忍者ブログ
Twitter
カウンター
コンテンツ
~teamBDRの酒場~
掲示板です。

~teamBDRの会議室~
チャットです。
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
ブログ内検索
メンバー自己紹介
HN:
teamBDR
性別:
男性
職業:
高校生
自己紹介:
このブログは退屈な日々を革命すべく集まった6人のブログなんDA。
メンバーの紹介なんDA
[Joker(ジョーカー)]この団を作った人。学園都市の日常・科学サイドを書いてるのはこの人。ボディサイドのガイアメモリをコンプしている。最近、teamBDRが満足同盟となんら変わりない事に気づいたが、狙ってなどいなかった。いや、ホンとにマジで。まあそんな事はどーでもいいから、満足しようぜ!!

[ナレ神(シン)] 貴重な「純粋なツッコミ役」。LUKEとは実況・解説コンビである。最近、兄のオタクライフを書いた記事が大ヒットした。

[ガチャピン]旧かみやん。最近はこっちの名を名乗るほうが多い。通称、魯迅(ろじん)。又は、北大路魯山人(きたおおじろさんじん)。もうなんか『お姉ちゃん』しか言わないかわいそうな人。teamBDRの中でもトップクラスにアレな人なんDA。 

[S(サジタリウス)] 変態である。クラスの女子、挙句の果てには学校の先生にまで変態と言われてしまったぞ!この変態軍人めが!!

[Sgt.LUKE(サージェント.ルーク)] おそらくこの団最強の男。その脳内は無限のユーモアにあふれている。もしかしたらアンサイクロペディアを超えているかもしれない。ちなみに食玩のサイクロンメモリを持っている。

[XILE(ザイル)] 割と普通人。EXILEのファン。この団に入ってからまわりに毒されてきた。被害者。だが本人は楽しそうである。
バーコード
ブログ村
アクセス解析
引越ししました→http://teambdreveryday.blog.fc2.com/
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第24話「Fの残光/大切なもの」
 
作者 Joker
 

ビシャァァァンッ ビシャァァァンッ ビシャァァァンッ
ウェザー・ドーパントは自分に向かってくるアクセルに赤い稲妻を放っている。
「うおおおおおおおおッ!!」
しかしアクセルはまったくひるまずにウェザー・ドーパントに向かって走り寄っていく。
そしてエンジンブレードを振りかざしてウェザー・ドーパントに肉薄した。
ジャキィィィィィン
振り下ろされたエンジンブレードをウェザー・ドーパントは片手で受け止めた。
「この程度ですか。君の憎しみは」
ボゴオオオンッ
至近距離で放たれたウェザー・ドーパントのボディブローがアクセルを大きく吹き飛ばした。
「うぐぉおおおッ!!」
 
「うおおおおッ!!」
Wはギアッチョに向けてトリガーマグナムの火球を何発も打ち込むが、ギアッチョのスタンド ホワイト・アルバムの放つ冷気によってかき消されてしまう。
「くそッ! ヒートトリガーでもダメだ! フィリップ、変身を解除するぞ」
『何だって!? 何を考えているんだ、翔太郎!!』
翔太郎はギアッチョとの距離をとってからWの変身を一方的に解除した。
―Henshin(ヘンシン)―
そして翔太郎はドレイクグリップを右手に握り、ドレイクに変身した。
―cast off(キャストオフ)―
ドレイク・マスクドフォームの装甲が吹き飛ぶ。
―Change Dragonfly(チェンジ ドラゴンフライ)―
「フン! 今度はドレイクで勝負か」
「クロックアップしての高速の銃撃で撃つ! これしかねえ!」
―clock up(クロックアップ)―
ドレイクはクロックアップしての高速射撃でギアッチョを撃つ。
「ホワイト・アルバム・ジェントリー・ウィープス!!」
ドレイクが発射した弾はすべて空気に跳ね返るようにしてドレイクに向かって戻ってきた。
「ぐわあああああッ!!」
―clock over(クロックオーバー)―
跳ね返された弾丸がドレイクを襲った。
「覚えていなかったか? 俺のホワイト・アルバムは空気すらも凍らせ、弾丸の類はすべて跳ね返しちまうってなぁ!」
「翔太郎ぉーーーッ!!」
海の家からこっちに向かってフィリップが走り寄ってきた。
「来るんじゃねえ! フィリップ!!」
「地球(ほし)の本棚か・・・邪魔だ」
ギアッチョは巨大なツララをミサイルのように蹴り飛ばした。
「フィリップ、あぶねえ!!」
(まずい・・・! この距離では避けられない!!)
フィリップが絶体絶命の危機を感じた。その瞬間、
「アエエエエエエエエンッ!!」
突如、謎の白い物体がツララを体当たりで砕き、フィリップの身を守った。
「お・・・お前は!!」
白い恐竜のような姿をした小さなロボットのようなものを見てフィリップは青ざめた。
「あれは・・・ファングメモリ!?」
翔太郎もこれには見覚えがあった。
と同時に、さっきからフィリップが何故おびえていたのか、その理由もわかった。
「フィリップ! ファングジョーカーに変身するんだ!!」
「何を言っているんだ翔太郎! ふざけないでくれ・・・もう2度と・・・あれには変身したくないと言っただろう!!」
「そっちこそふざけんな! もう、あれしか勝つ方法はねえだろう!!」
「ぐちゃぐちゃ言ってんじゃあねぇぇぇぇぇッ!!」
ギアッチョがドレイクに向かってタックルを仕掛けてくる。
「くッ!!」
ドレイクはとっさに避けて変身を解除した。
「行けッ! お前ら!」
翔太郎はスタッグフォン、バットショット、スパイダーショックの3つのガジェットとドレイクゼクターをギアッチョと戦うよう仕向けた。
「チッ! カスがぁぁぁ! なめやがってぇ!!」
ギアッチョは変幻自在に動く4つのメカに苦戦している。
「今の内だ。ファングジョーカーに変身するぞ」
翔太郎はWドライバーにジョーカーメモリを挿す。するとフィリップのWドライバーにジョーカーメモリが転送された。
「嫌だ・・・あれだけは使いたくない! あれを使えば、僕は僕でいられなくなってしまう!!」
「落ち着け、フィリップ! 気持ちを強く持つんだ。そうすれば大丈夫だ」
「気休めはよしてくれ!!」
「相談は終わったかァ?」
ギアッチョが氷の剣を持って歩み寄ってくる。
4つのメカは氷の中に閉じ込められて地面に落ちていた。
「んじゃなぁ!!」
ギアッチョは氷の剣をフィリップに向けて突き出した。
 
グショオッ
 
「翔・・・太郎?」
氷の剣に突き刺されたのは翔太郎だった。
翔太郎はフィリップをかばって氷の剣に腹を突き刺されたのだ。
「フィリ・・・ップ・・・」
剣が突き刺さった部分から氷が広がり、やがて翔太郎の身体を覆いつくした。
「冷凍保存だ。こいつは預かっとくぜ」
ギアッチョは氷漬けになった翔太郎を担いで立ち去ろうとする。
「ま・・・待てぇッ! ギアッチョォッ!!」
フィリップは叫ぶ。
 
「げぷぅッ・・・!!」
「つまらない・・・弱すぎる」
ウェザー・ドーパントによってアクセルはボロ雑巾のようにボロボロにされていた。
「君のような雑魚をいつまでも相手にしていられるほど私は暇ではない。帰らせていただきますよ」
ウェザー・ドーパントは自分の体から霧を起こしてそのままどこかに消えていった。
「ま・・・待てぇッ! 井坂ァァァッ!!」
アクセルは叫ぶ。
「どこだぁ・・・どこに行ったッ! 井坂ァァァァァァァァッ!!」
アクセルはエンジンブレードを振り回しながら井坂の名を叫び続ける。
「落ち着け照井! 今は井坂のことはあきらめろッ! それよりも左を助けるぞ」
橘はアクセルを押さえつけて、翔太郎を担ぐギアッチョを指差し必死に説得する。
「ハア・・・ハア・・・」
照井はアクセルの変身を解除した。
「あんな奴・・・俺にとってはどうでもいい。それよりも俺は井坂を探す! まだ遠くには行っていないはずだ・・・」
「照井・・・本気で言っているのか?」
「ああ、本気だ」
「なら・・・頭を冷やせぇッ!!」
 
バキィィィンッ
 
橘は照井の顔面を本気のグーパンチでぶん殴った。
「うッ・・・」
照井は白目をむいてその場に倒れこんだ。
 
「おい、地球(ほし)の本棚ァ。こいつを帰して欲しかったら100メートルほど離れたあの無人島に1人で来い。お前の身柄と交換でこいつは返してやる。いいな? 1人で来るんだぞ」
ギアッチョはそう言い残すと海を凍らせて道を作り、そこを滑って立ち去って行った。
「アエエエエエン!」
ひざをついてへたれこむフィリップのそばでファングメモリが吠える。
「翔太郎・・・僕はどうすればいいんだ・・・」
フィリップのWドライバーにはまだ翔太郎のジョーカーメモリが残っていた。
 
1時間後、海の家にはお通夜のような暗いムードが漂っていた。
「・・・・・・・・・」
フィリップは頭を抱えて塞ぎ込んでいる。
「・・・・・・・・・」
照井はイライラした様子でそっぽを向いている。
「翔太郎さん・・・大丈夫ですかねぇ」
 
ズーーーーーン
 
初春の何気ない一言でその場の空気がさらに暗くなってしまった。
「え! あ、その・・・すみません! 皆さん・・・」
「謝らなくてもいいよ、初春」
佐天が初春を慰めた。
「くッ! 橘ッ!! 何故あの時俺を止めた!!」
照井が橘をにらみつける。
照井は橘に殴られた場所に当てていた氷を忌々しく握り締めた。
「お前はあの時、復讐に心をとらわれ本当に大切なものを見失っていた。
だから俺はお前を殴った。頭を冷やせってな」
橘は照井に向かって力強く淡々とそう言った。
「・・・フンッ!!」
照井は再びそっぽを向いてしまった。
再び長い沈黙が訪れた。
 
「よくやったわ。ギアッチョ」
フィリップたちのいる砂浜から100メートルほど離れた場所にある無人島。
そこにある、かつてミュージアムの研究施設だった廃墟でギアッチョは園咲冴子と合流した。
「このまま氷ごと砕いてやってもいいけど、私たちミュージアムには来人(らいと)が必要だから・・・」
「あの地球(ほし)の本棚の本当の名前だな? 何者だ? あいつは」
「あなたが知る必要はないわ。特に、あなたは部外者ですもの。ミュージアムとは何の関係もない、ただ強いという理由で雇われた傭兵・・・」
「俺のことを馬鹿にしてんのかァ!?」
ギアッチョは憤慨する。
「別に・・・ただ、あなたが強いということはたしかだわ。現にこうやってWの片割れを捕獲している。
今まで私が送り込んできたクズどもじゃできなかったことだわ。あなたはとっても優秀よ・・・」
冴子はギアッチョの頬をなでる。
「やめとけ、惚れるぞ」
「惚れてくれるのは結構。でも、私の心はもう奪われているわ」
「ふん、そうかい」
ギアッチョは不快そうな顔でそう返した。
「じゃあ私は帰るわ。嬉しい結果を待っているわよ」
冴子はその場からスタスタと去って行った。
 
フィリップは砂浜に座り込んで水平線の向こうにある約束の無人島を眺めていた。
「そういえば・・・あの島は」
フィリップは1年前のことを思い出す―――
 
―――1年前
とある無人島に建てられたガイアメモリ研究施設。
フィリップと翔太郎はそこで出会った。
当時のフィリップはガイアメモリ流通組織・ミュージアムの研究員、翔太郎は見習いの探偵であった。
後に2人がビギンズナイト(始まりの夜)と呼ぶこの時、2人は悪魔の契約を交わした。
仮面ライダーWへの変身の契約を。
そしてフィリップはこの時、初めてファングメモリを使った。
ファングメモリとは、フィリップが作った中でも異例の“動くガイアメモリ”であった。
その内には無限の闘争本能が収められていて、使えばまさに狂戦士(バーサーカー)と呼ぶにふさわしい戦闘力で、辺りを火の海に変えることができるメモリであった。
フィリップはちょっとした好奇心でこれを使った。
 
結果は暴走。
 
フィリップは自我を失い、破壊の限りを尽くした。
研究施設は爆破炎上し、後に残ったのは無残な残骸だけであった。
 
「あの島なのか・・・これも運命なのかな・・・」
翔太郎の必死の呼びかけに気づかなければ、その後も自分は自らが滅びるまで暴れ続けていただろうとフィリップは考える。
あのような危険なメモリを2度と使うわけにはいかない。
何よりもあの自分を見失っていく恐怖を2度と味わいたくない。
暴走の後、フィリップはそう考え心に誓った。
だからファングメモリは廃墟の中に埋めて永久に封印したつもりだった。
だがそれが無駄な努力であることはフィリップ自身が一番よく知っていた。
ファングメモリにはZECT(ゼクト)から流入したジョイント(空間転移)の技術が組み込んである。
フィリップの身の危険を感知して空間を飛び越えやってくる。そういうメモリなのだ。
現に先ほど、自分が溺れた時と攻撃をくらいそうになった時の2度、ファングメモリは現れている。
「たしかにファングメモリを使えばギアッチョを倒せるかもしれない・・・でも・・・」
フィリップの心とは対照的に、空には燦々と太陽が輝いていた。
 
「照井、ちょっと来い」
橘が照井の肩に手を置く。
「・・・ほっといてくれ」
「いいから来い!」
橘は照井の手を無理矢理引いてフィリップのいる砂浜に連れてきた。
「あなたは確か・・・橘朔也?」
「ああ、そうだ。2人に俺の昔話を聞いてもらおうと思ってな」
「そんなことはどうでもいい。放せ橘」
「いいから聞け!」
橘は照井をその場に無理矢理座らせると、自分は立ったまま遠くを見る視線で語り始めた。
「昔な、俺には恋人がいたんだ。その人は誰よりも俺のことを想っていてくれて、誰よりも俺のことを心配してくれていた。だが俺は戦いとそこから来る恐怖心の中で、自分のことしか考えないようになっていった。彼女の想いにも気づかないまま・・・
そして俺は彼女を死なせてしまった。全部俺のせいだった。俺が大切なものさえ見失っていなければ、彼女は死なずにすんだはずなんだ」
橘はこのような暗い話を意外にも明るく語っていた。
「お前たちには見失ってほしくないんだ。守るべき本当に大切なものを」
「本当に・・・大切なもの」
フィリップは考える。
自分にとって最も大切なものとはなんだったか。
自分はいったい何を守りたかったのか・・・
「ありがとう、橘さん。おかげで見つかりました。僕の大切なものが」
フィリップは立ち上がる。
「そうか。よし、なら行ってこい」
フィリップは強くうなずくと走り出して行った。
「橘・・・今更どうなるっていうんだ? 俺はすでに大切な家族を失ってしまった・・・
守るべきものなどもう・・・何もない。あるのは果てしない復讐心だけだ」
「いや、あるはずだ。死んでしまったお前の家族が、お前に残した希望なら・・・」
「希望・・・」
 
『お兄ちゃん。今日からお兄ちゃんも立派な警察官だね。
私の大好きなこの街、ちゃんと守ってよ。じゃあいってらっしゃ~い!!』
 
照井は妹と交わした最後の会話を思い出した。
「そうだ・・・俺にはまだ守るべきものがあった・・・! 
俺の守るべき大切なもの・・・それは妹との約束! “この街を守ること”だ!!」
照井は力強く立ち上がる。
「たしかに井坂はこの街を汚す危険な存在だ。個人的な復讐の想いもある。
だが! 今すべきことは井坂と戦うことではない!! 橘ッ!!」
「やれやれ、やっと冷えてくれたか。よし! 行くか!!」
橘と照井はフィリップの後を追って走り出した。
 
「では橘さん、僕が先にハードスプラッシャー(ハードボイルダーの水上バイク形態)で島に向かいます。その後なるべく気づかれないように後を追ってきてください」
「わかった」
橘と照井は近くで借りてきた小型船に乗り込み、フィリップはハードスプラッシャーにまたがった。
そしてフィリップが先に出発し、その10分後橘たちのボートは出発した。
「行っちゃいましたね」
海の家の外から初春と佐天、そしてジャッジメントの4人がフィリップたちを見送った。
「さて、じゃあ私たち留守番組は晩ごはんの準備でもしながら待っていましょうか」
佐天が明るく皆に言う。
「え! ・・・でも」
仗助たちは戸惑う。フィリップたちが無事に翔太郎を連れて帰ってこられるか、心配なのだ。
「さあさあ、仗助さんたちは買い出しに行ってきてください。
私と初春が跳びっきりおいしいカレーを作りますから」
佐天はメモ用紙を入れた買い物袋を仗助に突きつける。
「戦いを終えた人たちが最も欲しいと思うものは、ゆっくり平和に休むことができる居場所なんですよ」
佐天は太陽よりも明るい笑顔でそう言った。
「・・・そうっすよね。じゃあ行って来るっス!」
仗助たち4人は買い出しに行った。
「誰よりも信じているんですね。フィリップさんたちが必ず帰ってくることを」
初春が佐天の方を見る。
「あたりまえでしょ。あの人たちは負けたりしない。絶対にあきらめたりしないから。
そしてその心を支えているのは私たちの信じる気持ちだから・・・応援してあげないとね」
「・・・ハイ!」
初春は笑顔で返事をしてみせた。
 
「来たぞ。ギアッチョ」
約束の場所、無人島の廃墟の中でフィリップとギアッチョが対峙する。
「やっと来やがったか。もう来ねーかと思ったぞ」
「約束だ、ギアッチョ。僕の身は渡す。だから翔太郎を開放しろ」
「ハイよ。だがその前に、てめーの身体を凍らさせてもらうぜ。逃げられちゃあかなわねーからなあ」
「それは断る。先に翔太郎を返してもらおうか」
「ふざけてんじゃあねーぞ。こちとらてめーの骨を何本砕こうが、四肢を切断しようがカンケーねーんだぞ? てめーの要求には応じねー」
「そうか、残念だ」
 
バキュンッ バキュンッ バキュゥゥゥンッ!!
 
突如、空中から炎を纏った弾丸がギアッチョに向けて飛んできた。
「ムウゥッ!!」
ギアッチョは弾丸を弾き返す。
「やはり仲間を連れてきやがったかァ・・・!!」
弾丸の主は仮面ライダーギャレンジャックフォームであった。
「小ざかしいまねをォ・・・」
 
ボッコォォォォォン
 
さらにギアッチョの背後の壁を突き破って仮面ライダーアクセルがエンジンブレードを構えて突撃してきた。
「うおおおおッ!!」
「もう1人いやがったのか・・・ホワイト・アルバムッ!!」
 
ガキィィィインッ!!
 
ギアッチョはエンジンブレードを両腕で受け止める。
 
ジュウウウウウウウウ・・・・・・
 
「ほう・・・ホワイト・アルバムの冷気を破るほどの熱とは」
「ああ、だが冷やしてもらう必要はないッ!!」
アクセルはギアッチョの顔面に向けてエンジンブレードを突き出す。
「らあァッ!!」
ガッチィィィン
ギアッチョは白刃取りでエンジンブレードを止めた。
「今だ! 左を助けろッ!!」
アクセルが叫ぶ。
翔太郎は廃墟の2階にいて、2階は床が抜けているためその姿は1階からも確認することができた。
「よし!」
ギャレンジャックフォームは飛翔して2階へと向かう。
「させるかァッ!! 野郎どもッ」
2階から大量のマスカレイド・ドーパントが湧いてきて、翔太郎の氷を取り囲んだ。
「キィーーーッ!!」
そしてマスカレイド・ドーパントたちは翔太郎の氷を2階から突き落とした。
「翔太郎!!」
フィリップが叫ぶ。
「フハハハハ!! 砕け散れェ!!」
(まずい・・・! この距離では、ジャックフォームのスピードでは間に合わないッ!!)
翔太郎の氷が地面にぶち当たって粉々に砕け散ったと思った。その瞬間、
 
―clock up(クロックアップ)―
 
翔太郎の氷は突然、高速で何者かによって運ばれ地面との激突を免れた。
「なにィッ!!」
ギアッチョは驚く。フィリップたちも驚く。いったい何が起こったのか?
 
―clock over(クロックオーバー)―
 
翔太郎の氷をゆっくりと地面に置いて現れたのは仮面ライダーカブトであった。
「天道!!」
ギャレンジャックフォームは大声で叫ぶ。
「橘、さっきはよくもやってくれたな。おかげで助けにこられたぞ」
 
ズカズカズカ・・・
 
「天道総司、1000点!!」
廃墟の外からズカズカと名護が歩いて入ってきた。
「お前からもらった千点頭脳などいらん」
「そう言わずにありがたがりなさい!」
―レ・ディ・ー ―
「変身!!」
―フィ・ス・ト・オ・ン―
名護は仮面ライダーイクサに変身してカブトと並び立った。
「ギュルギュルギュル・・・・・・」
マスカレイド・ドーパントの大群がカブトとイクサの前に立ちふさがる。
「こいつらは俺たちに任せろ」
カブトとイクサはマスカレイド・ドーパントの大群に向かって突撃する。
「フン!」
「ハアッ!」
次々と倒されていくマスカレイド・ドーパントたち。
「すまない、天道! 名護! ・・・今だ! 照井ッ!」
ギャレンジャックフォームに言われて、アクセルはギアッチョをなぎ払い翔太郎の氷へ急行した。
―エンジン!―
アクセルはエンジンブレードにエンジンメモリを挿入する。
―スチーム!―
エンジンメモリに秘められたスチームの力でエンジンブレードから蒸気を発し、アクセルは翔太郎を覆う氷を溶かした。
 
ドサァッ
 
氷から開放され、地面に倒れる翔太郎。
アクセルは翔太郎の手首に触れた。
「脈がない・・・待っていろ、左」
―エレクトリック!―
スチームと同じく、エンジンメモリに秘められているエレクトリックの力で電流を起こし、アクセルはその電流を纏ったエンジンブレードを翔太郎に当てた。
 
ドグンッ
 
心臓マッサージの要領で電気を送られた翔太郎の体が一瞬跳ねた。
そして、
「うっ・・・照井・・・!? どこだここは!?」
翔太郎が目を覚ました。
「いったい何がどうなって・・・オゥウェップ!!」
翔太郎は突然、口から結構な量の血を吐いた。
「そういえばお前・・・ギアッチョに腹を刺されたんだったな」
アクセルが思い出したように言う。
「呑気に解説してんじゃねぇ・・・」
「安心しろ。手当てはしてやる」
アクセルはどこからともなく取り出した布で翔太郎の腹を縛った。
「さあ、相棒が呼んでいるぞ」
翔太郎は体を起こして前を見た。そこにはフィリップがいた。
「翔太郎、ファングジョーカーだ」
翔太郎から10メートルほど離れた場所に立っているフィリップがギアッチョの方を見て言った。
「何!? フィリップ・・・お前・・・」
「見つけたんだ。本当に大切なものを・・・だから戦える!!」
フィリップは翔太郎のジョーカーメモリが挿さったままのWドライバーを装着する。
「ああ・・・行け、フィリップ!」
翔太郎はニヤリと笑った。
「来い! ファング!!」
フィリップは左手を左斜め下に向けてまっすぐ伸ばして開いた。
「アエエエエエンッ!!」
ファングメモリがビョンビョンと跳ねながら現れ、フィリップの左手に納まった。
フィリップはファングメモリを恐竜の姿からメモリとしての姿に変形させた。
「変身!!」
フィリップはファングメモリをWドライバーの右側に挿し込んで開く。
―ファング! ジョーカァーッ!―
この瞬間、翔太郎の体から翔太郎の精神がフィリップの体へと移り、フィリップの身体を右が白、左が黒のとげとげしいフォルムをしたWの鎧が包んだ。
 
「ここは・・・」
変身の瞬間、フィリップの精神は無意識の内に地球(ほし)の本棚へと入っていた。
「アエエエエエンッ!!」
フィリップが振り向くとそこには巨大な恐竜の姿をした黒い影がいた。
黒い影は本棚を踏み荒らし、雄叫びを上げている。
本棚の所々で火柱が上がり、普段は真っ白な本棚の空間を黒煙が染めてゆく。
「・・・無駄だ。もう僕は絶対に見失わない。
本当に大切なものを・・・仲間を守りたいと思う意思をッ!!」
「アエエエエエンッ!!」
黒い影がフィリップを喰らおうと走り寄って来る。
フィリップは影に向かって右手をかざす。
「アギャアアアアアアアアッ・・・・・・!!」
影はフィリップの右手から放たれた光によってかき消され姿を消した。
 
『おい・・・おいフィリップ!!』
フィリップの中で翔太郎が叫ぶ。
『フィリップ・・・まさかお前また!?』
「心配ない、翔太郎。ファングの力は完全に制御した」
地球(ほし)の本棚から帰ってきたフィリップは言い放つ。
仮面ライダーWファングジョーカーの威光がギアッチョを怯ませる。
「くゥッ! な・・・なんなんだこの威圧感は!?」
「『さあ、お前の罪を数えろッ!!』」
Wファングジョーカーがギアッチョを指差して叫んだ。
「左ッ! お前の体は任せろッ!!」
ギャレンジャックフォームとアクセルが無防備な翔太郎の体を狙うマスカレイド・ドーパントたちを追い払う。
『ああ、頼むぜッ!!』
「うおおおおッ!!」
Wファングジョーカーは雄叫びを上げながらギアッチョに向かって突進していく。
「らあァッ!!」
ギアッチョはWファングジョーカーが突き出した右の拳に合わせて、右の拳を突き出した。
 
バジィィィンッ
 
ぶつかり合うお互いの右拳。
 
ビキッ
 
ホワイト・アルバムの右の拳に音を立ててヒビが入った。
「バカなッ!! ホワイト・アルバムの鉄壁の強度を持つスーツに・・・ヒビが入るだとぉ~~~ッ!!」
「『ハァッ!!』」
その後、Wファングジョーカーは野獣の如きラッシュでギアッチョを圧倒した。
「ぐをおうがぁぁぁッ!!」
スーツの上から強烈なパンチやキックを何発も浴びせられ血を吐くギアッチョ。
「クソがァ・・・なめんなァァァッ!!」
ギアッチョは氷の剣を作り出し、Wに向かって振り下ろした。
「ウオラアアアアアッ!!」
 
ガシャン ―アームファング!―
 
Wファングジョーカーはファングメモリの突起物を1回倒し、右腕のひじから生える鋭利な刃、アームセイバーを発動させた。
「『せりゃあッ!!』」
ブシャアアアッ
Wファングジョーカーは氷の剣ごとギアッチョの胸を横一文字に切り裂いた。
「うげえあああああッ!!」
苦痛に地面を転げまわるギアッチョ。
 
ガシャンガシャンガシャン ―ファング! マキシマムドライブ!―
 
ファングメモリの突起物を3回弾くことにより、Wファングジョーカーの右足のかかとからマキシマムセイバーが出現した。
「ううう・・・・・・」
よろよろと立ち上がるギアッチョ。
「『ハアッ!!』」
Wファングジョーカーは空中に跳び上がった。
「『ファングストライザーッ!!』」
恐竜の頭部のようなオーラを纏った右足で、ギアッチョに跳び回し蹴りを叩き込むWファングジョーカー。
「ギヤアァァァァァァァァッ!!」
Wファングジョーカーの必殺技、ファングストライザーをくらったギアッチョは廃墟の外へ向かって吹っ飛び、島から50メートルほど離れた海中に沈んだ。
「やったか!?」
マスカレイド・ドーパントを全滅させたギャレンジャックフォームたちがWファングジョーカーに近寄ってくる。
「ええ。橘さんのおかげです」
フィリップは仮面の下から笑顔で返した。
「そうか。よかったな!」
水平線に沈む夕日が戦士たちを優しく包みこんだ。
 
「くッ! ギアッチョ・・・やはり奴ではダメだった・・・」
園咲低の地下室でモニターを見る冴子の顔は悔しさに満ちていた。
 
カツカツカツ・・・
 
冴子の背後から3つの足音が近づいてくる。
「あなたたちは・・・」
やがて3人の男が姿を現した。
「利根川(とねがわ)・・・黒岩(くろいわ)さん・・・井坂先生・・・」
「やはりダメだったようですね」
黒岩と呼ばれた30歳前後くらいの男が言う。
「そもそも他人に頼るから失敗するのだ。処刑は自分の手で確実に実行するべきなのだ」
「黙りなさい! 利根川ッ!!」
利根川は40代半ばくらいの男だった。
「まあまあ、我々四幹部同士、仲良くやっていこうじゃあないか」
黒岩が冴子と利根川をなだめようとする。
「フン! いざとなれば仲間でも見捨てるようなあなたに言われたくないわッ」
冴子はそっぽを向いた。
「冴子君、次の作戦はもうできているんですか?」
井坂が冴子に問いかける。
「・・・当然よ。次こそは成功させてみせるわ」
ミュージアム四幹部の間には不穏な空気が流れていた。
 
「ありがとよ、仗助。おかげでもう痛くもなんともないぜ」
仗助のクレイジー・ダイヤモンドに腹の傷を治してもらった翔太郎が言った。
「なんてことないっスよ。俺のクレイジー・ダイヤモンドにかかれば。
また怪我したら俺に頼んでくださいっすね」
「ははは・・・もう腹を剣が貫通なんて思いはしたくねえなあ・・・
ははは・・・(やっべぇ・・・口ん中がまだ鉄くさい・・・)」
翔太郎は苦笑いをした。
「さあ皆さん! カレーができてますよ~」
佐天が皆に呼びかける。
 
カレーの鍋の前で橘と照井が何やら言い争いをしている。
「おい橘! お前ジャガイモとりすぎだぞッ」
「照井、それを言う前にお前はもっとニンジンを食え。全然取ってないじゃないか」
「うっ・・・うるさい!!」
「あ、照井さん。ニンジン私が切ったんでちゃんと食べてくださいよ~」
先にいすに着いている初春が照井に呼びかけた。
「ほら、竜君。飾利さんが言っているんです。食べてあげなさい」
名護も照井に呼びかける。
「お・・・お前らぁ・・・!! だったら名護! お前ももっと玉ねぎをだなぁ!!」
「どうでもいいから早くしろ! 後がつかえるだろう!!」
天道が注意する。
「・・・やっぱ楽しいな、フィリップ。こいつらと一緒だと」
翔太郎はカレーを食いながらフィリップに話しかける。
「ああ・・・」
「 ? どうした、フィリップ?」
「ん? いや、なんでもない」
フィリップは皆の様子を見て感慨深く思う。
(これが・・・僕が守りたいと思う、本当に大切なものなんだな・・・)
「さあ、竜君! 食べなさい! ニンジンだ!!」
「なら名護! お前も食らえッ! 玉ねぎだ!!」
「お前たち! いい加減にしろッ!!」
天道の叫び声が夜空に響いた。
 
―――数日後
「おい、橘・・・なんだこの客の数は?」
「わ・・・わからん・・・」
海の家の天道たち3人は困惑していた。
ありえないほどの人数の客が焼きそばを買いに押し寄せてきていたのだ。
「おい、お前たち。何でこの店に来た?」
照井が先頭の客に向かって聞く。
「え? ああ、私たちジャッジメントなんですけどぉ・・・うちのコーチが海に行くならここの焼きそばを食っていけって」
「・・・ちなみに聞くが」
天道は意を決して言う。
「そのコーチはなんていう名前だ?」
「ええ・・・名護啓介って名前ですけど・・・」
 
ミ~ン ミ~ン ミ~ン
 
海辺なのにセミの声がよく響いた。
 
TO BE CONTINUED
PR
Comment
              
Name
Title
Adress
URL
Comment
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Secret 管理人のみ閲覧できます
Password   
* コメントの編集にはパスワードが必要です
なンだコイツ…
by Sgt.LUKE 2010/06/21(Mon)14:23:39 Edit
名護さん…
ラストのシーンはやっぱり海原?
Trackback
この記事にトラックバックする:
Copyright ©  -- teamBDRの軌跡 --  All Rights Reserved
Designed by CriCri Material by 妙の宴
忍者ブログ  /  [PR]