ!」
「エコーズACT3ッ!」
仗助たち3人はスタンドを出し、黒子は鉄矢を手にした。
「ドラァァァッ!」
仗助たちは次々とマスカレード・ドーパントたちを倒していく。だが、
「こいつら・・・一体一体はザコっちいくせに!」
「いくら倒しても・・・限りなく現れてきますわッ!!」
「くそッ!!」
「ククク・・・これで加勢は期待できないぜ」
皮肉っぽく笑うとギアッチョは冷気を直接Wにぶつけてきた。
「うおおおおおおおおッ!!」
凍りつつある身体を無理やり動かして、Wはギアッチョに火炎弾を打ち込んでゆく。
 
「一体どうなっているんだ・・・?」
橘と照井は海の家から出て外の様子を見に行った。
「あれは・・・!?」
見えたのはマスカレード・ドーパントの大群と戦う仗助たち。そしてWとギアッチョの戦いであった。
「照井、俺たちも加勢するぞ」
橘はギャレンバックルを取り出して言った。
しかし照井はまったく動こうとしない。じっとギアッチョをにらみつけて、わなわなと震えている。
「・・・どうしたんだ、照井?」
「あの冷気・・・まさか! 奴が俺の家族を殺した犯人!!」
「なんだって! 奴がお前の言っていた仇!?」
「いいえ、違いますよ・・・」
その時、氷よりも冷たくナイフよりも鋭い声が2人の背筋をなめた。
思わず鳥肌が立つほどの寒気のする声に振り向く2人。
そこにいたのは先ほど焼きそばを30人前注文したという男だった。
「貴様・・・違うとはどういうことだ?」
「言った通りの意味ですよ。何故なら、君の家族を殺したのはこの私だからだ。照井竜」
その言葉に照井は自分の中の何かが切れたことを感じた。
「貴ッ様あァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
―アクセル!―
照井はすぐさまアクセルに変身してスーツの男に突っ込んだ。
「自己紹介が遅れましたね。私の名は井坂 深紅郎(いさか しんくろう)。使うメモリは・・・」
―ウェザーッ!―
井坂はウェザーのガイアメモリを右耳の生体コネクタに挿した。
井坂の周囲を竜巻が吹きすさび、アクセルを吹き飛ばした。
「ぐわあああッ!」
そして竜巻が収まると中から白い侍のような姿をしたドーパント、ウェザー・ドーパントが現れた。
「井坂ぁ・・・何故俺の家族を殺したぁ・・・!?」
アクセルは地面に這いつくばりながらウェザー・ドーパントを問い詰める。
「簡単な事。君の妹はレベル4の発火能力者だった。
私の持つ技術を持ってすれば超能力をガイアメモリ化することなんて簡単でね。
さらに私はガイアメモリを許容数を超えて使用することができる異常体質だった。
ちょうどその頃の私は強力な発火能力が欲しかったのだよ。
そのために高レベルの発火能力を持つ者を何人も殺し、それらから奪った発火能力を1つのガイアメモリにして自分に挿した。今でも私の体内にある」
「俺の・・・俺の両親は!?」
「そこにいたからついでにですよ。発火能力の以前に手に入れた冷気能力を試したい気持ちもあったのでね」
ウェザー・ドーパントは驚くほどあっさりとアクセルの質問に答えていった。
「井坂あぁぁぁぁぁッ! ふざけるなぁぁぁッ!!」
アクセルは立ち上がり我武者羅にウェザー・ドーパントに突っ込んでいった。
「待て、照井! 落ち着くんだッ!」
橘の忠告も聞かずにアクセルは突っ込んでゆく。
「フフフフフ・・・」
ウェザー・ドーパントは右手をアクセルに向かってかざした。
右手に走る電流はまるで血塗られたような赤い稲妻であった。
 
TO BE CONTINUED
PR
Comment
              
Name
Title
Adress
URL
Comment
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Secret 管理人のみ閲覧できます
Password   
* コメントの編集にはパスワードが必要です
ごくろう
by Sgt.LUKE HP 2010/06/01(Tue)02:02:56 Edit
「ぬぅぅぅぅぅぅ。認めんッ! 焼そばごときの低俗な食べ物、絶対に認めんからなッ!」
~天道の焼そばについて、海原雄山
作者 あとがき
by Joker 2010/05/31(Mon)22:59:25 Edit
更新遅れてスイマセン。
いや、山登りに行ってたもんで・・・
その代わりというか、最初からこうなる予定だったというか、今回の話長めになってるから・・・許せ。
とりあえず、山登り楽しいよ。山登り。
Trackback
この記事にトラックバックする:
Copyright ©  -- teamBDRの軌跡 --  All Rights Reserved
Designed by CriCri Material by 妙の宴
忍者ブログ  /  [PR]